私には写真撮影という趣味があります、写真撮影と聞くと自然や動物、スポーツなどを撮るのが主流でしょう。
 
 でも私は廃墟となった建物や神社、村などを撮ることが好きです、あまりいい趣味とは言えないですが迷惑はかけないようにしていますし、撮った写真を求める人もいるので自信をもって続けています。
 
 少し自分語りが過ぎましたかね、本題に入ります。

1 / 1
第1話

 この体験は半年前くらいの秋半ばほどに行った、とある廃村となった村を撮影したときに体験した不思議なお話です。

 

 廃村までは山道を歩かないとたどり着けないところにあり、途中まで車で向かいそこから歩いて向かいます。

 

 歩くと言っても地図で見たらそこまで遠い距離ではなかったので、11時くらいに家から向かいお昼ごろ山道を登り始めることにしました。

 

 山道は自然あふれると言ったらいいのか、道だった痕跡のある所まで草や木の根がありとても進みづらく、登る前に見えていた光は木々により遮られてまだ13時頃だというのに辺りは薄暗く長袖を着ているのに肌寒さを感じました。

 

 神秘的と言えば聞こえはいいですが、恐怖心を刺激される方があっている場所だと今でも覚えています。

 

 歩きづらい山道を顔が下がりながらも頑張って登ること20分、目的の村に着くことができました。

 

 山道を歩いた後だったのにもかかわらず、達成感があってか足取りは軽くなりました。

 

 倒れていないお寺だったような建物、窓や扉がなく倒れてしまっている家、自然に取り込まれてしまった建物、道の端にあった体がひび割れていて頭や手、背中の一部などが砕けているお地蔵さん、作物のような雑草が生えている田んぼ、山から見下ろす景色、夏ならだれでも飛び込みたくなるような川、様々なものを撮りました。

 

 村の様子ですが人がいなくなって月日が経っていることもあってか崩れている建物が多かったことを覚えています。

 

 しかし誰かが扉を開けたように半開きだったり、家の中にお菓子の袋や缶ジュースなど賞味期限が新しめのごみが捨ててありました。

 

 この時にもしかしたら家やお地蔵さんは風化による破損ではなく誰かが傷をつけていたかもしれないと考えていました。

 

 あくまで私から見てなので本当かどうかは分かりませんし、村の人たちが出る前に捨てたり壊していった可能性もあるので何とも言えませんが、皆さんは壊す行為、建物の扉を開き中に入る行為、ごみを捨てるなどはしないでください。

 

 壊れることや倒れてくること、見たくないものを見る可能性があります。

 

 壊す行為は当たり前ですが罰当たりですし、危ないです、なにより私のような趣味を持っている人の風当たりが強くなります、絶対にやめてください。

 

 すみません話が逸れてしまいましたね。

 

 山から見える景色を堪能し写真も撮り終えて帰ることにしました、山道を降りる頃には軽く日が沈み始めていたためか帰り道は懐中電灯をつけながら歩きました。

 

 暗い道ではよくある何かの視線を感じることもあり、恐怖心からか背負ったリュックがいつもよりも重たく感じました。

 

 無事に車までたどり着き少し落ち着いてから帰りました、17時に出発したので19時には帰れる予定でしたが片道約2時間の運転は疲れからか眠気が強く、途中サービスエリアで仮眠をとりコーヒーを飲み睡魔と戦いました。

 

 家に帰った時には22時ごろでした、この日はもう疲れたのでカメラを掃除してデータをパソコンに移し、お風呂に入って寝ることにしました。

 

 その夜、気持ちよく寝ていたのになぜか目が覚めました、目を開けたとき自分の横に何かがいるのがわかり、なんだろうと思い横を見ると両手を合わせたお地蔵さんがそこにいました。

 

 お地蔵さんを見た瞬間に私は金縛りにあったかのように動けなくなってしまい、目をそらすことができなくなりました、動けない状態でお地蔵さんを見ていると私が見ていることに気づいたのかゆっくり表情が変わり始めました。

 

 口角が上がりまるで笑っている表情でした、でもその目からは水が流れていました、雨でもない水をかけたわけでもないお地蔵さんから流れる涙を今でも覚えています。

 

 そこからの記憶はありません、私は携帯のアラームで目が覚め、すぐに横を見ましたがお地蔵さんはおらず別に水が落ちていることもありませんでした。

 

 起きた直後は恐ろしかったことも少しゆっくりして考えてみると変な体験だったなと思いました。

 

 前日にお地蔵さんの写真を撮っていることや帰り道怖かったことなどあんな夢を見る理由は簡単に浮かんできたので、あれは夢だったんだと自分の中で結論付けました。

 

 怖い夢を見たただそれだけのはずでした、でもその日から私の視界にお地蔵さんが見えるようになったんです。

 

 家のどこにいても私を見ているんです。

 

 扉の隙間、鏡に映る自分の背中、視界の焦点が合っていないところ、気が付いて見ようとすると初めからいなかったように消える。

 

 もはや家にいるのではなく、私の瞳の中にいるのではないか、網膜に焼き付いているのではないか、しまいには日に日に見える頻度が増してきました。

 

 目を閉じていたいでも目を開いたときに目の前にいたら、そんな生活を3日間過ごし、ここまでくるとあの夜のことは現実で、私が何かをしたと嫌でも実感しました。

 

 しかしどうすればいいのか分かりません、なにかよくないことをしたのか気に障るようなことをしたのか、そこまでよくない頭で必死に村のことを思い出して考えましたが答えは出ませんでした。

 

 もしかしたらと村で撮った写真をじっくり眺めていても心霊写真のようなものはなく、当たり前ですがお地蔵さんは泣いているわけではありません。

 

 なにが原因なのか解決するにはどうすればいいのか、そんなことを考えている時でさえ私の視界にはお地蔵さんが映り続けます。

 

 私はなかったことにできないかと撮った写真を消して呪文のようにごめんなさいと謝り、布団で頭まで隠し寝ることにしました。

 

 すると次の日からお地蔵さんを見ることはなくなりました、写真が嫌だっただけ? そんなことであんな目にあったのかと枕を濡らしました。

 

 もしかしてひび割れた姿を見せたくない恥ずかしがり屋だったのかなと今では勝手に思っています。

 

 皆さんもお地蔵さんを撮ることはやめた方がいいのかもしれません、以上が不思議な体験でした。

 

 小言になりますが、私は写真を撮っただけでこんな目に合ったくらいなのですから、もしお地蔵さんが風化ではなく壊されていたら壊した人はどんな目にあったのでしょうか、私のところに来られるくらいですから区切りはついてるのでしょう。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。