ハイラル城・大広間
煌びやかな石の床に、四対の足音が響く。
ゾーラ、ゴロン、リト、ゲルド――四つの部族の代表たち。
その胸には誇りと、そしてほんの僅かな不安が宿っていた。
「お久しぶりです、みなさん」
ゼルダが微笑む。けれどその顔は、疲れていた。
「お姫様、こっちは元気でしたよ。あんまり心配しすぎないようにね?」
ウルボザが優しく声をかける。
「オレはリンクの様子が見たくて来たんだけどよ……まだ固ぇ顔してんな、あいつ」
ダルケルがリンクの肩を軽く叩く。
「……神獣なんて、俺ひとりで十分だったんだがな」
リーバルはそっぽを向きながらも、視線はリンクを見ていた。
ミファーは静かに微笑む。
「皆さんがいてくださって、安心しました。これなら……戦えます」
神獣の授与式
巨大な神殿の祭壇で、四つの神器が光を放つ。
それぞれの神獣が、英傑たちに呼応するように共鳴を始めた。
だが――
「……あれ? 反応が……一部、遅れているようですが……?」
神官のひとりが呟いた。
「構わん。強引にでも同調させろ。時間がない」
ハイラル王が冷たく命じた。
(ほんのわずかな同期ズレ)
その一言が、やがて英傑たちを襲う悲劇の引き金になることを、この時誰も知らなかった。
城の回廊、薄い月明かりがふたりを照らす。
「……貴方が、リンクね」
ゼルダは小さく切り出す。
「はい……王女殿下」
リンクは視線を伏せたまま、硬く返す。
まるで、言葉より剣に頼る癖が染みついてしまったかのように。
「私は……まだ、力が目覚めなくて……でも、貴方に守られるだけの姫ではいたくないの」
「……はい」
その返事には、迷いが宿っていた。
神殿の地下。整備中の古代兵器の中で、異音が鳴る。
「おい、誰がガーディアンの制御塔に触れた!?」
整備士の叫びと同時に、ガーディアンの一体が起動しかける――
だが、テラコが不規則な音を放ち、暴走が止まった。
「な、なんだ……あのちっこいの……?」
「まさか、原因は……?」
不安の種が、ひとつ、芽を出した。
英傑の誓い
夜明け、城の高台に英傑たちが集う。
「さあ……俺たちの伝説を刻もうじゃないか」
リーバルが風を纏いながら笑う。
「リンク……私たち、必ずゼルダ様を守りましょうね」
ミファーがリンクを見て、微笑んだ。
「ガノンなんざにゃ負けねえ。この手でぶっ飛ばしてやらぁ!」
ダルケルが拳を振る。
「この世に生きる者の誇りにかけて……私は、ゼルダの剣となる」
ウルボザの瞳は静かな炎を宿していた。
「――……俺も、必ず守ります」
リンクは小さく呟いた。
だが、誰にもその声は届かなかった。
五人の影が、朝日に照らされて並ぶ。
それは、英雄の記念写真のようでいて――
やがて、二度と並ぶことのない、最後の“集合写真”だった。