キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が鳴り、昼休みの時間になった。
学Pはプロデューサー室で昼食を食べていた。
担当アイドルの篠澤広のプロデュースについて考えながら弁当を食べていると、部屋のドアが開いた。
「どうしました、広さん」
ちょうどその篠澤広が部屋に入ってきた。
「P、今日はお弁当、なんだ。・・・手作り?」
「ええ、今日は時間があったので作ってきました」
「おいしそう、だね」
「・・・広さん、昼食は食べてきたんですか?」
「ううん、まだ、だよ。Pに用事があって」
「・・・お昼はしっかり食べてください。午後もレッスンがあるんですから、倒れられたら困ります」
「うん、ごめん、ね。Pの冷たい目、いいね」
「まったく。そこに座ってください。少し多めに作ってきたのでより分けます。ちょっとでもお腹に入れてください」
学Pは棚から紙皿と割りばしを取り出し、皿に取り分けて広の前に出した。
広は学Pの席の対面に座った。
「おー。Pの手作りごはん、おいしそうだね。ありがとう、P」
「口は付けてないところなので汚くはないと思います、お茶もどうぞ」
「わたしは気にしない、よ。お茶ありがとう。いただきます」
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「ごちそうさまでした。P、おいしかったよ。また食べたい、な」
「それは、よかった。気が向いたら作ってきますよ」
「やった」
「ところで、用事というのはなんだったんですか」
「うん。P、わたしに『特別なファンサ』をやってほしい」
「・・・『特別なファンサ』ですか。なぜ。俺がやるんですか」
「今日、ことねのレッスンを、たまたま見る機会があった。そこでことねのPが、ことねに『特別なファンサ』をやってた。それをくらって、ことねもトレーナーも悶えてた、から、わたしもくらって悶えてみたい」
学Pは眉間にしわを寄せた。
「つまり・・・『特別なファンサ』のお手本がみたいということですか」
「うん。わたしはファンサが苦手、だから、実際にどういったものか感じたい、『特別なファンサ』は対象に強い愛をぶつける所作、らしい、よ。わたしもPに愛をぶつけてほしい」
「そっちが目的では・・・。わかりました」
「いいの?P、今日は素直だ、ね」
「ファンサについては今後取り組んでいきたいと考えていたのでちょうどいいです。それに広さんは実際に感じたほうが感覚をつかみやすいでしょう」
「うん。ふふ、言ってみるものだね」
「もうすぐ昼休みが終わるので放課後にしましょう」
「そっか、もうそんな時間。ざんねん。P、ご飯ありがとう、ごちそうさま」
「ええ、午後は倒れないように気を付けて」
「うん。行ってきます」
学Pは広が部屋から出ていくのを見送った。
「さて、ことねさんのPにやり方を聞いてみるか」
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キーンコーンカーンコーン
放課後になり、篠澤広が部屋に入ってくる。
「P、きた、よ」
「広さん、ずいぶん早いですね。」
「うん。楽しみで急いできた、よ。ふふ」
「そんなに期待しないでください」
「それじゃあ、P。かもん」
「なんか変なテンションですね。それではまず普通のファンサから」
学Pは広に普通のファンサをした。
「おっ、おー。これは、すごい、ね。どきどきする、よ」
広の顔がみるみる赤くなっていった。
「それでは次は『特別なファンサ』を・・・」
「まっ、まってP。少し、深呼吸させて。すー、はー。うん。いい、よ」
「では、いきます」
学Pは広に『特別なファンサ』をした。
「うっ。・・・・・・・・・・・・きゅう」
広の顔は赤から青に変わり、笑顔を浮かべたまま倒れた。
「ひ、広さーーーん!!!」
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「あれっ、ここは」
「目を覚ましましたか。おはようございます広さん」
広がソファの上で目を覚まし辺りを確認する。
「P・・・もしかしてわたし襲われちゃっ、た」
「何を寝ぼけているんですか。広さんが急に倒れたので部屋のソファに寝かせただけです」
「なんだ、ざんねん」
「残念がらないでください」
広はソファから身体を起こした。
「Pの『特別なファンサ』はすごかった。あれは危険。他の人にしちゃダメ、だよ」
「まさか気絶するとは思いませんでしたよ。安心してくださいあれは広さんにしか効きませんよ」
「うん。それはそう思う。すごく・・・Pの愛を感じた。Pはわたしのことが大好き、ふふ」
「ごほん。・・・ところで何か掴めましたか」
「うん。理解できた。多分、Pにならすぐに『特別なファンサ』ができると思う」
「さすがですね。それではお願いしてもいいですか」
広は立ち上がり、Pの前に立った。
「『特別なファンサ』は相手のことを理解して、大好きな気持ちをぶつけること。だから、こう」
広は学Pに『特別なファンサ』をした。
「うっ!ーーーーーーーーーーーーーーぐぅうう、はぁ、はぁ。い、いいですね。できていると思います」
学Pは胸のところを抑えながら深呼吸をした。
「ふふ、P苦しそう。伝わった?わたしの気持ち」
「ええ、しっかりと伝わりましたよ」
「よかった。でも他のファンの人たちにするのは難しいかもしれないね」
「そうですね。ですが全て伝わる必要はないと思います。部分的でもきっと広さんのファンならば伝わるはずです」
「そっか。わたしの一番のファンがそういうなら、そうなのかもしれない、ね」
その後、ライブで披露した広の『特別なファンサ』は多くの人の心に刺さり、新規のファンやより熱狂的なファンが増えた。