エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー 作:蒼色ノ狐
「ちっ! 二人と逸れちまった!」
血気盛んに突撃したデュラハン隊のハヤトであったが、勢い余って単騎になってしまっていた。
引き返そうにも既に狼型のビーストである『アルファ級』によって囲まれているため、戦う以外に選択肢は残されていない。
愛機である赤いカラーリングのデュカリオンの右腕に、青い輝きを放つエーテル刃を展開させたサーベルを。
左腕には小隊専用に開発されたアサルトライフルを構え、ハヤトはコックピット内でビーストに吠える。
「やってやんぜ獣野郎ども! 命を懸けるには丁度いい!」
ハヤトの闘志を感じ取ったのか、アルファ級の一体が装甲を突き破らんと迫って来る。
すぐさまアサルトライフルの引き金を引こうとするが、後方から急スピードで飛翔し襲い掛かって来たアルファ級を串刺しにした。
「あ、あれは」
突き刺さったのがプロメテウスの装備であるムコツである事を察し、驚きを隠せないハヤト。
さらに目立つ白がメインのカラーが施されたMTが後ろから現れ、予想は確信へと変わる。
「元気が有り余っているのはいいが、命を粗末にするなよハヤト」
「す、すんません」
「まあいい。ここは俺に任せて二人と合流しろ」
軽く釘を刺しながらアルファ級の死骸から槍を引き抜くと、ユーリはプロメテウスの特徴である羽のような大型のスラスターからエーテルを大量に噴出。
最新量産型であるデュカリオンと比べても、比較にならないスピードを持ってアルファ級の群れに切り込んでいく。
「邪魔だ退け!」
大型の実体槍で薙ぎ払うと、アルファ級が数匹まとめて両断される。
エーテルをコーティングした粒子を高速回転させる事により、高い切断力を維持しつつけるムコツ。
次々にアルファ級の装甲を引き裂き飛び散る血を浴びる様は、阿修羅を彷彿させるといっても過言ではないだろう。
「ユーリ。前方からデルタ級が数十来ます」
「アイギス。ターゲットのロックを頼む」
「了解」
ユーリが脚部の追加装甲の一部をパージすると、そこにはマイクロミサイルが大量に積み込まれていた。
アイギスが高速で全ての鳥型のビーストであるデルタ級にミサイルをロックオンする。
「何時でも撃てます」
「よし! 喰らえ!」
大量の白い噴煙を上げ、豪雨のようなマイクロミサイルがデルタ級に襲い掛かる。
防ぐ間も無いまま飛翔し深紅の爆炎を撒き散らし、三十ほどのビーストたちは姿を消すのであった。
「誤爆したら只じゃ済まない威力だな」
「そうならないように我々がいるのですよマスター。……どうやら後方からも囲うつもりのようですね。レーヴァテインを起動します」
「頼んだメシア。頼りにしてる」
「今の言葉で処理速度が三倍になりました。すぐに殲滅してみせます」
そう言い切るとレーヴァテインが飛び出していき、メシアの送るオーダーに従ってビーストたちに襲い掛かる。
メシアが遠隔兵器の操作に専念させる事により、囲まれる憂いを無くしたユーリは改めて正面を見つめる。
アルファ級やデルタ級だけでなく、より強力な中型や大型も集まり始めた。
ざっと見てみても、総数は三千対一ほどの開きがある。
だがこの場で戦っている誰もが、事実を理解していながらも闘志を燃やし続けていく。
命が星の輝きの如く消えていく中で、ユーリはプロメテウスのコックピットにて吠えるのであった。
「さあ、掛かって来いよ。狩りつくしてやる!」
不安定な天候が続きますが、皆さんお元気でしょうか?
狐は体調が変動しやすいので、とても辛いです。
しかし頑張って書いていくので、どうぞこれからもよろしくお願いします!