ついヒロ!!   作:雀鉄砲

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6話 

 翌日、俺が買い出しから帰ると、二人は真剣にチェスの盤面を見つめていた。

 

 そんな勝負を気にせず俺は二人に話しかける。

 

「そう言えば聞いてなかったけどなんで追放されたんだお前」

「お前じゃなくてセイナですよ。追放理由はハメられてですね。」

「はぁ。」

 

「まぁ私が神童と呼ばれて疎む人がいたんでしょうね。めんどくさくなってわざと罠に引っかかって追放されました。」

「わざと?」

「はい、知ってました?持てはやされたのって結構しんどいんですよ。」

「……」

 

 俺とは別の世界の話だなぁと素直に感じた俺は「まぁ期待されすぎると辛いとかよく聞くもんな」と上っ面の慰めを言う。

 

「貴方、期待されることあるんですか?」

 

 ○すぞ、と危うく漏らした途端に命も漏らしそうだというセーフティがかかりなんとか言葉を飲み込む。

 

「貴方じゃなくて、シンカな。シンカ。」

「シンカさん、ですか。いいお名前ですね。」

「どうも。どうせ進化してないのにとか、進化してないザコとか皮肉言うんだろ?」

「いえ、親から貰った素敵なお名前を馬鹿にはしませんよ。名前って幸せを願う祈りを込める言葉なんです。そんな素敵なことを嘲笑えるほど私は腐ってはいません。」

 

 あっそ、と悪態をつきながら、とりあえず悪い子ではないんだなと感じ俺はありがとう、とお礼を呟く。

 それはそれとして俺はかつてクロに言ったことを提案する。

 

「とりあえずお前ほどの強さなら軍やらすげえところのパーティとかギルドが欲しがるだろうから応募してみろよ」

「嫌です⭐︎」

「まぁまぁ、とりあえず」

「嫌です⭐︎」

 

 笑顔こわっ、ニコニコと笑う彼女に戦慄しているとぐいっとクロに袖を掴まれる。

 

「なんだよ?」

「パーティに加わりたい、そう言ってると思う。」

「えっこれ以上増えても困るんだけど……」

「なにが?」

「なにって。」

 

 確かに困ると言えば人間関係がめんどくさいな、と感じたがまぁ、そこら辺は俺があんまり関わらなければいいか……うん、そうしよう。

 

 クロに俺はコクっと頷くとクロはセイナに目線をおくる。

 

「パーティ歓迎パーティ歓迎」

「いいんですか!?やったー!!」

「……」

 

 まぁギルドってパーティ登録とかガバガバだし誤魔化せばいけるか…と思っていた俺だった。

 

 

 時間が経ち夜になりギルドの飲み屋で俺たちは食事を摂っていた。

 

「さて、貯金が二桁、行けるかどうか。」

「どうしたの?」

「いや、お前らを養うとなると貯金切り崩してどうなるかなぁと。」

「ベヒーモスの死体、だから自分たちが討伐するべきだと名乗りあげるべきだった。」

「言葉もない。」

 

 俺ははぁ、とため息を吐きお金の心配を後回しにする。

 

「んー!コレ美味しいですよ、シンカさん!」

「カレーか、確かに美味いもんな。」

「はいっ!最初はただの糞便かと思いましたが中々いけますよ!」

 

 コイツ失礼なことよくもまぁ無意識に出せるな……そんなことを思っていると後ろから大男がセイナの肩を持つ。

 

「嬢〜ちゃん、俺たちと飲もうや〜そんなへっぽこな男置いといてさ〜へへっへ〜」

 

 するとゾロゾロと後ろから三人来ると「おっ!万年E級のカスじゃねえか!!ぎゃははは!!」と俺を見て嘲笑う。

 

「隣にいるのもちょーべっぴんじゃねえか!!万年E級にはもったいねえよ、嬢ちゃん達俺たちのパーティに来いよ〜!このC級のパーティ、デビルダーツによ〜!!」

「そうだぜ!こないだなんかA級の依頼の小型ドラゴン討伐に参加したんだぜ〜!?」

「討伐して名を挙げた俺たちデビルダーツは、これからA級すら超えてS級になってやる!!」

 

 よっ!流石リーダー!!となんかリーダーぽいやつを周りの二人が持ち上げる。

 

 まぁ彼らの言ってる通り、C級にもなると身体能力と魔法が認められているため多少は強いし、多分成人男性十人取り掛かっても勝てないんだっけか。

 あと、地上から三メートルから落ちても無傷でいられるらしい。知らんけど。

 

 E〜Dは正直給料低すぎて一般人とか、ニートとかと変わらん。

 

 と、改めて自分の不甲斐なさを飲み込むようにお酒を飲む。

 

 あと、デビルダーツってパーティ名を改めて聞いたらなんか子供が三秒で考えた名前だなぁ。とか内心思っていた。

 

 とりあえずこのままにするわけにもいかないのでセイナとクロにダル絡みする三人に「おい、そこら辺に……」と俺が止めに入ろうとした瞬間。

 

 まるで地獄を見たかのような顔をして、吐瀉し始めるデビルダーツのパーティ。

 

「えっえっ?お、おーい?」

「魔力酔い、知ってる?」

 

 クロが言った魔力酔い、魔力を体内に過剰に摂取して身体がキャパオーバーして引き起こされる症状。

 

「多分この人たち、セイナの魔力の質が高すぎて少し摂取しただけでこうなったぽい。」

「……。へーそうなんだー」

 

 うんうん、栄養が良いものを摂りすぎても毒になるって言うよね〜。

 とりあえず俺はツッコミを放棄し、事態を把握させないように頭で理解を拒んだのだった。

 

「C級でもこんなもんなんですね……」

 

 てめえらが異常なだけだわ、このハゲ。




読了していただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします。

(2026/5/15 一部文章や誤字を改稿)
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