大庭雨傘物語   作:Poko.bell

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第29話

 

 

 

-こんにちは。貴方が今代の巫女さん?…また随分と小さいね。-

 

 

 

 

 

いつからだったかはもう思い出せない。

それくらいまだ私が小さかった頃のこと。

 

 

 

 

 

 

 

少し大きな家に一人。

 

退屈な日常と課せられた使命。

それ以外は今考えても嫌になる程何も無かった。

 

 

 

 

 

 

不満は無かった。

それが私の中の日常で当たり前だった。

 

 

 

 

 

-そんなに見つめられると困っちゃうんだけど…。と、取り敢えず自己紹介するね。-

 

 

 

 

 

そんな日常に現れた変化。

 

それがきっかけだった。

 

 

 

 

 

-私の名前は多々良小傘。あなたのお名前は?-

 

 

 

 

 

…それが、私がこの世界を好きになったきっかけ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

森の方に堕ちて行く友人をただ眺める。

気絶する程軟な奴では無いので大丈夫だろうが、暫くは動けない筈だ。

 

 

「…ふぅ。」

 

 

思えばこんなにボロボロになるまで続けたのは初めてかもしれない。

やる時は大抵被弾回数とスペルの枚数を定めるのだが、今回は真っ当な勝負ではなく唯の喧嘩。

ルールなんてものはなく、ひたすら相手が倒れるまで弾幕を撃ち合うだけのもの。

 

今日のあいつは珍しく冷静さを欠いていたので、いつもよりも楽に勝てた。

馬鹿みたいに隙を晒してくれたおかげだ。

 

 

 

「…。」

 

 

 

何故だろう

 

今日の弾幕ごっこは過去一でつまらないものだった。

 

楽に勝てるに越したことは無いのに。

 

後味が悪いとでも表現するべきか。

 

 

 

…いや。今はそんなことどうでもいいか。

 

これから私がすることにあいつは居合わせない方がいい。

寧ろ好都合。そう思うことにしよう。

 

 

 

 

「戯れは終わった?そろそろ時間だから準備なさい。」

 

 

 

 

後方から耳障りな声が聞こえてくる。

 

振り返る必要はない。どうせもうそこには誰もいないのだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

本殿の裏側にある庭に降り立つ。

この場所は表の灯りが入って来ず、月明かりしか照らさない為視界はかなり悪い。

周囲は森しかない殺風景な場所なので来ることはほとんどなくなってしまった。

 

 

 

 

 

-偶には遊ぶのも大切だよ?溜まってるものを発散する時間を作らないといつか潰れちゃうから。…ほらおいで!ここ広いからボール遊びも出来ちゃうよ。-

 

 

 

 

 

それでもここは私の思い出が詰まった場所だった。

今でも目を閉じればあの時の光景が浮かんでくる。

 

 

 

 

 

-も、もう私と同じくらいできるようになってる。凄いね、霊夢は。-

 

 

 

 

 

「…っ。」

 

 

 

表情を取り繕うのが下手だと私はよく皆から言われる。

思ったことはすぐに口にするし感情表現が豊かで仲の良い相手なら何を考えているか一目見て分かると。

それが私の美点らしい。

 

 

 

でもどうでもいいと思っている。

 

誰かから見た美点なんて一長一短。それが誰かとの関わり合いの中で欠点になることだってあるから。

それが気に入らない奴は寄り付かない。それだけの話。

 

美点とかではなく唯私がそういう性格というだけ。

だから変わることも無い。

 

 

 

 

 

自分を客観的に見ることなんていつもはしない。

 

でも今は…そんな表情を取り繕えない自分が憎い。

 

 

 

 

 

-それでいいんじゃない?霊夢のそれは素直なところの表れだと思うし。…少なくとも私の身長を追い越すまでは、いっぱい笑っていっぱい泣く霊夢のままでいいと思うなぁ。-

 

 

 

 

 

涙が…止まらない。

 

 

 

 

 

「…霊夢。もうすぐ来るから構えなさい。」

 

 

「…うっさい。分かってる。」

 

 

 

溢れ出した感情の止め方なんて知らない。

こんな姿で相対してしまえば全く格好はつかない。

 

 

 

でももうそれでいいのかなとも思っている。

 

 

 

小傘も悩んでいたんだろうから。

心の奥に潜む巨大な憎悪という感情に。

 

 

後悔はもう遅い。

私も心の奥底に大きいものが残ってしまうことになる。

それがせめてもの何も出来なかった私の贖罪。

 

 

 

自らがやるべきことは理解している。

 

 

 

だから…大丈夫。私には出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、本殿にある扉が森の方へ凄い音を立てて吹き飛んでいく。

その中から姿を見せたのは

 

 

 

「アハハ。ヤッパリニンゲンイタ。」

 

 

 

ほとんど人の姿を取らない異形。化け物。

唯一手元に持っている傘と濁りきったオッドアイの瞳だけが唯一彼女に残っていた。

 

肌で感じられる黒くドロドロとした憎悪。

まるで全身を舐められているかのような感覚。

全てが吐き気を催す気持ちの悪いものだった。

 

 

 

「…小傘。」

 

 

 

これが本当にあの小傘なのだろうか。

彼女の無害で柔らかな気質は欠片も残っていない。

この世の全てを憎んでいるかのような目でこちらを睨みつけている。

 

 

 

「アナタノシッテルコガサナラモウイナイヨ?ゼンブタベチャッタカラ。」

 

 

 

…会話は一応できるのか。

それでもまだ言葉を覚えて間もない子どものような覚束ない口調で言葉を話すのは、以前よりも思考能力が退行しているからなのか、感情の歯止めが効かなくなっているからなのか。

 

異形は拙い足取りで一歩、一歩とこちらに近づいてくる。

 

 

 

「…そう。じゃあ貴方は一体誰なのかしら?」

 

 

 

袖の下の札に手を掛ける。

 

弾幕ごっこで片を付ける甘い考えは捨ててきた。

目の前の奴は殺す気で私の方に向かってきている。

迎え撃たなければやられるのはこっちの方。

 

 

 

 

分かってる。

分かってるって。

 

 

でも手が震える。

体が震える。

 

 

 

 

お願い。

お願いだから

 

 

止まって。

 

 

 

 

「ワタシハタタラコガサ。ニンゲンヲコロシタクテシカタナイツクモガミ!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

一方その頃、神社の表の方では

 

各所で繰り広げられていた闘いが終わりを迎えようとしていた。

自らの分身体を何百体と作り上げ神社の参加者に攻め入った伊吹萃香。

それらのほとんどはもう既に集った者達により霧散させられていた。

 

数刻前までは神社を埋めるほどの人数がいたにもかかわらず、残った者は僅か数名。

しかし残った者は疲れた様子すらなく、今尚余裕そうにお喋りをしている。

 

 

 

 

「喧嘩売って来た癖に数が多いだけ。期待外れもいいとこね。」

「あら、そう~?その割には結構時間掛けちゃってるんじゃない?貴方のとこの子もまだ戦ってるみたいだし~。」

「…それは何?私を煽ってるの?」

「いえ~?貴方のところのと私の妖夢ちゃんは仲良くしてるみたいだしね。寧ろ貴方と仲良くなりたいのよ。」

「…何をふざけたことを。亡霊風情が私に易々と口を……

 

 

 

 

 

って痛ぁ!何!?何で叩かれたの!?私。」

 

「レミィ。貴方その高飛車な性格直さないといつまで経っても友人なんて出来ないわよ。」

「な、何の話よ。」

「この宴会に参加した目的。外と関係を作りに行くって最初は息巻いてたのにいざ来てみれば貴方、ずっと一人でお酒飲んでるだけだったじゃない。」

「い、いや。だって誰に話しかければいいか分からないし。パチェも咲夜もずっと誰かと話してたし。」

 

「…この子変なところで奥手なのよ。でも根は凄く揶揄いやすい性格していて面白いから仲良くして上げて。」

「うふふ、勿論よ~♪良い友人がいるのね。羨ましいわ~。」

「………いっそ一思いに殺してくれないかしら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇそこの子連れの人間。ちょっといい?」

「誰が子連れだ。誰が。」

「貴方って里の寺子屋に偶に顔を出す人間よね。確か名前は…そう、もこたん。」

「……妹紅だ。何の用だ人形使い。」

「いえ、さっき貴方の闘い方を見てたんだけど、もしかして貴方って人間じゃないの?腕とか再生してたけど。」

 

「はは。どうだろうな。ご想像にお任せ…」

「もこーは人間だぞー?だって美味しいもん。」

「……まあ任せる。」

 

「私の勘は貴方が人間だって言ってるのよね。…じゃあその再生力は何処から来ているのかしら。教えてくれない?」

「…やだよ。」

 

「…ケチ。…仕方ないわね。じゃあ再生するんだったらちょっと人体実験に付き合ってもらえない?大丈夫。痛く無いと思うから。」

「やだって。」

 

 

 

「…。」

「…。」

 

 

 

「ケチ。」

 

 

 

 

 

先程までの殺伐とした情景は何処へやら、ゆったりとお酒を手に持ち宴会を参加する者達。

その肴になっているのは

 

 

 

「……っ!」

 

 

「うーん、筋は悪くないんだけどねぇ。その得物じゃあ痛くも痒くもないんだよ。私は。」

 

 

 

大量のナイフを相手に投げる。

しかし防御行動を取ることも無くそのナイフを体で受け止め、突き刺さること無く弾き返してしまう。

 

妖夢が離脱してからも一人で彼女の相手をしているのだが、どれだけ攻撃を仕掛けても全く刃が通らない。

幸いにもこちらも攻撃を受け流すか躱すかはしているのだが、戦況は圧倒的に不利。

 

 

消耗戦。

このまま続けば先に音を上げるのは確実に私だろう。

 

 

 

 

「あのクソ鬼、嘗めやがって。咲夜―!絶対負けちゃ駄目よ!」

「貴方のそれ、何だか自分の子どもを応援しているみたいでいいわねぇ。妖夢ちゃんも早く戻ってこないかしら。」

「…実際問題そいつがもう少し粘っていれば楽に勝ててたのに。修行不足なんじゃないの?」

「…あら。ウチの子の悪口かしら?そちらだって妖夢ちゃんがいなくなってから随分と苦戦しているようで。」

「ぶち殺されたいの?」

「うふふ。そちらこそ。」

 

 

「…さっきの私の仲介何だったのよ。」

 

 

 

 

 

「はー………ふぅ…。」

 

 

一度脱力して大きく深呼吸をする。

これ以上主人の前で無様な姿を見せることは出来ない。

 

 

 

相手の動きは全然対応できるものだ。

しかしどうしても私のナイフを当てるだけで倒すのには無理がある。

 

 

 

火力不足。

これをどうにか補う方法は…。

 

 

 

 

 

「そろそろ疲れてきちゃった?悪いけど泥試合にする気はないんだ。もう終わらせるよ?」

 

 

 

 

萃香は拳を再び構えたかと思うとニヤリと口元を緩ませ、突っ込んでくるのかと思いきや、その拳を地面に叩きつけた。

 

 

 

鬼火「超高密度燐禍術」

 

 

 

その瞬間、地面から大量の火の玉が噴き上がってくる。

それはまるで火山が噴火したかのように降り注ぎ、一面を真っ赤に染め上げる。

 

 

 

「さあ、もう逃げ場はないよ?どうする?」

 

 

 

そっちはあくまでも囮で、本命は自らの体術であると言わんばかりに地を蹴り再び迫ってくる萃香。

先程弾幕が上手く扱えないと言った者とは思えない程、巧みにスペルを使ってくる。

 

 

 

相手の攻撃は一度でも当たることは許されない。

先程の妖夢への攻撃を見る限り、私が当たれば確実に一撃で戦闘不能に追い込むほどの威力を持っている。

 

だからといってこの密度の火の玉と肉薄してくる鬼を同時に相手をして捌き切ることは不可能に近い。

 

 

 

じゃあどうするか。

 

 

 

 

…もう少し考える時間が欲しかったのだけれど。

 

 

 

 

こうなった以上もうここで決めきるしかない。

 

 

 

 

 

時符「プライベートスクウェア」

 

 

 

 

相手が自らの懐に潜り込んだその瞬間にスペルを発動。

しかしそんなもの関係ないとばかりに相手は拳を振り上げようと力を込めるが

 

 

 

 

 

 

その拳は意思に反してほとんど動くことはなかった。

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 

 

タイミングは完璧。

目の前にはまともに動けず無防備になっている標的。

 

有効時間は数秒だけ。

もうここしかない。

 

 

 

傷魂「ソウルスカルプチュア」

 

 

 

やることは単純だ。

自らの時の流れを速くして出来る限り相手を斬り刻む。

 

 

能力の同時使用は捨て身の技だ。

使用したら暫く動くことすらままならなくなる切り札だが、もう四の五の言ってられる状況ではない。

 

 

今の私には到底この鬼を倒しきる火力は出せない。

手数で押し切るしかないのだ。

 

 

 

「はああああああ!」

 

 

 

体の稼働限界を超えた速さ。

腕の筋肉が悲鳴をあげとてつもない痛みが襲ってくる。

もっと限界ギリギリまで能力の維持を…

 

 

 

 

 

「…!?嘘…。この鬼、まだ…。」

 

 

 

斬撃自体は浅いが、鬼を削っている感覚はある。

塵のようなダメージでも積み重ねれば倒せると思っていた。

 

 

甘かった。

 

 

想像以上に再生速度が速い。

削った箇所が瞬きする間もなく回復している。

 

これでは先刻と同じ消耗戦のままだ。

 

 

 

「…くっ。」

 

 

 

もう能力の使用限界が来る。

それまでにこいつを倒せなければ私の負けだ。

 

 

 

………何かないのか?

この状況を打ち破る手段が。

 

 

 

「……。」

 

「あはは。流石にここまで相性が悪いと気の毒になってくるよ。本当に惜しいんだけどね。」

 

 

 

こちらの限界を悟ったのか斬り刻まれながらも話しかけてくる鬼。

彼女からしてみればこの決死の攻撃も数秒で回復する程度のものでしかないのだろう。

 

流石にもう理解できた。

今の私にこいつを打ち破る手段は持ち合わせていない。

 

 

 

 

 

「吸血鬼と鬼を一緒にしちゃいけない。お前の敗因を強いて挙げるなら鬼を侮ったが故の慢心さ。」

 

 

「…ベラベラと煩いわね。能力の解除も出来ない癖にもう勝者を気取ってるの?」

 

 

 

自身に掛けた能力を解除する。

代わりに最初に宣言したスペルを限界まで引き延ばす。

 

 

 

 

「慢心しているのは貴方。…私達の勝ち(・・・・・)よ。」

 

 

 

 

鬼を挟んだ視界の延長線上。

そこには先程鬼に飛ばされて離脱していた者が目を閉じて抜刀の構えを取っている。

 

 

相手に掛けた能力の時間制限が来る。

 

鬼が後ろの脅威に気付き振り向いた瞬間、私は最後の力を振り絞って上へ飛ぶ。

 

何をしているのか鬼が理解する間もなくそれは地面を蹴り、音もなく鬼の懐に入り込み

 

 

 

 

 

人鬼「未来永劫斬」

 

 

 

 

 

縦横無尽に無数の斬撃を鬼の体に刻み込む。

 

先刻のものよりも格段に速い。

剣速は勿論のこと、何よりも地面を踏み込みすれ違い様に斬り刻むまでが圧倒的に速い。

 

それでいてその斬撃一つ一つには私のナイフとは違う確かな重さがあった。

あれ程硬い相手にいとも容易く刃を通している。

 

 

 

 

そうして私が飛び上がって着地するまでの間に、鬼を全て霧散するまで斬ってしまった。

 

鬼が喋る隙を与える暇もなく

 

彼女が全て終わらせてしまった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「あっはっは!鬼退治成功だ!よくやったお前ら!」

 

 

 

豪快に笑いながらお酒を飲む鬼。

 

さっき倒したはずなのに何故かまた霧の中から出てきて宴会の続きをやり始めた。

 

あれだけ暴れたのに何事も無かったかのように振舞われるのは納得がいかない。

 

 

 

「それはウチの持ってきたお酒よ。勝手に飲まないで。」

 

 

「断る。それよりもほら、お前さんも飲め飲め。」

 

 

 

文字通り浴びるように酒を飲む姿からは、先程までの闘気は欠片も感じられない。

 

渇を入れに来たと言っていたが結局何がしたかったのかしらね。

 

 

 

「咲夜さん、このお酒美味しいです!何という種類のものなんですか?」

 

 

鬼からお酌をされた妖夢が上機嫌に話しかけてくる。

…この子もう頬が薄紅色に染まってる。

 

 

「それはワインよ。…っていうか貴方お酒飲んでていいの?この後まだ片付け残ってるんだけど。」

 

 

「大丈夫です!幽々子様から許可を頂きました!最後だから記念にと。」

 

 

「…そう。じゃあいいけど。」

 

 

 

…最後、最後ね。

そういえば当たり前だと思っていたこの三日おきの宴会ももう異変が解決された以上もうなくなるのか。

綺麗な夜桜の下で開かれた耳が痛くなるくらい大勢の妖怪達による宴会。

異変を終わらせることばかり考えていたけど、いざこうしてこの馬鹿騒ぎが終わるともなると少しばかり思うところはあるかもしれない。

 

決して寂しいとかそういう訳では無く。

まるで一時の非日常から目が覚める夢のような。

 

 

 

 

少し離れた場所で飲んでいる我が主の方を一瞥する。

 

 

 

「うんうん。分かるわぁ。妖夢ちゃんは本当に良くやってくれたわ。私感動したもの。あの鬼を蹂躙するかっこいい姿。やればできる子なのよぉ。」

 

 

「ふふ。良かったわね。咲夜が追いつめたところの良いとこ取りが出来て。まあ一割くらいは貢献できてたんじゃない?」

 

 

「嫉妬にしか聞こえないわぁ~。傍から見れば間違いなく主役は妖夢ちゃんよ。」

 

 

「…ぐぬぬ。」

「うふふ~♪」

 

 

 

………まぁ。

こうして全てが終わって改めて振り返ってみると参加して良かったのかもしれない。

 

ほとんど宴会の準備やら異変やらに振り回されて楽しむ余裕はあまりなかったけれども。

少なからずお嬢様にとっても私にとっても有意義な時間ではあったと思う。

 

 

 

 

 

「妖夢。」

「はい。何ですか?」

「…次は負けないわ。覚悟しておくことね。」

「…別に私は勝ったとは思っていませんよ?咲夜さんがいなければどうにもならなかったですし。」

 

「私にはお嬢様に仕えている矜持がある。だから他の追随を許すわけにはいかないのよ。」

「…?つまり同じく主人を持つ同業者として負ける訳にはいかないと?」

「…まあそういうことよ。」

「そうですか…。そういうことなら私も受けて立ちます!お互いより良い従者として共に研鑽していきましょう!」

「…ええ。そうね。」

 

 

 

「…それじゃあまずはお酒の強さで勝負しましょうか。萃香さん。咲夜さんにもお酌の方を是非。」

「は?いや何でそうなるの?」

「おう任せろ!たっぷり飲んでもっと強くなるんだぞ、お前ら!あっはっは!」

「…。」

 

 

 

…ああ、もう多分何か間違えたわ。

 

 

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