創神のセレヴィアン   作:眠りの竹月

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自分で読んでいて、つまらないなと思い始めました。
原作まで続けられるか微妙です。
そこの所ご了承ください。


第五話: 影より現れし者

荒野の裂け目を越えた先、吹き抜ける風に乗って、鉄と血の匂いが漂ってきた。

セレヴィアンは風の流れを読み取り、目を細める。

 

「……燃えているな。村か」

 

ゼーリエも足を止め、険しい表情で言った。

 

「魔族の仕業だな。……しかも、普通のやつじゃない。気配が濃すぎる」

 

「“名を持つ”存在か。言葉を使い、人を欺く魔。……まだ残っていたか」

 

二人は足早に地平を駆け下り、煙が昇る方角――小さな山間の村へと向かった。

 

 

到着した村は、すでに半ば焼け落ちていた。

家屋は瓦礫と化し、広場には無残な死体が散乱している。

 

まだ生き残っている者たちも、必死の形相で剣を振るっていた。

槍を構えた男たちが、火の粉舞う中で必死に抵抗している。

 

「おい! 火を! 火をつけろ!」

「もう剣も折れた……! 逃げろ、子供たちだけでも……!」

 

その中に、魔法を使う者も一人いた。

 

「《シュティレ・ファング》――小さな火を放つ魔法!」

 

少女の手のひらから放たれた火球は、魔族の体に触れて……何の効果も与えなかった。

 

「……無駄か」

 

セレヴィアンは静かに呟く。

魔族の身体は、まるでそこに“現実が存在していない”かのように火を弾いた。

 

そこに、男が現れた。

焼け落ちた家屋の影から、ゆっくりと歩み出てくる一人の壮年の男。

 

貴族のような身なり、整えられた髪、穏やかな微笑。

だが、その背後の空間だけが、わずかに“ねじれていた”。

 

「……来たな。魔族だ」

 

ゼーリエが呟く。セレヴィアンも静かに頷く。

 

男は村人の絶望の叫びを背に受けながら、言った。

 

「どうか、怖がらないでいただきたい。私は皆さんに希望を届けに来たのですよ」

 

その声には、奇妙な温度があった。

嘘ではない、だが、真実でもない。

まるで、意図的に“誤解させよう”とするような響き。

 

「人を欺く……魔族の言葉だな」

 

セレヴィアンの眼が細く鋭くなる。

 

「名を教えてやろう」

男は笑う。「ディルファ=ラザル。“真理を捻じ曲げる者”と、誰かが私をそう呼んだ」

 

村の若者が叫ぶ。「お前が、この村を……ッ!」

 

彼は飛び出し、槍を突き出す。だが――。

 

「《シア=ロゴス》」

――偽りの現実を生み出す魔法。

 

若者の足元が消えた。否、“消えたように見えた”。

 

彼の視界だけが反転し、錯乱した。槍は空を突き、次の瞬間、男の手によって首筋を裂かれた。

 

静かに倒れ込む若者。その死を見て、村人たちは膝をついた。

 

 

「やめろ」

ゼーリエが声を張る。

 

「 ……遊びでやってるなら、今すぐやめとけ。退屈な茶番に付き合う気はない」

 

彼女は杖を掲げ、呪文を唱える。

 

「《ヴァーグ・ランツェ》――鋭い岩槍を呼び出す魔法!」

 

大地から岩の槍が突き上がり、ディルファの足元を貫こうとする。

だが彼は軽く手を振っただけで、視界が再び歪む。

 

「……わたしには見えないな」

ゼーリエが歯噛みする。

 

「視覚への干渉系……? いや、もっと根本的に現実を捻じ曲げてる……!」

 

「魔法ではない。これは“虚構”だ。理の構築そのものに干渉している」

 

セレヴィアンの声が低く落ちる。

 

彼は一歩前に出た。

 

「我が名はセレヴィアン・エル・セノーテ。

龍神の名において、貴様の欺瞞をこの地に許さぬ」

 

彼が指を振ると、大気が瞬時に凍りついた。

 

「――来たな、“神代のもの”」

 

ディルファの声色が変わる。その笑みが、ほんのわずかにひび割れる。

 

「《絶華の理(ヴァス・セレニカ)》」

 

セレヴィアンの足元から紋章が展開され、光の花が咲いた。

その花は音もなく散り、周囲の“虚構”を一斉に剥ぎ取っていく。

 

「……これは……“真実”の干渉……!」

 

ディルファの体がわずかにぶれた。

 

彼は一歩、後退する。

 

「ふふ……今日はここまでにしましょう。

あなた方のような方々に、今はまだ勝てる気がしませんのでね」

 

そう言い残し、彼は霧のように姿を消した。

 

 

静寂のあと、村人の一人がぽつりと呟いた。

 

「……あれは、神か……?」

 

誰ともなく、口々に名を囁く。

 

「龍……」「竜神様だ」「空から来た救世主……」

 

ゼーリエは溜息を吐いた。

 

「伝説の目撃者になってしまったな」

 

「ならば、語り継ぐに足る存在でなければな。……それも悪くない」

 

セレヴィアンは微笑を浮かべ、崩れた村を静かに見つめていた。

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