エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー 作:蒼色ノ狐
ヴァジュラの名付けられた兵器は、一見すれば槍よりも太い杭に似ている。
但し放った艦とはケーブルで繋がれており、ただ撃ち込むだけでは無い事が伺えた。
専用のレールガン式の発射口から光速をもって、マザー級に迫っていく。
ヴァジュラの射線上にいたビーストたちは障害になるどころか肉体を瞬く間に貫通され、何が起こったかすら分からず命を絶やす。
唯一目標であるマザー級のみが飛来するヴァジュラを視認。
だが大陸級の巨体が急に動く訳もない。
そして同時に速度と威力を計算し迎撃が不可能である事も理解しており、マザー級は痛覚を遮断し攻撃に備える。
そして合計二十ものヴァジュラは深々とマザー級の肉体に突き刺さる。
だが損傷を受けても、マザー級は問題ないと判断。
この程度の傷であれば数時間で修復可能であり、緊急性が高い場合は自らを削って造り出したビーストを吸収するつもりだからだ。
痛覚を遮断しているため確信までは至っていないが、毒の類も塗ってないと考える。
曖昧な攻撃にマザー級は疑問を持つが、その答えは直ぐに理解する事となった。
肉体に深く突き刺さったヴァジュラから、次々に棘のような返しが現れる。
長く強固な棘はマザー級の肉体を内部からズタズタに引き裂いていき、簡単には引き抜けないようになった。
思わぬ攻撃に対し、マザー級は驚きはするが冷静に対処方を考えていく。
損傷した肉体はおよそ三割。
その三割を排出して残る七割で戦闘したとしても、勝算はどれ程なのかを。
MTに対しマザー級が生み出した末端は苦戦。
だがその数は圧倒的に上回っており、自身が直接戦闘すれば十分に殲滅できると判断。
とそこまで考えた時点で、マザー級はある可能性を考える。
(この攻撃にはまだ続きがあるのでは無いか?)
どう思考しても敵である人類は自身。
つまりマザー級の殲滅を目的に動いている。
ならば三割程度の傷を負わせた程度で、敵は満足するであろうか、と。
抜けない様に撃ち込まれた兵器、そして繋がれたケーブルと思考を巡らし、マザー級は答えを見つけ出す。
すぐさま末端たちにケーブルの切断するよう命令するが、時すでに遅し。
ヴァジュラが真の威力を発揮した。
エンタープライズ級からケーブルを経由し大量のエーテルが送られると、電気へと変換。
飛び出した棘から射出した雷光は、巨大なマザー級の肉体を修復不可能なレベルで焼き尽くす。
そもそもヴァジュラは雷という意味であり、この兵器の名前としてこれ以上相応しいものは無いだろう。
艦が一斉にケーブルを切り離し放電が終わった頃には、目に見える肉体は全て黒焦げとなっていた。
(……損傷七割)
マザー級はすぐさま再生処理を行うが、細胞レベルで焼かれているため不可能と判断。
末端を使い修復する事も考え、途中で放棄する。
仮に周りにいるビーストを回収したとして、五割が限度。
逆に攻撃手段が限られ、殲滅される可能性が高まるからだ。
(……)
此処に至って、マザー級は自身が詰み始めている事に気付く。
どう転んでも待っているのは己の死。
そこでマザー級は
(この肉体では生存困難と判断。これより
ビーストとの戦いは、最終局面へと移ろうとしていた。
いよいよオペレーション・ノヴァも終わりが見えてきました
マザー級が繰り出す一手とは何か?
次回もご期待ください!