エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第27話 獅子と死神の攻防

 アーストンとペギン。

 両者間で行われてきた戦争の結末を決める一騎打ち。

 砂漠にて得物を構え、互いを睨み合う白と赤のMT。

 始まりを告げる信号弾が打ち上げられると共に、二機のMTがそれぞれ動く。

 

 巨大ランスを前方に構え、スラスターからエーテルを吹かせるバレットのランスロットⅢ。

 それによって生まれた砂塵を貫くように、突撃する。

 対してユーリのファフニールはマシンガンで牽制しつつ、切り込むタイミングを伺う。

 

「くっ」

 

 マシンガンの弾に当たり続ける事を嫌ったバレットは突撃を断念。

 フェイントを織り交ぜ弾幕を掻い潜ると、ランスによる突きを繰り出す。

 

【ユーリ】

「当たるか!」

 

 アイギスに警告されると同時にユーリはランスを回避。

 だが回避した先に待っていたのは、ランスロットⅢの胸部機関砲の弾丸であった。

 

「ちっ!」

 

 射程外まで逃げようとするユーリであったが、そうはさせまいとバレットは砂漠に薬莢の川を作りながら追撃する。

 コックピットへの直撃を避けながら機体への損傷を軽微に収めていくが、ユーリを突如として動きを転換。

 黒塗りの実体ブレードであるシラヌイを構えると、スラスターを吹かせてランスロットⅢの懐に潜り込む。

 その勢いを活かしたまま、ユーリはシラヌイを横薙ぎに振るう。

 

「やるな! だが、させん!」

 

 防御は間に合わないタイミング、だが赤獅子と呼ばれた英雄は間一髪のところで防いでみせた。

 そのまま赤い火花が散る鍔迫り合いの状態になった両者は、至近距離でカメラ越しに睨み合う。

 

「その若さでこの実力。流石と言うべきだろうな」

「それはどうも。褒められても手加減は出来ないけど、なぁ!」

「っ!」

 

 ユーリは一瞬ファフニールのパワーを抜き、ランスロットⅢが体勢を崩したところにシラヌイを振り降ろす。

 バレットは何とか距離を取る事に成功するが、代償として右肩に装備されたシールドを切り裂かれた。

 そのまま睨み合いの状態となり、両者武器を構えたまま動かなくなった。

 

「……アイギス。どう見る」

【未だ状況は五分かと。油断しないでくださいユーリ】

「したくても出来ないな、この状況じゃ」

 

 アイギスとそのような話をしながらも、ユーリの視線はランスロットⅢから離さない。

 次はどう攻めるかユーリが考え抜いている内に、先にバレットが動く。

 ランスロットⅢの脚部から小型ミサイルが撃ち込まれると、煙によってファフニールが包まれてしまう。

 

「煙幕! アイギス!」

【レーダーによる索敵不可。煙幕にエーテルを仕込んでいるようです】

「っ! なら!」

 

 目視でもレーダーでも追えない状況で、ユーリは直感に従い大きく右に避ける。

 その僅かに後、先ほどまでファフニールがいた場所にランスが投げつけられる。

 だが安堵したのも束の間、煙を抜けた先に待っていたのはロングソードを振り降ろそうとしているランスロットⅢであった。

 

【ユーリ!】

「クソッ、間に合え!」

 

 振り下ろされる刃を、何とかシラヌイで受け止めるユーリ。

 だが体勢が不十分だったせいで、シラヌイは大きく弾き飛ばされてしまった。

 何とか取り戻そうとするユーリであったが、機関砲に阻まれシラヌイとの距離を離されてしまう。

 その間にもランスロットⅢは、投げたランスを回収して万全の状態となる。

 再び睨み合いの状況となり、両機ともジリジリと距離を保ったまま様子を伺う。

 

「アイギス」

【現在こちらにはランスロットⅢの加工された装甲を打破できる装備はシラヌイのみ。端的に言って、ピンチです】

 

 アイギスの淡々とした言葉が、現状と合わさりユーリの顔を歪ませる。

 ランスロットⅢのモノアイがこちらを見つめる中、逆転への道筋をユーリは探るのであった。

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