8枚目のカードの英霊を倒した後。並行世界から来た二人組に美遊はさらわれ、イリヤは時空の揺り戻しに巻き込まれる。
そして目を覚ましたそこは、並行世界 ── ではなく、異世界だった。
イリヤ、グラムナートに推参!
……普通は中の人的にロロナかトトリですが、アーランドシリーズは一切やってないもので…。
まあ、ヴィオもある意味、中の人繋がりではあるので良しとする!

※プロローグ部分のみのお話です。ただし作者のいつものパターンで、気分が乗ったら続きを書くかも知れません。

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ネタ動画見たら、何となく書きたくなったので書いてみました。


イリヤ(魔法少女)のアトリエ ~ グラムナートの錬金術士2if~

≪third person≫

「バカンスはもうお終いです」

「空が…!? いや、これは…、世界が割れているのか!?」

 

ズガッ!

 

「ミユッ!?」

 

突然現れた二人組の、赤毛の少女の方が美遊を蹴りつけ、イリヤが声を上げる。

 

「全く、手間とらせんなっての」

「粗末に扱うな。中身がこぼれでもしたらどうする」

 

二人はその様なことなど気にもせず、会話を続けていた。

 

「ホラ、揺り戻しだ」

 

赤毛の少女が言うと、辺りは白い光に包まれて何も見えなくなる。

 

「ミユッ! ミユーッ!!」

 

イリヤが叫ぶ中。

 

パキン!

 

本来の歴史(原作)では存在しない、何かが割れる音がイリヤのすぐ傍で起きて。そして彼女の意識は途切れた。

 

 

 

 

≪イリヤside≫

……ん? あれ、わたし…。確か…!?

 

ガバッ!

 

さっきまで起きていたことを思い出し、わたしは慌てて身を起こす。と?

 

「……ここ、どこ?」

 

そこは、森の中。しかも、さっきいた場所とは明らかに違う、見たことも無い木や草が生えて…。

 

「……って、これ、人参?」

 

葉っぱの形が、セラがスープの浮き実用に育ててる人参の葉っぱに、よく似てるんだけど。

 

『試しに抜いてみたらいいんじゃないですかー?』

「うん。そうだ…って、ルビー!?」

 

気がつけば、わたしの顔の左横に、携帯モードでフヨフヨ浮かぶルビーがいた。

 

「び、びっくりしたぁ。でも、ルビーも一緒だったんだね」

『その様ですね。いやー、離れ離れにならなくって良かったですよー』

「ホントにそうだよ」

 

ルビーは性格が()()だけど、どうこう言っても頼りになるし、何より、ひとりより心強い。

 

『それで、人参(仮)は収穫するんですか?』

「収穫って、別にお野菜って決まったわけじゃないんだけど。でも、まあ…」

 

わたしは葉っぱを持つと、真上に引っ張った。するとちょっとだけ抵抗があってから、スポンと抜けて。

 

「このオレンジ色の根っこ。うん。わたしが知ってる人参そのものだね」

『いわゆる西洋系人参ですねー』

 

西洋系人参? ちょっとわかんないけど、どうやら人参で間違いないみたい。

 

『しかし、こういう作物って普通、改良された後の姿なんですけどねー?』

「そうなの?」

『はい。野生種は普通に、もっと細くて白っぽい根だって聞いてますよー?』

「そうなんだ? ……て言うか、ルビー、凄く詳しいね?」

 

ちょっと意外なんだけど。

 

『まあ、魔法薬には植物の知識も必要ですし、私の中の[割烹着の悪魔]的な人が、色々と余計な知識を教えてくれるので』

「何、ソレ」

『昔っからの型月ファンにとってのメタ発言です。ご新規さんにはわからないかも知れませんが』

 

……うん。この話題はこれ以上触れないでおこう。

 

『それはともかく、食糧は無事ゲットできましたね!』

「無事って、……あ、そうか。どこに飛ばされたのかもわからない今の状況じゃ、食べ物の確保は大事だよね。……って言うか、衣食住の全ての心配があるんじゃない!?」

『アハー、気付いちゃいましたか』

「気付いちゃいましたかじゃなくって!!」

 

おちゃらけるルビーに大声でツッコミを入れた、その時。草むらからガサリと音がして。

 

ポヨヨン

 

水色の、大きなお饅頭のような生き物が3匹現れた!

 

「って、ええっ!? こ、これってスライム!?」

『古典的なものではなく、ビデオゲーム的なデザインの方ですねー。ご丁寧に目や口があるのも、まさにそれっぽいですよー』

「お、落ち着いてる場合じゃないよっ!」

 

と言うか、こんなのが出てくるって事は、ここってもしかして異世界ってやつ!?

 

『ぷにー!』

「なあっ!?」

 

スライムが鳴き声を上げて、体当たりをしてきたっ!? わたしは慌てて身をひねり、何とかそれを避ける! と、とにかく早く、転身を。そう思ったその時。

 

「グリューネブリッツ!」

「ネーベルディック!」

 

火球と冷気、二つの魔術が、スライムをそれぞれ1匹づつ倒した。そして、残りは1匹!

 

「ルビー!」

『はい! 多元転身(プリズム・トランス)!』

斬撃(シュナイデン)!」

 

瞬間的に魔法少女に転身したわたしは、即座に攻撃を仕掛けた! 斬撃は見事に命中して、スライムをキレイに真っ二つにした。う…。さすがにちょっと、罪悪感が…。

 

「ねえ、大丈夫!?」

 

そんなわたしにかけられた声。慌ててそっちを向くと、二人のお姉さんがいた。わたしに声をかけたのは、年下の方のお姉さんみたい。

 

「あ、はい。大丈夫です。助けてくれて、ありがとうございます」

 

お礼を言ってお辞儀をするわたし。

 

「そう。よかった。それにしても、子供なのに強いね」

「え? あははー。色々とありまして」

『イリヤさん。あなたはカレイドの魔法少女なんですよ? もっと堂々としたらどうなんですかー?』

「ちょ、ルビー!?」

 

他人(ひと)様の前で喋り出したルビーに、わたしは慌ててしまう。

 

「ええっ、凄い! ステッキが喋った!?」

 

凄いで済むの!?

 

「……ねえ、あなた」

 

年上の方のお姉さんが声をかけてきた。何となく、出会った頃のリンさんと雰囲気が似てる。

 

「衣装が突然替わったことといい、喋るステッキといい、それって錬金術によるものなのかしら?」

「え? 錬金術?」

 

錬金術って言うと、パンッ!て手を叩いて…っていうのはさすがに違うのはわかる。そうじゃなくって、金を生み出す研究だったよね、確か。ファンタジーもののお話で、たまに出てくるし。要は、魔法…魔術?と科学の中間みたいなやつだ。

 

『そうですねー。錬金術の定義にもよりますが、私は魔法使いのくそじじいに作られた、最高位の魔術礼装です。世間一般で言うマジックアイテムですから、錬金術で作られたというのも、全くの見当違いということはないですねー』

「ふうん…」

 

お姉さんはそう呟くと、少し考え込む。やっぱり何だかリンさんに似てる。赤い服っていうのもリンさんっぽいし。

 

「魔術礼装っていうのは初めて聞いたけど、大体理解したわ。かなり規格外だって事が。

それを踏まえてもうひとつ聞くけど…、あなた達は何者なの?」

 

ドキリ、と心臓の鼓動が跳ね上がる。こんな事言って、信じてもらえるかどうか…。ううん。とにかく言うだけ言ってみよう!

 

「実はわたし達、こことは違う世界から来たみたいなんです」

「違う世界?」

「え? どういうこと?」

「えっと、空が割れて、ピカッと光って、パキッて音がして、目が覚めたらここにいたの」

 

……って、全然理解してない顔ですね。いや、わたしも言ってて意味わかんなかったけど。

 

『イリヤさんの語彙力の無さは置いときまして』

「せめて、もう少しマシなフォローが欲しいんだけど」

『わたしたちはある事件で、世界の境界を破るような戦いをしました。事件自体は終息を迎えたのですが、それがきっかけで並行世界と言う可能性の世界と繋がってしまい、その揺り戻し現象に巻き込まれたんです。

本来ならおそらく、その並行世界へと飛ばされるはずだったのだと思いますが、どうやら世界の境界は想像以上に破壊されていたのでしょう。わたしとイリヤさんは更に遠い時空の彼方、即ちこの世界へと飛ばされてしまったみたいなんですよー』

 

……ごめん、ルビー。フォロー受ける資格が無いほど、ルビーの説明は完璧でした。

 

「……なるほど。どうやら、時間と空間に作用した事象に巻き込まれたみたいね」

『おや、今の説明を正しく理解できますか。どうやらこちらの人間も、高等な魔術理論をお持ちのようですね。確かに今回の時空移動は、私達の世界における第二魔法と同じ理論に値する事象です。ただ、第二魔法…並行世界の運用とは違い、異世界にまで及んでしまったわけですが』

 

……えっと。もう、言ってる意味がわかんないんですけど。とか思ったら、もうひとりのお姉さんがわたしと同じように、頭を抱えてうんうん唸ってる。よかった。わたしだけじゃなかったんだ。

 

「……あの、アイゼルさん。私にはチンプンカンプンなんですけど…」

「あら、ごめんなさい。ヴィオラートにはまだ早かったわね」

 

おお。こんな形で二人の名前が判明した。ちょっとリンさんっぽい人がアイゼルさんで、もうひとりの緑の服を着てる人がヴィオラートさんかぁ。

……と言うか。

 

「あ、あの、わたし達の話、信じてくれるんですか?」

「そうね。確かに突拍子もない話だけど、錬金術士である以上、あらゆる可能性を否定したりしないわ。可能性を否定するということは、賢者の石や金の生成そのものの否定に繋がるもの」

 

……あ、そうか。金を生成することを目的とした学問だもんね。不可能を可能にする事を目指してるんだから、あらゆる可能性を求めることこそが大事なんだ。

 

「……って、アイゼルさん…ですよね?……は、錬金術士なんですか? いや、確かに錬金術がどうとか言ってたけど」

「そう言えば自己紹介がまだだったわね」

 

ああ、うん。何となくみんな名前を知ってる状態だけど、自己紹介は全然してないや。

 

「それじゃあ、私が一番年長者のようだから、私から。

私はアイゼル・ワイマール。ここから遠く離れた地、ザールブルグの錬金術士よ。修行のために旅をしている最中なの」

 

錬金術士のアイゼルさん。修行の旅って、なんかカッコいい。

 

「えっと、私はヴィオラート・プラターネ。親しい人はヴィオって呼んでるよ。

カロッテ村に暮らしてるんだけど、少し前にアイゼルさんと出会って、錬金術を教えてもらってるんだ」

「私は錬金術を見せて、あなたに初歩的な参考書をあげただけよ」

 

ヴィオラートさんの自己紹介に、そう注釈を入れるアイゼルさん。謙遜とかじゃなくて、本当にそう思ってるみたいだ。

ええと、次はわたしの番だね。

 

「わたしはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。みんなはイリヤって呼んでます。

少し前にこのステッキに唆されて、魔法少女をやってます」

「「魔法少女?」」

 

あ、そうか。魔法少女がわからないんだ。

 

「ええと、いろんなパターンがあるんだけど、わたしの場合は変身して、魔法の力で戦う系の魔法少女です」

「他のパターンが気になるけど、とりあえずわかったわ」

 

少しだけ疲れた表情で軽く頷いたあと、アイゼルさんはルビーへと視線を移す。

 

『はいはーい。最後は私ですねー。私はカレイドステッキのマジカルルビー。気軽にルビーちゃんって呼んでくださいね。

先程も説明しましたが、私は魔法使いが作り上げた最高位の魔術礼装。無限の魔力供給とAクラスの魔力障壁を使用者に付与することが出来、魔力の攻撃や空中浮遊なども可能とする、物凄いステッキなんですよー』

 

自分で凄いとか言ったら台無しだなー。……あれ?

 

「そう言えば、唆したことは否定しないんだ?」

『いやー、騙したとか言われたら否定しますけど、唆したこと自体は事実ですからねー』

 

自覚あったんだ!? と言うか、確信犯!?

 

「なんか、面白いステッキだね?」

「面白いじゃ済まないと思うけど」

 

うん。第三者から見たら喜劇だと思うけど、当事者にとっては悲劇だからね?

 

「それはともかくとして。イリヤスフィールはこれからどうするの?」

「う…」

 

アイゼルさんが、核心部分を突いてきた。今まで考えないようにしてた、でも、重要な事。もしかしたら、そんなわたしを見て、あえて聞いてきたのかも知れない。

 

「……やり方はわからないけど、どうにかして元の世界…ううん、もうひとつの世界に行きたい。わたしの大切な親友が、きっとその世界に連れてかれちゃったから」

 

美遊(ミユ)。並行世界から来た二人と共に、光の中に消えていった。だから、何としてでもミユを助け出したい!

 

「……そう。ところでヴィオラート。あなたの家、今は部屋が余ってるのではないかしら?」

「え? うん。お父さんとお母さんは大きな街へ商売に行っちゃったから…。あ、そうか!」

 

ヴィオラートさんが、漫画で見るようにポンと手を打って、わたしの前までやって来る。

 

「ねえ、イリヤ。私の家で一緒に暮らさない? それで、一緒に錬金術の勉強をするの」

 

え? わたしが、錬金術を?

 

「錬金術ならもしかしたら、イリヤが帰るための方法が見つかるかも知れないよ!」

 

あ…。

 

『それにイリヤさん。アイリさんが聖杯戦争について語ったときに、アインツベルンについても軽く説明されていたではないですか。アインツベルンは錬金術に特化した、魔術師の家系だって』

「……あ。すっかり忘れてた」

「……どんくさいわね。ヴィオラートにはお似合いかも知れないけど」

 

うう。穴があったら入りたい。

 

「それじゃあ決まりだね! お兄ちゃんが文句を言うかもしんないけど、力尽くでも納得させるからっ」

「あはは…。お手柔らかに、ね?」

 

こうしてわたしの、異世界錬金術ライフが始まったのでした。

 

 

 

 

≪third person≫

カナーラント王国から長い坑道跡を抜けた先。フィンデン王国。その王都メッテルブルグを街道沿いに、更に東へ進んでいった、ヴェルンの街の近くの森の中。そこに一軒、朽ちた家が建っている。

その家の中に、まだ十にも満たない金髪の少年がたたずんでいた。

 

「全く。我ながら、随分と変わったことに巻き込まれたものだよ」

 

そう言って部屋を見渡して。

 

「……ふぅん。およそ200年前の、錬金術士の家か」

 

まるで知っているかのように言う少年。

 

「なかなか面白いことがあったみたいだけど…、だめだ。ここじゃあ全ては見通せないか」

 

そう言って踵を返し、表へと出る。

 

「ホント、ここはいいね。僕の知る人理から外れているのか、過去は見えても未来は見えない。こんな楽しいことは久しぶりだよ」

 

まさに楽しそうな表情で言っていたが、ふと、表情を変えた。

 

「いや、あのお姉さんとの戦いも、結構楽しめたね。ランク落ちしてるとはいえ、まさか[エア]を撃ち破れるとは思わなかったなぁ」

 

さっきまでとは、また違った楽しさを表情に浮かべる少年。

 

「……ま、それはいいや。それよりも、せっかくこんな楽しい場所に来たんだから、今という生を謳歌しなくちゃね」

 

そう言って木々の間を抜け、街道へと出る。

 

「さて、まずはヴェルンか。過去にここで何が起きたのか。せいぜい楽しませてもらうよ。ユーディット・フォルトーネさん?」

 

少年はそう言うと、ヴェルンに向かって歩き出すのだった。




因みにPS2版ではなく、PSP版【群青の思い出】の設定です。もし続きを書いた場合は、あの二人も出ます。

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