こんにちは!深夜のシャーレの第2章にようこそ。この心地よいシリーズのイチカの分をお楽しみいただければ幸いです。
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[訳者まえがき]
本来やりたかった表現はAO3で行っています。
夜遅くまでシャーレで働くことにおいて最悪な点の一つとして、睡魔に抗うか、それとも屈服して時間を朝まで飛ばすかという葛藤に苛まれることが挙げられる。こんな夜も遅い時間に連絡はできない。あなたの生徒たちは眠っているはずだ。(キーワードは「はず」)
そして連邦生徒会でさえも助けてくれやしない……それでも思いつく相手はそれくらいしかいなかった。ゲマトリア?カヤ?そこまで頼るつもりはないだろう。だが、
時には折れて、生徒たちの様子を見に行くのも悪くないのかもしれない。セリナ?ノドカ?ミカ?イズナ?選択肢はあるにはある。だがそれでも、最終手段であることに変わりはない。この沈黙の中、あなたの心の内の叫びを聞きつけ、誰かが助けに来てくれれば……
なんとも馬鹿げた考えだ。あなたはまたひとり、長い夜へと身構える。キーボードを叩くたびに、時間が静かに過ぎていく。当然ながら、誰も訪れる気配はない。ただのシャーレのいつもの夜。そして──
ヴーッ
いや……いつもの夜なのだろうか。あなたがタブレットを手に取れば、画面にはモモトークの通知が一つ。
先生?まだお仕事中ですか?
こんな時間にメッセージを送るとは、一体誰なのだろうか?突然のやり取りには気にならない、だが……
イチカ?どうして起きてるの?
よく分からないですね
まあ暇だからですかね
先生はどうですか?いつもみたいに仕事に追われてます?
その通りだ。あなたは深夜まで仕事に追われて
ただ……リラックスしようと思って
もう寝る時間だよ、おやすみ
生徒を突き放したところで気は晴れない。だが先生として、あなたには良き生活習慣を促す責務がある。頭を振り、仕事へと戻る。何度かタブレットが震えるが、無視を決め込むことにした。
当然、睡魔が襲い掛かるのに時間はかからなかった。今夜だけ、仕事を放棄してもいいのではないだろうか……?どうせたった一晩のことだ。別に大変なものではない。
だが、本当にそう思っているなら、これまで(何夜にもわたって)こんなことを続けてきてはいないはずだ。それは単なる義務でも、責任だけでもない……いや、義務と責任ではあると思うが、だとしてもここまで長くやれているのはあなた自身が持つ意思のおかげだった。
コン コン
あれは何だろうか。あなたの意思は優柔不断な幽霊にでも砕かれるとでもいうのだろうか?
コン コン コン
いや……ただのノック音だ。
こんな時間に?
あなたはデスクから立ち上がり、ドアへと歩く。だがあなたが辿り着くよりも早く、開かれる。黒衣の人物が腕を組みながら、あなたをじっと見つめている。(腕を組みながら片手でドアを開けている。凄い)「遅いっすよ先生」
"イチカ?どうしてここに?"
イチカは腕をほどき、にっこり笑って室内へと進む。そして、近くのソファへと目に留まり、身を沈めるように座り込んだ。「シャーレが一番落ち着くんすよね。息苦しくないし、それに先生が一緒にいてくれるっすから」
あなたはドアを閉めてデスクへと戻り仕事を続ける。
"仕事があるから、今はそんなに構ってあげられないんだ"
ソファの向こうからかすかなハミングが聞こえ、イチカの頭がゆっくり揺れているのが見える。「あーあ」と共に、姿はソファの向こうへと消え、ハミングも止まってしまう。退屈して眠ってしまったのかと、思い込みことにしてあなたは仕事を続けていく。イチカがそこにいるだけでも、あなたにとっては十分なことであるのかもしれない。だがそうでなくとも、ひとりぼっちよりはマシだ。
「せんせぇ……」
どうやら……起きているようだ。
「暇ぁ……」
この生徒は一体誰だ?確かにイチカはここにいたはずだ。だが今ソファの向こうで横たわっている生徒はイチカではないみたいだ。確かめておいて損はないだろう……
あなたは机から立ち上がり、ソファへと歩く。イチカの目は閉じられている……がそれだけでは分からない。数秒間見つめても、真偽が分からない。あなたは見つめ続けるも、そのいつもの表情は何も語らない。あなたは仕事へと戻るべく、踵を返す。
「先生……?」
足が止まる。まさか……まさかあなたが歩き去るのを待ってから反応したのだろうか?振り返るべきか迷うが、これまで数多の問題児(イロハ)を相手にしてきた以上、どうなるかは理解している。それに惑わされず、デスクへと戻る。
「あの……先生…?」
気を引き締める。
「暇っすね……」ソファからイチカの頭がゆっくり持ち上がる様が見え、振り返ってあなたの方を見つめる。「先生、お疲れのようっすから、息抜きとして何かやるっすよ」
もしかすると、フリーマーケットの時にふわもこヘアーの戦車長から何かトリックを教わったのかもしれない。つまりイチカは……進化したということか!?
さて、あなたは不意打ちを喰らってしまうが、そんな罠で堕落するほど柔ではない。何よりも、仕事を終わらせなければならないことをイチカは理解してくれるだろう。
そう、理解して
……
そんなもので無理矢理自分を納得させたかどうかはともかく、あなたは気を引き締め仕事を続ける。とはいえ、視界の隅でイチカが動き続けるせいで、刻一刻と集中力は確実に削がれていく。耳に入ってくるタイピング音は遅くなっていき、あなたの意識を自分のものにするべくイチカはゆらゆらと動き続けている。やがて、これ以上は無理だと、あなたの手は完全に止まる。デスクを離れ、出口へと歩き出す。そう、新鮮な空気を吸う時間だ。
バタッと音が聞こえ、心配になって(ほとんど好奇心ではあるが)振り向けば、イチカはソファから転げ落ち、立ち上がろうとしていた。「どこか行くんすか先生?なら何か言ってくださいっすよ……」
あなたはドアへと向かい、そのままオフィスを後にする。とはいえ、向かった先は厳密に言えば新鮮な空気とは程遠く、何十階もの隔たりがある場所だった。それでも室内で同じ空気を吸い続けるよりはましだ。
数秒後、背後で扉が開く音が。「せ~~~んせい~?」
正直なところ、あなたの背後にいる人物がイチカである確率はゼロではない。が、わざわざ確認する程までに高くもなかった。あなたは廊下を歩き続ける。そして後ろから聞こえるほぼほぼイチカであろう足音があなたの背後に続く。
ガラス張りの窓が、時間の遅さを改めて思い出させる。だが今現在、仕事の妨げになっているのは異様なまでに構ってもらいたい生徒。普通のかまってちゃんならば無視できるが、なんでもいいからとにかくかまってちゃんとなれば違う。しかも、この深夜の中、適切に対応するということはあなたにとって、あまりにも異常な出来事であった。
月を見上げ、覚悟を決める。これは──キヴォトスが滅びかけたあの日以来となる苛烈で熾烈な戦いになるかもしれない。
あなた VS 生徒
振り返る。そこには普通の、いつものイチカが、
"こんばんは、イチカ。"
「今日もいい時間、過ごせてるっすか?」
どうやら……先程まで話していたイチカとは違うようだ。確かに違うが、それでもこちらのイチカがあなたの知っているほうだ。しかし、何が起きればこんな急激な変化が発生したのかはわからない。あなたはイチカの横を通り過ぎ、オフィスへ向かう。背後から彼女の足音が聞こえる。
"全然……まだまだ仕事が残ってて……。"
「まあそっすよね。休みたいけど仕事で休めないっていうのは本当に辛いっすよね」
オフィスのドアを開きながら、あなたは彼女の言葉を熟考する。共感してもらえるのはありがたいが、これまでイチカの行動の意図が気になって仕方ない。
「休みたいっていう気持ちに勝つ方法、学んできたんすよ。ちょっと休めば、楽しくて幸せな時間が過ごせられないような気持ちをなくせるっす。ちょっとした休憩は当然の権利だし必要なことっすからね」
やはり、話の方向性は予想通りのものだった。だがそれでも彼女の言葉に耳を傾けることに罪悪感は感じなくなっている。理論武装をしてきた以上、一度くらいはイチカの言う通りにするのも悪くはないだろう……それに、イチカはこれまで何度も手伝ってもらったし、彼女ならばあなたの仕事を邪魔するようなことはしないはずだ。彼女はあなたのことを理解し、最善の選択肢を考えてくれる存在であると、あなたは理解している。
とはいえ、イチカの言葉に乗りたいという欲があるからそんなふうに思ってしまったことについては理解している。だがそれが悪いことであるだろうか?あなたには休息が必要だ。そのことは誰もが知っている。
あなたはデスクへと座り、決意を固める。イチカはデスクの前に立ち、あなたの答えを待っている。これまでずっと、あなたがその提案に悩んできたことを、彼女は知っている。
"分かった。イチカの言う通り、少し休もうか。"
嬉しそうに、イチカは手を叩く。「いや~!先生が楽しい休憩を過ごせたようで本当に嬉しいっす!」と言うなり、扉へと向かう。「廊下を歩くだけでもいい気分転換になったっすよね?」
考えてみれば、頑張ってイチカの誘惑をかわし続けていくと、やがては彼女の望み通りの結果になった。そしてそれが、あなたの望みにもなったのだから。パソコンに映る仕事内容を見つめる。確かに、しばらく画面から目を離したせいか、気分はすっきりしている気がする。
無言のままイチカに感謝しながら、仕事へと戻ろうとしたその時、再びドアが開く。そこには二杯のコーヒーが載ったお盆を抱えたまま、歩いてくるイチカがいた。
「私と一緒なら、こんなド深夜でも楽しく過ごせると思ってたんすよ。先生には何か特別なものっていうのがあるんすよ」とイチカは笑いながらお盆をデスクに置く。「話を止めるタイミング、分かんないっすね」そう言ってソファへと戻り、再びその向こうへと消えた。「先生、私はすぐそこにいますんで、助けがいるなら気軽に言ってほしいっす。こっちはもう十分迷惑をかけたんで、これでお互いさまになるっすよ」
あなたはコーヒーを手に取り、一口飲む。予想通り熱いが、イチカの絶妙な淹れ方のおかげか、火傷するほどではない(ような気がする)。
彼女の気遣い(と休憩)のおかげで、仕事は思いのほかスムーズに進んだ。また一つ、もう一つ、あなたはコーヒーの力と共に仕事を進めていき、イチカは邪魔することなく去っていく。終わった時には(出来る限り)机を片付けてからイチカの様子を見に行くと、静かに眠っていた。そもそも、最初からそれがあなたの目的であった。
近くの毛布を取り、イチカの上にかける。そして、もうひとつのソファへと横になり、すぐに深い眠りへとあなたは落ちる。疲労の力がこれほど強大なものだとは。
イチカの言葉は正しかったようだ。ちょっとした休憩、それこそが本当に必要なものだった。
さて、こんなことを吹き込ませた張本人に話をつけないといけないようだ。
[作者あとがき]
ICHIKA POISON???!?!?!?!!?!
[訳者あとがき]
い……イ ダ落……
12日に投稿します。