上記話を読まなくても、まあ大丈夫です。
精神的親子なルーイと颯の話を書いただけなので。
うちのルーイと颯のスタンスは以下のとおり
・つかず離れず
・依存し合わない
・信頼してるからこそ、すぐに助けに行かない(あいつならこれくらい乗り越えられる、的な)(あいつには俺がいないとダメなんだと、すぐに駆けつけるのは違う)
・守り守られはお互いほぼ無自覚
颯が怪我をして変身出来なくなったらしい。と言っても、推測の段階だが……。
ランスから聞かされたとき、魚の小骨が喉に刺さったような、小さくても確実な痛みを覚えた。
……心配しなかったわけじゃねーが、あえて連絡はしなかった。ランスの思惑どおりに動くのもムカつくが、そもそも俺と颯は依存し合う仲でも、支え合う仲でもねー。だから、向こうからも何の連絡も来なかった。
颯のベルトもリングも異常はないと、ノアから聞いた。それでも変身出来ない――理由は何となく想像つく。
アレはあー見えて怖がりだ。たった一度の失敗が、トラウマになっちまったんだろう。
…………ハァ。だる。
スマホの通知はあえてスルーした。ソファーに沈み込む体も、空気もやけに重く感じる。気にしないように意識すればするほど、逆に気になって落ち着かなくなって、苛立ちすら感じてきやがった。
そんなときに、ふと思い出した。
いつかは忘れたが、夜景を見に行ったときのことだ。
◆◇◆◇
「ルーイ! この先に公園があるんだけど、ちょっと寄ってかない?」
「……は? なんだ、急に」
突拍子のねえ行動はいつものことだ。
「いいじゃん、行こうよ!」
勝手に決めて、ひょいひょい階段を上り始めやがって。羽でも生えてんのか、テメーは。
仕方なく、海が見える高台公園とやらまで付き合ってやり、夜景を眺めた。
「きれいだよね、ここから見える景色って」
コイツはたまに、こういう色気のある笑い方をする。眉を八の字に寄せて、泣き笑い……っつーのか。
誤解されそうだから言いたくねーが、コイツの笑顔にはドキリとさせられることが多い。いい意味でも、悪い意味でも。
「僕はルーイから見たらまだまだなんだろうけど。強くなりたいんだ」
「でも、思うだけじゃ全然ダメだね。僕はまだ、守られてばかり……」
らしくねー弱音だと思った。
お前はもう、守られるだけのヒヨコじゃねー。守る側の俺が言ってんだ、胸張っとけ。
……と言える空気ではなかった。切ない笑顔と横顔が妙に印象的で、ずっと頭に残っていた。
◆◇◆◇
アイツがきれいだと言っていた景色を、今は1人で眺めている。アイツももう、守る側だ。
だが……デカくなっても、ガキはガキだ。お前が強さを否定するなら、俺は弱さを肯定する。
だから――
「……頼れよ」
スマホのメッセージアプリを立ち上げて、未送信のままのメッセージを出した。
《おい、夜景見に行くぞ》
……こんなの送んねー方がいーだろ。語彙力のなさが笑える。
だるすぎるが、ここは行動で示すべきだろう。保護も反抗も、本来なら直接殴り合いをするようなもんだ。こんな素っ気ない一行で終わるもんじゃねー。
仕方ねーから、迎えに行ってやるか。
ったく……何回迷子になりゃ気が済むんだ?