----------
今日も遊びに来たよー。
…。
この場所ってすごく広いじゃない?だから思いっきり蹴れるんじゃないかと思って鞠持ってきた!
…。
遊び方教えて上げるからこれで遊ぼ!
…ねぇ。
ん?何ー?
何で毎日ここに来るの?
何でって、ひまだからだけど。
……この辺りは危険な妖怪も出てくるから帰った方が良いと思うよ。
え?まだおそわれてないからいいじゃん。
……うーん。
というかあなたもようかいなんでしょ?襲ってきたら守ってよ。
……いや、なんで
行くよ~。けり返してね~。
…はぁ。
…ねぇ。
はぁ~。いい運動になった~。何?
貴方って多分近くの里の子でしょ?里にいる子と遊んできなよ。
もっとはきはき喋って。声が小さくて聞こえない。
……。
はいもう一回。何て言ったの?
貴方がここに来るのは時間の無駄。だから里の子と遊んできなって。
…うーん。まあ及第点かな。
……。
里の皆は私のこときらいなの。だから遊んでくれない。
……何で嫌われてるの?
知らなーい。どうでもいいよ、そんなこと。
……。
今が楽しければそれでいいから、私は。
…そう。
逆にあなたは何でこんなところにずっといるの?
……。
私の方は教えたんだからいいでしょ?あなたも教えてくれなきゃ不公平だよ。
……待ってるんだよ。私のご主人を。
ご主人?
私は妖怪の中でも付喪神って言って、この人の形をとっている私は、道具の魂が顕在化しただけのもので本質はこっちの傘の方にあるの。傘が持ち主の帰りを待っている、ただそれだけ。
…ごめん。何言ってるか全然分かんなかった。
……。
……。
……。
……。
捨てられたの?
……。
あなたの後ろに建ってるぼろ屋の持ち主、もうずっと前から帰ってきてないんだよね?
…うるさい。もう早く帰ってよ。
……。
……。
…そっか。私達、居場所がない者どうしだね。
……。
…お互い大変だね。
…早く帰ってって。
あーもーしょうがないなー。分かったよ。
…もう二度と…
じゃあまた来るね。
……。
***
今日はけん玉!二つ持ってきたから好きな方使っていいよ!
…。
じゃあわたしこっちね。見てて!三回連続で成功させるから!
今日はお手玉!二人で協力してすごい回し方やってみよ!
今日は竹馬を持ってきた!先に落ちた方が負けね!
今日は鬼ごっこ!森の中に逃げるのは無しだからね!
ねぇ。
はぁはぁ…。やっぱり…ようかいって…体力あるね。
いつまでこんなこと続けるの?ここなんかより里の方が面白いこといっぱいあるでしょ?
…はぁはぁ…。ふぅ…。あなたは私と遊ぶの嫌い?
……別に。
ならいいじゃん。どうせやることもないなら遊んでた方が楽しいでしょ?
貴方の心配をして言ってる。もし里の人間にここで私と遊んでいるのがばれちゃったら…
別にそれでもいいよ。私は里にいるよりここにいる方がぜんぜん楽しいから。
…こんなところにいつまでも通ってたらいずれ妖怪に食べられちゃうよ。
いいんだって別に。私は…死んだように生きるくらいなら自由を求めて死を選ぶ。
…?
どう?今のセリフ。ちょっとかっこよくない?
…よく分かんない。
…そっか。
あなたは私に出来た初めての友達なんだよ。
…友達?
そ!一緒に楽しく遊んだりお喋りしたらそれはもう友達なんだよ!
…そうなんだ。
だからこれからももっともーーっといっぱい遊ぼうね。
***
…ねえ本当に大丈夫?
大丈夫だって。掠り傷だから。
…ごめんなさい。私がようかいを連れてきちゃったのにあなたに無茶をさせて…。
ふふ。出会ったばかりの頃は私に守ってもらうって威張ってたのにね。
…うっ。
でも…これで分かったでしょ?今回は偶々なんとかなったけど、ここに来る道中にもし襲われちゃったら貴方は簡単に死んじゃうほど弱い。
………何が言いたいの?
…もうここに来るのは辞めた方がいいよ。
…だからそれは…!
………私は友達の貴方を失いたくない。
…っ。
一緒に遊んで楽しかった。貴方の明るい姿を見て元気を貰えた。何も無かった私の世界を…貴方は彩ってくれた。そんな貴方までいなくなっちゃうなんて…絶対嫌だから。
…。
私は大丈夫だからさ。貴方は同じ人間達と…
…それじゃあだめなんだって……!
え?
あそこには私を見てくれる人なんて一人もいない!こうやって私と笑って遊んでくれるのは、あなたしかいないのよ…。
…それはどういう…
だからもう決めた。貴方を里に連れて帰る。そうすれば私もここに通わなくてよくなる。
……。
ようかいだからとか周りの目とかどうだっていいからさ。一緒に行こ?
……私は、ここを動くわけにはいかない。
…なんで。
万が一にもご主人様が帰って来ることがあるかもしれないから。
……あなた。…まだ…。
可能性はゼロに近くても…私からご主人様を裏切る訳にはいかない。それが…今の私に出来る唯一のことだから。
…。
もしも……もしも本当にあなたの言うそのご主人が帰って来ることがあるんだとしたら、私は絶対にそいつを許さないよ。
………え。
殴って蹴っ飛ばしてぶっ飛ばす。
当然だよね。私の友達を苦しめたくずだもん。
…。
もっと自分に正直に生きようよ。あなたにもご主人を選ぶ権利はある筈でしょ?
…選ぶ権利も何も、捨てられる程度の傘に価値なんかないよ。だから私は捨てられたことを認めるわけには…
…んーーー!もう!うるさい!
……え?
あなたの価値をあなたが勝手に決めないでよ!捨てられていようがちょっと不恰好な配色だろうが、私は貴方のことを気に入ってる!それじゃ駄目?
…それは…。
あなただけが過去に縛られて悲しい思いをし続けるなんて私は絶対に許さない!私はこれからもあなたと色んなお話ししたいし遊びたい!
…えっと。
あなたのご主人のことは知らないけど、私の方が絶対にあなたの価値ってやつを理解している。
だから……うん、そうね。私があなたのご主人になってやるわ。
………え、ちょ…え?
今日からあなたは私の傘ってことで。決定だね。
……ちょ、ちょっと待って。
…コホン。じゃあ改めて、これからよろしくね?
えーっと……
小傘!
----------