ついヒロ!!   作:雀鉄砲

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12話 新天地②

 セイナに案内された俺は謎の開けた暗い空間に来る。

 

「なんじゃここ…」

「ほら、こうやって映ってるんですよ〜」

 

 そして、各場所が転々と映り、場面が切り替わり色々と場所が映る。

 

 ほぇ〜便利な世の中やなぁ〜…まぁきっとこれもこの化け物どもの高等テクとかそんなんやろ。知らんけど。

 

「流石に苦労してここで30分取られました〜たはは…」

 

 …1時間で作ったって言ってたよな…?30分で百階を建築…?…落ち着け、ダメだコイツらのノリに合わせてはいけない。

 

 すると後ろからウィーン…と音を立てて入ってくる二つの足音。

 

「おー、来てたの。」

「あら!旦那様♡言ってくれれば迎えに来たのに…♡」

 

 誰が旦那様じゃ、普通にキメエから辞め…うおっめちゃくちゃ顔いいなこの魔王様!?

 

 クロと魔王様は俺達のそばまで来ると「それで」とセイナに話しかける。

 

「あれは付けてくれた?」

「んもちろんです!」

 

 そう高らかに宣言すると映し出されたなんかでけえベットと広い部屋。

 

 なんだこれ、と思っていると「シンカさんの部屋を監視出来るように魔道具を5つ付けました!」

 

 はい?

 

「いやいや、個人のプライベートは守らなくちゃいけないと私は思いますよ?」

「何故、敬語?」

「外さない?コレ」

「ダメ」

「外しましょうや、クロはん…」

「ダメ」

「クロさ「ダメ、許さない。」

 

 珍しく、頑なな態度をとるクロに俺は黙っていると「よし」と手を叩く。

 

「俺を物置小屋に住まわせてくれ、セイナ」

「なら、我もお供致します旦那さ「ダメ、許さない」

 

 俺は食い気味に己のプライベートを守るために、奮起したが結局あの監視魔道具付きのクソデカ部屋に閉じ込められるのだった…

 

 …やはり化け物達と戦うのは不可能だったか…

 

 

 半年後、かつて混乱していた異世界から来た勇者達は国王の言う通りになる兵士と化していた。

 

「おー!帰ってきたか!見違えているな!ケイ!サクラ!」

 

 見違えたのは2人、外山圭、蘇芳咲良。この2人は強さと成長速度がとんでもなくもはやその実力は勇者パーティや賢者パーティの団長クラスに上るのではないかと言われている。

 

「お褒めにいただきありがとうございます、国王様」

「よい…愉快愉快…君たちは素晴らしい勇者…私が求めていた者たちだ…」

「…」

 

 咲良は顔を俯かせていると圭は気にせず国王との対話が終わり、その場を後にする。

 

「…相変わらず、国王は嫌いなんだなサクラ。」

「あら、王族に気に入られ女王と婚約しているケイ様が私の心配してくれるんだ」

「はぁ…やめてくれよ…俺は異世界で“ケイ様”とか言われてるけど、ただの外山圭だっての…」

 

「…それで何の用事?」

「…ん、いや別に…その俺たちは同郷だろう?心配してさ。」

「心配してくれてありがと。でもタガを外して楽しんで死なないようにね。」

「ぬかせ」

 

 と軽快なツッコミ入れた圭。

 咲良は「いいわね、アンタは楽しそうで…ハーレムでバカみたいにイチャイチャしてさ…」と愚痴を漏らす。

 

「…は?彼女たちを悪く言うのは許さないぞ…?」

「…今、私悪口言った?」

「俺たちは勇者なんだ。この世界を救うために集まってくれた俺の仲間だ。その…だから、楽しむとか…そう言う関係じゃ」

「キモい。勇者だの、世界救うだの意味わかんなすぎて私未だに拒否反応起こしてるもん。」

 

 そして静寂が飲み込む。

 

「割り切れよサクラ。俺たちは勇者なんだ。この世界を救わないと」

「だから!その世界を救うとかふわふわしすぎててわかんな……」

 

 咲良はそう言いかけ、しばらく黙り込むと「…ごめん、当たっちゃって…」と前髪をくしゃっと手のひらで掴む。

 

「いや、俺も悪かった…じゃあな」と咲良に背を向けて何処かへ消える圭。

 

 その後ろ姿を見ずに「どーすればいいのよ…教えてよ…会いたいよ…お母さん…」と咲良はその場にうずくまるのだった。

 

 あの時の母の作った弁当の味を思い出し、ふと涙を浮かべてしまうのだった。

 

 

 そして翌日、圭は目が覚める。

 

 ふわふわの羽毛布団の中で、ケイはまず天井を見上げた。豪華なシャンデリア。天蓋付きベッド。左右から聞こえる寝息。

 

(ああ、ここは…異世界。俺の部屋…そうか、)

 

 そう思い出した時だった。

 

「……おはようございます、ケイ様」

 

 ケイの左腕に、柔らかい何かが絡みついている。目を向けると、そこには淡い金髪のエルフ――マナがいた。

 

「うわっ!近い近い!」

 

「昨夜、ケイ様が『もっとくっついてていい』とおっしゃったので…」

 

「言ったか!?いや言ったけど!?それ寝る前のテンションだったし!」

 

 マナは小首をかしげたまま、ケイの腕にすり寄ってくる。エルフ族の姫君としての威厳はどこへやら、完全に犬のような甘え方だった。

 

「マナさーん!あたしの場所取ってませんかぁ〜!?」

 

 右側からは猫耳の獣人娘・ルナの声が聞こえる。お約束の三角関係が始まったなとケイはため息をついた。

 

 と、そのとき。

 

 ――ドゴォン!

 

 部屋の扉が爆発四散した。

 

「ケーーーイィィィッッ!!!今日こそは決着をつけるぞぉぉ!!!」

 

 真紅のドレスに身を包んだ魔族のお姫様・リリスが、煙の中から登場。手には巨大な魔法槍。

 

「おい魔族、寝起きくらい静かにしろ!!あと入口使え!!」

 

「うるさい!あんたが昨日わたしの角をつまんで『やわらかいな~』とか言ったこと、絶対に忘れないからッッ!!」

 

 ――こうして今日も、ケイの異世界ハーレムライフは、戦争の音と共に幕を開けるのだった。

 




 お待たせいたしました。
 読了していただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします。
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