後悔は無い
アイテム番号: SCP-81045
オブジェクトクラス: Keter(暫定)
特別収容プロトコル:
SCP-81045はゲーム性をもつ情報災害型実体であり、物理的収容は不可能と判定されている。対象の発動を阻止するため、以下の制限が全世界に向けて実施されている:
インターネット上で「淫夢ゲーム」のフレーズを検出した場合、即座にオブザーバーAI “MUR-364” により削除。
8月10日を基準日として、該当期間中の会話・記録媒体の監視を強化。
SCP-81045の発動者となった人物(以下、「感染者」と呼称)に対しては、情報隔離・言語封鎖処置を実施する。
現在、感染者の自律的終了が確認された例は███件を超えており、███番台SCPとの交差リスクが高まっている。
説明:
SCP-81045は、一連の情報災害現象およびゲーム形式をもつ因果律異常実体の総称であり、通称「淫夢ゲーム」と呼ばれる儀式的行為を通じて発生する。
フェーズ1:起動
SCP-81045は、いずれかの存在(人間に限定されない)が「淫夢ゲーム」という言葉を口にした瞬間に発動される。発言を契機として、半径約3km圏内にいる任意の知性体(含:植物、動物、AIを含む言語理解能力を持つ対象)が強制的に“参加者”となる。
フェーズ2:沈黙の対峙
以降、先に「淫夢」と発言した対象が“敗北者”となる。これは言語的発話に限定されず、文字、記号、脳波、周波数、夢の中での発語など、あらゆる形態での“淫夢”の出力が敗北トリガーとなる。
また、植物や動物など言葉を話さない存在に対しても、「淫夢の波長」が検出された場合、直近の参加者が“敗北”として処理されるという事例が複数報告されている。
フェーズ3:敗北の結末
敗北者は、発話から1〜7分以内に極めて多様かつ観測不能な方法で“敗北”処理される。代表的な例として以下が報告されている:
記憶から完全に削除され、周囲の認識からも抹消される
全身が肉体的に“淫夢”という要素に変換される(例:舌がMUR、腸がTNOK)
自我が「淫夢そのもの」となる精神構造変異
何も起きないまま日常に戻るが、以後の人生が既に収録済みの映像作品のような構成に書き換えられる
なお、勝者は一定の猶予期間を与えられるが、次の8月10日が訪れるまでに新たな「淫夢ゲーム」を誰かと行わなければ、自動的に“敗北処理”されることが判明している。このゲームは24時間以内に勝敗がつかない場合、強制リトライされるため、対象者は眠ることも許されない状態に陥る。
補遺81045-A:回収された映像ログ(██県、███高校)
(記録開始)
「じゃあ、最後にゲームでもしようぜ。淫夢ゲーム、って知ってる?」
「あー……やりま…ー」
(記録終了)
記録機器は以降、ノイズと断続的な喘鳴音を記録し続けたのち、██時間後にブラウン管から“こちらへようこそ”という声が流れたことが確認された。
補遺81045-B:Dr.███の私的メモ(破棄済)
私は一度、植物園の中で「勝利」した。喋らないはずの向日葵が、私に淫夢という名を叫んだ。
でも……あれは本当に向日葵だったのだろうか?
もしかして、あれはずっと、誰かの“再生”だったのではないか。
そして今、もうすぐ──また、8月10日が来る。
備考: SCP-81045は、“発言されることで存在を確定させる概念的実体”の可能性が高く、現在Site-81██においてレトリック神学部門と合同で実体調査が進行中。現在までに報告された“先手を取られた事例”は███件を超えており、ネットミームとの交差を最大限警戒すべし。
(淫夢を知らない人間しか勝て)ないです…