タイトルの通り、マグル学を受講する未来のヴォルデモートこと、トム・リドルくんのお話です。

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注意!!

作中に戦争に関する表現があります。

筆者は戦争に関して、一般的な知識しかない為、詳細を間違えている場合がありますが、声高に批判しないでいただけると助かります。

また、筆者は過去の戦争に対して、特定の個人を批判することはありませんし、善悪については語りません。

あくまで、作品ということでご了承ください。



以上を踏まえた上で、読んでも良いよという方は先へお進みください。


what if ~あり得たかもしれない話~

 

グレートブリテン島にある、世界で一番偉大な魔法学校____ホグワーツ魔法魔術学校。

 

ホグワーツは、寮の名前にもなっている四人の創始者によって創設され、1000年以上の歴史があると言われている。

 

1000年に及ぶ歴史の中で、数多の偉大な魔法使い、魔女たちを輩出してきた。

 

マーリンやモルガナ、最近だとアルバス・ダンブルドアが有名だ。

 

 

 

後にヴォルデモート卿と恐れられ、第二次魔法戦争を引き起こした、トム・リドル。彼もまたホグワーツの学生であった。

 

トム・リドルは、スリザリン寮の5年生であり、品行方正で学業優秀、それに眉目秀麗である。

 

教員からの覚えも良く、特に魔法薬学のホラス・スラグホーンは、彼を自身の開催する『スラグクラブ』に招くほどである。

 

そんなトム・リドルだが、5年生となり監督性に選ばれた。

 

忌々しい夏休みが終え、我が癒しの魔法界へ戻ってきた頃であった。

 

 

トムは『逆転時計』を用いて、すべての講義を受講しており、『マグル学』も選択していた。

 

彼は純血主義ではあるが、『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』という言葉があるように、まずは敵のことを知ることで、いずれ来る戦いにて勝利を治めることができると考えたため、マグル学を3年次から選択した。

 

しかし彼にとって、マグル学は非常に退屈なものだった。

 

「マグルが電気を必要とする理由を説明せよ」

 

これはマグル学が掲げるテーマであるが、非魔法界で育ったトムにとっては不要な知識であった。

 

加えて、毎回の講義にて教授がやれ「魔法族は非魔法族(マグル)と仲良くするべきだ。」だの、「魔法族は非魔法族(マグル)の技術を学ぶべきだ」だのとマグル寄りの発言をするものだから、トムはこの講義が大嫌いであり、担当の教授を嫌悪していた。

 

そんな様子をおくびにも出さず、講義を受講し続けたのはひとえにダンブルドアの目があったからだ。

 

取り巻きに対して、自身をヴォルデモート卿と名乗らせており、陰では闇の魔法を研究していたトムは、ダンブルドアから監視されていた。

 

そのため、もはやトムがマグル学を受講しているのは、ダンブルドアの疑いの目を少しでも和らげようとする、一種のパフォーマンスであった。

 

 

新学期を迎え、5年生となったトムであったが、変わらずマグル学を受講していた。

 

憂鬱な気持ちを抑え、外面を取り繕い、教室まで向かう。

 

教室に入ると、トムは違和感を持った。

 

3年からの2年間はマグル製品であふれていた教室であったが、机と椅子、黒板のみの何もない教室へと変化していたのだ。

 

何のことはない。今年からマグル学の教授が変わった。それに伴う変化であろう。そう考えながら、教室へは一番乗りであったため、教室の最前列に席をとり、教科書、羊皮紙、羽ペンを取り出し、講義を受けることのできる体制を整える。

 

「おはよう。君は来るのが早いね」

 

教室の後ろから、しゃがれた声がした。

 

音もなく声を掛けられ、少し驚きながらも、声の主の方を向き、挨拶をする。

 

「おはようございます。アルベール教授」

 

アルベールと呼ばれた人物は、今年から新たに配属となったマグル学の教授であった。

 

トムはマグル学の教授だというから、いかにもな服装であると考えていたが、その予想に反し、黒いローブを着ており、魔法使いらしい格好であった。

 

「君はトム・リドルくんだね?アーマンドが君のことを優秀な学生であると褒めていたよ。」

 

「恐縮です、教授。校長先生のことを『アーマンド』と呼ぶということは、教授は校長先生と仲がよろしいのでしょうか。」

 

「そうだね。彼とは、もう10年以上の付き合いだったかな。....ところで、講義が始まる前だが、君に少し質問をしても良いだろうか。」

 

「質問。ですか」

 

「ああ、なにぶんホグワーツで教鞭をとるのは初めてでね。どのくらいの知識があって、どんな認識であるかを知りたいんだ。それで質問だが、君はマグルについてどう思う?」

 

”マグルは魔法族に支配されるべき劣った存在である。”

 

と、もちろんこのように発言できるはずもなく

 

「そうですね_____。私は、彼らを興味深い研究対象だと考えています。魔法を持たない人間が、どのように社会を構築し、技術を発展させてきたのか。その点には一見の価値があるでしょう。しかし、彼らの歴史や文化を学ぶにつれて、彼らの存在が我々魔法使いの社会から隔絶されていることの重要性を改めて認識しました。彼らの世界と我々の世界は、明確に線引きされるべきです。」

 

と答えた。

 

「ほほう。では君は我々魔法族と非魔法族は明確に区別すべきだと考えているんだね。」

 

まずい、マグル学を教えようとする者に対して、この発言は差別と捉えられてしまうかもしれない。

そうなってしまえば、ダンブルドアへ悪いように報告されてしまうだろう。

 

そう判断し、トムは慌てて言った。

 

「はい、ですが彼らのことを差別したうえでの発言ではありません。私自身、非魔法界で育っているので、マグルのことを良く知っています。ですので、彼らの持つ力を認めたうえで、我々とは相容れぬものであると判断しての発言です。」

 

「いいや、先の質問に対して僕も同じ考えを持っているからよく分かる。」

 

「では、教授もマグルとは仲良くは出来ないとお考えで?」

 

もし、この教授も自身と同じような思想の持ち主であれば、憎きダンブルドアを騙し、力をつけていくことが容易になるかもしれない。

 

そう思い、期待を込めて聞いたが、それに対する返答は期待を裏切るものであった。

 

「部分的にそうだ。僕はね、マグルが怖いんだよ」

 

「...はい?」

 

マグルが怖い。魔法族よりも劣るマグルを恐れるだと?

 

トムは一瞬でも仲良くなれるかもと思った自分を恥じた。

 

「信じられない。という顔をしているね。君はゲラート・グリンデルバルドを知っているかい?」

 

「もちろんです。マグルから隠れなくても良いように、魔法族優位な社会を構築しようとしたが、アルバス・ダンブルドによって破れた革命家ですよね。」

 

「その通り。当時、僕はフランス魔法省の魔法法執行部に勤めていてね、諜報活動としてグリンデルバルドの集会に参加したことがあるんだ。恥ずかしながら当時、僕は魔法使いの家に生まれたものだから、マグルに関することは全く知らなかった。だから、その時にはじめて、マグルについて意識したといってもいいだろう。」

 

ゲラート・グリンデルバルド。トムと同じような考えを持ち、魔法族による支配を目論んだ存在だ。

 

革命に失敗したとはいえ、先人に学ぶことは大いにあるだろう。そう考え、グリンデルバルドに関する内容を深掘りしようと考えた。

 

「グリンデルバルドの集会で、教授はいったい何を見たのですか?」

 

「戦争さ....非魔法界で行われたね。」

 

「戦争...ですか。」

 

「ああ。先の戦争にて、マグルは様々な兵器を開発した。君は空を飛ぶ飛行機や戦車、潜水艦、爆弾、銃などの兵器を知っているだろうか。」

 

「はい、もちろんです。」

 

「そういえば、君は非魔法界で育ったんだったね。では知っていると思うが、マグルは戦車に続き、飛行機や潜水艦などの開発で陸海空での戦闘を可能にした。それらは爆弾や砲弾を込め、人や建物に向かって打つ___。恐ろしい破壊力を持ち、大勢の人を無残にも殺した兵器だ。」

 

「そうですね。しかし、その点に関しては魔法族も同じようなことは出来るでしょう。例えば死の呪文以外にも、爆破呪文や燃焼呪文を使えば人の命を奪えますし、飛翔術や泡頭呪文、変身術を利用すれば様々なフィールドでの戦闘が可能です。」

 

「ふむ、さすがはホグワーツの秀才だ。よく学んでいる。君の言う通り、魔法族でも同じことをすることができる。だが、マグルたちの恐ろしいところは、規模が異なるという点だ。アウシュビッツでの毒ガスやヒロシマとナガサキの原子爆弾について君は知っているかい?」

 

「はい、本で読んだくらいには。」

 

マグルを下に見ているトムであっても、さすがに被害を受けた人に対して同情を覚えるほどに凄惨でいて、かつ痛ましいものであると思ったものだ。

 

「あれらは人類史上、最も最低で最悪な行為であると僕は考えている。アウシュビッツでは約110万人のユダヤ人が。ヒロシマとナガサキでは計21万人ものニホン人がなくなったとされている。これらの行為は政治的な意図によって行われたものであると考えられるが、問題点はそう。マグルは、排除するべきとみなした対象に対して、一度に無差別に強制的に大量に命を奪う方法を開発し、愚かにも実行してしまったという点だ。」

 

愚かな。

 

トムも思わず心の中でそう思ってしまった。

 

「魔法は魔法族であれば誰でも扱えるというわけではない。呪文には適性があり、最も強力な死の呪文は使えるものが限られてくるだろう。しかし、マグルの開発した兵器は子どもであっても使うことができるし、君も承知の通り、マグルは魔法族よりも数が多い。その状況で、マグルが我々の存在に気づき、魔法を奪おうと、または恐れ排除しようと我々を襲ってきたとしたらどうなるのか。賢い君はどう考える?」

 

「.........................マグルが魔法族を様々な兵器で蹂躙するでしょうね。」

 

「そうだ。だからこそ、我々はマグルについて知り、対策を考えていく必要があると思う。」

 

「....なるほど。」

 

「っと、驚かせるようなことを幾つか言ってしまったが、これはあくまで僕個人の考えだ。君は君なりの哲学があり、今までに得た学びがあるだろう。それらを包括して、君はいったいどのような判断を下すのか。ぜひ、何か考えがあれば今後も長い付き合いになるだろうから教えてほしい。」

 

それに....とアルベールは続けて言った。

 

「マグルは恐ろしいだけでなく、君が学んできたように、テレビやマッサージ機、洗濯機や電車のように非常に興味深い部分もある。それらに関しては今後の講義で話すから楽しみにしておいてほしい。」

 

トムとアルベールの話が一段落すると、他の生徒たちがざわざわと教室へ集まりだした。

 

トムはこの教授が述べた内容を心の内で反芻しながら、自身の席へと着席した。

 

「マグルについて知り、対策を講じる。」

 

知識として過去に発生した戦争について知っていたが、改めて考えるとマグルの醜さ、愚かさについて再認識させられる話であった。

 

『魔法族が自分たちよりも劣っているマグルを支配し、魔法使いの中でも、純血(自身が半純血であることは棚に上げて)のみが尊ばれるべきだ。』この考えは依然として残っている。

 

しかし、マグルは魔法族でも思いつかなかった兵器を持っていたり、敵だと認識したものに対しては非情な判断することもできる。

これだけで、マグルの危険性についてよく分かった。

 

マグルとの付き合い方について、もう少し情報を整理してから判断すべきだな。

 

そう考え、新たな視点を生み出してくれたアルベールを心の中で認め、講義をしっかり聞くことにする。

 

「それでは、講義を始めていきます。私の名前は________」

 

 

 

 

これはあり得たかもしれないお話。

 

この考えが後のトム____ヴォルデモート卿に与えた影響が、あったとか、なかったとか。

 

 

 

おしまい

 




冒頭でも、作中でも挙げました通り、あくまでも個人の、それも発展途上の意見ですので、批判しないでいただけると幸いです。

今回のお話は少々偏った内容でしたが、『戦争』という非常にセンシティブな話題であるからこそ、今まさに話していくべきことなのではないかとそう思う次第です。


ご精読いただきありがとうございました。

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