デジモンアストリア   作:アヤ・ノア

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影森ミハルの性別・身長・髪の色・CVが多樹と同じ……だと……。
間違いなく偶然ですが「こんな偶然があってたまるか!」と言いたい私。
というわけで五つ目の鍵を探しに行きます。


第46話 水のデジモン・バニプモン

 多樹達はデジタルワールドのデジモンを倒して、四つの鍵の欠片を手に入れた。

 彼らは五つ目の鍵の守護者、バニプモンを探すため、町で情報収集を行った。

 念のため、静止した人々を刺激しないよう、主に町のデータログ、

 機能停止した公衆電話の通信履歴、そしてデ微弱なノイズを頼りにする。

 

 零は、最も情報が信頼できると判断した町の通信インフラの過去ログにアクセスした。

「ラピッドモン、町役場のデータサーバーに干渉する。

 バニプモンに関する言及、特に『水辺』や『失踪』のキーワードを抽出するんだ」

「了解、零。高速スキャン開始……。見つけたよ。数ヶ月前のログだ。

 町の南東、シーラ岬周辺の水棲デジモンから奇妙なデータ消失の報告が連続して上がっている。

 データ消失のパターンは、捕食によるものと推定される」

「捕食……。バニプモンは水棲型デジモン。

 南東のシーラ岬で、水棲デジモンのデータ消失が相次いでいるという事は、

 そいつがその海域を縄張りにしている可能性が高い」

 

 北斗は、町の機能不全になった

 ゲームセンターのアーケード筐体のデータノイズに耳を傾けていた。

 デジモン達の間で交わされていた噂話や怪情報を探るためだ。

「カラテンモン、あのデパートのサーバーが放出してるノイズの裏に隠れてる

 デジモンのゴシップデータを読み取れ。怪しげな話でもいい。鍵に関係する情報をよこせ!」

「承知したざんす!

 ……フム、やはりシーラ岬周辺には『深淵からの呻き声』という怪情報が集中しているざんす。

 聞いた者は皆、平衡感覚を失い、海に引きずり込まれる幻覚を見るそうざんす」

「呻き声……ヤバそうだ」

 

 多樹は、二人の解析を総合しつつ、静止した町を上空から確認していた。

「ヘイローモン、上から見て、シーラ岬の様子はどう?」

「わたしが上空から確認したところ、

 シーラ岬の海域だけ、他の場所よりも水のデータが異常に濁ってるよ。

 ノイズが強すぎて、解析できない層がある。そこにバニプモンが潜んでいる可能性が高い」

 多樹は、静かに決意を固めた。

 

「よし。情報が繋がったね。シーラ岬だ。

 相手は水棲デジモンだから、水辺での戦いは不利だけど……」

「データが集中している場所こそ、鍵がある。

 ヘイローモンの電撃と、ラピッドモンの精密射撃で、水場の不利を覆す」

「いくぜ! 次はバニプモンだ!」

 

 三人は、それぞれのパートナーデジモンと共に、

 町の南東、データノイズの荒波が打ち寄せるシーラ岬へと向かった。

 彼らの背後には、依然として時が止まったままの、歪んだ故郷が広がっていた。

 

 シーラ岬は、デジモンの暴走で、穏やかなビーチではなく、

 データノイズを含んだ荒波が打ち寄せる岩場へと変貌していた。

 多樹達が警戒しながら岬の岩場を歩いていると、巨大な影が視界に入った。

 そこに横たわっていたのは、シーラ岬にのみ生息するというデジモン、シーラモンだった。

 しかし、その体には深いデータ損傷があり、息も絶え絶えの状態だ。

 

「シーラモン! 大丈夫!?」

 多樹が駆け寄ると、シーラモンは辛うじて頭をもたげた。

「……あいつだ……。あいつが、俺をやったんだ……!」

「あいつって? 何があったの?」

「バニプモン、だ……。この海域のデータを全て食い尽くそうとしている……」

 

 シーラモンが指差す先、荒々しい波が打ち寄せる水面から、異形の影がヌッと姿を現した。

 暗緑色の皮膚、鋭い牙、そして巨大なヒレと爪を持つ完全体デジモン、バニプモンだった。

 その目には、獲物を狩る捕食者の獰猛な輝きがあった。

 

「へっへっへ! このシーラモンも、なかなかのデータ量だったが、まだ足りねぇな!

 おい、そこの小さい奴ら、お前らもまとめて全部食ってやるよ!」

「こりゃ、分かりやすくていいな! 見境ないデジモンだ。

 カラテンモン、さっさとケリつけるぞ!」

「水場での戦闘は不利だが、避けては通れない。気をつけろ!」

 

 バニプモンはウィルス種のデジモンらしい容赦のなさで、

 いきなり水中に潜り、戦闘の舞台を支配した。

 

「ディープアタック!」

 バニプモンが水中に潜ると、水面が激しく揺らいだ。

 次の瞬間、バニプモンが驚異的な速度で水面を割り、

 巨大な体躯と鋭い爪でカラテンモンに襲いかかった。

 

「くっ、速いざんす! 水中からの奇襲は読めないざんす!」

 

 カラテンモンは間一髪で回避するが、

 その爪はカラテンモンの翼を僅かに掠り、痛烈なダメージを与える。

 バニプモンの攻撃は強烈で、掠っただけでもかなりの大ダメージだ。

 

「そんなものか? 次はこれだ!」

 その隙を突き、バニプモンは次の必殺技で広範囲を制圧しようとした。

 

「アビススクリーム!」

 バニプモンが巨大な口を開き、水底から強烈な低周波の超音波を放出する。

 超音波は水中を乱し、ヘイローモン、カラテンモン、

 ラピッドモンの聴覚と平衡感覚のデータを激しく揺さぶった。

 一度食らってしまうと、間違いなく混乱するだろう。

 

「くっ、音が……! 平衡感覚のデータが乱れる!」

「この低周波は、サイボーグの僕のセンサーにまで影響を及ぼしている! 照準が定まらない!」

 

 バニプモンは、完全体としての実力と、水場という有利な地形を最大限に活かし、

 多樹達のパートナーデジモンを追い詰めていく。

 

「そんな……ヘイローモン……」

「でも、諦めるんじゃねぇぞ!」

「こいつを倒して、五つ目の鍵の欠片を手に入れるんだ!」

 

 多樹は、苦戦するデジモン達を見て、冷静な判断を下した。

 

「ヘイローモン! 水中には入れないけど、電撃なら水を通す!

 バニプモンが潜っている水面下のデータを狙って!」

「分かったよ、多樹ちゃん!」

 

 ヘイローモンは、不安定な平衡感覚に耐えながら、多樹の指示に従った。

 

「食らえ! チェインライトニング!」

 

 ヘイローモンが青い雷光を放ち、それを水面に叩きつけると、水中のデータが一気に乱れた。

 バニプモンは水中での優位性を失い、苦しそうに水面に飛び出した。

 

「ぷはっ! 何しやがる!」

「よし、出てきたぜ! カラテンモン、あの音を打ち消せ!」

「お見通しざんす! 悟り!」

 

 カラテンモンは、験力を集中し、バニプモンの低周波に対抗する高周波のデータパルスを放ち、

 アビススクリームの効果を打ち消した。

 そして、零が最後の指示をラピッドモンに出した。

 

「ラピッドモン、チャンスだ! 奴の装甲は硬いが、口元とエラのデータが最も薄い!

 一点集中でデータを分解しろ!」

 

 ラピッドモンは、超音波の残滓が残る中、一瞬でターゲットをロックオンした。

 そして、自身が持つ最高の破壊力を持つ必殺技を放つ。

 

「お前の野望は……終わりだ!! ゴールデントライアングル!」

 

 全身から放たれた三色の分解光線は、水中にいるバニプモンの弱点である口元を正確に貫いた。

 

「グアァァァァ……! 俺様は、もっと捕食したかったのにが……!」

 

 バニプモンは、海を血のように染めるデータを残し、静かにその巨体を水中に沈めていった。

 

 静かになった波打ち際に、バニプモンが守っていた五つ目の鍵の欠片が、光を放って現れた。

 

「やった……! これで五つ目だよ!」

 

 多樹は鍵を拾い上げ、隣で様子を見ていたシーラモンに駆け寄った。

 シーラモンは、多樹達の勝利を確認し、安堵したように頷いた。

 

「ありがとう……子供達。お前達がいる限り、このデジタルワールドは、まだ腐らない……」

 

 シーラモンのデータは回復に向かっていった。

 多樹達は五つ目の鍵と共に、ウィザードの最終計画阻止に向けて、さらに一歩を踏み出した。




何気に完全体・水棲型・ウィルス種のデジモンは、亜種を除けば1体しかいなかったのです。
ま、そもそも都市伝説モチーフのデジモンがあまりいませんけどね……。

~オリジナルデジモン図鑑~

バニプモン
水棲の巨大な完全体デジモン。
その姿は、水棲動物のデータが不規則に融合したもので、
暗緑色の皮膚、鋭い牙、そして巨大なヒレや爪を持つ。
普段は水中に潜んでおり、水面下で獲物を待ち伏せる事を得意としている。
必殺技は巨大な体躯と鋭い爪で敵に突撃して引きずり込む「ディープスラッシュ」と、
口から強烈な低周波の超音波を放出する「アビススクリーム」。
・デジモンとしての情報
レベル:完全体
タイプ:水棲型
属性:ウィルス
必殺技:ディープスラッシュ、アビススクリーム
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