エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第67話 竜殺しのMT

 その日は憎たらしい程の快晴。

 テルモ基地では過激派が爆撃の為の準備を進めていた。

 迫る機影をレーダーがキャッチし、担当者が上官に知らせる。

 すぐに警告を知らせるサイレンが鳴り響き、基地内が緊張感に包まれた。

 MTが発進準備を整える中、エーテル光が爆撃機を一閃し爆炎をまき散らす。

 

「隊長! 一隻撃破しました!」

「気を抜くなよミーヤ。まだ爆撃機は残っているはずだ」

 

 放熱する新型の長距離砲を背中に収納したミーヤに忠告しながら、ユーリは三人の部下たちに隊長としての言葉を伝える。

 

「これでもう後戻りは出来ない。ここで死ぬか、軍法会議で死刑になるかのどちらかだろう」

「「「……」」」

 

 ユーリの言葉を三人はただ黙って聞いていた。

 反論が来ない事を確認すると、ユーリは気合を入れるように声を張り上げる。

 

「なら全員ここで死ぬ気で戦え! この後の事なんて気にするな! 目の前の敵をただ倒せ! 伝えるべき言葉はそれだけだ!」

「「「了解!」」」

 

 三人の声が重なってユーリの耳に届いた時、テルモ基地から複数のMTがデュラハン隊に向かって来た。

 その数は優に五十を超えており、今もなお増え続けている。

 

「さあパーティーの始まりだ!」

 

 言葉の共にユーリはバーニアとスラスターを全開にして敵陣の中を突っ込んでいく。

 白を基調としたカラーリングも合わさり、流星のようにも見えただろう。

 

「邪魔だ!」

 

 大型のライフルからエーテルを撃ち出し牽制しながら真正面から切り込んだユーリは、実体剣を引き抜く。

 敵機はシールドを構えるが、構わず振るわれた剣によって諸共に両断されるのであった。

 

「次!」

 

 ユーリのファフニールに代わる新たなMT『ジークフリート』。

 竜殺しの英雄の名を冠した機体であり、ファフニールが今まで得たデータを元にユーリ向けに出力を上げたMTである。

 見た目はさほど変わっていないが何もかもがアップしており、特に実体剣であるバルムンクの硬度はシラヌイより遥かに向上していた。

 

「どけ! 死んでも苦情は受け付けないぞ!」

 

 次々に撃破していき、あっという間に快晴だった空は灰色に染まっていく。

 敵陣をただ突き進んでいくジークフリートであったが、数は圧倒的に敵の方が多い。

 ジークフリートを包囲するように陣取っていく防衛隊。

 しかし包囲を崩すように現れたのは、遅れて到着したアイシャたちであった。

 

「こっちも忘れないでよね!」

 

 大型化したナギナタを振るい、防衛隊のMTたちを薙ぎ払っていくアイシャ。

 彼女の機体はより接近戦に特化しており、瞬間的なバーニアの出力はジークフリートに匹敵する程である。

 

「こっちだって覚悟決めてるんだから! 本気で行くよ!」

 

 ミーヤ機に装備されたシールド。

 その内側には大型のガトリング砲が二門、顔を覗かせていた。

 段々とスピードを上げながら回っていく砲門は、やがてエーテル弾を高速でまき散らしていく。

 

「過激派の好きにはさせない」

 

 以前より大型になったバヨネットで、エルザは二機が撃ち漏らしたMTを遠近問わず撃破していく。

 地味な役回りではあったが、彼女が居るからこそ三人は何も考えず突撃出来ていた。

 

 そんなデュラハン隊三人娘が乗りこなしている新たなMTの名は『クリームヒルト』

 竜殺しの妻の名が付けられた三機は、三人娘のデータを元にそれぞれの専用機となるよう調整されたMTである。

 

 スコットより送られたこの力は確かに四人に届いた。

 そしてこの明るいが小さな火が、燃え盛る炎となろうとしていた。




やっとユーリたちの新MTをご紹介する事が出来ました!
彼らの新たな力をこれからもお楽しみにしつつ、この騒動がどのような終わりを迎えるのかをご期待ください。
では皆さん。
風邪などひかない様に次の更新をお楽しみに!
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