翌日、俺たち三人はスライム狩をする為に森へ入る。
「はぁはぁ…!」
そして俺と対峙するのは1匹のスライムだ。ナイフを構えて攻撃に備える。
「頑張ってくださーい」
「ガンバエ〜」
なんか心にない応援を感じた俺はなんかムカつきスライムに突進してナイフをスライムに突き刺す。
どうやら上手く核を潰せたようでぴちゅん、と音を立てて溶けて無くなる。
「こう言う風に消えるんですね〜」となんか感動したかのような口調で話すセイナ。
「スライム3匹の依頼…倒すのに2時間…終わるのはいつになるのやら」
「うっせ」
クロに弄られた俺は「次だ次」とスライムを探そうとする。
するとドンっ!と言う音と共に後ろからとんでもないプレッシャーと圧を感じる。
「う"ぷっ…!?」
押しつぶされ…と俺は前屈みになり思わず食べた物を吐いてしまう。
魔力酔い…!?いやセイナは何もして…
するとセイナとクロは後ろを振り返り顔をしかめているとザッザッと足音を立て人影が現れる。
「この辺りに…おや、しっかりいましたね。時戻しをした上質な魔力の正体…君ですかね?」
えっ何それ確かにバカみたいに時戻ししたけど急展開過ぎない?もう少し俺と色々な人たちのこと考えて?
とツッコミを入れているとセイナが「とりあえずその魔力を垂れ流すの辞めませんか?」と話す。
俺はなんとか顔を上げると、頭に生えている鬼のようなツノ、口から飛び出す鋭い牙、そして白目が黒色に染まり肌の色が違う。
分かりやすくその正体が魔族だと分かった。
「垂れ流しているのではない、これは選別ですよ。」
「選別出来る立場なんですか?」
「おっと、確かに…フフフ…名乗りを忘れていました…私は魔王様に支える四天王の1人、ヒューマ・エクリプス……私は時戻しの魔法使いを殺害する為に来ました…」
四天王?つかなんでここまで辺境な所に来たのか…暇なのか…?それはコイツらも言えるのか…と俺は内心ツッコミながらも魔力酔いによる気持ち悪さに頭を抱える。
「そうなんですか、殺し合いを所望なんですね。」
「そうともいえますね。とは言え、勝負にもならないかもしれませんが。」
セイナが杖を何処からか分からないがシュン…!と音を立てて顕現させる。
チャリ…と赤青緑黄色のカラーバリエーションのクリスタルが杖の先端に付いている。
俺は、昔買ったステータスを見る魔道具で奴を見る。
ヒューマ・エクリプス
体力 測定不能
魔力 測定不能
筋力 測定不能
耐久力 測定不能
幸運 測定不能
「オンボロが!!」と俺は舌打ちをした後「おい…お前…辞めと…け!」となんとか声を出すとセイナは振り向くとはぁ、やれやれと呆れたため息を吐く。
「まずは他人よりも自分の心配してくださいよ。どんなけお人好しなんですか。」
「うる…せぇ…」
「減らず口も健在なんで大丈夫そうですね。クロちゃんあとはお願いします。」
「任された」
そうしてセイナは再び四天王と自負する魔族に振り向く。
「お待たせいたしました。」
「いえいえ、仲間に遺言を残すのは大事だからですから。もっとゆっくり話してても構いませんよ?」
「そちらこそ、愛しの魔王様に遺言は残していったんですか?」
「愚問ですね、そんなのは必要ありません。」
「そうですか。」
ピュン!と音がするとパリン!と一瞬の音すぎてよくわからないが、何かが起こり魔族の頬から血が出ていた。
「えっ、えっ?」
「セイナが魔力を込めた魔弾を打って、魔族が防御魔法陣を三重に展開、防ぎれずに破れた。」
「なっなるほど?」
分かるかボケが、と内心思った俺だった。
*
ふわっと、飛行魔法を無詠唱で発動するセイナに、ヒューズと名乗った魔族は『我、天に召します神よ…我に付与魔法を…』と唱え同じように飛行魔法を使う。
夜空が輝く星に二つの影。
その影が転々と光が散りばめられていく。ただその光は人の感動ではなくただ命を散らす物。
夜空に浮かぶ二人、その影が月を裂くように交差し、セイナが杖を掲げるたび、星空が一瞬だけ昼に変わる。
更に、防御式の魔法陣を発動しては消え、発動しては消えを繰り返す。
『我、燃ゆる力を与え、敵を穿つ。』と唱え炎の球を無数に出し 『我、崇高なる原始にて、全てを葬る。』と魔族は同時詠唱し、ファイアボールとウォーターボールを無数に展開、セイナに放つ。
「やはり魔法は芸術…!全てが美しい…!!」
勢いを強める魔族の魔法を冷静にセイナは対処する。
彼女はただ魔力を込めた魔弾を放ち、防御式の魔法陣は最低限で終わらせつつ、身体をわずかに捻らせたり、杖で来る球を払い落としたりしながら、全てを撃ち落としていた。
シンカはまるで星だな、と感じたが、魔弾やらファイアボールの流れ弾が来て小さなクレーターが出来ると「うわっ!?」と腰を抜かす。
そして段々と違和感を感じていく魔族。
(何故ただの初級の魔弾で拮抗できているのだ…?ただ弾幕戦では確実にこちらが押している…なのになんだ…この違和感は…?)
そして移動しつつ、空を歩き始めるセイナは下から魔弾の手数を強める。
「チッ!」
(こうなったら、様子見は終わりだ…!これからはA級以上の魔法を展開して…)
わずかな隙、0.1コンマ程度だろうか、セイナは糸が針の穴に抜けるかのように魔族の左肩を貫く。
「なぁっ!?」
「魔法は、一つ一つが奥義になり得る特別な物…」
「っ!?」
「最近の魔法使いはそれがわかっていないと叔父様の言葉。ファイアボール、ウォーターボールだろうが全ては伝説級になりうる可能性の塊…」
「何を言って…!」
「沢山の魔法とかA級とかの強い魔法とか使われるよりも生涯をかけた一つの魔法を使われる方が厄介とも言われましたかね…」
例えば、 『ウォーターボール 』とセイナは唱えるとビチュンッ!!と音を立て魔族の魔法を全て消失させ右半身を抉る。
「グワァ…!!」
「魔法って難しいですよね…数万とある魔法で好きに使えて自由だと思うけれども、実際は自由という籠に入った鳥になりうる。」
「このっ!!」
魔族は左腕を挙げて、奥義を出そうとしたのだろうか、巨大な魔法陣を展開した瞬間、パリンッ!と大きな音と共に割れて無くなる。
「っ…あっ!?」
『エイメン』
バイバイ、籠の中にいた小鳥さん。と魔族の顔の前に杖を構え近づく。魔族の視界は光に満ち、跡形もなく吹き飛んだのだった。
*
…いや、山も吹き飛んでるんだけど…何が起きたの?
俺は全く状況が飲み込めず頭の上にはてなマークを沢山並べていた。
あーなんか情けねえな…俺のパーティがいつの間にかコイツらツーマンパーティになってるし追放してくれねぇかなぁ…と思っていると上からセイナがふわっと落ちてくる。
「とりあえずもう大丈夫ですね。」
「証拠隠滅は?」
「大丈夫です。全て元通りにして魔力の残りも消しました。」
わぁ、無くなってた山が復活してる〜^^。
「帰りましょうか!」とセイナが笑顔で先導するとクロが「うん」と頷き後をついていく。
…あの、すみません、魔力酔いで身体動きません助けてください。あの置いてかないでくださいお願いしますお願いしますお願いしま…
読了していただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします。