「ちょっと待って!私も......何か手伝わせてよ」
暫く蚊帳の外になっていたぬえが、彼を引き留めた。そして意外にも自分から協力を申し上げてきた。これまでの話に、彼女が面白がるようなことはないと思っていた一同だが...
「私、一応...正邪の.......友達...だし。ほっとけないから。」
「......友達か。」
「あ、あぁそうだよ!正邪は私の...友達だよ!」
彼女は、ガラクタ集めの前で見せた享楽的な性格とは裏腹に、意外にも情に厚い姿を見せ、友達を助けたいというその純粋な思いは、人修羅の胸を打った。力を得た当時は、まだ自分にもそのような気持ちが残っていたことを思い出したからだ。人修羅は静かに頷いてぬえの申し出を聞き入れると、また彼女は意外なことを口走った。
「私、ヒジリのところに行ってみるよ。しばらくの間『ひんこーほうせー』にする。って言えば、多分協力してくれると思うし」
ヒジリという人名に聞き覚え...というより、何度もその名を持つ男と関わっていた人修羅は、まさかと思い反芻するようにその名前を呟くが...
「ヒジリ...」
「えっ、知ってるの?あの怪力僧侶のこと」
「......知らない」
彼女の口ぶりからすぐに人違いだと分かり、はぐらかすように顔を反らす。ぬえは当然ながらその行動の意図が読み取れず、訝し気な様子で人修羅の顔を覗き込もうとする。少し気まずくなってきた人修羅は、うやむやにするように店内の全員に別れの合図を送って、そのまま香霖堂を後にした。
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今回に限った話ではないが、様々な出来事に割り込まれ当初の目的をすっかり果たせずにいた人修羅は、ようやく現状の帰るべき場所へと歩を進めていた。
元は永遠亭に向かうために人間の里を出た人修羅だったが、この世界の貴重な協力者の一人である上白沢慧音の頼まれごとを果たす過程で、藤原妹紅という不死の少女と戦うハメになり、数日間眠っていたため、戻るのは随分と久々に感じる。
「あら、『地上の方』此処へは何用かしら?お名前は?」
出迎えたのは
なんとなくその容姿から
「......はぁ!?私を知らない?」
「知らない」
思わず出たその一言は、少女が纏っていた
「嘘でし...こほん...。冗談はその面妖な入れ墨だけにしておきなさい。天上人の天人である私の事を知らないとは、貴方は何者かしら?」
「今更訂正しても、もう遅いですよ」
もはや幻想郷の住人とのお約束のやりとりと言える、全身に浮かび上がった模様を指摘されるという会話。そんなに目立つのだろうかと考えているところに、アークエンジェルの声が響いた。
青髪の少女が玄関に立っているということは、彼はその少女とここに居たことになるが、どういった関係なのだろうか。しかも、どういうわけか人間への擬態を解いて、人修羅がよく知る甲冑をまとった騎士のような姿になっており、理解が追い付かない人修羅は状況の説明を目でうながした。
「ぬぅ......う~む........................かなり長い外出でしたね。何かあったのですか?」
「お互い様だな」
何やら複雑な事情があるのか、文字通り頭を捻って唸りながら、言葉を紡ぎだそうとする天使。しかし、面倒になったのか、人修羅の目を全く無視して逆に質問を返してくる。明らかにはぐらかそうとしている彼の対応に、目を細めた。
「ちょっと!私の質問に答えなさいよ!」
そこにすっかり本性をあらわした青髪の少女の声も重なって、久々の(暫定的な)我が家は混沌とした喧騒に包まれた。喧噪の中、人修羅はその光景にふと、仲魔を連れて安全地帯で休息していた時のことを重ね、少しノスタルジックな心持ちになる。
「名前は嘉島尚紀 。種族は...純粋な人間じゃない。お前は誰だ?」
だが、それはそれ。人修羅は少女に身の上を明かし、対価として状況の説明を求める。流石の人修羅といえど、無秩序なボルテクス界と同等かそれ以上の頻度で襲い来るトラブルに疲弊し、やや投げやりな姿勢になっている。その様子に少女は若干眉をひそめたが、待ってましたと言わんばかりに自信満々な様子で己を語り始める。
「私は
「そうだ。
前述したとおり
「ど、どういう関係って...え、えっと...」
そこを問われるなど考えもしなかったのか、先程までの自信に満ち溢れた様子から一変、また見た目相応の少女のようなしぐさを見せる天子。代わりに先程は話題を逸らそうとした
「......悪友という形になるのでしょうかね...主に仕えるいち天使として、顔向け出来ません...」
「え、そういう関係になるのっ!?」
「............」
――本当に何があった...
この
「その恰好はどうした?」
「フッ...貴方もですよ」
「...............着替えた」
生意気な