先生の性格が原作と違う可能性を考慮してオリ主タグを付けていますが、オリキャラ等は特に出てきません。また、生徒名のタグは今後増えていく可能性があります。
※ブルーアーカイブメインストーリーのネタバレが含まれているのでご注意ください。
時系列はパヴァーヌ編1章のセミナー襲撃前辺りを想定しています。
私、早瀬ユウカはシャーレ執務室のソファに腰掛けている。
『早瀬さんに相談したいことがあるんだ』
そんな先生からのモモトークがきっかけだった。当番の仕事ではなく、個人的な連絡をくれたことが少し嬉しくて、つい笑みを浮かべてしまったことを思い出す。
………その表情をノアにからかわれたことも思い出してしまった。
──最近、やけにニマニマしながらからかってくるのは一体どういうことなのかしら。
そんなことを考えていると、お茶を淹れてくれた先生が向かいのソファに座りながら話しかけてくる。
「今日は来てくれてありがとね、早瀬さん。これは早瀬さんにしか相談できない問題なんだ」
「そ、そうですか………私にしか……まったく、先生は私がいないと何もできないんですから……」
早瀬さんにしか相談できない。
口では偉そうなことを言っているが、悪い気はしていなかった。
──名前で呼んでくれたらもっと嬉しいんだけど……
真面目な顔になった先生を見て、そんな雑念を振り払う。
そうだ。これは私にしか解決できない悩みなのだから、真剣に聞かなければならない。
「最近、私がミレニアムへ仕事に行ってるのは早瀬さんも知ってるよね?」
「そうですね。ゲーム開発部の………あの子達、先生に迷惑をかけてませんか?」
「あはは、大丈夫だよ。みんないい子だからね。……ただ、1つだけ大きな問題が発生しているんだ」
「大きな問題……ですか?」
まさか、またモモイが何かをやらかしてしまったのだろうか。
先生が私にしか相談できないと言ったのは、私がミレニアムの生徒会であるセミナーの一員だったからなのかもしれない。
どこか、他の学園に迷惑をかけてしまったんじゃ……
顔を青くする私向かって、先生が言い放つ。
「………才羽さん達を、どうやって呼べばいいのかわからなくて……」
「………はい?」
「私がみんなのことを名字で呼んでるのは早瀬さんも知ってると思うんだけど……才羽さん達は双子でしょ? だから、才羽さんって呼ぶと2人とも反応しちゃって……どうすればいいかな……」
先生が何か言葉を続けているが、少ししか頭の中に入ってこない。
まさか、あれだけのことを言っておいて、こんな内容の相談をされるとは思わなかったのだ。
それに……
「いや、あの……普通に名前で呼べばいいんじゃ?」
「だって、それだとなんか馴れ馴れしくない?」
「そんな理由なんですか!?」
「うわっ!? き、急にどうしたの?」
思わず大きな声が出てしまう。頑なに下の名前で呼んでくれないものだから、何か特別な理由があると思ってたのに……
「し、失礼しました…………それで、モモイ達をどうやって呼ぶのかというお話ですね?」
「うん、そうなんだけどさ。急に落ち着かないで? 先生びっくりしちゃうから」
「……先生が悪いんですからね」
そう告げると先生は私が悪いの? と言わんばかりの表情を浮かべていた。
全部、鈍感な先生が悪いのだから私は悪くないはずだ。
「それはともかくとしてです。1つ、いい方法を思いつきましたよ」
「本当!? 流石だよ早瀬さん!」
……こんなセリフを裏もなく言ってしまうのだから、本当に質が悪い。ついでに心臓にも。
「い、いえ。それほどでも…………こほん。それで、才羽姉、才羽妹、みたいな呼び方はどうですか? これならモモイとミドリで呼び分けられるでしょう?」
これで問題は全て解決。先生も改めて私の能力の高さを改めて実感してくれるはずだ。計算通り。かんぺき〜
……と、思っていたのだが、先生はなんだか微妙そうな顔を浮かべていた。
「うーん。提案してくれた早瀬さんには悪いんだけど……それだとなんというか、記号で呼んでるみたいで失礼じゃないかな?」
「………」
この人、めんどくさい。
一瞬でもそう思ってしまった私は悪くないはずだ。
というかそもそも……
「先生。モモイとミドリに名前で呼ばれるのが嫌だと言われたわけじゃないんですよね?
「まあ、そうだけど……」
「じゃあ、やっぱり名前で呼べばいいじゃないですか。先生なりのこだわりがあるのはわかりましたけど、双子なんだから仕方がないですよ」
「でも……」
「……なら、フルネームで呼ぶのはどうですか? それなら馴れ馴れしくもないし、呼びわけられますよ?」
「! それだよ早瀬さん!!」
「きゃっ!?」
勢いよく立ち上がった先生に両手を握られる。そのまま何かを話しているが、全く頭に入ってこない。
「あ、あの……先生? 手を……」
「あっ……ごめんね?」
そんなことを言いながら先生は手を離してしまう。
………別に、嫌とは言ってないんだけど…
「ありがとね早瀬さん! 早速ミレニアムに行ってくるよ!」
そう言い残してシャーレを出ていった先生を他所に、少しの間、先生に握られた両手を見つめていた。
後日、ゲーム開発部の部室で才羽モモイさん、才羽ミドリさん、と下の名前を呼ばれている姿を見てほんの少し嫉妬してしまったのは私だけの秘密だ。
…………ちょっと? ノア? 気にしてないって言ってるでしょ!?
続くか不明