彗星の軌跡   作:ニトロP

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第四話 雨空と星影(前編)

 空は重く曇り、朝から降り続く雨が街を静かに包んでいた。

 天気予報では今日は晴れのはずだった。何度も見直した、晴れマークしかない予報。だからこそ、傘を差して歩く自分の姿に、胸の奥が少しだけ沈んでいく。

 

 ――やっぱり……私のせい、なんじゃないかな。

 

 ふとそんな考えがよぎる。今日という日、私にとってはとても大切な日だったのに。

 いえ、きっとプロデューサーさんにとっても、同じくらい大切な日。

 せっかくのデートが、最初から台無しになってしまったようで、申し訳ない気持ちがじわりと滲んだ。

 

 それでも。

 心の中には、どうしようもなく湧き上がる感情があった。

 

 ――嬉しい。会える。それだけで、ちゃんと、幸せ。

 

 雨に濡れないようアーケード沿いを歩きながら、手元に視線を落とす。

 白を基調にした、柔らかいワンピース。ほんの少しだけフリルが入っていて、普段の私からしたら思いきった服だった。

 鏡の前で何度も着替えては悩んで、それでも誰にも相談できなくて……。だから、せめて清潔感のある色にしようと選んだ一着。

 普段は黒や地味な色ばかりの私には、これでも冒険だった。

 

 ――似合うと、いいな。変に思われませんように。

 

 そんなことを考えながら歩いて、駅前の広場にたどり着いたのは、待ち合わせの三十分も前。

 きっと、早すぎたと思われるだろう。でも、落ち着かなくて。どうしても、じっとしていられなかった。

 

 そして、広場の先に彼の姿を見つけた時、胸が大きく跳ねた。

 

 傘を片手に、駅前の壁沿いで雨を避けるようにしながら、何かを考えるように視線を遠くに向けていた。

 普段より少しラフなビジネスカジュアル。ジャケットにシャツ、落ち着いたグレーパンツ。

 いつもはスーツ姿で仕事をしている彼の、少しだけオフな雰囲気。だけど、それが逆に大人っぽくて、どこか眩しく見えた。

 

 ――かっこいい……。

 

 自然と、心臓の音が速くなる。

 手に持った傘の柄をぎゅっと握りしめ、ほんの少し躊躇してから、意を決して声をかけた。

 

 「……お、おはようございます、プロデューサーさん……」

 

 雨音に消えないように、少しだけ大きな声を出す。

 彼が顔を上げて、こちらに気づくと、ふっと優しい笑みを見せた。

 

 「おはよう。もう来たのか、ほたる。ずいぶん早いな」

 

 「す、すみません、あの、どうしても落ち着かなくて……その……」

 

 「そっか。俺も似たようなもんだよ」

 

 彼は笑いながら、少しだけ手を差し伸べてきた。

 傘の高さを私に合わせてくれて、自然とふたりの距離が近づいた。

 

 「今日の服、似合ってて――可愛らしいよ」

 

 その一言が、ふいに雨音の隙間から私の耳に届いた。

 

 「え……っ」

 

 びっくりして顔を上げると、彼は少しだけ照れたように笑っていた。

 

 胸が、ぎゅっとなった。

 ずっと悩んで、ひとりで選んだ服。誰にも相談できなくて、不安ばかりだった。けど……そんな私の努力を、ちゃんと見てくれていたんだ。

 

 「ありがとうございます……そんなふうに言ってもらえるなんて……うれしい、です」

 

 声が少し震えてしまったけど、気持ちはちゃんと込めたつもりだった。

 

 だけど――

 

 「……でも、ほたる」

 

 「……えっ」

 

 急に真剣な声に変わって、胸がすっと冷たくなる。

 もしかして、やっぱり何か間違ってたのかな。怒られるようなこと、してしまったのかも……。

 

 不安が広がりかけた時、彼がポケットから何かを取り出した。

 

 それは、小さく折りたたまれた帽子と、太めのフレームの伊達メガネだった。

 

 「はい、これ。今のほたるは、もうファンもたくさんいるからな。バレたらちょっとマズいだろ?」

 

 「――あっ」

 

 その瞬間、心の中で何かがパチンと弾けた気がした。

 しまった……。おしゃれに気を取られて、大切なことを忘れてた。

 私、アイドルなのに。ちゃんと自分で自分を守らなきゃいけないのに……。

 

 「ご、ごめんなさい……っ。私、気をつけなきゃいけなかったのに……」

 

 帽子とメガネを受け取りながら、うつむいてしまう。

 自分が情けなくて、顔を上げるのが怖かった。

 

 でも――

 

 「いいんだよ。気にするな。おしゃれしたいって思ってくれたことの方が、俺は嬉しいよ」

 

 ……え。

 

 顔を上げると、彼はいつもの優しい目で、私を見ていた。

 

 そして少し間をおいて――

 

 「それに……プロデューサーとして。彼氏として。ほたるのために動くのは当然だから」

 

 「……っ」

 

 心の奥に、じんわりとあたたかいものが広がっていった。

 言葉が、胸に染みていく。

 大丈夫だよって、あなたがそう言ってくれるから――私はまた、前を向ける。

 

 「……ありがとうございます……本当に……」

 

 帽子とメガネを装着しながら、そっと笑ってみせた。

 小さな笑顔だったかもしれないけれど、それは今の私にできる、一番の「ありがとう」だった。

 

 「雨も降ってるし……そろそろお昼だし。どこかで昼食でもどうかな?」

 

 駅前の軒下、雨を避けながら並んで立つ。

 差し出された傘の中、彼の声は、いつも通り穏やかだった。

 

 「……あのっ。近くに、ひとつ気になってたカフェがあるんです。席が離れてて、あんまり周りの人と目が合わないつくりで……それなら、私に気づく人もいないと思います」

 

 言いながら、少しだけ不安になる。デートなのに、私が提案してもいいのかなって。

 

 でも、彼は迷わず頷いてくれた。

 

 「いい案だ。行ってみようか」

 

 ――それだけで、胸の奥がふわりと温かくなる。

 

 おしゃれな外観の小さなカフェ。中は静かで、テーブルとテーブルの間も広くとられていた。

 窓の外に降り続ける雨を見ながら、二人で向かい合って座る。

 

 料理が運ばれてきた後、彼は少し困ったような顔で言った。

 

 「本当は、外で歩くようなデートプランをいくつか考えてたんだけど……まさか雨になるとは。予報では晴れって言ってたんだけどな。だから、これからの予定は考え直さないと。悪いな、ほたる」

 

 「……っ、そんな……」

 

 私の方こそ、何も考えられなくて。全部任せきりで……。

 そして、きっと――この雨も、私のせいなんだ。

 

 「……ごめんなさい。きっと、私の不幸のせいで、雨になっちゃって……」

 

 うつむきかけた私に、彼の声が重なる。

 

 「違うよ。ほたるのせいじゃない。それに……俺は雨は嫌いじゃない」

 

 顔を上げると、彼は少しだけ窓の向こうを見て、柔らかく笑った。

 

 「だって雨の後の夜空は、星が綺麗だからな」

 

 ――えっ?

 

 思わず、聞き返しそうになる。

 

 星。夜空。

 彼の口から、そんな言葉が出てくるなんて思ってなかった。

 少し意外で、でも……なんだか、素敵な言葉だった。

 

 「……プロデューサーさんって、意外とロマンチストなんですね」

 

 思わずクスッと笑ってしまうと、彼はちょっとだけ照れたように視線をそらした。

 

 「……まあ、そうかもな」

 

 彼は、どこか照れたように目をそらした。

 

 雨の後の夜空は、星が綺麗――

 その言葉に、なんとなくロマンチックな人なんだなって思ったけれど……。

 

 (……あれ?)

 

 そういえば、どこか曖昧な反応だった気がする。

 ちょっとだけ不思議に思いながら、私はテーブルに置かれたカップをそっと持ち上げた。

 

 そのとき、ふと頭に浮かんだのは――雑誌で見かけた、新しくできたばかりのプラネタリウムのことだった。

 駅からそう遠くないし、何より……今日は雨。外には出られないから、ちょうどいいかもしれない。

 

 「……あの、プロデューサーさん。近くにプラネタリウムがあるんです。最近できたばかりで……もしよかったら、行ってみませんか?」

 

 思い切ってそう言ってみると、彼は少し驚いたように私を見てから、視線を落として静かに考え込む。

 

 ほんの、数秒の沈黙。

 

 「……わかった。室内だし、ほたるが行きたいならいいよ」

 

 その一言が、心にふわりと灯る。

 私の提案を受け入れてくれたことが、嬉しかった。

 

 ――だけど。

 

 (……星が綺麗って、さっき自分から言ってたのに……)

 

 もっと嬉しそうにするのかなって、ちょっとだけ期待してしまっていた。

 だけど、そこまで星が好きというわけじゃなかったのかもしれない。

 なんとなく、肩すかしを食らったような気がした。

 彼と一緒なら、どこへ行ってもきっと楽しい。

 そんな確信だけは、胸の奥にちゃんとあった。

 

 ――

 

 プラネタリウムの建物は、思っていたよりもずっと近代的で、どこか静けさを湛えていた。

 施設の中に入ると、天井には星の軌道を描いたラインが浮かび、展示された機材やスクリーンが未来的な光を放っている。

 

 「……すごいですね。こんなに本格的だなんて……」

 

 思わずそんな声が漏れた。

 初めて来たプラネタリウム。その空気に、自然と胸が高鳴ってしまう。

 

 ふと横を見ると、彼はきょろきょろと辺りを見回していた。

 どうやら彼も来たことはなかったみたいで、その表情にはどこか少年のような好奇心が浮かんでいた。

 

 「ここ、シートに寝転びながら観られるみたいですよ。ほら、リクライニングが……」

 

 案内板を見ながらそう言うと、彼がにやりと笑った。

 

 「……じゃあ、杏みたいに寝転んで観るか。寝ないようにしないとな」

 

 その軽口に、つい吹き出してしまう。

 真面目な顔でふざけるから、ずるい人だなって思う。

 

 「ふふっ……そうですね。寝ちゃったらもったいないですから……」

 

 笑いながら答えたものの、ふと胸の奥に小さな疑問が浮かんだ。

 

 (……あれ? これって……)

 

 寝転ぶ。隣に、プロデューサーさんが……。

 一緒に、並んで……。

 

 「…………」

 

 考えた瞬間、顔が熱くなった。

 映画館とはまた違う距離感。ゆったりと身体を預けるスペースで、ふたり並んで星空を見上げるなんて――。

 

 (ど、どうしよう……っ)

 

 とまどっているうちに、彼はチケット売り場で何か話し、嬉しそうに戻ってきた。

 その手には、しっかりと二枚のチケット。

 

 「ほら、取ってきた。ちょうどいい時間に入れるってさ」

 

 「……あっ、はい……ありがとうございます……っ」

 

 もう引き返せない。

 恥ずかしいけど、嫌じゃなかった。むしろ、どこかくすぐったい気持ちで。

 

 (……やっぱり、星が好きなんだ)

 

 彼の目は、チケットを見つめるその瞬間だけ、ほんの少しきらめいて見えた気がした。

 それなのに……。

 

 (でも……さっきのカフェでは、あんなに素っ気なかったのに)

 

 胸の奥に、小さな問いだけが残ったまま。

 それでも今は、静かに始まりを待つ館内の空気が、妙に心地よく思えた。

 

 上映開始の数分前。場内アナウンスが流れ、照明がゆっくりと落ちていく。

 薄闇の中、天井のドームが星空へと姿を変える準備を始めていた。

 

 彼は、すでに横になって天井を見上げている。

 私は、その隣に――思い切って、そっと身体を預けた。

 

 (……近い……っ)

 

 背もたれが深く倒れるリクライニングシート。

 横一列に並んで寝転ぶかたちになって、彼の肩がすぐそこにあった。

 

 心臓の音が、やけに大きく聞こえる。

 でも、逃げたくはなかった。

 

 (……私、今……デートしてるんだ)

 

 そんな実感が、静かに胸の奥を満たしていく。

 

 やがて音楽が流れ、ナレーションとともに映像が始まった。

 宇宙の誕生から、銀河の広がり、天体の運行、そして季節ごとの星座たち。

 静かな語りと美しい光が、天井いっぱいに広がっていく。

 

 館内は、誰もが言葉を失っていた。

 私も、ただただ見惚れていた。

 

 でも――時々、横目で彼の横顔を盗み見てしまう。

 彼は、まるで子どものような瞳で空を見上げていた。

 

 (……こんな顔、初めて見た……)

 

 優しくて、大人で、いつも誰かのために動いている人。

 だけど今は、その視線の先に広がる光の中で、何かに心を奪われているようで――。

 

 (……私が恋人になったから、こういう姿も知ることができたんだ……)

 

 胸が、ふわっとあたたかくなる。

 隣にいるこの人を、もっともっと知りたいと思った。

 

 けれど、しばらくすると――彼の表情が、少しだけ曇っているのに気づいた。

 

 口元は笑っているけど、目はどこか、遠くを見つめている。

 何かを懐かしむような、寂しそうな、そんな瞳だった。

 

 (……どうして……?)

 

 さっきまで、あんなに楽しそうだったのに――。

 

 その変化に気づいた自分の心が、静かに揺れるのを感じていた。

 

 (……私に、できることって……)

 

 隣で、星空に浮かぶ光を見上げながら――彼はどこか、遠くにいるようだった。

 懐かしさと寂しさが入り混じったようなその表情に、胸が締めつけられる。

 

 (この気持ち、何だろう……手を……つなぎたい……)

 

 けれど、それだけじゃなかった。

 

 彼の表情から少しでも、あの寂しさを消してあげたい。

 今、隣にいるのは私なんだと、少しでも感じてもらいたい。

 

 それはとても小さな、でも大きな勇気だった。

 

 私は、そっと――彼の手に自分の手を重ねた。

 柔らかくて、でもどこか頼りがいのある、そのぬくもりを。

 

 彼は少しだけ驚いたようにこちらを見たけれど、すぐに静かに微笑んで私の手を握り返してくれた。

 言葉なんていらなかった。

 

 それだけで、十分だった。

 

 (……あたたかい……)

 

 彼の手が、心まで包んでくれるような気がして、思わず目を伏せる。

 でもそれ以上に、私の手も、彼に何かを届けられていたら――そう願った。

 

 気づけば、彼の横顔から寂しげな影は消えていた。

 ただ、優しいまなざしで星を見上げていた。

 

 ドームいっぱいに広がる宇宙。

 その下で、私たちのささやかな幸せな時間が流れていった。

 

 上映が終わり、場内の明かりがゆっくりと戻ってくる。

 ふと隣を見ると、彼はまだ余韻の中にいるようで、目元に優しい光が宿っていた。

 

 「……すごかったな。あんなふうに宇宙が見えるなんて」

 

 そう言いながら立ち上がり、まるで少年のように目を輝かせていた。

 そのまま展示エリアへ移動すると、星や宇宙に関するパネルや模型がずらりと並んでいて、私たちは自然と並んで歩く。

 

 「この恒星の分類、実は温度と色によって決まっててさ。青白い星はすごく高温で……ほら、オリオン座のベテルギウスは赤色超巨星っていって――」

 

 彼の声が、わくわくとした調子で耳に届く。

 さっきの上映でもう充分満足したと思っていたけど……本当に、星のことが好きなんだなって、そう思った。

 

 ふと気づくと、私の頬がゆるんでいた。

 

 (……こんなに楽しそうな顔、してたんだ……)

 

 彼がこんなにも無邪気に話すなんて、少し意外で――でも、すごく嬉しい。

 私は小さくうなずきながら、その隣を歩く。

 

 そんな時だった。少し離れた場所から、二人組の来館者らしい少年が近づいてきて、ちらりと彼を見た後、おずおずと話しかけてきた。

 

 「すみません……さっきからすごく詳しそうだったんで……あの星について教えてもらえませんか?」

 

 彼は一瞬きょとんとしたものの、すぐににこやかに応じる。

 

 「……ああ、あれは夏の大三角って呼ばれてるやつだよ。今の時期はまだ低い空だけど、これからの季節にどんどん高くなって、夏には真上に見えるようになるんだ」

 

 まるで係の人みたいに、迷いのない口調でぺらぺらと答える彼を見て、私は思わず吹き出しそうになってしまった。

 

 「ふふっ……」

 

 小さく笑って口元を押さえる。

 

 (ほんとに……係の人に間違えられてる……)

 

 でも、星を見ている時の優しい横顔も、こうして楽しそうに話す姿も――どちらも、私だけが知っている特別な一面のような気がして、嬉しくなった。

 

 ――

 

 外に出ると、まだ小雨が降っていた。

 傘を差しながら歩き出した私たちの周りには、濡れたアスファルトの匂いが静かに漂っている。

 

 「……なんか、俺ばっかり楽しんじゃってごめんな」

 

 ふと、彼がそんなふうに言った。

 振り返った彼の顔は、少しだけ申し訳なさそうで、けれどどこか照れたようでもあった。

 

 「そんなこと……ないです。プロデューサーさんが楽しそうにしてて、私も嬉しかったんです」

 

 それは本当だった。

 星に夢中になって語る彼の姿は、きらきらしていて――まるで夜空の星みたいだった。

 

 「それに……私、今日で星のこと、ちょっと好きになったかもしれません」

 

 そう言うと、彼は目を丸くして、すぐに優しく笑ってくれた。

 でも、その笑顔を見ていたら、どうしても気になってしまった。

 

 (……やっぱり、さっきのあの表情……)

 

 最初にカフェで話をしたときも、プラネタリウムの上映中も。

 彼は、星を見るのが好きなはずなのに――なぜか、どこか寂しそうだった。

 

 「……あの、プロデューサーさん」

 

 意を決して、私は声をかける。

 

 「最初、プラネタリウムに行くって言ったとき……あまり乗り気じゃなかったように見えたんです。上映の途中でも、少しだけ……寂しそうな顔、してました」

 

 足元の水たまりを見つめながら、私はそっと問いかけた。

 冷たい雨音が、少しだけ強くなったような気がした。

 

 「だから……その、何か……理由があるんですか……?」

 

 少しの沈黙の後、彼は立ち止まり、ぽつりと呟く。

 

 「……そっか、ほたるには、そう見えてたんだな」

 

 それから、ゆっくりと私の方を向いて――小さく笑った。

 

 「……うん。ほたるになら、話してもいいかもな」

 

 傘越しに交わした視線は、どこまでも静かで、どこか遠い場所を見ているようだった。

 星のことを語るその瞳の奥に、何があるのか――私はまだ知らない。

 

 でも、知りたいと思った。

 この人の好きなもの、この人の大切なこと。

 少しでもその隣で、一緒に見ていたいと思った。

 

 雨はまだ止まない。

 けれどその音すら、少しだけ優しく感じられる気がしていた。

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