エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー 作:蒼色ノ狐
澄み渡る海上を舞台に始まったポイントFを巡る戦い。
先手を打たれ被害を受けたロゴス側は艦隊戦は不利と判断し、茶色をメインカラーにしたMTを投入し白兵戦を挑む。
その主力となるMTの名は『ハウンドドッグ』。
かつてアーストンの主力であったサラマンダーの発展形であり、名前とは裏腹に厚い装甲を特徴にもつ。
対して連邦側もMTを戦場に送り出していく。
名は『デュカリオン』。
プロメテウスの流れを汲んだエデンの主力量産機であり、翼に似た大型スラスターを二つ搭載しているのが特徴。
特出した性能では無いが、様々な追加武装を搭載ができるため様々な状況に対応可能となっている。
全機を投入し挽回を図るロゴスに対し、余力を残して展開するエデン。
だがMTの数は圧倒的にエデン側が上回っていた。
「おっしゃ! やるぜ!」
そんな中で勇ましく敵陣に突撃していくのは、赤でカラーリングされたデュカリオンを駆るハヤトであった。
後を追いかけるようにして同じ赤で装飾されたデュカリオンで、ジョンとミンメイ海上を飛翔していく。
「くっ! ハヤトの奴、また勝手に!」
「あぁ。見ててください特務。あなたの為に勝利を」
暴走するハヤトに苛立ちを見せるジョン、そして隠し撮りしたユーリの写真を見ながら悦に浸るミンメイ。
平時のようにそれぞれ好き勝手する三人組。
常であれば隊長であるアイシャがまとめるのであるが、機体に軽度のトラブルがあり三機が先行する形となったのだ。
「おら! 真っ二つにしてやるぜ!」
腕部に収納されている大型のサーベルを引き抜き果敢に攻め込む赤きデュカリオン。
接近に気付いた一機のハウンドドッグが振り向き様にアックスを振るうが、ハヤトは余裕で回避。
後の事を考えてないような大振りでサーベルを振り上げると、攻撃してきたハウンドドッグを頭部から両断してみせた。
「おっしゃあ!」
「喜んでいる場合じゃないだろ! 囲まれてるぞ!」
会心の一撃が決まり喜ぶハヤトに、ジョンの厳しい声が届く。
見れば周りの敵MTが既に包囲しており、その銃口をハヤト機に向けている。
「やられるかよ! 掛かってこいや!」
「僕たちが居るのを忘れるな!」
ハウンドドックの壁を突破し、ジョンとミンメイのデュカリオンが助けに入る。
「チッ、助けてくれなんて言ってねぇぞ」
「素直にありがとうも言えないのか」
「二人ともうるさい。……早く終わらせて特務のご尊顔を見ないと」
口ではバラバラな三人であったが、お互いの背を守るように陣取り隙を潰す。
焦ったハウンドドッグが何機かアックスを片手に突撃するが、三機は練度の高い連携にて撃破していく。
攻めあぐねたロゴス側は遠距離による攻撃で連携を崩しに掛かる。
「この程度。特務の足元にも及ばない」
しかしミンメイ機は襲うエーテル光に臆する事無く反撃を開始。
専用にカスタマイズされたロングライフルを構え引き金をひくと、百発百中の精度で海へと沈めていった。
だが先行していた分だけ包囲も厚く、中々数が減らないでいる。
「くっ! 流石に多いな」
「弱気になるんじゃねぇよ! こんなの不利ですらねぇ!」
自らに言い聞かせるように叫ぶハヤトの後方から、ステルス機能を持った特殊なハウンドドッグが迫っていた。
「ハヤト!」
「しまっ!」
気づいた時に間近に迫っており、反撃は間に合いそうにない。
ハヤトの脳裏に死の文字が浮かぶが、それを遮るように巨大な何かが横切り敵機を押しつぶした。
「来てくれた……!」
安堵するジョンを始めとして、デュラハン隊三人に通信が入る。
内容にビクつきながらも通信を繋げると、怒り心頭が伺える言葉が飛んで来た。
「何で勝手に先行してるの! 帰ったら三人とも反省文!」
「た、隊長」
「す、すみやせん」
「何で私まで」
それぞれ予想通りの反応を聞きながら、遅れて来たアイシャはコックピットで深呼吸し周りを見渡す。
「まずは包囲を崩して味方と合流。数はこっちが勝っているんだから、無茶はしない事。……じゃあ、やろうかドゥルガー」
深紅に染められた愛機の名を呼ぶと、アイシャは敵陣に躊躇なく突撃を開始。
その姿は彼女が見て来たユーリの姿を彷彿とさせるのであった。
連邦の主力量産機、デュカリオン登場です!
やはり魅力的な量産機はリアル系ロボットを彩る花だと思います。
次回はアイシャの専用機であるドゥルガーが主役です。
お楽しみに!