ファティマ「舞さま、それは恋です!」




※本作は、2023年4月に発行された『二子玉舞小説合同』に寄稿した同名のものに、ハーメルン用にルビの設定など加筆修正を行った上で後書きを加えたものです。

※本作を読むにあたり、予め二子玉舞アナザーの絆ストーリーの視聴をお勧めします。



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 本作は、2023年4月に発行された『二子玉舞小説合同』に寄稿した同名のものに、ハーメルン用にルビの設定など加筆修正を行った上で後書きを加えたものです。

 本作を読むにあたり、予め二子玉舞アナザーの絆ストーリーの視聴をお勧めします。




射抜き射抜かれ愛焦がれ(アコガレ)

 

 

 

 

  -00-

 

 

 愛に焦がれて憧れて。

 

 翼を射抜かれ捥がれて墜ちて。

 

 終ぞ羽撃く事無く終わった、白鳥の物語。

 

 

 

 

 

  -01-

 

 

 愛というものが好きだ。

 

 誰かが誰かを愛するのを見るのが好きだ。

 

 誰かが誰かを愛することで生まれる、感情のうねりが好きだ。

 

 恋。

 

 愛。

 

 恋情。

 

 愛情。

 

 物語毎に、それぞれの関係性毎に、それらは様々なものをわたしに見せてくれる。

 

 夜空に燦めく星々のように。

 

 嘗ての人々がその光に様々なものを見出し、そこから物語を紡いだように。

 

 わたしは愛にこそ、それらを見出すのだ。

 

 まあわたし達が夜空を見上げても、そこに見えるのは本物ではなくてシャード上面に投影された星々なのだけれど……。

 

 そんなところも、創作物の恋物語に思いを馳せるわたしにはお似合いなのかもしれない……なんて。

 

 兎も角。

 

 そんなトキメキに胸を踊らせる、それがわたしの抗いがたい衝動であるらしかった。

 

 星の輝き、人の愛。

 

 仰ぎ、焦がれ、欲するように彼方から。

 

 届かない距離から手を伸ばす。

 

 届かないようにと手を伸ばす。

 

 どうか、その煌めきがそこにありますように。

 

 どうか、その輝きが損なわれませんように。

 

 どうか、どうか、どうか。

 

 どうか、その光が、その熱が、

 

 わたしを灼きませんように。

 

 

 

 

  -02-

 

 

 トライステラ☆。私のためにシタラちゃんとジニーが作ってくれた、アクトレスとしてのチーム(居場所)。わたし達をそれぞれ星に見立てた、3つの星という意味が込められた名前だ。

 

 サンスクリット語で『星』を意味する名前を持つシタラちゃん。

 

 故郷のトレードマークが『星』であるジニー。

 

 そしてわたしの『星』は―――バレエの最高峰に与えられる称号、エトワール。

 

 ひどい話だ。

 

 わたしは星にはなれない。

 

 わたしは遠く地上から、その光に手を伸ばす人間だ。

 

 3つ連なる星の中で、わたしだけが分不相応だと思えてならない。

 

 兎も角。

 

 そんなわたしがシタラちゃんに誘われて、アクトレスとして活動することを決めて。そうしてやって来た成子坂製作所に所属してから、それなりに時間が経った。

 

 入りたてだった最初の頃はあんまり出撃もなくて、わたしは待機業務の傍らトレーニングをしたり、細々とした業務を教わったりしていた。

 

 次第に慣れて出撃も増えて、件のトライステラ☆として……アクトレスとしてのお仕事も忙しくなっていって。

 

 そうして、今では一人前のアクトレスとして……成子坂製作所のアクトレスとして、わたしはこの場所にいる。

 

 出撃の回数が増えて、わたしよりも後に来た人も増えていって。

 

 そうして時間が過ぎていって。

 

 隊長さん。

 

 わたしがアクトレスとして籍を置いている、成子坂製作所……そのアクトレスを指揮する立場の人。そして最近、所長代理という立場になったらしい人。

 

 私の秘密を守ってくれて、そして私の踊りを「また見たい」と言ってくれて。そんな秘密の共有と、ささやかな関係が妙にくすぐったくて、暖かくて。

 

 こんなわたしに寄り添い、気にかけてくれる人。

 

 だからこそ、甘えたくなってしまう人。

 

 気が付けば、目で追ってしまう人。

 

 これは――――

 

「舞さま、それは恋です!」

 

 恋。

 

 わたしが焦がれ、欲し、望み、けれど諦めて物語の中に求めたもの。

 

 恋。

 

 恋。

 

 恋?

 

 コイ?

 

 これが?

 

 この熱が?

 

 この焦燥が?

 

 この胸に灯った、

 

 この火が温もりが?

 

 これが、恋愛感情なの? 

 

 だってそう、わたしがそんな。

 

 人に恋をするなんて、そんなこと。

 

「―――ダメだよ」

 

 許されちゃいけない。

 

「舞さま?」

 

 怪訝そうなファティマさんに、言っておかなくちゃ。

 

「わたしが、誰かを。好きになるなんて」

 

 そんなの―――

 

 そう、ダメだ。

 

 恋も愛も、それは遠くから眺めるもの。

 

 思いを馳せるだけのもの。

 

 蓋をしなくちゃ。

 

 伸ばした手が星に触れてしまえば、わたしは灼かれてしまう。

 

 高度を上げすぎたイカロスが、太陽(ほし)の熱に翼を溶かされ墜ちてしまったように。

 

 光とは熱、熱とは光。

 

 不可分なそれらを、わたしはあくまで遠くから見つめることを選んだはず。

 

 ――――――だから。

 

「ねえ、ファティマさん」

 

 この気持ちに。

 

「このことは、誰にも言わないでね」

 

 さよならを。

 

 

 

 

 

 

  -03-

 

 

 かつり、かつり、かつり。

 

 明かりも点っていない暗い自室で、時計の針の音だけがいやに大きく聞こえてくる。

 

 携帯端末の画面を点ければ、もうすぐ夜が明ける時間だった。分厚いカーテンを閉め切ったままぼうっとしていたから、時間の感覚がどうにも鈍い。

 

 頭の中でぐるぐると渦巻いているのは、先日のファティマさんとの会話。

 

 大丈夫、こうして心に蓋をして気持ちを圧し殺すのには慣れている。

 

 そう思っていたのだけれど、現実は昨日一日学校を休んでいるわけで。

 

 何をやっているのだろうか、わたしは。

 

 ベットの上で座り込んでずっと続けていた自問自答は、もう何度目か分からない同じ問いをわたしに投げかける。

 

 自分がきらいで、だけど愛されたくて。

 

 わたしは矛盾だらけだ。

 

 堂々巡りの思考に、焦りと後悔が次第に重さを増して伸し掛かってきている。この重さが物理的な力を持つのなら、そろそろシャードの地下2層ぐらいまで地面を突き破って墜ちていそうな頃合いだった。

 

 どうしよう。

 

 シタラちゃんたちからは心配のセンチャが飛んできているし、学校を休むと伝えたママにも心配をさせている。

 

 どうしてこう、わたしは人に迷惑をかけてばかりなのか。

 

『本当に。面倒な友達を持ってシタラちゃんたちも可哀想』

 

 うるさい。

 

『シタラちゃんもジニーも、それに何よりああ言ってくれたファティマさんにも、気を回させてしまっている』

 

 黙って。

 

『急に休むって言ったから、ママにも心配をかけて』

 

 分かってるから。

 

『心配も迷惑もかけて、そろそろママにも愛想を尽かされちゃうじゃないかな?』

 

 そんな人じゃない、分かってるでしょう。

 

『気を回させて、迷惑をかけて。そうやって、わたし(あなた)は一人じゃないって、気に掛けられてるって思いたい?』

 

 ―――それは。

 

『違う、って言い切れないんでしょう?』

 

 そんな事は……

 

『無いって言い切れる?』

 

 ………………。

 

『愛されたくて、誰かに必要とされていたくて、自分を見てほしくて』

 

 暴かれる。

 

『舞台に上がるのが怖くて、でも自分に縋れるものが無いから顔を隠して踊って、その動画をインターネットに投稿した』

 

 わたしが。

 

『自信もないのに称賛を浴びたかったんでしょう?』

 

 わたしの、

 

『見られたくないのに見てほしかったんでしょう?』

 

 内に秘めていたはずの、

 

わたし(あなた)ですら認めてない自分の価値を、誰かに認めてほしかったんでしょう?』

 

 浅ましい気持ちが。

 

わたし(あなた)が無価値な存在じゃない、愛され必要とされるような人間だって。そう思ってほしかった……そうでしょ?』

 

 暴かれていく。

 

『分かるよ、だって……わたし(あなた)あなた(わたし)だもの』

 

 晒されていく。

 

『そんな矛盾だらけでどうしようもない、救いがたい存在なんだよ、わたし(あなた)は』

 

 突き付けられていく。

 

 わたしは。

 

 わたし、は。

 

『苦しいよね?』

 

 苦しい。

 

『辛いよね?』

 

 辛い。

 

『消えてなくなりたいんじゃない?』

 

 消えて……そう、消えていなくなってしまえば。

 

『だったら消えてしまえばいいの』

 

 そうすれば、これ以上はもう。

 

『いなくなってしまえば』

 

 これ以上はもう、誰にも迷惑をかけずにいられる。

 

『楽になれるよ』

 

 そう、確かにそう。

 

 ―――『また見せてくれるかな、二子玉の踊っている姿』

 

 …………。

 

 ……そう、なんだと思う。

 

『これ以上、苦しまずにすむよ』

 

 ―――『苦しいときは、俺にも頼っていいんだよ』

 

 …………そうだった。

 

『全部、終わりにするの』

 

 隊長さんはそういう人だ。

 

『分かるよ、だってあなた(わたし)わたし(あなた)

 

 そう。こうしてわたしを詰り苛み、全部おしまいにしてしまおうとしているのも、他ならないわたし自身。

 

 でもね。

 

あなた(わたし)だけは、わたし(あなた)の味方だもの』

 

 確かにそうかもしれないけれど。

 

『楽になろう?』

 

 それでも。

 

「その気は、ないよ」

 

 それでも。

 

『まだ苦しみたいの?』

 

 逃げ出したくなるけど。

 

『それなのにどうして?』

 

 あの声を、覚えているから。

 

「そんなの、」

 

 胸に灯る熱が、もう誤魔化せないから。

 

「決まってるよ」

 

 蓋なんてできない。

 

「これが、この熱が恋なら」

 

 矛盾を孕んで、それでも前へ。

 

「苦しい気持ちだって、きっと悪くないよ」

 

 二子玉舞は、一歩前へ。

 

 まずは、立ち上がるところからだ。

 

 認めてさえしまえば立ち上がることが出来た。あれだけ重かった腰が嘘みたいだ。

 

 固まっている筋肉を、足を曲げて伸ばしてほぐしていく。

 

 踏み出したのならもう一歩。

 

 窓に近付き、分厚い遮光カーテンを開ける。

 

 もう日が昇る時間だ。夜空の端が、そろそろ明るくなってきた。

 

 このぐらいの明るさなら星の光はまだ見えるけれど、それももうすぐ太陽の光で見えなくなるのだろう。

 

 見渡す空に雲は無い。今日はよく晴れるはずだ。

 

「届かない星の光に手を伸ばして、憧れを憧れのままで終わらせようとしてたんだ」

 

 届かないことを知っていて、届かないようにと思いながら、それでも。手を伸ばすことをやめられなかった。

 

 星の遠さは、わたしにとっては希望でもあったんだ。

 

 手を伸ばしても、憧れ見上げて見つめても。

 

 その熱に灼かれずにいられるから。

 

 でも、それも今日までだ。

 

 愛に焦がれて、ただ憧れていたわたしではなく。

 

 そう、わたしは宇宙(そら)を舞台に踊るアクトレス。きっと、星にだって手が届く。

 

 きっと、ね。

 

「取り敢えず今は、いっぱい悩んで……それで、答えは見つかった気がするから」

 

 だから、

 

「ありがとう、あなた(わたし)

 

 

 

 

 

 

  -04-

 

 

 静かに、夜の街を車が走る。

 

「あ、ありがとうございます、送ってもらっちゃって」

 

 夜の新宿は賑やかだ。お店が多いし、何より人も多い。そんな中にあって、この車の中は喧騒から切り取られたように静かだった。

 

「いいさ、夜遅くに一人で帰すのも危ないだろ」

 

 そう言いながらどこか機嫌が良さそうにハンドルを握る隊長さんの横で、わたしは助手席に収まっていた。

 

「その、隊長さん、今日はバイクじゃないんですね」

 

 よくバイクで成子坂まで出勤してるのを見かけるのだけれど。

 

「うちの方だと雨の予報だったからね」

 

 まあ雲一つない快晴のまま一日が終わりそうだけど、と隊長さんは笑った。

 

 シャードの気象制御システムは、意図的にランダム性を持って天候を操作するらしい。流石に夏に雪が降ったりすることはないけれど、天気予報が100%の的中率を誇ることは残念ながらない。

 

 これも地球時代の再現の1つであるらしいのだけれど、その不便さに助けられてわたしは今こうして役得に預かっている。

 

 ありがとう、気象制御システム。

 

 隊長さんの言う通り、空には殆ど雲もなく……星が、よく見える。

 

「隊長さんは」

 

 その光は、スクリーンに映し出された紛い物で。

 

「誰かを好きになったこと、ありますか?」

 

 だけれど、そこに確かにあるのだ。

 

 物語の中の話だろうと、そこに見た愛は本物だったように。

 

「…………あった。君たちより長く生きてるからね、そういう経験だってあるさ」

 

 …………?

 

 少し、少しだけ。隊長さんの表情が変わったような。

 

「恋愛相談かい? それなら俺よりも適任が……いる、と良いんだが」

 

 うちの成人済みアクトレスはみんなそういう浮いた話とか聞かないしなあ……と零す隊長さんに、曖昧な笑みを返す。

 

 命は惜しい。

 

 じゃなくて。

 

「隊長さんの話が聞きたいな、って」

 

 決して興味本位だけではなくて、貴方の傾向と対策を知りたいんです……とも言えず。

 

 一先ずはそういう形に落ち着いたのだった。

 

 

 

 

 

「それで、今その人は?」

 

「さあなぁ……どっかで元気にやってるといいけど、連絡先知らないんだよね」

 

 隊長さんの学生時代の話を聞く事暫し。

 

 ま、思い出として綺麗なままの方がいいでしょ! と笑う隊長さんに、そういうものかなぁと頷きを返す。

 

「やっぱり女の子は好きだねぇ、恋バナってやつ」

 

 貴方のだからです、などとはまだ言う覚悟が出来ていないので、曖昧な笑みを浮かべるに留める。

 

 チャンスは狙うべきだ。

 

 星に憧れた結果、流れ星になって大気圏で燃え尽きました……なんて笑い話にもならない。

 

 決して臆病さの言い訳ではない……少なくとも、今のところは。

 

「最近はどうなんですか?」

 

 今は、想いを伏せたまま情報収集に努めよう。

 

 こうして車の中で二人きり、隣に座っていられるだけで十二分なのだから。

 

「最近?」

 

 最近。

 

 そう、

 

「成子坂にもきれいな人、いっぱいいるじゃないですか」

 

 芹菜さんとか、美人でスタイルが良くておっぱいの形もきれいだし。

 

 自分から墓穴を掘りに行っているような気もするけれど、もう言ってしまったから後は答えを聞くしかない。

 

「まあ、気になる子がいないわけでもないけれど」

 

「いるんですか!?」

 

 つい大きな声が出てしまった。

 

 余計なことを訊くべきではなかったかもしれない。

 

 藪をつついて蛇を出してしまった感覚だ。

 

 自問自答の末に得たと思った勇気とは、蛮勇だったのかもしれなかった。

 

「まあ、まだそれでどうこうなるってわけでもないし―――」

 

 思考がまとまらないまま窓の外に目をやると、いつの間にかその街並みはよく見慣れたものになっていて。

 

「そら、着いたぞ」

 

 忘れ物に気を付けてな、という声に我に返る。

 

 名残惜しいけれど、もうこの時間は終わりであるらしかった。

 

「あ、ありがとう、ございます……」

 

 もやもやとした気持ちが晴れないまま、助手席のドアを開ける。

 

「じゃ、また成子坂で」

 

 運転席から手を振る隊長さんに、お礼を……いやさっき言った、ええと……と慌ててしまっていたからか。

 

 口から飛び出したのは

 

「ま、負けませんから!」

 

 という言葉だった。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ……………………。

 

 ……わたしは、何を…………???

 

「お、おおお、おやすみなさいっ!」

 

 顔中の熱を自覚しつつもどうにも出来ないまま、おじぎをしてから踵を返して家の中に飛び込む。

 

 そうして、玄関に入ってドアを後ろ手に閉めて、

 

「〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 

 ぐにゃり、と崩れるようにへたり込んだ。

 

 何を言ってしまったのだ、わたしは!

 

 こんな、こんなはずじゃなかったのに!!!

 

 声にならない叫びが延々と喉から漏れ出ている。

 

 やってしまった、やってしまった!

 

 明日も入っているシフトで、隊長さんと顔を合わせたらどんな顔をすればいいのか。

 

 自覚して向き合う覚悟を決めたは良いけれど、自分で抱きしめた恋心というものは物語で読むよりもずっと………ずっと、制御が効かない。

 

「…………もう」

 

 取り敢えずはまた明日、隊長さんと会った時にうまく誤魔化せるよう、言い訳を考えておこう。

 

 そう決めて、わたしは漸くのそのそと靴を脱ぎ始めた。

 

 

 

 

 

「負けません、か」

 

 何に、というのを会話の流れから察するのは容易い。

 

 そうなると、彼女から俺へと向けられる感情にも予想はついて。

 

「……犯罪になるから、な?」

 

 今はまだ。

 

 あと数年、少なくとも待つ必要があるのだろう。

 

 その時になってもまだ、変わっていないのなら――――その時は。

 

 

 

 果たして、最初に射止めたのはどちらだったのか。

 

 

 

 

 愛に焦がれて憧れて。

 

 心を射抜かれ藻掻いてそして。

 

 愛に向き合い定めを変えた、白鳥の物語。

 

 

 

                        

 






○蛇足めいたあとがき

 前書きでも書いた通り、本作は2023年の4月に発行・頒布された『二子玉舞小説合同』へと寄稿したもの……に若干の修正等々を加えたものになります。こうしてハーメルン用に修正してあとがきを書いているのが2025年の6月なので、2年以上も前ということに。

 寄稿した合同誌は完売したとの事で、また同年の秋ぐらいだかには公開して良いという話であったと記憶しているので、こうしてハーメルン上での公開と相成ったのでした。

 2年越しに。

 2年越しということで、文章も直そうかな……と思うところは多かったのですが、直そうとするほどドツボに嵌っていったのでほぼそのままの状態での公開となりました。

 タマちゃんのお話を書くに当たり、進まぬ筆と締め切りに焦りつつ何を書こうかプロットを捏ね回している中で感じてしまったのが、「アナザーの絆エピでの自己対話の部分を避けては通れないのでは?」というものでした。

 今思えば多分そんな事は無いと思うのですが、まあその時はそう思っちゃったのでこのお話が生まれた訳です。

 ポイントは、冒頭のモノローグにある「愛」の勘定にタマちゃん自身が入っていない事で、『恋愛というものに憧れつつ自分とは無縁と思うタマちゃんが、ファティマの指摘で恋心を自覚してメンタルがバグった』みたいなのが今回のざっくりした粗筋でしょうか。
                        
 多分入れてないと思うんですよね、タマちゃんにとって『尊い』は見るものなので……掛け算に自分を入れても、そこにあるのは『その光景を見たい』だけで『誰かに愛されたい』とかじゃなさそうと言うか。

 そんなこんなでタマちゃん合同に寄稿したお話でした。

 2年前の時点で久しぶりに書いた文章だったので、我ながら分かりにくい文章だと思うのですが、楽しんでいただけたら幸いです。




Q.で、なんであのタイトルで読み方が『アコガレ』なの?

A.『「い」を抜け』って2回も書いといたじゃん

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