エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第132話 次代を継ぐ者たち

 清々しい青空を見せていた青空も、破壊されたMTや軍艦から発する煙によって黒く覆われてしまっていた。

 だが黒煙に包まれている中でも目立つ白のカラーリングをされたプロメテウスのコックピットでは、ユーリがメシアから報告を受けている最中のようである。

 

「隊長機と思われるハウンドドッグを撃破。こちらは引き続きレーヴァテインによる各個撃破をしますマスター」

「頼む。アイギス、状況は?」

「現在艦隊前方のMT群は壊滅状態。ポイントFより援軍が送り込まれていますが、戦力差を覆す程ではありません」

 

 メシアが操るレーヴァテインによって翻弄されるロゴス側のMTらを距離を置いて警戒しつつ、ユーリは状況の確認を行う。

 指揮系統が乱れた今、奇襲部隊が崩れるのも時間の問題であった。

 

「今日はプロメテウスの調子が悪いからな。出来るだけ楽して勝ちたいが」

 

 元々プロメテウスは数日前までオーバーホールされており、調整も碌に出来ていないのが現状。

 無論他のMTだけでも戦力的には十二分であるが、後方でジッとしているのは性に合わなかった。

 次々に海面に墜落していくハウンドドッグを見ながら、このまま勝利を掴めるかと考えるユーリ。

 だがロゴス側も、このまま手をこまねいている訳も無かった。

 

「ユーリ。前方より巡洋艦二隻が来ます」

「まあ、簡単には譲らないよな」

 

 ため息交じりに苦笑しつつ、ユーリは操縦桿を強く握り締める。

 調子が悪いとは言え、巡洋艦クラスではプロメテウスならば簡単に迎撃可能。

 軽く息を吐いて気持ちを落ち着かせユーリが前進しようとすると、後方から味方の識別信号が二つ近づいて来るのがレーダーで確認できた。

 

「この識別コードは」

「はい。ディアロスとセイレーンの二機です」

「……メシア。レーヴァテインによる攻撃を中断」

「いいんですか? マスター」

「ああ。たまには後輩たちに活躍の場を譲ってやらないとな」

 

 後方から一気に追い抜いていった二機のMTを見送りながら、レーヴァテインを収納してエーテルをチャージする。

 すると突如通信が繋がり、右目に眼帯をつけた黒髪の若い男子が画面越しに現れる。

 

「ふっ、粋な事をしてくれる救国の英雄よ。それほど我が美技なるタクティクスを堪能したいのか?」

「ハイデン。自信満々なのはいいが、油断して機体に傷をつけるな」

「そうよぉ。ハイデンちゃんは只でさえ被弾率が高いんだから~」

「お前は人を気にするよりも自分に注意を払え、フェニー」

 

 突然割って入った低い声。

 その声の主は筋肉隆々のスキンヘッドながら、実に女性的な心の持ち主であるフェニー。

 この二人は最新鋭実験機のテストパイロットであり、次世代のエース候補である。

 ユキカゼを中心とした艦隊は政治的な影響を受けにくい独立部隊。

 さらに戦闘がある場合は率先して動くため、これまでにも様々なテスト機や兵器に優秀なパイロットたちが乗り込んで来た。

 そしてビーストとの決戦を迎えようとしていう今、機体テストと言う名の実地配備されているのがハイデンとフェニーなのである。

 

「残りはお前らに任せる。……出来るな?」

「ふっ、愚問! 瞬く間に闇に葬ってくれよう!」

「もっちろん。期待には答えてみせるわ!」

 

 ハイデンは黒と赤を中心としたカラーリングが施された重装甲のMTを、フェニーは青がメインカラーの軽装備なMTを操り戦場にひた走る。

 

 ―英雄を継ごうとする若者たちの戦いが、繰り広げられようとしていた。




書きたい内容が多くて完結までもう少し掛かりそうな気がしてきました。
出来るだけ分かりやすく、それでいてイメージの湧く描写をしたいと思ってはいます。
是非最後まで応援のほど、よろしくお願いします!
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