上位存在マイクラ   作:ハヤモ

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前書き
本筋から離れ過ぎないようにしたくも……
クラフターと娘ちゃんは名無しのまま
本当はあるのでしょうが、敢えて名付けず
多くいる内の1人、という感じにしたく


ウィッチと悪性ポーション

 

 

「いやあああ!? 鼠が足元に集ってきて齧り付いてきます! 来ないで、ああんっ!? 中で這い回らないでぇ! 弄って良いのは旦那様だけですからぁ!」

 

 

大量のシルバーフィッシュモドキが牛胸に吸い寄せられていく。 足を噛まれ身体を登られ這い回る。 何匹かは服の内に入り込み、胸以外の膨らみが蠢いた。 当人は裂帛の気迫でハァンハァンと鳴き喚く。

そんな艱難にも牛胸は棒を振り回してそこそこに退治していた。 ただやられるだけではない。 多少自衛する事で直ちに死ぬ事態を避けている。

その効果を眺めながら思う。 良いぞ。 流石は愛すべきペットデコイだ。

最初は邪魔だとすら思っていたが途中評価を改めた。 犬ほど好戦的では無い代わりに敵を引き付けてくれるのは差別化できるし有用だ。 身の程を弁えた仕事振りに称賛を送りたい。 後で餌付けて回復させてあげよう。 牛乳を摂る相手は他でも良いが、この手の黒服は使い捨てられるほど数はいないのだし。

役割を十全に果たす様子に満足したクラフターは莞爾として頷く。 頷きつつ弓矢をヒョウと射る。 フレイムのエンチャント矢が雑なトーチカの隙間を縫い、ウィッチの眉間に直撃した。

 

 

「ッ、旦那様の弓術、流石です! 浄化の魔法による攻撃では効果が無くても、旦那様の物理的な攻撃であればこそ。 しかし火矢とは容赦がない。 それこそ魔女狩り、魔女裁判の……」

 

 

燃え上がり悲鳴が上がる。

衝撃で手から落ちた悪性ポーションが落ちて自分に掛かる。 更に悲鳴の薪が焚べられた。 地下空間だけに狂乱が乱反射して喧しい。

牛胸もハァンハァン鳴いているが、其方の方がマシだ。 見習って貰いたい。

 

 

「いえ、悪事に対する報い、あの炎こそ浄化の光というべきですよね。 そうじゃないと私達は……あっ、鼠も主を失い逃げていきます……」

 

 

想像通り炎上し火だるまになったと思えば、周囲を刹那的に照らし、命が尽きるのに合わせて黒ずみ暗くなる。

余りにあっけなく手応えがない。 妙な静けさと虚しさに包まれながら、クラフターは冷めた目でベイクドポテトを食べた。 心血共に冷えた地下で食べるポテトは、まぁ、いつもの味だった。 美味かった。

 

 

「邪悪な存在は魔物に限りません。 墓守のように、或いはこの地の神官のように、時に人間の心が闇に染まり、周囲を不幸に陥らせます……それでも弔意を示し祈りましょう。 そして娘が無事である事を……」

 

 

持ち易い位置に牛乳をスロットした処置が杞憂に終わる。 無駄遣いになろうと牛胸同伴の身では痛くないが、敵に集られている中での乳搾りは難儀する。

トーチカが雑なのも頂けない。 見たところ木材での仮拠点にも見えるが、それにしても工夫できた筈だ。

興趣が皆無だ、これでは。

質実剛健と豪語出来ぬ出来栄え。 これではただの囲い込み。 柵である。 もしかしたら建設途中か縄張の意思表示だったのかも知れないが、中には大釜が置かれていて、中途半端な内装が施されていた。 松明もなしに。 やりたい事を先にして満足してしまったか。 初心者にありがちな失敗と評価を下す。 後で手を加える。 僭越ながら善後策だ。 建築家として綻びを見せられては落ち着かない。

 

 

「何やら水路の鍵を持っていたようです。 途中、鍵の掛かった場所がありました。 戻りましょう」

 

 

牛胸が相も変わらずハァンハァン鳴いては、移動を始めたのでついて行く。

その先は鉄格子の扉で封印された水管だ。 牛胸はアクセサリのような拾い物で開錠するとスイスイと先行。

オトリとして見れば優秀だが自発的に動くのは欠点だ。 下手すると行く先々で中立相手に敵対しかねない。 面倒は波及する。 だからと縄で縛る気が起きないのは、自身でも不思議に思うのだが。

 

 

「奥から光が漏れています。 もしかして娘がいるのかも知れません」

 

 

松明を刺しながら辿り着いた先は、どうしてか同じように松明が刺された空間だった。

ここにも大釜があり、禍々しい液体がなみなみ入っている。 ポーションだろうが、それにしてもとクラフターは首を振った。

この場で理解し難い事が数点ある。 此処はなんだろうか。 先程のウィッチの拠点だとてもいうのか。 それ以上に大釜に入るポーションの効果が気になる。

 

 

「旦那様のと酷似した松明? やはり娘がいたのですね。 でも姿が見当たらない……奥にも水管がありますね。 中にも松明が刺さっています。 奥に逃げたのかも知れません。 進んでみましょう」

 

 

空瓶なんて持ち合わせていないから、この場で飲むしかない。 幸い牛乳バケツと牛胸がある。 悪性効果でも中和はできる。 そろそろ飲んで確かめるべきか。

さて。 失礼して手掬いで……。

 

 

「……って旦那様!?」

 

 

試飲……不味い!? 理解不能の味!

頭をガツンと殴られたような意識の朦朧。 喉を焼き、体が熱く裂かれる感覚。 その癖に芯から肉体を冷やし、精神が剥がされるようだ!

思わずインベントリを開きステータスを見る。

状態異常にはならなかったが、体力がゴッソリとギリギリまで減った。 毒ではあるが刹那的な効果は負傷のポーションのソレだ。 しかしここまで強力なのは味わった事がない。

果たして他の存在にも効果があるのか。 シルバーフィッシュモドキに試そうにも逃げてしまい実験できない。 代わりに牛胸の頭を釜に押し込んで効果を見た。

 

 

「な、なにを……!? うおえええっ!!?」

 

 

かつて聞いた事も無い声と共に吐瀉された。

クラフターは頷く。 やはり思った通りの効果を及ぼす悪性ポーションだ。 後で瓶を大量にクラフトしてスタックする。 火薬と混ぜれば強力な負傷のポーションになる。

あのウィッチがクラフトしたのだとしたら生かしておくべきだったか。 いや無理か。 敵対していたし。 またスポーンするようなら一考の余地ありとして。

さても、とクラフター。 こうした未だ見ぬクラフトが果たしてどれ程ある事か。

長く生きて凡百を見たつもりがまだまだ己は青二才であったと思い知らされる。 同時に今日も世界に創造にと魅せられ、想いを馳せた。 嗚呼。 己は目眩く創造に生きている。 憧れは止められない。 物作りは堪らない。

取り敢えず回復のスプラッシュポーションを足元に投げ割り、共に回復。 即死のスリルまで味わう気は無い故に。

 

 

「うぅ……旦那様の事は信用していますが、時々突拍子も無い事をするので予測出来ません……兎に角、今は遊ばずに娘を探しましょうね」

 

 

全体を把握しよう。

その上で地下鉄や倉庫の間取り、必要な資材を勘定しなければ。

牛胸共々、更に奥へ進んでみた。 出た先は地上だった。 それも見知った集落。 拠点に戻ってきたというのか。 まさか繋がっていたなんて。 盲点だった。 灯台下暗し。 身近な場所にも冒険の種があったとは。 益々童心に戻される事暫しか。

 

 

「ここは……修道院のある町です。 どうやら排水路は町の地下から街道まで伸びていたようですね。 同時に足下に魔物が跋扈していたと思うと……本格的な被害が出る前に浄化できたのは幸いでした。 ですが本旨は娘を見つける事。 地下にいないとなると、すれ違ったのでしょうか……報告も兼ねて修道院に戻りましょう」

 

 

大体地下の広さは把握した。

牛胸共々、逸る気持ちのままに拠点とする建物に駆け込んだ。 資材をインベントリに詰め込む為だ。

すると珍妙な事に、黒服達が牛胸似の黒服を囲っている。 此方に気付くと、喧しく合唱し始めたから首を傾げた。

 

 

「リーリア! そして旦那様! ご無事で何よりです。 今、貴女の娘を皆で説教していたところです」

「まぁ! 無事だったのですね……ただすれ違っただけでしたか。 良かった。 本当に良かった……!」

「御免なさい、お母様、お父様……」

 

 

牛胸が酷似した黒服を抱擁しハァンハァン鳴き始めるときた。 アレか。 遂に繁殖か。 しかし中々増えない。 互いの胸が合わさり拉るばかりだ。

どうにも発情が足りない気がする。 取り敢えずパンを与えてみる。

 

 

「お父様、慰めてくれてるの……? 何となく、そんな気持ちが伝わってきます……」

「きっとそうです。 寛容さに感謝しましょうね」

 

 

駄目だ。 増えない。 ベッドが不足していたか。 或いは扉か。 これ以上の黒服の増殖は望めないのだろうか。 食糧とベッドを量産してみようか。

 

 

「排水路は噂通り、恐ろしい魔物と、それを使役していたと思われる者が陣取っていました。 しかし旦那様により制圧された今、もう安全でしょう」

「分かりました。 厳重に封印する必要は無さそうですね。 しかし町の地下にそのような危険が野放しであったとは……神官の件もあります。 今後、町の中であっても気を緩め過ぎないようにしましょう」

「そうですね。 娘ちゃんもですよ?」

「は、はい……以後、気を付けます……」

 

 

さても今は、とクラフター。

踵を返し拠点地下の資材倉庫へ。 そのまま露天掘りして水路と連結するのも良いかとツルハシを振るう。

開通すれば利便性は高くなる。 資材搬入も楽だ。 鉄道もそのまま伸ばしてしまえる。

そうしたら湧き潰しを念入りにしつつ、ソウルサンドのような暗く沈む汚泥を白く綺麗な石ハーフブロックや、そうでなくても石煉瓦か赤煉瓦で埋め立て整地する。

そうやって見た目と歩道を良くした流れで、橋も作り直していく。 沼地のを参考にして原木と木材を用いよう。

そうだ。 橋、足場といえば。 村人が谷底に降りる為の足場を作っていたなと思い立つ。 そろそろ見に行こうと思う。

 

 

「何やら地下室が騒がしくなってきましたが」

「旦那様でしょう。 気にしたら負けです」

 

 

さても今は地下。

クラフターはくふくふと上機嫌に地下を進む。

地下水路改修だ。 立地も良いぞひゃっほい。

 

 

「お、お母様……私もお父様の手伝いに……」

「駄目です。 今は魔法の修行に励みなさい」

「そんなぁ……!」

 

 

その後でも良いだろう。

谷底や遠くの城へのお出かけクラフトは。

アレもコレもと散漫になりそうだが我慢だ。

それだけ世界は広く、数多の冒険が待っている!




後書き
ご愛読ありがとうございました(打切り感
……たぶん嘘です。嘘、だよね?(殴
少し雑になってきたかもと自虐しつつも
モチベ…体調…(言い訳
とりまやっと章が纏まった感に安堵感もあり

排水路
魔女や蛙や鼠は駆除され安全圏に
例によりクラフターに魔改造され、水路は整備された。泥濘は歩道や橋に変わり、実用性のある設備が並び地下街の様相へ
釣り堀や倉庫、地下鉄が敷設される事になる
ついでに村人達の緊急避難先兼、子供達の秘密基地(遊び場)としても機能する

娘ちゃん
表向きは反省の色
排水路という土地?を両親に取られたのは悔しいが、遊び場が増えて満足
排水路の空いている場所に小さな豆腐ハウスを建てて拠点を作る練習や、そのまま秘密基地と称して友達と共用、共に駆けっこや釣りをして遊ぶようになった
……その際に修行や勉強をサボる事もあり、その度にシスター達に叱られているとか
とはいえ、この地のシスター達や町人はかつての糊口や清廉潔白さを忘却し、淫靡な思考や格好をするまでに堕ちているが……
ハーニャの娘も追いつこうとするように急速成長中。どんな性格になることやら……

怪しいポーション
飲むのではなく、火薬とクラフトしてスプラッシュ式にすれば武器になりそう
相手のHPを強制的に1にする的なチートアイテム化か。本当にクリア出来ない場合や物語重視で使うなら兎も角、乱用すればヌルゲーになるタイプかな?

大工の足場
谷底に降りる際に必要な村人(大工)製足場
原作では材料不足等を理由に満足に作れずにいたが、当作ではクラフターの植林場や採石場で生産される資材を使用、立派に仕上げる事が出来た
ジャンプして飛び移るのではなく、踊り場のある折り返し式の階段。転落防止用の柵と手摺り付き。余裕の創造だ仕上がりが違う
たかが階段。されども階段。細部に拘ってこそ建築家といえよう。これにはクラフターもニッコリである
……次回辺り活躍か?
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