林間合宿編ラストです!!
『A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!加えて敵の狙いの一つ判明!狙いは生徒のかっちゃん、渡我さん!!かっちゃんと渡我さんはなるべく戦闘は避けて!単独では動かないこと!!分かった!?かっちゃん、渡我さん!?』
「え、渡我…?」
渡我と別れて宿舎にたどり着いたウチは相澤先生と合流して、突如現れた敵から逃げるように宿舎内に避難した。それからしばらくは膠着が続いたみたいだけど、相澤先生が1人倒したことで攻勢に出れていたけど、緑谷が戻ってきたタイミングで戦況が変わった。緑谷も戦闘してたみたいでボロボロだったけど、その戦闘で敵の目的が分かったらしく今のテレパスに繋がっている。緑谷もそれだけ伝えてすぐに行ってしまった。
「渡我…大丈夫だよね…?」
今のウチにはただ祈ることしかできなかった。
~*~*~
「おい爆豪、お前狙われてんだから不用意に突っ込むな!」
「俺に指図すんじゃねぇ!んなこと言ってる場合か!?」
「肉ぅうう…見せろぉおおお!!!」
「チッ!!」
いきなり現れたと思ったら即攻撃されちゃあ黙ってやられるわけにゃいかねぇ。だがこのクソ敵、自分の歯を刃物みてぇに振り回すせいで防御はできても迂闊に近寄れねぇ…。このままじゃジリ貧だ。
「だあああ!!戦えっつったり戦うなっつたりよぉ!!めんっどくせぇなぁ!!」
「肉ゥ!!」
その時、敵が上空に飛び上がりさっきとは比べ物にならない勢いで攻撃を開始した。刃を用いて体を持ち上げたみてぇだな。こいつ、個性の使い方が上手ぇ!
「チッ!!」
「止める!!」
半分野郎が氷で防ごうとしたが、物量で押し切られて軽々と突破してきやがる。すぐに回避を――
「ぐっ!?」
「障子!?…貴様ぁ!!」
複製腕だろうが、敵に切られた。それに逆上した鳥頭が個性を使って攻撃しようとしてるが様子がおかしい。…暴走してやがるな。
「っ!!まずい、静まれ…ダークシャドウ!!」
「落ち着け常闇!複製腕が切られただけだ。問題ない!!」
「くっ…抑えられない!!皆逃げろ…!死ぬぞ!!」
鳥頭の制御を離れ暴走したダークシャドウは敵味方関係なしに暴れ始める。獲物を横取りされた敵は怒り攻撃しようとしたが瞬殺されていた。
「ダークシャドウは光に弱い!轟と爆豪で光を発してくれ!!」
「分かった」
「チッ、個性の相性を恨むぜ…」
俺達が光を発すると、さっきまでの暴れっぷりが嘘のように落ち着きやがった。…攻撃力でいえば最強格だろうが、トガならこれをどう対処する?本体を直接叩くのが難しい、そして時間も夜で光の確保ができない状況なら?いや、これは俺にも当てはめられるな。個性が封じられていれば状況は変わらねぇ。それこそ光に耐性をもち始めたら手がつけられねぇか。チッ、今更ながら考えに意識を割きすぎだ。
「…デクじゃあるめぇし」
「?なんか言ったか?」
「なんでもねぇ!」
~*~*~
――ポタッ…ポタッ…ポタッ…
「ゴッフ…」
「敵の前で隙を見せるからこうなるんだぜぇ?しかも相手は俺だぁ…一瞬の隙だって見逃さねぇ」
――ドシャッ
触手が引き抜かれ、力の入らない身体は崩れ落ちます。体の芯から冷えていくのを感じます。普通ならこのまま死を待つのみですが、残念ながら私は特別製です。殺せんせと同様、心臓を貫かれれば問答無用で死に至ります。が、いつぞやのカエデちゃんとの戦闘の際、急所に近い位置を貫かれることで相手に倒したと誤認させていたことを咄嗟に実行したことで、なんとか生きながらえてます。しかし重傷なのに変わりはないのですぐには動けません。再生にも時間がかかるみたいですし、今鷹岡先生をどうにかすることはできないでしょう。となれば、今はこのまま先生が去るのを待つしかありませんね…。
「さぁ、これで邪魔な女は始末したし、次は存分に渚をいたぶってやるかぁ!ギャハハハハハハ!!」
「あれ、もしかして彼女殺しちゃった?」
鷹岡先生が高笑いをあげていると、背後から仮面を被った男の人がやってきました。話し方からしてお仲間さんみたいです。
「ああ?生死は気にしないって言ってただろ?なら良いじゃねぇか」
「関係ないとは確かに言ってたけど、移動のことも考えてよ。俺の仕事が増えちゃうじゃない?」
「知らねぇよんなことよぉ。…あんまり言うようならお前から殺してやるぞ?」
「お~怖い怖い。俺はラブ&ピースがモットーなんでね殺傷事はご勘弁で。後のことはこっちでやっておきますよ、お疲れ様でした~」
「チッ…最初からそうしてればいいんだよ」
イラつきながらその場を後にする鷹岡先生。しかし困りましたね。先生が去ったらこの場を離れようと思っていたのですが、別の敵がやってくるとは…。顔を白いお面で隠していますし、手も手袋をしているので素肌が見えている部分がほとんどありません。風貌からしてマジシャンみたいです。顔が隠れているので視線がどこに向いているのか分からないので迂闊に動けません。
「さて、俺の仕事は君の回収なんだけど、大人しくついてくる気はないかい?」
「…気づかれてるとは思いませんでした。残念ながらそういう訳にはいきません」
「ま、そうだよね。…じゃあ、言い方を変えようか。俺達のリーダー、死柄木弔を助けるためについてきてくれないかい?」
武力行使して無理やり連れていけばいいものを、提示されたのはまさかの交渉条件でした。しかも内容が内容なだけに少し呆けてしまいます。
「…えっと、どういうことです?今回の襲撃はトムラ君の指示じゃないんですか?」
「そんな訳ないだろ?あいつは昔の記憶を取り戻してから親玉に反旗を翻そうと秘密裏に計画していたんだよ。けどそれが親玉にバレちまって、個性封じられて監禁されてる。今回のはその親玉の指示だよ」
「そんな…」
「親玉が望んでいるものは2つ。1つは体育祭優勝者の爆豪君。もう1つは君だ。そして君の場合は生死は問わないと来たもんだ。俺は死柄木から色々聞いてたし、君が死ぬのは死柄木が望んでない。あいつは俺の目を覚ましてくれた恩人だって」
「そう、だったんですね…」
話を聞いている間、彼の様子をうかがっていましたが、脈の乱れもなく噓を言って言うような雰囲気ではありませんでした。ですが、彼の言ったことを全て信用する訳にもいきません。
「…トムラ君の現状を聞いたからと言って、あなたの言葉を鵜吞みにする訳にはいきません。あくまでもあなたは敵で、私とは敵対関係にある立場ですしね。なんならあなたのお仲間さんについさっき殺されかけてますしね」
「ま、それもそうだ。一応説明だけしておくと、さっきの鷹岡って奴とは一時的な利害の一致で共闘してる程度で、それ以降はお互いに不干渉の契約を結んでるらしいぜ?それに、親玉に関していえば俺も信用していない。俺達に指示だけ出して、当の本人は安全なところで高みの見物してるみたいに感じちまうしな。俺達に対するメリットが少な過ぎる」
「…随分ペラペラ情報を話しちゃううんですね」
「まあね。信用してもらうには、多少なりともこっちの情報を曝け出さないとってことよ。俺はマジシャンを生業にしてきたから、手の内は早々明かすことはない。ポリシーに反するからな。でも、仲間を見捨ててまでそれを守るほど性根は腐っちゃいないよ」
ここまで言われてしまうと、完全に信用は出来ませんが多少の信頼が芽生えてきました。ですが、何も策なしに敵陣に向かうのは無謀すぎますから、保険はうっておきましょう。
「分かりました。指示に従いましょう。但し、いくつか条件は提示します。1つはヒーローではない信頼のおける人に事情を説明します。何かあって対応が後手後手になってしまっては困りますからね」
「オーケー。ヒーローの動きも早まるだろうが、ゆうて誤差程度だろうしね」
「私があなたたちに協力するのはトムラ君があなた達と合流するまでです。それ以降はヒーローと敵の関係に戻ります」
「それも問題ないぜ。ヒーローと敵が仲良しこよししてるのも悪影響しかないだろうしな」
「そして最後、裏切ったときは…覚悟しておいてくださいね?」
「ははっ…女子高生が出していい殺気じゃねぇな。とりあえず交渉成立でいいか?改めて、Mr.コンプレスだ。短い間だが世話になるぜ?」
「トガヒミコです。よろしくミスター」
こうして私は敵連合と不思議な取引をしたのでありました。とりあえず律から烏間先生に今までの情報を送ってもらって――
「あ、血が足りないかも」
「は?」
「律、後任せました…」
その言葉を放つとともに意識が遠のいていきました。やっぱり許容以上のダメージだったみたいですね…。
~*~*~
「開闢行動隊!目標回収達成だ!!短い間だったがこれにて幕引き。予定通りこの通信後5分以内に"回収地点"へ向かえ!」
俺達が気づかないうち爆豪と常闇が姿を消し、代わりに仮面を被った敵が目の前に現れた。そいつの手には丸い球体が2つありそれで玉遊びをしていた。
「幕引き…!?」
「まさか、渡我も…!?」
「返せっ!!」
「返せ?妙な話だぜ。爆豪君達は誰のモノでもねぇ。彼らは彼自身のモノだぞ?エゴイストめ!!」
「返せよ!!」
「このっ!」
緑谷も激情に駆られて敵に向かい飛び出していくが、攻撃をスルリと躱されている。俺の氷結も同様だ。
「悪いね、俺は逃げ足と欺くことだけが取り柄でよ。ヒーローなんかと戦ってたまるかってんだ」
「絶対ェ逃がさねぇ!!」
緑谷が先行し、その後を俺と障子が追いかける。入り組んだ森の環境に慣れているのか、敵と緑谷はグングン先に行くがその速さについていけない。フリーランニングを渡我に教わったのは昨日のことで、それをすぐに実行できるほど練度は高くねぇ。経験の差がここにきて如実に出てきやがった。
「チッ!」
「焦るな轟!焦りは時に判断を鈍らすぞ!!」
「分かってる!!」
障子の言い分は尤もだ。だがクラスメイトが目の前で攫われているのに落ち着いくなんてことは簡単じゃない。すぐにでも助け出さないといけないという気持ちを無理矢理抑え込みながら敵を追いかける。
「おいおい、撤退だってのにこんなにぞろぞろ引き連れてきやがって…」
「人気者は辛いねぇ~」
「ンなこと言ってる場合かよ!?勘弁してくれよな!!いいぜ最高だ!!」
「かっちゃん達を返せ!!」
再び戦闘を始めようとした矢先、敵の背後に黒いモヤが広がった。あれは恐らくUSJ襲撃の時にもいた黒霧のワープゲートだ。
「逃がさねぇ!!」
「荼毘!」
氷結でゲートに近づかせないよう包囲しようとしたが、荼毘と呼ばれていた敵が放出した蒼炎に阻まれる。こいつ、なんて火力の高さだ!?熱量でいったら親父よりも…。
「ネビルレーザー!!」
「のわっ!?」
「今だ!!」
近くに隠れていた青山が個性のレーザーを発射して敵をかく乱した。その拍子に仮面敵が持っていた球を周囲に落とした。俺達は一斉に走り出して確保に向かった。緑谷、障子は無事確保していた。俺も目の前に落ちてくる球を確保しようとしたが、蒼炎が横から迫ってきて回避せざるを得なくなり、荼毘に奪還された。
「哀しいなぁ、轟焦凍…」
「テメェ!!」
氷結では敵わないのならと炎で対抗したが、火力が足りねぇ。アッサリと躱され、ワープゲートに入っていく。
「コンプレス、確認だ解除しろ」
「たっく、せっかくのショーが台無しだよ…」
パチンと指を鳴らすと球にされていたものが解除された。障子も持っていたものが常闇に変わった。緑谷は――
「うわっ!?」
「な、氷!?」
「マジックで見せびらかす時ってのは…見せたくないモノがある時だぜ?」
「あっ…」
「嘘…だろ…」
緑谷が持っていた球は氷が入っていた。つまりそれはダミーで、本物は自分で抱えてたってことか…。仮面敵に抱えられていた渡我は身体中傷だらけで、衣服には血が滲んでいて顔色も悪かった。咄嗟に俺と緑谷は走り出し手を伸ばす。だが敵は既にワープゲートをくぐり始めていて届かない。渡我のずっと閉じられていた瞼が僅かに開き、目が合う。
「かっちゃん!!」
「渡我!!」
「来んな…デク」
「…」
「…は?」
それを最後に敵は爆豪と渡我を連れて姿を消した。その場には敵に敗北したという事実と、助けられなかった後悔が残った。そして最後に渡我がこぼした言葉の意味を、この時はまだ理解できなかった。
『…また、眠り姫ですね』
…いかがでしたでしょうか?次回から神野編に入っていきます!
今更ながら、開闢行動隊の敵メンバーびっくりするほど登場してないんですよね。というのもトガちゃんが関わっているとこ以外はほとんどストーリー進行は変わらないため省略してしまいました…。強いて言えばデクくん強化が入っていたため、ケガの状態が多少落ち着いてる程度です。(両腕使い物にならなかったのが片手だけで済んでる、みたいな)
いかんせん文才がないもので、下手に話を広げてしまうとぐだっちゃうかなとも思いこんな感じになっております。敵ファンの皆様には申し訳ない限りでございます…。
また、本作のUAが10万を超えました!これからも投稿期間が空いたり皆様をお待たせしてしまうことが多々あるかと思いますが、引き続き応援して下さると幸いです。
感想も返信は基本的にしていませんが全て読ませていただいております。書いて下さる方には精いっぱいの感謝をここで伝えておきます。ありがとうございます!!
これからも本作品をよろしくお願いいたします!!