目が覚めると、そこはまっさらな白い空間だった。
光も音もなく、無機質で、何もかもが浮遊しているように感じられた。
しかし、はっきりと手の中に存在感のある物体があった。スマホだ。
最新機種のような黒くてツヤのあるスマホが、僕の掌に冷たく収まっている。
画面を見つめると、そこには大きな文字が表示されていた。
「あなたは剣と魔法、そしてステータスが存在する世界に転生してもらいます」
その下には操作可能なメニューが並んでいた。
「種族」「性別」「ステータス」「スキル」「説明」
戸惑いながらも僕は、まず「説明」をタップした。
【説明】
あなたは初期ポイント1000を持っています。
このポイントを用いて、種族・ステータス・スキルを選択してください。
なおポイントを使い切らなければ転生は開始されません。
【種族】
各種族には初期コストがかかります。
例:人間100、エルフ150、人狼180、天使200など。
【ステータス】
初期値は全ステータス5。
1ポイントで+1振り分け可能。
【スキル】
各スキルにはポイントコストがあります。
一部スキルは特定のステータスや種族条件を満たさなければ取得できません。
頭の中が混乱した。
現実とはまるで違うけれど、確かにスマホの指示はリアルだ。
このまま流されて転生するしかないのか。
「……とりあえず種族から決めるか」
メニューから種族一覧を開くと、ずらりと文字が並んでいる。
人間
初期コスト:100ポイント
特徴:バランス型。特筆すべき長所はないが、器用で適応力が高い。
エルフ
初期コスト:150ポイント
特徴:高い魔法適性。敏捷性にも優れるが耐久力は低め。
人狼
初期コスト:180ポイント
特徴:高い筋力と耐久。夜間戦闘能力が増加。
ゴブリン
初期コスト:80ポイント
特徴:低コストでポイント節約に適する。俊敏性と運に長ける。
継承者(ユニーク種族)
初期コスト:300ポイント
特徴:原初の力を継ぐ異端種族。高い成長可能性と危険性を併せ持つ。
どの種族も魅力的に思えたが、なぜか継承者の説明文だけが目を離せなかった。
「原初の力」「異端種族」「危険性」——何か自分にぴったりのような気がした。
指は迷いなく継承者をタップした。
画面は瞬時に切り替わり、残りポイントは700に減っていた。
「さて、次はステータスの割り振りか……」
画面には6つのステータスが並ぶ。
筋力:物理攻撃力と耐久に影響。
敏捷:行動速度と回避に影響。
耐久:HP最大値と防御力に影響。
知力:魔法威力と詠唱速度に影響。
魔力:魔法使用可能量と魔法耐性に影響。
幸運:クリティカル率やアイテムドロップ率に影響。
初期値は全て「5」。
ここから700ポイントを自由に割り振れる。
何度も考え、悩んだ。
「筋力を上げると近接戦が楽になるけど、魔法使いになりたいしな」
「敏捷を上げると回避が良くなるけど、防御が薄くなるのは怖い」
「幸運を上げると色々ラッキーなことがあるけど、それだけで戦えない」
結局、僕はこう振ることにした。
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:150
魔力:150
幸運:100
割り振りが完了すると、画面は次のスキル選択画面に切り替わった。
「スキルか……どれを選べばいいんだ?」
ポイントは残り180
スキルは条件付きで取得可能なものが表示されていた。
【取得可能スキル一覧】(ポイント消費)
禁術覚醒(80P)
未知の禁呪を1つ継承。使用時効果は未定。強力だが制御困難。
分析眼(30P)
相手のステータスや弱点を視認可能。クールタイムあり。
精神抵抗(20P)
精神攻撃を一定確率で無効化。
魔力制御(20P)
魔力消費を軽減し、魔法の威力を強化。
体力強化(40P)
耐久力とHP最大値を増加。
幸運の導き(30P)
ランダムイベントの発生率とアイテム獲得率が上昇。
悩んだ末、僕はこう選択した。
禁術覚醒
分析眼
精神抵抗
魔力制御
幸運の導き
「次は性別か、まあこれはそのまま男でいいか」
僕には女になりたいという願望はないのでそのままの男を選んだ。
「さて最後にステータスを確認しよう」
【名前】:未設定
【性別】:男性
【種族】:継承者
【レベル】:1
【称号】:原初の継承者
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:150
魔力:150
幸運:100
【スキル】
禁術覚醒
分析眼
精神抵抗
魔力制御
幸運の導き
「よし、これで完了……」
するとスマホが明るく輝き、画面にこう表示された。
「転生準備が完了しました。転生を開始します。」