リリスがエ□ゲ版Fateに召喚された話   作:サルミアッキ

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FakeのOP「スゲェー⁉」
FakeのED「カニファンだこれー!?」


柳洞寺の魔女

「……え?柳洞寺?」

 

 穗群原学園の大学棟。その一室で、衛宮士郎と遠坂凛は間桐慎二からある情報を入手した。

 

「そうだ衛宮。僕のランサーに魔力を集めていた時、角と蝙蝠の羽を持つサーヴァントに会ってね。そいつが撤退した時に向かったのが柳洞寺だ。どうやら、どこかの陣営が寺に陣を敷いているらしいぜ」

 

 あの時のヤツか……、と思い至る二人。どうやらまだ死んではいなかったらしいと、表情を引き締める。慎二は伝えたいことは言い終わった、とばかりに飲んでいた缶コーヒーを講堂内のゴミ箱へ捨てる。

 

「ありえない話じゃないわね。柳洞寺は遠坂の屋敷以上の霊地……そこを拠点としているなら、魔術に長けたスキルを持つサーヴァントである可能性が高い。だとすると、長期間放置するのは危険ね……。下手をすれば、冬木は死都になるわ」

「……!」

 

 衛宮士郎の脳裏に、冬木の大火災の様子がフラッシュバックする。彼が、少ない可能性であれ……その悲劇の発生を見過ごすことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柳洞寺、結界内。

 

「乗、着」

 

 片手にカードフォルダーを持ったアダムの肉体に集う緑光の粒子が、強固な鎧に変わる。そして、彼のバトルグローブの指先が、バインダーにファイリングされた一枚のサーヴァントカードを取り出した。

 

「夢幻召喚」

 

 野獣の頭を持つ戦士が描かれたカードが、光となってアイギス・アマルテイアへ吸収される。

 

【Install, Beaserker.】

 

 アイギス・アマルテイアに搭載された人工知能のアナウンスと共に変わるアダムの肉体。その姿は、第四次聖杯戦争で活躍したバーサーカー、真名『ランスロット』そのものだった。

 

「宝具……『己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)』」

 

 黒騎士の鎧に、仄かに赤い光が走る。彼の右腕に一瞬輝いた蛇の紋様……令呪一画が使用されると、体から漆黒の煙が巻き上がった。

 黒煙が別の姿を形作る。風に、水色混じりの銀髪が揺れた。露出度が高い黒と白のドレスに、エミヤ・リリン一体を使い潰すことで製造した『槍杖』が手元に現れる。

 

「あ、あー。————ふむ。言語能力の調整も問題がありませんね」

 

 雪のように白い肌に浮かぶ水色の唇から、冷たい美声が零れ墜ちた。衛宮士郎に召喚されたセイバーとよく似た、だが少しばかり大人びた外見の魔女が、柳洞寺の境内に立っている。

 

「では、もう一つ手札を切っておきましょう」

 

 右手を宙へと突き出すと、女の指先から一滴の水銀が零れ墜ちようとしていた。

 

【Confirm transmission of servant program.】

【Do you want to start up the Typhon OS after downloading?】

 

〖Yes.〗

 

【Downloading servant program.】

【Downloading….】

【Downloading….】

【download completed.】

 

 肉体に波紋のように広がる電子状の模様。新たなるプログラムが、魔女の形に擬態したアイギス・アマルテイア内部に駆け巡る。

 

「……沸き立て、我が血潮」

 

【Starting Typhonic multidimensional printer.】

【Printing out Trimmau-1000CA.】

【Printing….】

【Printing….】

【Print completed.】

 

 パンドラクラウドからテュフォニック多次元プリンターのアプリケーションソフトをダウンロードされたアイギス・アマルテイアから、一滴の液体金属が地面に落ちた。液体金属の体積が人間大まで増殖し、重力に逆らうように立ち上がる。

 

月霊(ムーン)癌液(キャンサー)模倣隷装(トリムマウ)。お前に、オーダーを与えましょう。敵については既に、パンドラシステムのクラウドから対象データが送られているはずだ」

 

 マネキン人形のような凹凸の無い形に、幾千本の溝や細かなディティールが入り、一体の使い魔の姿を創り出す。

 

【From Pandora cloud to Trimmau-1000CA. Find the enemy, and killing them soon. Do you copy?】

 

「Cooooopyyyyy……thaaaaat……!」

 

 アイギス・アマルテイアとサーヴァントカードの能力を共有したフェイク・トリムマウは、バーサーカー・ランスロットの姿となって、騎士のように『雨の魔女』の目の前に跪いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冬木市、森の奥にあるアインツベルン城。

 

 アダムの手によって舌に令呪が現れたホムンクルスは、長い白髪を後頭部で結び、ポニーテールにすると、書庫に繋がる廊下に足を運ぶ。

 ぎぃ……と重々しく開く扉に、かすかなインクの香り。窓からは夕暮れの沈む太陽から差し込む赤い光。幾千もの蔵書の中の厳かな雰囲気に心が落ち着く。

 

「————あら、体の具合はもう良いの?」

 

 突然、声がかかる。ポニーテールを揺らして無銘のホムンクルスは振り返ると、夕陽よりも赤い視線と目が合った。

 肩までかかる白い髪を上品にまとめたホムンクルスが、読んでいた本を閉じて、無銘のホムンクルスを眺めていた。

 

「……()()()()。どうしてここに?」

 

 彼女に声をかけられた無銘のホムンクルスは、数冊の神話大全を手に取ると、彼女と向かい合うようにマホガニー材の椅子に腰を下ろした。

 

「戦闘用ホムンクルスを倒したイレギュラー、貴女と戦った鎧の男に興味があって。お嬢様はほら、今……アレでしょう?」

「またアーチャー……、ヘラクレスと口論を?」

「そうね。セラは仲裁役。リズは……まあ、サーヴァントが来ないかの見張りよ」

「リズのスペックはセイバークラスのサーヴァントと互角でしたね。……我々、本当に必要だったのでしょうか?」

「リーゼリットの設計思想はアニムスフィアの施設から盗み見たデミ・サーヴァント計画に基づいてもいるでしょう?急遽彼女に組み込んだ術式が偶然製造に成功しただけだし、我々の存在理由は変わらないわ」

 

 机に備え付けられたエミール・ガレのランプのスイッチを押し、世間話をしつつも持っていた本を読みだす二人。

 

「そう言えば、名前を聞いていなかったわね。ええと……?」

「私は鋳造された際、戦闘用の消耗品としてデザインされているので、名前は有りません。貴女と違って、お嬢様の世話役に選ばれたわけでもないですし」

「あら。でも、それだと不便じゃないかしら」

「そうですね。……では、手頃な文献からそれらしい名前を付けましょう」

 

 丁度、手元で開いていたギリシャ神話の本に視線を走らせる名無しのホムンクルス。ふと、目についたのは、とある女神の名前。

 そう言えば聖杯戦争御三家である宝石の家系に関係があるな、と唇を柔らかく解く。

 

「……では、Χαρις(カリス)。これからは()()()と名乗りましょう」

「お嬢様の耳に入ったら怒られないかしら?聖杯(カリス)だなんて」

「綴りが違うので別にいいでしょう?優雅たる女神の名前です」

「それもそれで不遜よね……」

 

 指先で髪を弄るフィリアに向かって、ぼそりと無銘だったホムンクルス……、カリスは呟いた。

 

「……貴女の為でもあるのですがね、フィリア」

「……はい?」

「いえ、何でも」

 

 貴女が疑似サーヴァントとなるより、優雅を家訓とする少女を核とする疑似サーヴァントとなった方が、あの駄女神は操りやすいですしね————。そんな思惑と言葉をカリスは心の中で呑み込み、本で口元を隠して舌を出した。

 

(問題は私が召喚するサーヴァントですが、第四次のアーチャーを排除しなければ召喚もままなりませんね。本体(アダム)が聖杯に干渉するかどうかで呼び出せるか否かも変わりますし。呼べなかった場合、この令呪でヘラクレスを止めるという無理難題があるんですが……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冬木市、竹林に囲まれたとある名家の武家屋敷。

 

「……むにゃ」

 

 一人の少女が布団にくるまり、夢の中にいる。ぽわぽわと幸せそうに涎を垂らして、友達になった(と本人は思っている)白髪赤目の少女(イリヤ)と楽しく夢で遊んでいた。

 

『ミユー、こっちこっちー!』

『待ってよ、イリヤー』

 

 あはは、うふふ、あはは……と海岸を水着姿で走っている二人の女子小学生。イリヤは水鉄砲を使って美遊の顔に海水を浴びせてくる。

 

『もう、イリヤぁ!』

 

 クーラーボックスに入っていた何かよくわからない黄色に光る魚のような妖精(ナニカ)を放り投げ、たも網を使って水飛沫をイリヤに当てようとした。

 ……ところが。

 

『わっぷ』

『え?』

 

 振った網が、誰かの顔にかかっている。

 

『お姉さん、誰?』

『うん。まずはごめんなさいしなさいよお転婆ちゃん』

 

 黒とピンクの浮き輪に黒い水着を着た、黒い角と羽を持つ銀髪の美女が、頭に被さった網を腕でのけながらそう告げた。

 

『で、誰なの?』

『そだねぇ。アイリーン・アドラー……とか?』

 

 水着イベ星5礼装(ストーミー・ナイト)な魔女がお道化て言う。

 

『うっそだぁ。シャーロック・ホームズの?そんな頭良さそうに見えないよ?』

『ふーん、結構言うじゃんこのメスガキ……。あ、やめてね?その武器、アテシにイリヤ特性付与しかねないから。このまま帰ったらマスターに、じゃあ小聖杯の心臓になったか試したい、バラして良いか?とか言われかねないから』

 

 何を言ってるんだ、と思わずジト目になる美遊。シャーロック・ホームズシリーズは読んだことがあったが、眼前の人間(?)は理智的なあのアイリーン・アドラーとは結び付かなかった。ここが夢の中だと薄ぼんやり感じながらも、目の前にいるサキュバス紛いな変な美人の言葉に耳を傾ける。

 

『ところで君……、あっちで遊んでるイリヤスフィールのこと、大切かい?』

『え、うん。そうだけど』

『どうして?』

『だって、友達だもの』

『ほー……友達、ねぇ?』

 

 黒とピンクの浮き輪を使って波間にぷかぷか浮かぶ自称アイリーン・アドラーは、意地の悪い表情を顔に浮かべると、朔月美遊に向かってこう告げた。

 

『それじゃあ、これからこんなことが起きると仮定しよう。冬木でとある戦争が起こる。その時、イリヤスフィールが死ねば平穏に戦争は終わる。一方で、イリヤスフィールを助けようとすれば戦争は世界中に広がり地球そのものを滅ぼす。さて、こんなことになったら君はどうするかな?』

『……は?何言ってるの?』

 

 その言葉のあまりの唐突さに理解が追い付かなかった。

 南国の風が二人の頬を撫でている。あまりに穏やかな空間に、沈黙が流れる。

 

『……ま、すぐに答えを出せって言うのは無理だよねー。別の世界(カレイドライナー)でもイリヤスフィールが決意固まるまで色々あったし』

 

 ざざーん、ざざーんと波が白い砂を攫って行く。謎の水着のお姉さんの姿は夢幻のように霞がかかる。

 

『————ああでも、ついでだし。アテシのマスターから一つプレゼントがあったんだ。もし、答えが出たら使ってくれて構わないよ?』

 

 

 

 ……ふと、目が覚める。しんしんと染み入るような、冬の夜だった。夜空には大きな月が昇っている。

 

「……何、このカード?」

 

 障子の隙間から月光が差し込む。月に照らされた朔月美遊の掌には、何時から持っていたのか分からない、しかしどこか懐かしいような、因縁のあるようなカードがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜遅くの柳洞寺。魔力が冬木市各所から集まり、異界化しつつある境内の結界。アダム・ルリア・アシュケナジーである俺……いや、今や魔女である私の陣地に二組のマスターとサーヴァントがやって来た。

 

「シロウ、止まって!サーヴァントの気配がします!……っ?」

 

 前衛として突破口を開くためのセイバーとそのマスター、衛宮士郎。そして、はるか後方で狙撃を狙っていると思しきフェイカーと遠坂凛。ふむ、セオリーとしては正しいな。

 

「……いえ、これは————サーヴァントでありながら、人間の気配も混じっている……?」

 

 おっと、お寺にある池を使った水鏡(偽)で周囲をモニターするのもここまでか。じゃり、と鎧が敷石を踏む音が後ろから聞こえて来た。

 厳かに、王のように威厳たっぷりに立ち上がり、振り返ってフェイスベールに覆われた顔を晒す。

 

「初めまして衛宮士郎。私はサーヴァント、『()()()()』」

「……ルーラー?」

 

 遠坂凛から教わった聖杯戦争知識には基本以外のエクストラクラスについては無かったらしい。まあ、そうか。番外クラスのアヴェンジャーを知っているのはこの世界線だとアインツベルンだけだし。そもそも私、サーヴァントですらないし。これ、何てプリテンダー?

 

「ば、かな————。な、何故……?何故だ……」

 

 お、意外とセイバーにクリティカル入ったか。この口調も本物らしく演じているだけなのだが、今のところボロは出ていないらしい。良かった良かった。

 

「そこにいるブリテンの騎士王、アルトリア・ペンドラゴンの————姉です」

「何故、貴女がここにいる!答えろ()()()()————ッ!」

「な……セイバーの、お姉さん?」

 

 では、このまま私はモルガンのロールプレイをしつつ、青王のメンタルケア(荒治療)に努めるとしよう。メンタルつよつよセイバーなら最低限ギルガメッシュorアチャクレスと相打ち位にはなれるだろ。

 

「何故ここにいるか、の質問か?当然、聖杯に呼ばれたからだ。とはいえ、私のこの状態は正規の英霊召喚ではありません。現に、純粋なサーヴァントではなく、現世の人間を依代とすることで存在を保っているだけ。そもそも、ルーラークラスが呼ばれる聖杯戦争など、イリーガルにも程がある。かつて呼ばれた英霊に何か異常が見られるのか、はたまた聖杯自体が機能不全を起こしているのか……さて?」

 

 この位のヒントは言っておいていいだろう。わざと結界に穴を開けさせておいたし……なぁ聞いているのだろう遠坂凛、そして正義の味方殿?

 

「現世の人間……?」

「ええ。この肉体は現代のブリテン……いえ、当世ではイギリスと言うのでしたか?その地にある霊園、ブラックモアの墓所に生まれた人間のもの。嘗て、私がアーサー王の遺体と聖槍を運び込んだ村だ」

 

 まぁ。嘘だけど。すまんなウェイバー・ベルベット。お前の所のグレイの生い立ちをちょっと借りて、いもしない架空の依代設定を作らせてもらったぞ。さて、この設定は正義の味方に憧れる男の子には効くかなっと。

 

「要するに、この身体は人質というやつですね。合理のまま、このままこの肉体を斬り捨てても良いが、さてどうする?愚妹のマスターとなった刀鍛冶の少年」

 

 ぎりっ、と歯噛みをした衛宮士郎。ああ、良かった。これなら付け入る隙があるかもしれないな。

 

「千年以上もかけ、王の映し身を創り出そうとした村人たち。未来にアーサー王が復活すると信じていた国民たち。成る程、我々のブリテンは栄えるでしょう。幾つもの亡骸を犠牲にして」

 

 ふむ、さて。青王もZeroセイバーならやりやすかったんだろうが、見たところこっちはステナセイバーだから多少の外道働きも許容できそうだし。

 

「さぁ、アーサー王。未来という今に復活する理想の王。サーヴァントとして復活した気分はどうだ?」

「……ッ、知れたこと。貴様がどうであれ、私は聖杯を手に入れる……!」

 

 ————ふむふむ。多少は精神攻撃として効いている、といったところか?

 

(あの口調……おそらく、モルガンにはヴィヴィアンの人格と女神モルガンの存在が統合されている。サーヴァントとして呼ばれても、一側面としてそれぞれが切り分けられて呼ばれると思っていたが、厄介な……)

 

 ……とか思っているんだろうな。実際、ヴィヴィアンをトネリコ成分多めの魔術師人格、モルガンをアポのヒス女系で演じてるわけだが。ちぇっ、異聞帯モルガンは参考にならないし、やりづらいな。

 

「そうですか。いや、意外だな。お前のことだ。てっきり、『選定のやり直し』でも望むものかと思っていたのですが」

「何……?」

「そうだったら話は早かった、アルトリア。それならば我々は共に同じ願いを叶えることができる」

「————在り得ない。そんなことは無い。私が聖杯にかける望みと、貴様のような魔女が願うことなど……」

 

 でもな。並行同位体の話になるが、救世主に徹すれば何とかなりそうな部分もありそうなんだよな。妖精國という壮大な絵本を描いた、あのヴィヴィアンだったなら。

 これは、ただの天球が思いついた妄想だ。俺や()()のような、孤独な星が見た夢だ。これを正しい歴史だとは言わないが、真に迫る嘘だとは思えるだろう?

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ……なーんて。ありえもしないが、精神的に負荷をかけるには丁度良い線の言葉を耳に届かせてやる。効いても効かなくても、不協和音の種をまいておくのは大切だしね。

 ————おや?

 

「そん……っ、ま……いや、違……」

「セイバー……?」

 

 あれ、意外とクリティカル判定?なら……。

 

「私は制裁者としてのルーラーではなく、支配者たるルーラーとして呼び出される英霊だ。つまり、この聖杯戦争を裁定する役目は無く、この戦争を掌の上で支配することこそが、私の正しい在り方です。故に————」

 

 こんなこともできますよ、と。

 

「行きなさい、バーサーカー」

 

 まぁ、何もかもが嘘ですけど。サーヴァントですらないし、どっちかっていうと機械ですし。神秘に干渉できるようになった●ーミネーター1000だなこれ。

 

「Aaaaaarthuuuuuur……!」

 

 フェイク・トリムマウが擬態したランスロットが、セイバーに急接近する。凄まじい移動速度。あまりに突然のことに、私の精神口撃を受けて顔色の悪い青王は身動きできない。私を警戒していたが故に、直感が発動する暇も無く、身を翻す暇も無く、セイバーと衛宮士郎の視界の中で、ランスロット(偽)は、そのヘルムの内の表情をうかがい知れぬまま、アロンダイトを振りかぶり……。

 

「ルーラーがルールを破るのか……!」

 

 おっと、伯爵構文の途中だが、コーチャー(偽)だ。たまらず飛び出すところは遠坂凛だな。心の贅肉だらけで助かるよ。

 エミヤ・リリンから作り出したアロンダイトが、フェイカーの握る干将莫邪を叩き割る。苦々しい顔になったエミヤは、続けざまに幾つもの刀剣を投影して射出してくるが、よしよし、ラッキー。騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)の本領発揮だ。

 

「取られた⁉アーチャーの武器が⁉」

「チッ、えらく芸達者なバーサーカーだな……。凛、下がるぞ。私ではあのサーヴァントと相性が悪い」

 

 思った通りの反応をありがとう。

 

「……その、鎧は……、まさか、また————⁉」

 

 セイバーは愕然とした絶望顔を晒している。

 

「そう。私の呼びかけに応じてくれた円卓最強の、湖の騎士ですよ。ああ、貴女は第四次聖杯戦争でも出会っていましたね?」

 

 にこり、と悪役のような微笑を作ってみる。……この格好をして分かったことだが、表情筋かったいなモルガン。

 

「サー・ランスロット……、そこまで、私が————あ、あああああ……!」

 

 あれ、もしかして第四次でランスロットの心境汲み取れなかった感じ?あー、だからトリスタンに「王人心分」とか言われるんじゃ……いや、どっちが悪いとかないパターンなのかコレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅん。上手いこと誘導できた感じか」

「悪い奴だねー、間桐慎二。で、どこまで計算通り?」

「……やぁ、バーサーカー。ああ、そう言えばウチのお爺様を殺してくれたお礼、言ってなかったっけ?」

「感謝されて当然の行いだなんて思ってないよ、アテシのマスター。アレは生かしておいて得が無い、存在が邪魔だったから殺しただけ。その点、君はアテシたちにとって得な相手だ」

 

 柳洞寺の様子を遠方から望遠鏡を使って観察していた間桐慎二。その隣には間桐のサーヴァントであるランサーはおらず、代わりに一体のリリンが控えていた。

 

「確かに魔術師(メイガス)の才能は無いよねー。生まれつきの魔術回路も痕跡程度。だけど今の君なら、ある条件下なら色んな事ができそうだよ」

「————、ふん。桜共々体を勝手に改造し(いじっ)ておいてソレかよ?」

 

 そう。時間は間桐邸宅襲撃時にさかのぼる。間桐桜の体内から聖杯の欠片と臓硯の蟲を排除したついでに、彼らバーサーカー陣営は、間桐慎二にもナノマシン注射手術を数秒の手際で施していた。

 

「時計塔の魔術師……カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが基礎理論を構成し、アトラス院が開発し、そしてアテシのマスターがナノマシン出力機で現実世界でも使えるようにした電脳術式、コードキャスト。それを使う才能が君の精神と魂にはあった。だから肉体にちょちょいと細工を、ね」

 

 なんてこともないように、人体実験のことを告げて来たリリン。間桐慎二は忌々しそうに舌打ちをすると、不機嫌そうに髪を弄る。

 

「は。僕は差し詰めモルモットか」

「どうとらえるかは君次第さね。好きなように暴れても良いし、アテシたちの寝首をかいても良いよ」

「よく言うよお前、バーサーカーのクセによく回る口だなホント。こういうの、遠隔で自爆とかするやつだろ?というか、僕があんたらだったらブレーカー仕込んでおくぜ」

「ふふふー、さてどうだろうね?」

 

 お互い腹に一物持つ会話をするリリンと慎二だった。




キャスターっぽいルーラー(のふりをするプリテンダー【のふりをするマスター】)

 Fake放送に影響されてフィリア出しましたが、ほぼあの駄女神の人格だからホムンクルスの人格描写がアヤカ・サジョウの回想シーンくらいしかねえ。
 あと、美遊の水着云々は半年遅れで夏イベのアレに影響されました。
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