日が照らされ蒸し暑い今日この頃、俺たちは装備を新調するための少し難しいC級の依頼を受注した。
どうやらクロとセイナはもうE級からC級になっているらしい。
…あの、俺のランクを軽々と超えるの辞めない?傷つくよ?
…いやごめん、俺が間違っていた、この化け物1と2に張りあってしまうとか…自惚れがすぎたわ…
まぁランクを上げるのは結構容易だ。ギルドから課された条件を受けること。これだけだ。
えっ?なんでそんな簡単なことを俺ができないって?黙れ○ね
まあそんなことは置いといてC級の依頼書について、内容はコカトリスの巨大卵を奪取することだ
ちなみにコカトリスの見た目はなんかニワトリの化け物だと思ってくれていい。
ちなみにパーティで荷物持ちをしていた時は、普通にエンカウントして敗走したら俺のせいにされてたな…
まぁそれとこれとは関係ない。とりあえず、あとはぼちぼちスライムとかゴブリンやらを狩ったりと素材集めをしようと作戦を立てて行動している。
命を賭ける状況というか、きっと何事もないというか、既に状況が終わり散らかしている俺には関係ないことだろうからまあいいか!
「…?どうしたの?」
「なんでもなーいよ!」
「…うーそ。」
「なんでバレた。」
こてん、と首を傾げるクロに俺は意気揚々と返事をするのだった。
*
「それにしてもコカトリスとか久しぶりに見ますね〜」どすっ!!
と音を立てて指で小突きスライムを倒すセイナ。
…あれ君魔法使いだよね?何物理でモンスター倒してんの?
「確かに、よくコカトリスを倒して焼き鳥パーティしてた。」
ちなみにコカトリスは最大A級にもなり得る超危険なモンスターです。だから依頼書には避けて回収とは言ってるが誰もやりたがらないし、曰く付きなんだが…
俺は3人をみる。
…まぁ関係無さそうだな…つか魔王様少し驚いてんじゃん、やっぱおかしいのは俺じゃないんだ…よかった〜!
「すごいな己らは…我もコカトリスが献上されるのは誕生日とか特別な日だけだったぞ。」
ちなみに、コカトリスは結構美味くて、高級なお肉として売られていてその値段なんと100グラム低くても五万円。
希少性云々とは唱えられてるけど結局は倒せないから希少なだけで、そういうモンスターは結構いる。
…俺がきっと倒してくれと言ったらコイツら倒すんだろうなぁ…でも身の丈に合わない生き方をするとなんか罰当たりそうだから辞めとこ…
「あっスライムさん。」ドスっ!
…セイナさん…指を突くんじゃなくて魔法使ってよ…
*
そして少し歩き俺たちは目的のコカトリスの巣まで来た。
目的通り、卵が四つ入っており、コカトリスは餌を取りに行ったようだ。
「狩る?狩る?」
「狩りません」
「焼き鳥美味しいですよ〜?」
「食べません」
そうしてクロとセイナの言うことを否定すると魔王様は「己ら、旦那様を困らせるでない…」と優しく2人を注意する。
「それで旦那様、コカトリスの卵はどう取るおつもりなのかえ…?♡」
「えっ…いやこう…パッと…」
「万年E級の理由が、ハッキリと見えて来たね。」
黙れ小娘、と俺は内心思ったが、コホンと一つ咳払いをして、「まぁ冗談だよ冗談」と仕切り直して説明し出す。
「セイナは索敵、すぐにコカトリスの気配を察知したらこの花火を使って空に打ち上げてくれ。
クロは、俺と一緒にコカトリスの卵を奪取、魔王様はセイナと一緒に辺りを警戒して下さい。」
「おー割とまともな作戦」
「俺のことなんだと思ってんの?」
…まぁ、実際のところ、ギルドの冒険者は頭だけでもダメで最低限の身体能力は欲しいクソみたいに厳しいところだ。
俺もこう言った基礎知識を叩き込んでまあまあ頑張って…いや、結果出なければ意味ない努力だよなぁ…と俺は天を仰ぐ。
…なんでかは知らねえけど、誰も見てない努力なんて、意味あるのかって思うけど、それでもなんとか追放されないように、ってやっちゃうんだよな俺…と思いながら過去に思いを馳せる。
そして今はいつ機嫌を損ねれば殺されるかもわからん化け物たちに囲われてる。
人生って何が起きるかわからん物だなぁ〜!あーはっはっは!!
「…どした?」
「なんでもな〜いヨっ!!」
「う〜そだ。」
…さっきもやったなこれ…
*
とりあえず、俺とクロは慎重に巣に登りコカトリスの巣まで辿り着く。
とは言えなんで崖っぷちに置くもんかね…天敵に狙われるよりも普通に落ちてお陀仏の可能性大きいだろ…
そう思いながら崖に大きい釘を打ち、登る。
そして、クロに卵を持たせてゆっくり落とす。
卵を持つクロが地についたあと、俺もロープで括りゆっくり降りようとした瞬間だった。
「まぁ…そう簡単にもいかないよな…」
上から見えるとんでもないでかい土煙と共にドンドンドン!と足音が鳴り響く。
「おまえら!!コカトリスだ!!卵持って早く逃げろ!!」
「コカトリス!」
「高級お肉が来ました!!」
目の色を変える化け物た…クロとセイナに俺は叫ぶ。
「交戦して卵割れたらどうするんだ!?2人は割れないようにはよ走れ!!」
「えぇ…」
「あんなニワトリ一撃なのに…」
「S級ってバレんぞお前ら!?」
はーい、となんともまぁやる気のない返事をした2人はててて〜と走る。
いや走るの早くない?
…とりあえず俺もどうしたもんかな…と思いながら様子を見ていると魔王様が足を引っ掛けたみたいで「あんっ!♡」とわざとらしくこける。
…何してんだあのロリバげほっごほっ…
「あーん♡旦那様…我…足を捻ってしまったみたいですぅ…♡」
いや、回復魔法で直せよ…使えるんでしょう…?
「早くお助けてください旦那様〜♡」
いや、自分で殺せるだろ…って近づいても本当に動かないつもりだなあいつ!?やばい、早く降りねぇと!!
そう思いながら俺は崖の方を向いて急いで、崖から降りる。
「旦那様〜♡降りる姿も凛々しいですわ〜♡」
そしてコカトリスがマリリンにクチバシで貫こうとした瞬間マリリンは鬼の形相をして
殺 す ぞ ♡
コカトリスは魔王の威厳に屈すしか出来なかった。
*
「ゼェハァ…ゼェハァ…ま、魔王様…ハァ…」
「旦那様♡」
俺は汗ダクダクで魔王様の元へ走るとそこにはコカトリスの気配がカケラもなかった。
…えっ、何が起きたの?魔王様が殺したの?
…いや、笑顔でこちらを見上げてあたかも私〜何もしてないです〜♡って目ぇキラッキラして、そんな顔をされてもあなたしかやりかねない人いないんですよ…
「だ〜ん〜な〜さ〜ま〜♡抱っこ〜♡抱っこ〜♡」
「……」
だいぶ言動キツイなこの人…と思ったが逆らったら何されるかもわからないので
「きゃあっ!?♡」
とりあえずお姫様抱っこをして魔王様を運ぶ。
「そっそんな…旦那様…♡こう言うのは月の光に照らされながら良いタイミングでラブロマンスなシチュエーションで…」
…さっきから何を言ってんだ…
顔を両手で押さえて足をバタバタする魔王様に俺はとりあえず何も考えないようにしたのだった。
…もしかしたらこのメルヘンチック思考な魔王様をお姫様抱っこできる俺は、勇者より命がけであるのかもしれない。
読了していただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします。