エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

149 / 149
第132話 次代を継ぐ者たち

 清々しい青空を見せていた青空も、破壊されたMTや軍艦から発する煙によって黒く覆われてしまっていた。

 だが黒煙に包まれている中でも目立つ白のカラーリングをされたプロメテウスのコックピットでは、ユーリがメシアから報告を受けている最中のようである。

 

「隊長機と思われるハウンドドッグを撃破。こちらは引き続きレーヴァテインによる各個撃破をしますマスター」

「頼む。アイギス、状況は?」

「現在艦隊前方のMT群は壊滅状態。ポイントFより援軍が送り込まれていますが、戦力差を覆す程ではありません」

 

 メシアが操るレーヴァテインによって翻弄されるロゴス側のMTらを距離を置いて警戒しつつ、ユーリは状況の確認を行う。

 指揮系統が乱れた今、奇襲部隊が崩れるのも時間の問題であった。

 

「今日はプロメテウスの調子が悪いからな。出来るだけ楽して勝ちたいが」

 

 元々プロメテウスは数日前までオーバーホールされており、調整も碌に出来ていないのが現状。

 無論他のMTだけでも戦力的には十二分であるが、後方でジッとしているのは性に合わなかった。

 次々に海面に墜落していくハウンドドッグを見ながら、このまま勝利を掴めるかと考えるユーリ。

 だがロゴス側も、このまま手をこまねいている訳も無かった。

 

「ユーリ。前方より巡洋艦二隻が来ます」

「まあ、簡単には譲らないよな」

 

 ため息交じりに苦笑しつつ、ユーリは操縦桿を強く握り締める。

 調子が悪いとは言え、巡洋艦クラスではプロメテウスならば簡単に迎撃可能。

 軽く息を吐いて気持ちを落ち着かせユーリが前進しようとすると、後方から味方の識別信号が二つ近づいて来るのがレーダーで確認できた。

 

「この識別コードは」

「はい。ディアロスとセイレーンの二機です」

「……メシア。レーヴァテインによる攻撃を中断」

「いいんですか? マスター」

「ああ。たまには後輩たちに活躍の場を譲ってやらないとな」

 

 後方から一気に追い抜いていった二機のMTを見送りながら、レーヴァテインを収納してエーテルをチャージする。

 すると突如通信が繋がり、右目に眼帯をつけた黒髪の若い男子が画面越しに現れる。

 

「ふっ、粋な事をしてくれる救国の英雄よ。それほど我が美技なるタクティクスを堪能したいのか?」

「ハイデン。自信満々なのはいいが、油断して機体に傷をつけるな」

「そうよぉ。ハイデンちゃんは只でさえ被弾率が高いんだから~」

「お前は人を気にするよりも自分に注意を払え、フェニー」

 

 突然割って入った低い声。

 その声の主は筋肉隆々のスキンヘッドながら、実に女性的な心の持ち主であるフェニー。

 この二人は最新鋭実験機のテストパイロットであり、次世代のエース候補である。

 ユキカゼを中心とした艦隊は政治的な影響を受けにくい独立部隊。

 さらに戦闘がある場合は率先して動くため、これまでにも様々なテスト機や兵器に優秀なパイロットたちが乗り込んで来た。

 そしてビーストとの決戦を迎えようとしていう今、機体テストと言う名の実地配備されているのがハイデンとフェニーなのである。

 

「残りはお前らに任せる。……出来るな?」

「ふっ、愚問! 瞬く間に闇に葬ってくれよう!」

「もっちろん。期待には答えてみせるわ!」

 

 ハイデンは黒と赤を中心としたカラーリングが施された重装甲のMTを、フェニーは青がメインカラーの軽装備なMTを操り戦場にひた走る。

 

 ―英雄を継ごうとする若者たちの戦いが、繰り広げられようとしていた。




書きたい内容が多くて完結までもう少し掛かりそうな気がしてきました。
出来るだけ分かりやすく、それでいてイメージの湧く描写をしたいと思ってはいます。
是非最後まで応援のほど、よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

真の実力を隠していると思われてる精霊師、実はいつもめっちゃ本気で戦ってます(作者:アラッサム)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 精霊が当たり前に存在する世界ユグリエル。▼ この世界では精霊と契約を結ぶことで精霊の力を借りて悪魔や邪霊と戦う精霊師と呼ばれる職業が存在していた。▼ 精霊師育成学校ユートレア学院に所属する2年生ローク・アレアスも精霊師の一人として将来を期待されているが、彼には少しばかり不思議な点があった。▼ 精霊師になる上で欠かせないもの、それは契約の儀によって繋がる己の…


総合評価:12507/評価:8.15/連載:126話/更新日時:2026年07月29日(水) 18:27 小説情報

ベルリク戦記 ー 戦争の生涯 ー (作者:さっと/sat_Buttoimars)(オリジナルファンタジー/戦記)

 ベルリクは好んで譲らず先頭に立って突撃する指揮官の鑑。知恵と勇気に優れる。▼ 戦争の狂気に浸っては平和を好まず、日頃から総力戦体制の構築に勤しんで先制攻撃を尊ぶ。▼ 身一つから成り上がっては世界を股にかけて歴戦の仮借なき軍勢を送り込み、やがては史上最大の殺戮破壊者へ至るだろう。▼ この世界に国際条約は存在せず、大義や国益があっても正義や悪に容赦や人権は無い…


総合評価:511/評価:8.59/連載:295話/更新日時:2026年07月30日(木) 19:23 小説情報

【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~(作者:パンダプリン)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

女神さまにハズレ扱いされた俺は、ラスボスの魔王が超高難易度で有名なとあるゲームの世界へ転生させられてしまった。▼スキルはダンジョンマスター。種族は魔族。どう見ても主人公側ではなく、敵側としてだ……。▼途方に暮れていたところ、明らかに格上の存在と出会ってしまったが、あなたが魔王……?▼勇者たちを倒したはいいけど、部下もダンジョンも失ってやる気がない……?▼俺、…


総合評価:1578/評価:8.21/連載:292話/更新日時:2026年07月30日(木) 23:50 小説情報

暴君忠長に転生したので、兄上のために日本列島をメンテします 〜SFチートのはずが、田んぼと水路と寺社ノードの保守係なんですが〜(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル歴史/戦記)

現代日本で死んだ主人公が転生した先は、江戸幕府を開いた徳川家。▼身分ガチャは大当たり――かと思いきや、幼名は国松。▼のちに兄・徳川家光と対立し、「暴君」と呼ばれて破滅するはずの徳川忠長だった。▼将軍の座など絶対にいらない。▼生き残るためには、兄・竹千代を全力で支え、「敵」ではなく「便利で忠実な弟」になるしかない。▼そう決意した国松が最初に始めたのは、天下の根…


総合評価:2001/評価:7.37/連載:136話/更新日時:2026年07月29日(水) 19:29 小説情報

ヤバマーズ ~毒喰らい男爵の人生逆転劇~(作者:裃 左右)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼ 飢え死に寸前、貧乏男爵。毒物を食ってるうちに、新エネルギー発見!?▼ 壊れた『病み堕ちループ令嬢』のため、世界を敵に回す。ヤバい仲間と、最底辺からの人生大逆転っ!▼ 超絶シビア、実力派内政サバイバル!▼~あらすじ~▼ エルフもドワーフも真似できない。人間の武器は――救いようのない『執着』だ。▼ 我がヤバマーズ男爵家は、一言で言って「マジでヤバい」▼ 初代…


総合評価:1748/評価:8.96/連載:171話/更新日時:2026年07月30日(木) 08:13 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>