忙しくてモチベがない中でも皆さんが感想くださったので頑張りました……これだけ間隔開けたのなら書き溜めとけと言われるかもしれませんが!
ないんだなこれが!
警官一人をぶら下げるように宙を飛びながら、波動ねじれはこんなはずじゃなかったと、視界がじわりと歪むのを堪えきれなかった。
雄英高校に入る前。波動ねじれは孤立していた。きっかけは些細な行き違いと、嫉妬。強力な個性、美しい見た目、そしてパーソナルスペースをどんどん踏み越える積極性。
本来なら人懐っこくて見た目も能力も優秀な学生として受け入れられたのだろうが、間が悪かったのか、美しい見た目と個性を鼻にかけたいけ好かない奴として周囲から無視されることが増えた。
そんな波動ねじれが雄英高校に入学して、クラスメイトに声をかけてもらえた。
彼女は雄英で孤立することはなかった。
強力な個性の操作性を高めるために研鑽し、誰もが憧れるヒーローになることを夢見ていた。
波動ねじれにとって自分の個性と能力は嫉妬を買うほど強力で、ヒーローになるためにうってつけのものなのだというアイデンティティとなった。
「う……く……っ……!」
歯を食いしばる。
ヒーローは泣かない。助けなきゃいけない人を前にヒーローが泣いていたら、助けを求める人だって不安になってしまう。
でも、涙が溢れそうになる。
体育祭で目立った成績は残せなかった。
しかしリューキュウは素質があると言ってインターンに受け入れてくれた。個性により周囲への被害を与えやすい共通点から、個性の操作や周囲への配慮の技術を師事した。
インターンを通じて強くなった。
初めてのヴィラン退治も難なくできると信じていた。
結果は自分が負傷し、最後は自分より後輩の男の子に守られ、助けを借りてヴィランを倒した。
「波動チャンは優秀なんやろ」
「波動チャン、かっこよかったで」
優秀な後輩は微笑みかけてくれた。
その後輩を置いて、自分は今、涙をこらえて逃走している。
わかっている。
負傷者を運ぶことも大切なことで、足止めと撤退の役割分担でしかないことも、わかっている。
わかっていても、波動ねじれは心を苛む無力感に折れてしまいそうだった。
「う、う、ううぅぅ……!!」
声を堪えて飛ぶ。
その瞳からぼろぼろと大粒の涙が、頬をつたい、滴り落ちていた。
☆☆☆
「動くな!
ウォーターホース――出水流汰とその妻、水面がマスキュラーに追い付いたのは、下水道設備から地上へ戻る職員用の階段を上り切ったところだった。
今筋はめんどくさそうに表情をゆがめる。
「チッ、マジでヒーロー来やがったのかよ。でもあまり見ねえ顔だなァ……オールマイトとか来てたらサインがてら殴り合いでもしてみたかったけどよ」
ヒーローを前にしてもマスキュラーは逃げるそぶりを見せるどころか、個性『筋肉増強』を発動させる。両腕を肥大化した筋線維が覆う。
「まぁ、雑魚でもヒーローはヒーロー。俺、わかったんだよ。この個性で好きに暴れて、雑魚をプチっとやっちまうのは、結構楽しいって」
「道に迷ったティーンか? 大人になるともっと楽しいことはいっぱいあるぜ」
「へえ、是非とも教えて欲しい――なァ!!」
地面を蹴った今筋が砲弾と化して着弾する。
かろうじて躱す流汰と水面は返す刀で、水流を放つがまるで効かない。
マスキュラーが暴れるだけで瓦礫が吹き飛び、散弾のように襲い掛かってくるのをかわすので精一杯だった。
「貴方、このままじゃまずいわよ! せめて押し合える個性を持つヒーローがいないと……!」
「ヒーローがヒーロー見参を祈ってどうするんだ! 俺たちで食い止めるんだ」
「できるか? できるかなぁ……やってみろやァ! オラァァッ!」
マスキュラーのパンチはアスファルトを蜘蛛の巣状に砕き、踏み込みはコンクリートを容易に陥没させる。
個性が当たり前となった超常社会にあっても、まるで空想上の怪物を相手にしているようだった。
妻の水面を鼓舞した流汰だが、このままでは疲労で動けなくなったところでトドメをさされるのは時間の問題であることはわかっていた。
しかし自分の個性、そしてヒーローとしての技に状況を打破できるだけのものはない。
どうする?
必死に突進をかわし、水面との連携で僅かながらでもダメージを与える中で、流汰は思考を巡らせる。
わずかな高さの津波でも人間は立っていられないように、水流の質量は膨大だ。だが硬いもの、重いものに対しては流体故に破壊力は限られてしまう。
破壊するには、水圧が必要であり――
「――学生相手だろうと、教えは乞うもんだな!」
流汰は個性を発動する寸前で、溜める。
放水する手のひらが膨張し、皮膚が張り裂けそうな感覚を堪えた。
これは威力が高すぎるが、このままではマスキュラーを取り逃し、さらなる犠牲者を生み出してしまう。
「洸汰……父ちゃんはかっこいいヒーローだって、明日から自慢させてやるぜ!」
「誰だよそいつ! 潰れた後に紹介してくれよ!」
突進するマスキュラー目掛けて照準をあわせる。
細く、速く、鋭く、溜めて、放つ。
もう一回、海原には焼肉を御馳走しないとな、と感謝を内心で済ませた。
「――“
ひとすじの水の槍が、マスキュラーを貫いた。
☆☆☆
死が間近に迫ると、ビビっている暇すらないことをオレは今知った。
「バントォッ!」
奇妙な声を上げて飛び掛かってくる黒い人影。
鋭い攻撃をかわしても避けた先に水が押し寄せ、それを個性で操り防御する。しかし水の中から別の黒い怪人が飛び込んできた。
「ダイセイギッ!!」
鋭い爪を躱したかと思えば急にそれが伸びてくる。
体に切り傷を創りながら転がり、態勢を立て直せば咄嗟に両腕を体の前で重ねる。遅れて、凄まじいパンチが俺を撃ち抜く。防御してなければ今のは危なかった。
「ガットイッテドン!」
「どいつもこいつも微妙に聞き取れそうな鳴き声しやがって!」
関西弁を使う暇もない。既に警官隊と波動は撤退し、姿が見えない。
もう撤退したいが背中を見せればあっというまにミンチだ。
でかい隙を作るか、何体かは減らす必要があった。
しかしこちらの攻撃は当たっても――
「イカンワナ」
「削り取っても肉が盛り上がって再生って……クソ、どう見てもアレだよな」
黒い怪人たちはどれも脳みそが剥き出しのグロテスクな見た目をしている。
僕のヒーローアカデミアにおいて、悪の親玉であるAFOが使役する怪人『脳無』――この時期に使い物になっているかは知らなかったが、少なくとも今こうして相対しているのは、それで間違いない。
単純な身体能力で凌げているのを見るに、原作でオールマイトと戦った脳無ほどの性能はないようだが、ここまで複数の個性や超速再生を見せられては慰めにもならない。
「やべえな。死ぬかも」
首を鳴らして構える。
死んだら死んだでそれもいいかもな、なんて軽率な考えがよぎった。
オレはこの世界においては間違いなく異物で、今ここで死ねば物語に影も形もないモブどころか無かったものになる。
「それでいいんじゃねえか」
地面を飛び退く。オレが立っていた場所がひとりでにめり込んだ。
衝撃波の個性だろうか、しかも不可視の技らしくひどく面倒だ。
気を抜けば死は免れない攻撃に対して、全力で気を張って、ギリギリで躱し続けている。
死んでもいい――そう思っているはずなのに、生きるのをやめようとしない。
(……なんだかんだ、痛いし、死にたくない)
鼻先を拳が掠め、鋭い爪が薄皮を切り裂く。
迫りくる黒い影たちを前に、オレは思考を加速させていた。
「ジャイアンツアイッ!」
「偏った思想を感じる!!」
側面から飛び込んできた一体を、水の壁で弾き返す。だが、弾かれた直後に別の脳無が角から殴りかかってくる。
水で防御膜を張り、衝撃を逃がしながらも、靴底をコンクリートに擦りつけて後退する。
それでも威力を殺しきれず、口の中に鉄の味が広がった。
「五体はキツいな……」
息が上がる。
個性の「水分操作」は万能に見えて、実際には操作する水の量や複雑な形を維持するのに集中力と体力を激しく消費する。
周囲に水場がないこの貯水槽で、オレが持ち込んだペットボトルの水と、先ほどの戦闘で使った水、そしてヴィランの血や汗と混ざったわずかな水分だけで立ち回るのは、限界に近かった。
一匹、また一匹と、致命傷を避けるように急所を狙うが、超速再生を持つこいつらには決定打にならない。
「クロマティィィ!」
「お前らマジで野球好きだな!?」
冗談を言う余裕もなくなってきた。
視界が汗で霞む。防戦一方だ。
次第に手数が追いつかなくなり、オレの体に浅くない切り傷や打撲が増えていく。
このまま削り殺される。そう直感した時だった。
――思った以上に粘りおる。あの肉体も意外と使えるかもしれん。殺さない程度に頼むぞ……偶然お前を隠しておいてよかった。
スピーカーから流れるざらついた音響が場違いに響き渡った。直後――ズズズ、という巨大な何かを引きずる音が地下水路を激しく揺らした。
「なん……!?」
メキメキとコンクリートの天井が悲鳴を上げ、次の瞬間、規格外の轟音と共に頭上の空間が完全に崩落した。
降り注ぐ何十トンもの瓦礫と土砂。
そして、その土煙の中から現れたのは――「山」だった。
いや、違う。岩肌のような皮膚を持つ、見上げるほどに巨大な「怪物」だ。
「主ノ……タメニ……!!」
地鳴りのような低い声。
脳無たちすらも霞むほどの圧倒的な絶望感。ギガントマキア。後の世で歩く災害と呼ばれる、オール・フォー・ワンの忠実なる下僕。
なぜこんな所に……と考える暇すらなかった。
マキアが、ただ道をこじ開けるために無造作にその巨大な腕を振るった。
「――ッ!?」
狙われたわけではない。ただの腕振りの「余波」だった。
だが、それは災害そのものだ。
巻き起こった暴風と、砲弾のように弾け飛んだ巨大な瓦礫が、反応する間もなく、疲弊しきったオレの全身を薙ぎ払った。
「が、はァッ……!!」
体が宙に浮く。
紙切れのように吹き飛ばされ、数十メートル先の分厚いコンクリートの壁に激突した。
――体の中で、絶対に鳴ってはいけない鈍い音が響いた。
そのまま崩れ落ち、地面に縫い付けられる。
「あ……が……?」
息ができない。口からとめどなく血が溢れる。
それ以上に、恐ろしい事態が起きていた。
痛くないのだ。
正確には、腰から下の感覚が、完全に「消失」していた。指先一つ動かすどころか、そこに自分の脚が存在しているのかどうかすら脳が認識していない。
(あ……これ……背骨、イッたな)
今際の際に、呆れてしまうほど冷徹に状況を分析する。脊髄損傷。それも、完全な断裂。
二度と自力で歩くことはできない。いや、歩く以前に、今のオレは肺も内臓もやられ、出血もひどく、数分後には確実に死ぬ。
「センターローズ……」
「イカンデショ!!」
「主ヨ……アナタハ……今ドコニ……」
『ううむあまり言うこと聞いてくれんから頼りたくないんじゃがのう。とりあえずAFOから指示された山にでも移動するか』
「主ノ御所ヘ……!」
「デタワネ」
『小規模とはいえ脳無の研究拠点のひとつじゃというのに。もったいない……今どきSDGsは基本じゃよ』
瓦礫を掻き分け、五体の脳無と、その奥で山のような巨神がこちらに無慈悲な目を向けたが、興味をなくしてどこか別の方向を向いて歩き出した。
終わった。
なんてことはない。ただのモブとして、原作の舞台に立つ前に、名もなき暗がりの地下で死ぬ。
フィクションだと思っていた世界。
ごっこ遊びで楽しもうと思っていただけの第二の人生。
(――まァ、こんなもんだ)
死んでから有り得ないはずの人生を少しだけ歩ませてもらえた。
それだけで天からの贈り物だと、大事に抱えるべきで、こうして好き勝手やって死ぬのはむしろ幸せなことだ。
(全然痛くねェ……寒い……)
目を閉じる。
体から真っ赤な熱が溢れて地面に広がっていく。
このまま俺は死んで、そして俺の知らないところでこの世界は回り続ける。前世よりも危険で治安が悪い世界なんてこっちから願い下げだ。別にいい――別に、いいはず、だったのに。
「――流汰、さん」
血と一緒に、名前を吐き出した。
えずきながら必死に口は空気を求めて、ひゅうひゅう、ぜえぜえと血が粟立つ音を奏でている。
「水面さん……」
微動だにしない足。
力が入らない腕。
捻じ曲がる視界。
耳鳴りが止まない世界。
「洸汰……!」
どうでもいいと思っていた世界で、出会った、平凡な三人の家族たちが脳裏で笑顔を浮かべている。
この世界でも、きっと彼らのような家族はどこにでもいるはずで、ありきたりな存在だ。
それなのに――どうして尊いと思うのだろう。
どうして、美しいのだろう。
どうして――立てないはずの足に必死に力を込めているのだろう。
「――守ら、なくて、は……!」
顔面を床に押し付け、両腕に力を入れる。
脊髄が千切れて動かないなら、別の手段で動かせ。個性なんて、前世じゃ有り得ないものを手にしているんだから、今が使い時だろうが。
「は――は、はぁ……は――……!」
必死にのたうちまわる自分が可笑しくて変な笑いが込み上げてくる。
俺が立たなければ、こいつらは流汰さんたちのところへ行くかもしれない。そうでなくても、今まさにマスキュラーと戦っているかもしれない。
俺が立つんだ。
地球において万物を生み出した水――極限まで深淵に手を伸ばせ。
個性はどこまでいっても個性、科学ではない。科学でできないからと言わず、ただ個性だからできると、信じ抜く。
「ふ――あ、はは……」
「ギ……」
「ンア……?」
脳無たちが足を止める。ギガントマキアが振り向く。死に体の俺に対して、注意を向けている。
奴らの警戒するシナプスが吐息、血液、汗から伝わってくる。
――水。一酸化二水素。H2O。水素と酸素の結合。
人体とは、なにか。
60%以上が水で出来ている、有機物の塊だ。
動かない下半身。切断された神経。神経を伝達する電気信号。それらを媒介するのは、体内の水分と電解質。
(繋げばいいだけだ……しょせんこの世は作り物。できると念じれば、容易いこと)
水への解像度が文字通り原子レベルまで精密になっていく。
水を押し出し、形を変える操作が幼稚な水遊びにしか思えなくなる。
水分子のひとつひとつの運動を知覚し、温度、圧力、結合を支配し、操作する。
脊髄で途切れた電気信号を血液を介して電解質の濃度を調整して送り込み、筋肉を稼働させる。維持できない体温は水分の分子運動で調整し、電気信号で足りない筋肉操作や損傷して動けない箇所は水の圧力を操作し支持させる。
苦痛が――凪いでいく。
脳の神経回路がガリガリと音を立てて焼ききれそうな気配がするのに、笑いが込み上げてくる。
「く、ははっ……再起動だ……」
ゆっくりと血だまりの中からオレは立ち上がった。
足裏から伝わる感触は微妙に違う。少しだけ調整すると、しっくりきた。
ありえない光景に、知能の低い脳無たちですら一瞬動きを止める。
立ち上がったオレの視界は、異様なほどクリアだった。
地下水路の淀んだ湿気、脳無たちの体内を巡る濁った体液、マキアの吐く息に含まれる水分、そして遥か地上で降り注ぐ雨のひと雫まで。
世界中の『水』が、オレの指先と不可視の糸で繋がっているような感覚。
絶対的な全能感。文字通りの、神の視座だった。
(ああ――わかるよAFO)
こんな圧倒的な力を手に入れたのなら、全部手にしたい。全部自分の好きなようにしたい。
そう思って当然だ。
だって、できるんだから。
むしろ日本に住む人間はすべてオールマイトに深く感謝すべきだ。
一日もあれば日本を更地にできる怪物が、寄り添い、笑顔を振りまく、誰よりも善性に満ちた人であることに。
「エンドランッ!!」
脳無たちが一斉に飛びかかってくる。
さっきまでなぜ必死こいて避けていたのかわからなくなるほど簡単に攻撃をかわす。
薄皮一枚にも触れられない位置を爪がすりぬける。
避けた先を巨体で押しつぶそうとしてくるのを、二歩動いて避ける。
見送った不可視の衝撃波と、空気の塊の砲弾が目の前を交差した。
脳無が足りない頭を働かせて連携している。
危機に瀕した時にこそ能力が覚醒するのは、俺も、脳無も、生き物である以上同じらしい。
「でも足りない」
血も、足りない。
一体の脳無の拳を受け止めた瞬間、あらゆる水分を引き抜いた。
一瞬でその脳無は搾りカスになって地面に崩れ落ちる。くしゃくしゃにまるめた新聞紙のように。
体液を解析、あらゆる成分と異物と有効な成分を見て、余計なものは操作して、排除して、残った分を体内の血管にぶちこむ。
貧血が治る。
「――お前らが徒党を組んでも、もう足りない」
「アアアアアァァァァア!!!??」
「恐怖を知ったのか、今更」
拳を振り回して叫ぶ脳無の頭に触れ、血圧を超高圧に操作した次の瞬間には、血煙が拡散した。
「二体目……三体目か」
言い切るより速く、少し離れた位置にいた脳無を水の刃で膾切りにしてバラバラと地面に転がした。
曲がりなりにも生きている存在を前にして、ピカピカのスポーツカーに初めて乗って、サーキットを走り回るかのような初々しい気持ちで、色んなことを試したくなる。
「簡単だ。びっくりするくらい簡単」
四体目は水の中に閉じ込めて、圧力で潰した。血すら出ず、極小の塊に変わった。
最後の脳無は背を向けて走り出していた。
今まで大量の水を用意して、全力で操作しないといけなかった技を放った。
「“
自販機のボタンを押すより簡単に、破壊の瀑布が脳無を飲み込んで、押しつぶした。
血肉は水に混ざってどこかに消える。
脳無五体は片付いた。
ただ黙って見下ろす、ギガントマキアと目が合った。
「あ、アア……! ア……!? 主ノ、タメ、ニ……! オマエハ……消サナクテハ!」
『いっ、いかんマキア! やめろ、今すぐ退け! 今まで指示出さないと動かないくせにこういうときだけ勝手に動きおって!!』
ギガントマキアが拳を叩きつけるだけで地下空間が崩壊し、崩れ始めた。
さっきの濁龍でもこの巨体と質量にダメージを与えるにはとてもではないが足りない。
硬い肌を貫く貫通力、それでいて行動不能に陥らせるだけの火力が必要。
崩落する瓦礫を飛び乗りながら手の内に水分を集め、循環させ、圧縮し、さらに集める。
水はどんな圧力を与えても体積を変えない“硬い”物質。
それを個性で引き出し、無理矢理押し込める。
ここではない、どこか――例えるなら、個性が繋がる空間を越えた異空間から、水が文字通り無限に溢れてきて、それを片端から集め、しかしひとつの体積に押し込めていく。
ギチギチ、ギチギチ、と液体から放たれるとは思えない耳障りな音が崩落に混じる。
『くっ、ジョンちゃん頼む!!』
「ウアアアアアア――――――ッ!!!!」
手のひらが目の前に迫り、視界が影に覆われ暗くなる。
ほの暗い闇の中でなお、指先に輝く一滴。
蒼い無謬の光。
この世ならざる物質。
人と神の境界線すら引き直す雷にも似たそれに、名づける。
「――“
蒼い閃光が音もなく、駆け抜けた。
マキア「これ本当に主のためなんですか……?」(ムキッムキッ♡
ドクター「本当だとも……ここで研究所を守るんじゃぞ……」(ハァハァ
AFO「信じて送り出した僕のマキアが変態ドクターのいいなりになっているなんて……!」
散々待たせてオリ主覚醒回からのまだ進まず。ごめんて。キリがよかったんだもん。