エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第41話 要塞の落日

 ロンギヌス発射の阻止に向かうアイシャたち三人。

 だが目の前にはバルアの強固な防衛ラインが立ちふさがる。

 

「カレリン!」

「分かってる!」

 

 エルザが指示を出す前に、ミーヤは自機の肩に装備されているキャノン砲の引き金を引く。

 砲弾はバルアの防衛部隊に吸い込まれるように飛んでいき、晴天に爆発を起こす。

 僅かに空いた突破口からアイシャとエルザ、そしてミーヤが最終ラインを突破。

 だがミーヤはすぐに反転すると、追おうとしている部隊に立ちふさがる。

 

「ミーヤ!?」

「このまま壁になるから二人は行って! 任せたよ!」

「……カレリン」

「何!」

「任せた」

「! うん!」

 

 僅かなやり取りをすると、二人はミーヤを置いて先へと進む。

 バルアの部隊もミーヤを無視して追いかけようとするが、そうはさせまいとミーヤが動く。

 両手にはライフル、そして肩にはキャノン砲と新規に付け加えられたミサイルラックがそれぞれ照準を合わせる。

 

「邪魔はさせないんだから!」

 

 二人が発射を阻止するのを信じて、ミーヤは弾とエーテルが尽きるまで撃ち始めた。

 

・・・・・・・・・・・

 

 そのころ託された二人は、ロンギヌスに攻撃が届く範囲にまで近づいていた。

 

「よしここまで来れば!」

 

 得物であるナギナタを構えロンギヌスへの攻撃を開始するアイシャ。

 だが砲塔が巨大な上な為、ただ斬りつけるだけでは破壊は難しそうであった。

 

「くっ! このままじゃ!」

 

 追い込みをかけるように要塞の機銃がアイシャたちを狙ってきたため、攻撃もままならない。

 

「邪魔なのよ!」

 

 そんな中エルザは、両手に加えてサブアームにもハンドガンを持たせて機銃を破壊していく。

 

「ウェルズ! こっちは任せて!」

「了解!」

 

 エルザの後押しを受け、アイシャは再びロンギヌス阻止へと攻撃を再開する。

 ナギナタの限界以上のエーテルを回すと、巨大なエネルギー刃を作り出し残った推力で突撃していく。

 

「こんのぉぉぉぉぉ!!」

 

 巨大なナギナタがロンギヌスに振り降ろされると、聖槍は音を立てて切り裂かれていった。

 

「よっし!!」

 

 アイシャがコックピット内でガッツポーズするとほぼ同時に、溜められていたエーテルは霧散していく。

 その数分後にはドリトドン要塞側から降伏信号が出され、ここにアーストン王国側の勝利が確定した。

 

・・・・・・・・・・・

 

「あら、もう終わりみたいね。残念だわ」

 

 降伏信号を確認すると、カーミラは心底残念そうに大剣をしまう。

 対するユーリも、無理して仕留める気はないので武器を下す。

 二機とも互いに大きな損傷は無いが、微細な破損が多く見られた。

 

「てっきりアンタは決着付くまでやり合うつもりだと思ってたがな」

「ふふ。それは楽しそうだけど、下手な横やりは嫌だもの。素直に引いておくわ」

 

 カーミラはMTのスラスターを吹かせると、どこかへ飛び去っていった。

 

「じゃあまた会いましょ。今度は決着がつくと良いわね」

 

 そう通信を残して。

 

「……また出会うんだろうな、あの言い方だと」

【そう思われます。厄介な方に気に入られましたね】

「全くだ」

 

 ユーリはため息を漏らすと、前線にて指揮を飛ばしていたカゲロウを。

 いや、カゲロウに乗っているであろう少女に向かって言葉を放つ。

 

「さて、こっちの決着はついた。……あとはアンタ次第だぞ」

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