【完結】その生徒、暗殺者に非ず。   作:クリオネf。t

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最終話になります。


エピローグ
それから


 あれから早7年の月日が経った。

 E組の生徒達には三百億の賞金が支払われたが、話し合いの結果それは学費や将来の為の頭金程度を頂き、色んなところにちょこちょこ寄付をしたり皆でひとつだけ大きな買い物をした。そしてその残りは「一年間の支援への感謝」として国へ返還。

 大きな買い物というのは、椚ヶ丘の旧校舎のある山の所有権だ。空いた時間に度々集まっては「手入れ」を続けている。

 

「皆ー、遅くなってゴメーン!!」

 

 一足遅れて、棗は旧校舎へとやって来た。

 

「おー、歌川さん」

「棗ちゃん久しぶり!」

 

 棗の姿を認識した皆が声をかけてくれる。

 

「わ、カエデちゃんそれ衣装?綺麗!」

「ありがとう!」

「しっかし歌川お前……見た目あの頃のまんま変わんねーよな」

「そ?」

 

 棗はあれから全く身長が伸びておらず、143cmのままだ。化粧っ気もないので容姿にあまり変化を感じないのだろう。

 

「でも胸はちょっと成長したっつーか……」

 

 にまにまと厭らしい笑みで胸元を見詰められ、「あはは……」と苦笑いするしかなかった。

 

「岡島君、浅野君から怒られるよ」

「うひぃ、それは勘弁」

「私は別にいいんだけど、色々やり過ぎて警察のお世話にだけはならんでね虎男」

「はい……」

「ところでどうなの?浅野君とは。長い事離れてたよね」

「うん。もうすぐ私もアメリカに行って、それからは一緒に暮らす事になったんだ」

 

 高校卒業後、学秀と棗はすぐに入籍した。学秀はアメリカの大学へ、棗は国内のイラスト専門学校へ進学する事になり暫く夫婦別々の生活を送る事となった。棗の進学した学校は2年制の為、その後経験を積む為国内のゲーム会社へ就職。約2年程働かせてもらったが、個人活動でも有名になって仕事が増えてきた為この度フリーランスへと転身。大学卒業後シリコンバレーでの起業を計画している学秀と共にアメリカへの在住が決まったのだ。

 ちなみに苗字は浅野性になったのだが、旧姓にも思い入れはある。故に、旧姓の頃からの付き合いの者達には今まで通り呼んでもらって構わないと伝えていた。今「歌川」と旧姓で呼ばれているのはそういう事である。

 

「にしてもなー。歌川が真っ先に人妻かぁ」

「人妻て。いやそうなんだけども」

 

 岡島が口にすると余計に響きに背徳感を感じる。

 

「って事は棗ちゃんとは中々会えなくなるね」

 

 原の表情はどこか寂しげだ。

 

「でもほら、連絡のやり取りは出来るし大丈夫だよ!」

「まぁ普段から皆色々都合とかあるし仕事もあるから頻繁に会えるかって言ったらそうじゃないもんね」

「同窓会とかあったら絶対集まるから、その時は呼んでね!」

「こうやって集まって『手入れ』してるのがある意味同窓会な気はするけど」

「確かに」

 

 談笑しつつ、作業をする手は止めない。途中カルマが国家公務員一種試験に合格した事も話題に上がった。確か彼は官僚を目指していたんだったか。とてもストレスのかかる大変な仕事らしいが、今の彼の精神力や忍耐力ならば心配は要らないだろう。

 

 

「ふい〜……なんかあっという間だったな」

 

 「手入れ」を終え、各々下山を始めた頃。

 

「棗さん」

「あっ、お義父さん」

 

 学秀と結婚した事により義父となった學峯。

 頼んだ訳ではないのにわざわざ車で棗を迎えに来てくれたようだ。彼もその奥方も、棗の事を本当の娘のようにかわいがってくれる。両親が忙しい時はこうして何かと気にかけるのだ。

 要するに、義両親との関係性はかなり良好という事である。

 

「近々アメリカへ立つんだろう?」

「はい。ようやっと二人で暮らせそうです」

「寂しくなるね」

「学秀くんも起業の準備とかで何かと忙しいですから……でもしばらくして落ち着いたら二人でお義父さん達に顔見せに来ますね」

「楽しみにしているよ」

「はい!」

 

 アメリカでの生活は、日本との文化の違いも大きく苦労する事も多いかもしれない。

 ただ、それでも……大切な人と共に歩む未来ならばきっと何も怖くなどないと、強く思うのだ。

 

 

「早く会いたいなぁ、学秀くん」

 

 

『その生徒、暗殺者に非ず。』[完]




最後までお付き合い頂いた方々、本当にありがとうございました。
とりあえず一度は長編を完結させてみたいと急いだ結果、最後は早足で何だかパッとしない仕上がりになってしまったような気がしますが……
一応完結はさせたものの、いつかリメイク版を書こうかな?とも思ったり。
その時はまた読んで頂けたら嬉しいです。
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