ある作品に感化されて書いてみました。
…然し、そうではない事もあるのだろう。
私には嫌いな人物がいる。
連邦生徒会長.このキヴォトスにおける超人と呼ばれた人物だ。
何が超人か。独りで出来る事なんて知れている。
連邦生徒会を束ねているし、超法規組織であるSRT特殊学園を動かす権限を持っている。
が、彼女は突如として居なくなった。行方は誰も知らず、キヴォトスは混乱の真っ只中に叩き落された。
…まぁ、そこは仕方のない話としよう。
キヴォトスにある各学園はそれぞれ必死に混乱を収めようとした。しかし、武器の違法取引やヘルメット団の様な組織は学区やそこの取り決めなどお構いなしに動き回る。
加えて、違法取引の温床とも言えるブラックマーケットに対して各学園が手を入れる事は出来ない。
各学園の権限はそれぞれの学区内に限定されているのだから。
本来、この様に複数の学区が関わる場合にこそSRT特殊学園を動かすべき話の筈。
ところが、SRT特殊学園は連邦生徒会長直属の組織である為に連邦生徒会は閉校の決定を下した。
同じ様な役割を持つヴァルキューレ警察学校はそこまでの権限を持たず、練度や装備の面においてSRT特殊学園には及ばない。
典型的な一頭体制。
歪極まるシステム故に
キヴォトスの象徴とも言えるサンクトゥムタワー。その最終制御権は連邦生徒会長
…最早言葉もない。
連邦生徒会長の行方が分からなければ、サンクトゥスタワーも稼働せず、キヴォトス全土の問題に対応出来るはずのSRT特殊学園も動けない。
事実上、連邦生徒会は右往左往するだけの存在に成り下がった。
更に問題なのが、この致命的な問題を連邦生徒会は各学園と情報共有すらしなかったという事。
結果各学園は個別に問題へと対応する事を強いられ、問題は解決する事もなく、いたずらに問題を解決出来ない各学園や治安維持組織に対する不信感を募らせただけに終わる。
その混乱を収めたのが、連邦生徒会長の見出した人物。連邦捜査部シャーレの顧問たる人物だった。
サンクトゥムタワーの制御権を回復し、その権限を連邦生徒会に委託したらしい。
…私はこの人物を素直に認めようとは決して思わない。
絶大な権限を持つ連邦生徒会長がその姿を消し、その後に連邦生徒会長の推薦した人物がその混乱を鎮めた。
そして、かの人物の持つ
私はこれに連邦生徒会長の姿を幻視した。
本来キヴォトスの外から来て、いきなり連邦生徒会とは全く別の超法規組織を率いる。などとすれば、受け入れられる筈もないし、反発されるだけだ。
だからこそ、連邦生徒会長は混乱を引き起こし、それを収めさせたのではないか?
どの様な思いを抱こうとも、シャーレの顧問が問題を解決したのは紛れもない事実。
となれば、連邦生徒会はともかくその場に居合わせた各学園から来ていた生徒達は顧問を信用するだろう。
…それこそ、連邦生徒会以上に。
――――
その後もかの人物について、私は密かに調べる事とした。
これでも、それなりに付き合いのある人間は多い。
人の口に戸は立てられぬものだ。…特にそれが、キヴォトスでは珍しい『信用に値する大人』ならば。
人とはとかく、他者よりも優位に立ちたがるもの。
自分だけが持っている、知っている。
それは甘美な蜜の味。故に友人や知人に話したくなる。
だからこそ、それを逆手に取れば相手は割と重要な事すら教えてくれる。
面白い話を聞く事が出来た。…アビドス高等学校。
砂に飲まれ、過去の遺産となりつつある学校。アイツとその後輩が必死に立て直そうとした、正しく砂上の楼閣にして、夢の跡。
今は5人程在籍しているが、最早莫大な借金の利子を返すしか出来なくなっている。
アビドスの借金の相手はかの悪名高いカイザー。
本来襲撃したところでさしたるメリットもないアビドス。そこにヘルメット団が襲撃しているのは、ほぼ間違いなくカイザーが裏にいるからだろう。
カイザーがアビドスに何の利益を見出して手を入れているのかについては、正直興味もない。
そして、アビドスの返している借金の利子……恐らくは。
シャーレの顧問は大人なのだが、その正気を思わず疑う事になる。アビドスは近年急速に砂漠化が進んでいるのは、少しでも調べたならば分かる事。
おおかたアビドスの後輩達の誰かがシャーレの顧問に助けを求めたのだろうが、助けを求めたアビドスの情報を調べてなかったというのは流石にお粗末に過ぎる。
連邦生徒会の連中も手伝って………やる訳がないか。
連邦生徒会にとって、シャーレの顧問は複雑な思いを抱くに充分な理由があるのだから。
少なくとも、七神主席行政官を始めとした連邦生徒会は連邦生徒会長と共にキヴォトス安定の為に日々務めてきたと思っているだろう。
にも関わらず、誰にも語らず姿を消した。シャーレの顧問となる人物の話こそ伝えていただろうが。
私達は頼りになりませんか?
そう思わずには居られまい。シャーレの顧問が彼女達に助けを求めたなら、或いは彼女達も態度を軟化出来ただろうが、かの人物が頼ったのはミレニアムの早瀬ユウカ。
その上システム面などについては、何故かかの人物は上手くやっている。
…私の憶測になるが、ほぼ間違いなく連邦生徒会長による何らかの助力があったのではないだろうか?
人の感情よりも、何かを優先する連邦生徒会長を思わせるやり方だ。
だから、シャーレの顧問は土地勘もないアビドスで窮地に陥った。偶々砂狼が助けたから難を逃れただけ。
――――
ブラックマーケットにいる知人から連絡を受けた。
カイザーローンで銀行強盗があったとの事。既にマーケットガードやカイザーが銀行強盗の犯人『覆面水着団』の姿を追い求めているらしい。
…まぁそうだろう。少なくとも、金融機関としては銀行強盗をされておいて放置など出来よう筈もなし。マーケットガードとしてもこの様な犯罪を許す事は出来まい。
武器や諸々から考えるに、犯人は容易く特定出来た。約一名アビドス関係者で無いものがいるが、恐らくそれがノイズとなって捜査の妨げとなっているのだろうな。
…なぁ、〇〇。お前の想いは後輩に届かなかったみたいだよ。
私は夢の中に消えた友人を思い、少しだけ感傷にふける事とした。
柴大将の店が破壊されたと聞いた。
下手人は便利屋68。…アウトローを自称している奴の会社だが、社員の手綱も握れないのか。
そして、その後ゲヘナ風紀委員会が介入し、滅茶苦茶になったらしい。…相変わらず、越権行為だろうがあっさり踏み越えやがるものだと此処まで行くと寧ろ感心する。
ま、空崎に言われてあっさり引き下がったらしいが。
「大将、生きてるか?」
「久しぶりに見たが、元気にやってるのかい?」
本当に久しぶりに嘗ての常連の姿を見た。
相変わらずの鉄面皮だが、この子は不器用なだけだと知っている。…そうでなければ、態々見舞いに来る訳がない。
「話は聞いたよ。大事なさそうで安心した。」
その柔らかい表情はあの子といた頃のもの。
「あんま、無理すんなよ。」
そう彼女は薄く笑って果物を置いた。
「…会わないのかい?」
「会ったら殺し合いになるさ。
大将、元気で」
私の言葉にそう力なく笑うと彼女は部屋を出ていった。
…さて、どうしたものか。
大将の見舞いを終えた私は考え込む。素直に心情を吐露するならば、あの連中は許しておけない。それこそ、四肢を引き裂いてやりたいくらいには怒りがある。
が、それをしたとしても私の憤懣が晴れるだけ。
アレを殴り飛ばしたい気持ちもある。…が、アレとは二度と会うつもりはない。
…まぁ、いつもの様に
所詮、箱庭《都合の良い舞台》なのだ。
ひっくり返すのは最後にしてやるさ。
なぁ?連邦生徒会長サマよぉ?
感想があると続くかも知れません。
予定は未定、とは言ったものです。