キングwithゴムゴムの前世氏   作:ZN

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※1:サブタイトルの内容は本作設定です
※2:前話、おまけ追加しました


一般ゲーマー・キング氏vs元吹奏楽部助っ人・家なき王

 

 

 

 

 

「いたな、キング。この距離なら感知はされまい。摂理、執行────」

 

「────何やってんだお前?」

「うわっ!? な、何だあ、いきなり、このハゲのマント野郎!?」

「は゛? ……あっ」

 

 とあるビルの屋上で。双眼鏡でキング(麦わら帽子装備)がゲームセンターの入り口に立っているのを確認し、その男はまるで指揮者のように手を構えた。どこかヒッピーめいた長髪と髭。以前は装備されていなかった王冠らしき装飾が頭に斜めに取り付けられており、あからさまに相手を見下すような小馬鹿にした雰囲気をもっていた。

 そんな男に当たり前のように声をかける、頭のつるりと禿げたマント野郎。「ぬぼー」っとした覇気のない表情で、通行人に道を聞くくらいの軽いノリで声をかけて来る男は、B級ヒーローのサイタマである。

 

 そして突然のハゲマント呼びに一瞬普通にパンチを放ちかけたが、ギリギリのところで我に返ってその威力は小突く程度に抑えられた。

 腹を抱えてプルプル震えるヒッピーというか、ホームレスめいた男性。

 

「き、貴様こそ何をやっている!? って、あっいつの間に我が双眼鏡を……!」

「おー、何見てたのかと思ったらキングじゃん。ちゃんと待っててくれてんのなー。

 いやさ? 今日、何かゲーセンのくじとかでちょっと手を貸してくれとか言っててさ? 飯おごってくれるっていうからめっちゃ頼もうかなーって思って。でもちょっと出る前にウンコしててさ~。たまたま滅茶苦茶腹下って、いや今すっごい急いでんだわ。

 ジェノスの奴なんかは────」

「マイペースかッ! 人の話、全無視かッ!」

 

 思わず叫び地団太を軽く踏むヒッピー風の男、ホームレス帝。

 どこ吹く風のサイタマはサイタマで、男の話はいまいち聞いていない。

 顔に血管を浮かび上がらせ今にもブチギレそうな男であったが、「お前、キングの知り合い?」というサイタマの雑な確認に、「ふっ」と鼻を鳴らして、少しだけ冷静さを取り戻した。

 

「あれは我が宿()により、いずれ葬らねばならぬ相手。大いなる神の僕、星の使徒たるこの私の光パワーを受けて無傷など、人類に許されざる異端者なり。下等なる目の節穴な人類がいくら許せど、星の使徒たる私が決して許しはしない。

 例えキングの正体が何であれ、私があの男を逃がすことはないだろう────」

「(あー、なるほど。勧誘とかソニックの同類(面倒くせぇ奴)か。何か新しい能力とか目覚めたの試したいーみたいな、子供みたいな顔してるし)」

 

 もうちょっと言い方ってものが無いのだろうか。

 とはいえ事実なのでサイタマ本人は特に意見を曲げるつもりはない。ただ相手に聞こえると面倒くささ倍増すること請け合いなので、最低限聞こえないよう小声でぼそぼそと呟く程度には留めておいた。

 

 

 

「……で、連れてきちゃったんだサイタマ氏」

 

「おー。何かキングに用がありそうだったからな。ソニックの奴もそうだけど、放っとくのも絡み面倒くさそうだし、経験則で」

「やはり音速のソニックはこちらで処しておきましょうか、サイタマ先生」

「くっ……、放せと言っている! というか腕の力強すぎるんですけどォ⁉」

 

 

 

 そして気が付けば「もう面倒くせーから直接話せよ」とボロボロのフードを掴まれ、そのまま「ぶゥン!」と、十秒にも満たない時間でキングの前に連行されてしまったホームレス帝。本日は遊びのためなのかキングエンジンが鳴り響かないキングと、謎のハゲマントに囲まれて何だこの状況は、というところだ。

 ついでにいうとキングと同様、最近S級ヒーロー入りした鬼サイボーグの青年も少ししたら合流してきて、若干だが足が震えている。武者震いではあるまい、ホームレス帝の表情は恐怖と衝撃に歪んでいた。

 

「(S級ヒーロー同士で鬼サイボーグとキングとにつながりがあるのは不思議ではない。だがこの間、ホームレスのゲンさんの()()で張り込んだ時にもいたこのハゲ男は何だ……!)」

「ん゛? 今何か言ったか?」

「い……っ!? い、いや、何も」

「おー、そうか」

 

 特に不可思議なところはない。ごくごくナチュラルに応対して来た彼も、コスチュームからしてヒーローなのだろう。そのくらいはわかる。

 だが、問題はそうではない。このハゲの男、サイタマとか呼ばれていた青年が自分を見た瞬間、一瞬、ホームレス帝は()()()()()()。彼自身に力と天命を授けた“神”に相対したそれとはまた異なる。

 

 例えていうなら、西遊記の釈迦の掌。

 

 サイタマが一瞬「ん゛?」と唸った瞬間、向けられたその威圧感の何たる非常識なことか。元が一般人であり、「光パワー」と呼んで正体を隠している()()()を得たとしても本体たる肉体は何ら依然と変わりないからだろうか。

 超感覚的知覚、第六感的なものでとらえたサイタマと言う存在は、ただそこにいるだけで深淵などではなく、自らすら巻き込む巨大なブラックホールのような……、下手をするとそれで効かないような、あまりにも名状しがたい何かが存在した。

 

「というかサイタマ氏、ジェノス氏より先に家出て、寄り道までしてジェノス氏より先についてるとか相変わらず過ぎない?」

「いや悪い、ウンコはなあ……」

「それは仕方ないと思うけどさ。ジェノス氏、どう思う?」

「キングに同意だ。サイタマ先生は相変わらず素晴らしい」

「ま、まあ、色々凄いのはそうだよね」

 

 無表情かつクールな声音による全く躊躇の無いサイタマ上げに、少し怯んでしまうキング(キング氏および前世氏)だが、ジェノスが「で、このホームレスは?」と当然と言えば当然の確認を、あんまりな感じでする。

 

「ホームレス氏は……、ホームレスだよ、たぶん」

 

 知らないもんね、とキング氏。そりゃそう、と前世氏。両者の適当な内心が一致したが故に放たれた、キングのトートロジーにしかなってない紹介である。

 なおそれに対してホームレス帝は、美しくない! と叫び立ち上がる。

 

「そ、その発言には撤回を求める! 美しさがない!」

「えぇ……、じゃあ、ホームレス帝?」

「そうだ! この王冠こそ何より王の証ッ! そして今日こそ、我が天命に従い貴様を倒すッ!」

「ホームレス氏、一目でホームレスだってわかっちゃうところは認めちゃうんだ」

「…………実際、ホームレスだから否定はできん。耳に痛い」

「マントでも着けたら? もっと王様っぽくなると思う」

「そうか?」

「うん」

「検討しよう」

 

「サイタマ先生、あのホームレス……変人です」

「お前も結構な」

 

 キングの呼称に対して謎のこだわりを見せるホームレス帝。キングはキングで微妙な表情をしており、それを見てジェノスは悟った。そういえば音速のソニックを相手にしているサイタマもまた、こんな微妙な顔をしていたと。

 そして何故かキングのペースに乗せられてるホームレス帝も、テンションがよくわからないところであった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「約束だぞ、キング……、この太鼓勝負で私が勝ったら、貴様は美しく星に還ってもらうとッ!」

「約束してないんだけど……、というかこれもこっちの奢りだし」

 

 何故かものすごく偉そうにポーズを決めながら叫ぶホームレス帝に、キング氏は無表情ながらやや疲れた様子だ。向こうも自爆戦法を使ってこの場で俺やキング氏を抹殺するというようなことはしないらしいが、それはそうとしてえらくみみっちぃような物言いで色々言って来る。

 これには俺もキング氏も、内心で顔を見合わせて(見合わせる顔はないが)思わずオーバーに肩をすくめた。

 

 というわけで、どうも。前世氏だ。

 

 サイタマ()たちとゲーセンに遊びに行くと待ち合わせ。先に来たジェノス氏と少し雑談していたら、何かこう、当たり前のような顔をしてこの間のホームレス帝を引き連れて来るサイタマ氏という状況だった。

 我ながら唐突過ぎて、ちょっと何言ってるかわからない。

 面食らったのも無理はないが、それはそうとしてホームレス帝はさっきも言ったようじ長至近距離で自爆戦法めいた特攻をかけたりすることはなかった。

 

 どうもホームレス帝はキング……というより、その物言いが正しければ融合している「俺」を排除することを“神”から命令されているらしく、色々と振る舞いに余裕がない。

 そんなホームレス()が仕掛けてこない理由の大部分は、本人が近接に向かないのは当然として、やっぱりサイタマ()に原因があるだろう。

 

 ワンパンマン、主人公のこのサイタマ。ぬぼーっとした一般人的なオーラに惑わされる人間が大多数だが、一度本気になったらその瞬間に何が起こるか。いや、本気にならなくても「存在として」危険信号というか、そういった兆候をどれだけ察することが出来るかだ。

 災害レベルが上位であれば上位である程、サイタマが持つリミッターの外れた異常なパワーという危険を感知することが出来る。単なる一般人では感知できない何かを、第六感的に理解することが出来るのだろう。

 実際その予想はたぶん正しい。ほかならぬ俺でさえ、サイタマを「本気で」害そうとイメージした瞬間、サイタマ本人から謎の重圧を感じるのだ。たぶんだが、敵意が向いたと言うのを察知したサイタマの身体が自然と緊張するのを、細胞レベルでなんとなく察知してしまうのだろう。

 

 それは、ホームレス帝にも言える。彼個人にとっては弱点だろう(そして俺もキング氏に共有していない)「“神”に与えられた神通力」以外は単なる一般人の肉体でしかないというものがある。だから本来ならサイタマの実力は察知できないのだろうが、しかし逆にサイタマに対して神通力を使わないどころか、文句をつけるが全く攻撃する素振りすら見せない。

 もしかしたらそれこそ、“神”が刷り込んだ敵への警戒みたいなものが働いている可能性もあるが。実際、サイタマがホームレス帝をちらっと見てる時にびくりびくりと震えているので、向こうも俺と似たような重圧を感じている可能性が高いだろう。

 

 強者のオーラ……とかでは断じてない。

 文字通り、根本からの全生命危機だ。

 

 とまあそんなせいもあって、サイタマに反抗しなかったホームレス帝。

 そのままキング氏の目的だった一〇くじを、ジェノス交えた四人で引く流れに。

 金額はこちらの負担だが、引いた内容については意外とホームレス氏の引きが良かったりといったことはあったが、別にそれを人質(?)にとられることもなく「え? あ、うん。どうぞ」とか普通に渡してくれたので、内心で狂喜乱舞してるキング氏(表面は仏頂面のままキングエンジン起動)とか「じゃあ遊ぼうぜー」と四人で色々とゲーム筐体だったりUF〇キャッチャーだったりを遊んだりとか。

 

 いい年した大人と青年がそろって真昼間からゲームセンターで遊んでるのは中々シュールな絵面になってそうだが、そこに配慮する者はこの場に誰もいない。

 

 で、その結果。お昼にはまだちょっと早いがそろそろ行っといたほうが込まずにすんなり店に入れそうなくらいの十一時台になって、突然()()()()()の前でホームレス帝が喚きだしたのが、現状。

 キング氏に断って入れ替わり、バチを指揮棒のように振り回すホームレス帝の姿を見る。

 

「ホームレス氏……」

「だから帝をつけろ帝を!」

「ホームレス氏、一緒に遊んで観察して隙が無さそうだからって変な手に出たよね。いや、サイタマ氏をどうこうできるはずはないけど」

「…………アレは一体、何なのだ……?」

 

 一瞬、ホームレス氏の表情が消えて視線が横に動く。俺も一緒にそっちを見れば、そこにはパンチングマシーンをデコピン一発で簡単に最高得点叩きだし出し「前、壊しちまったから手加減覚えたんだぜ」とか半笑いしてるサイタマ氏と「流石です先生」と相変わらずのジェノス氏の姿。

 うん、何が怖いって両手で交互に雑にデコピンしながらマシンを連撃しつつ、ガタガタ言いながらちょっと固定ねじが緩みそうな勢いで衝撃を咥えてるサイタマ氏に全く披露している気配がないところカナー?

 あれを前に、あんなサイタマ氏を前に、射程圏に入ってる状態のキングやジェノス氏を交えて正攻法で戦おうということはないだろうけど。

 

 だからと言って「俺がゲームに勝ったら死ね!(直訳)」って言うのは流石にどうなのかなーって……。

 

 サイタマ氏は「おもしろそーだな」とか言って傍観決め込んでるのは、あれ万が一にもキング氏…‥というか俺達が死ぬことはないだろうと確信してるからか? ジェノス氏、最近ちょっとは仲良く(話が通じる程度には仲良く)なってきたのだけど、「ここでキングの底を見極めるのも一興か」みたいな風にうんうん頷いてるのどんなテンションなのさ。

 

 こっちの微妙な感情に対して「さあ始めるぞ!」と何やら秘策ありっぽいホームレス氏。

 この状況で俺が取る選択は…………。

 

(代わる? キング氏)

(そうだね。話し合いは前世氏に任せるよ)

 

 と言う訳で、戦闘時とは逆パターンだが。俺がしゃべり、キング氏が肉体の動作主導という状態で、とりあえずホームレス氏とゲームをするのだった。

 

 別にキング氏も、命を投げ捨てているような話ではない。いや、そもそも話を受理していないのでホームレス氏自身だいぶガバガバな言動なのだが、あれはひょっとすると、恐怖心で言ってることとかやってることが滅茶苦茶になっているのかもしれない。そう大目に見た(?)ところで、キング氏自身が自分のゲームの腕前にかなり自信を持っているという表れでもある。

 要するに、特に何か小細工しなくてもそのまま勝てる自信がキング氏にはあるのだった。

 

 ただ、ホームレス氏も自信満々なだけはあった。

 選曲はかなり古い魔法少女アニメのOP、難易度はハードで、二人して横に並ぶ。

 片や王冠みたいなのを被ったちょっと焦げたパンみたいな匂いがしている汚れた格好の男と、片や麦わら帽子を被った妙に威圧感のある容姿をした外国人男性……。

 やっぱり並びがシュールだなと思いつつ、キング氏の得点とホームレス氏の得点とを見比べていた。

 

 そして、ちょっと驚かされた。

 

「タン、タン、タタタン、タン、そしてここは、カカッタン!」

 

(おっ、暗譜してるみたいだね前世氏)

(キング氏ノーミスなのは知ってたけど、相手も強いな)

(意外とあれで、学生時代とかバンドみたいなのやってたクチなのかな)

 

 何と言うか、普通にうまい。連打のところとかは何ならキング氏よりもいっぱい叩いてるのか特典が若干上だ。音もキング氏とほぼ同時に太鼓をたたくものだからエコーがかかったみたいな打音になっていて、ちょっと面白い。

 そういえば連載漫画でもナルシストっぽい感じでクラシック音楽? みたいなのがどうこうと色々言ってた気がしたし、伏線もあったと言えばあったことになるのか?

 

 そしてヒートアップしていく曲調が段々と加速していって……。

 

(ん? ホームレス氏の手元が……)

(どしたの、前世氏)

 

 ホームレス帝の手元を「右目だけで」チラ見しながら、その叩く速度に違和感を持つ俺。

 そして相手もまるで自慢げにこちらを横目で見て、目が合った。

 

「フハハハハッ! これが“神”の与えし我が新たなる力……! 名付けて、『光パワー介護モード』!」

「もうちょっと何か名前なかったのホームレス氏……?」

 

 はははは、と笑ってるホームレス氏のそのネーミングに頭が痛い俺。キング氏は内心で腹を抱えながらも、しかし太鼓だけはしっかり叩いている。

 介護パワーとか言ってそのネーミングは、ホームレスから介護職に転職したみたいに聞こえるから変な印象しかないんだが……、実際その両腕とか両脚とかに、ほんのりと例の神通力の光がほとばしってるのを見るに、介護をするんじゃなくて、介護されるような効果がある何かなんだろう。

 

 実際、さっきから身体をより光らせたホームレス氏の連打は、こちらの倍で効かないくらいにガンガン加速していってる。

 

 多分だが十中八九、ハンタ〇・ハンタ〇でいう念みたいな感じで、神通力を身体の補助に使っているはずだ。

 何というかそれ、本当に人体に大丈夫なやつ? とか後のガロウのことを思うとちょっと心配してしまう。いや、心配する義理はないんだけど……、何だろうなこの感覚。

 ハンマーヘッドだっけ? 職探しに絶望してパワードスーツ着て事件起こしたハゲ集団の首領。なんとなくサイタマ的にシンパシーみたいなのを感じてたみたいだけど、なんとなく俺も俺で、このホームレス氏にそういったものを感じているのだろうか。

 

 ────後々、“神”から見捨てられる運命を持つ者に対して、既に神から 『あっ(察し)』 とか言われて見放された者として。

 

 まあ、感傷的になるような話でもない。俺の「この世界での肉体」と違って、ホームレス氏はまだ人間の身体を保ってる()()怪人でしかないが、それでも既に“神”の手が及んでいる。どうせあっちがその気になったら、すぐに散る命なのだ。深入りするのも、助けるのも俺には出来ないだろう。

 だからせいぜい、少しでも長生きできるように程々に手を抜いて相手してやるのが俺の心象的には正解になるのか、これは……? キング氏は“神”という存在に心当たりがないせいか、どうもホームレス氏のことをクリスチャンか何かだと思ってる節があるし、そのお陰でよく“神”の名を出してるホームレス氏もあちらから粛清対象にされてるように見えないし。

 

 そして連打が苛烈する中、「硬質ゴム」的な身体性質のキングの身体が、叩く太鼓の勢いと衝撃の反動で震え、反発しバチを押し返す。打ち込む速度がそれで結果的に上がり、こちらもホームレス氏の点数に追いすがっていくが。

 果たして結果は────。

 

 

 

「フハハ! さあ今こそ審判の時だキング────って痛ッ!? 痛い、いったいよ何!!?あっバチが!?」

 

 

 

 ……突然身体を震わせてその場に倒れたホームレス氏による、まさかのノックアウトで決着となった。

 

 

 うん、介護ってフレーズで想像はしてたけど、運動能力の補助は出来ても身体の強度が追い付かなかったか……。早い話、筋肉痛とか肉離れとか腱鞘炎とか、そんな感じの症状が出るくらいに身体を酷使してしまったってことらしかった。

 

 なお、生まれたての小鹿の脚のようにぴくぴく震える両腕で悶絶してるホームレス氏に、コンプリートして勝利したキング氏が「ナイスゲームだったけど……、ひょっとしてホームレス氏、身体全然鍛えてないんじゃ」とかトドメをさしていたり。

 サイタマ氏も「筋トレしないとな~」とか適当に言ってるが、輪をかけて追い打ちだった。

 

「ひょっとしてホームレス氏、肉体的には怪人じゃなくってその辺のホームレスと変わりないんじゃ……」

「ぎくっ」

 

 まあかく言うキング氏も、俺が代わりに筋トレやってないとこうまで()()()()()のバチを上手く振るえるわけはないのだけどね。

 

 

 

 

 


【おまけ①】

 

「をのれキング、この借りは必ず返す! 今日の所は覚えて居ろ! 光パワーによる緊急脱出で────」

「あっホームレス氏ちょっと待って」

「────って、何だ?」

 

「これから俺の奢りで、皆で焼肉食べに行くけど……、来る?」

「行く」

 

 

 

【おまけ②】

 

「おぉ“神”よ! 我らが母なるこの星よ! どうか、どうか私に────」

「────どうか私に、あのキングに負けないくらい、バチを振り回せる筋肉を!」

 

『嫌だ。 筋肉くらいは自分で鍛えろ』

 

「そこを何とか!」

 

 

 

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