ついヒロ!!   作:雀鉄砲

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16話 ダンボール子ちゃん

「くそっ!あの白髪のクソガキが…!!」

 

 そう叫ぶのは1人の男、2話にてクロに一撃で再起不能となったギーツだ。

 

 ギーツはあの時、元パーティ仲間であるシンカをいつものように嘲笑おうとしたら謎の白髪の少女に吹き飛ばされた事に憤っていた。

 

「この屈辱…この…勇者パーティにも届きうる俺に…なんたる侮辱…!!絶対に許さないぞシンカ…!絶対に殺してやる…!」

 

 下に見ていたものに憤るギーツ。

 

「っ…誰だ!?」

 

 そしてギーツは気配に気づくと黒いローブを着た人物が現れる。

 

「そう怯えないでください…我々はあなたに協力したいのです…ギーツ様…」

「結構だ…!何者かも分からない力を借りるなど…落ちぶれてはいない…!!」

「まぁまぁそう言わず…」

 

 するともう1人の人物に気づかなかったギーツは背後を取られ首筋にプスッと注射を打たれる。

 

「ぐっグワァぁぁぁぁぁ!!!!!!????」

「さぁ…我々と共に歩みましょう…勇者パーティ、クローバーを殺すために」

 

 顔は漆黒に包まれてはいたが、頬をひきつり不気味に笑うのだった。

 

 

 俺は相変わらず広すぎる要塞に迷っていると鈍い押しつぶす音が聞こえる。

 

 なんだ〜?とその音を辿ると「ご〜りごり〜ご〜りごり〜」とでかい臼石を回すクロを見つける俺は何してんだ〜?と聞く。

 

「ベヒーモスとドラゴンを、砕いてる」

 

 うん、そんな高ランクモンスター砕かないで?

 

「なんのために〜?」と俺はクロに聞くと「セイナがポーションの材料にする〜だって〜」と説明してくれる。

 

「ポーション?」

「そーそー、なんかお金儲けだって〜」

 

 …とりあえず嫌な予感はした。

 

 

 3時間後やっとセイナのいる部屋に着く…いやなんだよ!?3時間って!?部屋の行き来にどんなけかかるんだよ!?

 

「どうしました〜?」

 

 と呑気な声と共に扉を開けるセイナ。

 

「いや、クロから聞いてよ。お金儲けするんだって?」

「…ふっふっふっ…!」

 

 顔を俯かせ不敵に笑うセイナに、何か嫌な予感がすると音もせずに肩に両手を置き顔を上げ満面の笑みでこちらを見上げる。

 

「協力してください!シンカさん!☆」

 

 …いやお前…協力者もクソもいらねえだろ…

 

 

 そして部屋に入れてもらった俺は次の瞬間、視界に映るものに困惑する。

 

「女の子…?」

 

 なんだ?またチートか?と身構えているとセイナは次のように説明する。

 

「彼女は、ダンボール子ちゃんです」

「……」

 

 ?????????????????????

 

「私たちが入ってたダンボールから作りました!」

 

 ?????????????????????

 

 …なるほど、つまりもうチート化け物どもは生まれないと!そう言いたいわけだな!?なるほど!?

 

「そんなことよりもですね〜」

 

 そんなことより…?と次の瞬間俺は思考を停止させセイナの話を聞く。

 

「ポーションの売買には成功していて目標の金額には達していますので〜」

 

 なんの話?ついていけないんだけど〜wwwww

 

「あとダンボール子ちゃんに魂を入れたら完成ですね〜!」

 

 魂?おいちょってぃ待てよ!お前の中だけで完結させるなよ!こっちにもわかるように説明しろよ!

 

 そう叫ぶも虚しくセイナはこてんとまるでクロのように首を傾げたあと嘲るような微笑む。

 

「私のスピードに追いつけないそちら側の問題では?w」

 

 うわっコイツ追放された理由が今ハッキリ見えたぞ…

 

「マ、スター」

「あー喋りました〜!」

 

 …マジか…喋るのかよ…

 

「マ、マスター…マスター…」

「はいは〜い♡あなたが私のマスターですよ〜」

「マスター…マスター…」

 

 なんか母と娘が感動的に再開するシーンみたいだな…と思って見ていると何処か心が穏やかになってきて…

 

「ぶち○してやる。」

 

 ん?

 

 なんか背後からとんでもないおびただしい数の兵器が出て来るとセイナに襲いかかる。

 

「あーん、また失敗ですか〜」

 

 そう言うセイナは魔弾で全てを撃ち落とすとダンボール子ちゃんの頭部を正確に撃ち抜く。

 

 ダッダンボール子ちゃん!!

 

「うーむ、何が問題だったのでしょうか…」

 

 命の製造するところからじゃない?

 

「シンカさんはどう思いますか?」

「…製造方法に問題があるんじゃないかな!?」

「まぁそれしか考えられませんよね〜…これで計35回目くらいですかね〜…」

 

 …軽々しく命を製造しないで!?

 

「やはりモンスターの魂を入れるから…?」

「絶対それだろ、舐めんなよ命を」

「あなたはどの立場で言ってるんですか?」

 

 とまぁ何故俺が必要なのかも分からず、と言うか忘れた俺は彼女のダンボール子ちゃんを抱えて不具合を見つける様子を背後から見ていたのだった。

 

 すると彼女はしんみりとした雰囲気を醸しながら、ダンボール子ちゃんの亡骸を優しく触る。

 

「……でも、一人くらいちゃんと生み出してみたいですね…」

「……なんでだ?」

「さぁ、ただ少しだけ誰かを愛したいから…ですかね?」

「……」

 

 元S級、賢者パーティ、セイナ。

 彼女の強すぎるステータスに生き物としての格が違い誰からも愛されてもらえなかったのだろうか。

 

 確かに命を軽んじてたら試作品35号とか付ければいいが彼女は自分たちが入ってたダンボール…

 

 …ダンボールかぁ……

 

 とは言え、その化け物みたいな強さとは違って何処かまだうら若き少女なのかもしれない、そう俺は思った。

 

「さて!気を取り直して…」

 

 ドスン!と机に何処からかお金を大量に召喚する。

 

「三億を1人で稼ぎました。これで装備を整えましょうか。」

「三億もいらねぇよ」

 

 …前言撤回、やっぱ化け物だわコイツ…

 




 読了していただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします。
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