夜十二時、俺は目を覚ました。
「あーやっぱこんくらいで起きちまうか。」
流石に朝までは寝れなかったようだ。
まぁいいや。
飯でも食おう。
そう思いながら台所に行き、冷蔵庫の中から菓子パンを取り出す。
テレビ前のソファに座る。
「いただきます。」
そう言ってから菓子パンの袋を破く。
さて、ニュースでも見るか。
「世界初の完全没入型VRゲーム装置、『
へーVRか。ナーヴギアみたいな感じか?
デスゲームが起きないといいけど、、、
相当楽しそうだぞコレ。
調べてみるか。
えーっと?今日販売されるソフトは『クロムレースVR』っていうマ◯カのパクリと『
「他には何が…は?」
スマホにあり得ない情報が映し出されている。
それは今日発売されるとあるゲームの情報。
名前は…『試練の塔』
俺が読んでいた漫画の舞台だ。
『俺だけレベルマックスなビギナー』
裕人はゲーム実況者であり、万人があきらめたクソゲー『試練の塔』を挑戦しクリアした唯一のプレイヤーだ。
念願のエンディングを見ること自体はできたが、もう誰も興味を持たないこのゲームはサービス終了が確実視されていた。
11年もの歳月を掛け、『試練の塔』をクリアした裕人はこれを機に現実と向き合い、ゲーム実況者としての生活を終わらせることを決心した。
だが次の日、現実世界に異変が起きる。
街中に突如現れた不吉な塔、そして人類に課される生死をかけた試練。
それは裕人が11年の月日を費やしクリアした『試練の塔』そのものだった。
という物語だ。
そしてこの作品の中で最も重要なのが『試練の塔』だ。
攻略不可能とまで言われた高すぎる難易度、プレイヤーたちを襲う理不尽なトラップ、あらゆるプレイヤーが挑んだが、攻略した者はたった一人。
それが鈴木裕人だ。
裕人ですら11年かかったんだ。
俺がクリアできる訳ない。
だが―楽しそうだ。
今日買ってやってみよう。
そうして俺は、『試練の塔』を買うことを決めた。
だが俺は知らなかった。
この世界が―【終焉】の運命を歩んでいることを。
その日―世界は【決まった】
『守護者の道は此処に定まる。』
『本当に面白くなるのか?■ス■■■よ。』
『心配せずとも面白くなるさ。■■■■■ト。』
『ふん…お前がそう言うなら、そうなるだろうな。』
『あぁ、そうだ。だから今は待とうではないか。』
『観戦するのもまた一興か。』
支度を終えたので部屋に居たんだが、急に部屋にある鏡が光り始めた。
「なんだ?」
声が響く
『少し…鏡に触れてはくれないか?』
なぜだか俺は、その声に従ってしまった。
鏡に手を伸ばす。
鏡に手が触れる。
瞬間…世界が霧に覆われた。
鏡が眩しく光った後、身体が浮くような感覚を覚える。
そして光が消えた。
気が付くと俺は、霧に覆われた空間に居た。
声が響く
『さて、君が喜びそうな世界を用意したが―』
ウザってぇ声だ
『君は―愉しんでくれるだろうか?』
黙れよ
『此れは手厳しい。然し……』
何だ?
『君は気付いているのかな?この世界が…』
『【終焉】の運命を歩んでいることを。』
知らねぇよ。勝手にしやがれ。
『ふはっ、くふっ、くっ、ふははははっ!あぁ、そうかそうか。ならば此れ位にしておこうか。』
何だ?誰だコイツは?何を言っている?
『最後に…あぁ、此れは忠告だ。』
何だよコイツ
『君主が一人。』
『君主は一人、影と進む。』
『攻略者が一人。』
『攻略者は一人、塔を登る。』
『読者が一人。』
『読者は一人、本を読む。』
『愚者が一人。』
『愚者は一人、世界で眠る。』
『そして―全知者は二人。』
『片方は一人、総てを生き続け―』
『片方は一人、総てを超えゆく。』
『それでは、劇の開幕だ。』
『楽しんでくれるといいのだがね。』
アイツがそう言い切った瞬間、視界が開ける。
見えたのは石造りの長テーブル。
豪華という訳では無いが、中々に綺麗に作られている。
しかし、触ってみても職人が作ったようには感じられない。
霧の中、石造りのテーブルだけが存在を示している。
長テーブルを触ったり、テーブルの誕生日席にある玉座の様な椅子に座って王様気分を味わっていると…
突然、この霧の世界に『異物』が紛れ込んできた気がした。
どうやらこの世界と俺は深く繋がっているらしい、『異物』が入って来た事が感覚で分かる。
しかし一体誰だ?
パッと見た感じ、この世界は誰もが入れる様な場所ではない気がする。
まぁ、良い。
少し、歓迎してやろうか。