紀元1021年 厄災ガノン、封印から覚醒の兆し
封印の谷より禍々しき瘴気が吹き上がる。
王国は動乱を恐れ、かつての神獣とその操縦者となる“英傑”たちを選出。
夢の中、彼は再び剣を握っていた。
灼熱の大地、焦がれる風、そして砕け散る城壁。
ゼルダの名を呼ぼうとして、しかし言葉は届かず、闇に飲まれる。
冷たい朝の光が、薄い霧を通して差し込んでいた。
ハイラル城の尖塔が静かにその影を落とす。
「リンク。お前に託された使命だ」
低く厳しい声が響く。
若き騎士は身を正し、剣の柄を握りしめる。
まだ勇者の名を得る前、ただの一兵士としての初陣だった。
英傑たちの運命が動き出す
同じ時刻、ハイラル各地で運命の呼び声が鳴り響いた。
ゾーラの里の清流で、ミファーは冷たい水に手を浸しながら呟く。
「守るべき者のためなら、戦う覚悟はできている……でも、本当に私でいいのかしら」
デスマウンテンの麓、岩を砕く音が響く。
ダルケルの豪快な笑い声と共に、厳しい戦士の目が鋭く光った。
「おう、リンクには負けられねえ。アイツ、何か背負ってるみてえだからな」
リトの空高く、リーバルは風を受けながら独り言を呟く。
「神獣? 俺は神獣など必要としない。けれど、これは逃げられぬ試練だ」
ゲルドの砂漠、ウルボザは夜風に吹かれ、刃を研ぐ。
「ゼルダ。あの娘の中にあるものは強さ……でもそれは、深い悲しみでもある」
王宮の闇
ゼルダは王宮の一室で祈りを捧げていた。
だがその目には焦りが宿っている。封印の力は未だ開花せず、父ローム王の視線は冷たかった。
「お前には期待していない。ハイラルの未来は、守りきれぬのだ」
王の言葉は冷酷だったが、その胸中は娘への深い愛情と苦悩に満ちていた。
ゼルダはただ、ひとり、祈り続けた。
リンクの迷い
リンクは初陣の戦場で剣を構えた。
だが、心の奥には迷いがあった。
「俺は、これでいいのか……勇者として本当に役に立てるのか?」
剣の刃が陽光に煌めくが、心は揺れていた。
遠く離れた神殿の闇に、テラコの光が閃く。
「解析完了。時間跳躍、開始」
だが、その跳躍には、たった数日のズレがあった。
本来の歴史では、間に合ったはずの奇跡は、今は届かない。
そして、すべては歯車を狂わせた
ゼルダは再び祈る。
「どうか……どうか、この運命を変えて」
だが、祈りは届かず、封印の力は凍りついていた。
小さな歪みが、千年の歴史を狂わせる。
その時、世界はまだ知らなかった。
これが、終わりの序章に過ぎないことを――