Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した! 作:何処にでもある
更新を終えてオフライン版のソシャゲを有料で売り出す場合、重要なのはサポートと素材周回のカバーです。
「エラッタ」の場合は素材の小コスト化、レベル上げをする程倍率上昇、キャラの基礎性能アップ、ストーリーでの大量配布で手を打ちました。サポートが無くても快適にプレイ出来る仕様です。
この話はソシャゲ版とオフライン版を折衷しています。
ミソフィア? 箱庭「黄金の愚王」
精霊歴───年「████████」
「──ここが最も広大な箱庭、黄金の愚王の世界か」
人が多く行き交う広々とした空港を抜け、ヤマトが石レンガの道を踏みしめる。
天の寓話世界に落ち、移民船の試験をクリアして、奇縁を紡いだ末にヤマトはこの箱庭に辿り着いていた。
「その通り! ここは我ら天使族の誇る最も偉大な箱庭です! 初めから大きかったのもそうですが、1000年掛けて少しずつ大きくして行ったからこその大地なんですよ!」
「なるほど…確かに、地平線が見える程広大なのはすごい話だな」
空港を見渡してるヤマトの足元にピョコりと小さな天使が顔を出す。
背丈はヤマトの膝ほどの小さな天使は、そう言ってヤマトの肩に飛び乗った。
「しかし良かったのか? 案内はありがたいが、ニャルは移民審査官でもあるだろう?」
「向こう10年分の有給を申請したのでそこは大丈夫です! ニャルはヤマトさんの行末を間近で観たいので、奮発しちゃいました!」
にへへと笑い、ニャルは身体を乗り出してヤマトの顔を下から見上げる。
「気に入られるのは構わないが、言い方が不穏だな…」
「えへへ其処は慣れてください。私、
そう言う小さな天使──ニャルは、愛らしいゆるキャラ顔から一転。
ゼ◯ダの3日後に落ちる月の顔のような、怒りと悪意満載の形容し難い笑顔になった。
直ぐに元の顔に戻ったが、それを偶然目撃したギョッとした反応があちこちから上がる。
その顔も薩摩武士みたいで可愛いものだとヤマトは思うのだが…あんまり注目されたくない以上、出来れば往来でするのは控えて欲しかった。
「それにヤマトさんは運が良いです! 近々この箱庭で即位式があるんですから! 知らずに良いタイミングで来るなんて…いやー、主人公してますねぇ! 私の話だと一話で殺されるタイプです!」
「運が良いと言われて悪い気はしないが…殺されるタイプと言われるのは心がざわつくな…」
あははすみません。とニャルは言って、立ち話も難ですしそろそろ宿を探しに行きましょうと、ヤマトを歩かせた。
ヤマトの肩から降りない辺り、楽する気満々である。
それから暫くして、空港から出た辺りでニャルは話を再開させた。
どうやら言い足りない事があったらしい。
「……黒幕からすると運命力ってバカに出来ませんから。恙無く
「だったら初めから参加させなければ良いのではないか? 俺はニャルが出てくる話を知らないが、聞くにワトシトの作品だろう?」
「それやったら話にならないですしー、ニャルってこう見えて中間管理職系主催者なんですよー。上司とか神々で逆らえませんし、楽しませなきゃニャルが死んじゃいますから」
見た目こそ幼い子供が、社会人の気苦労みたいな愚痴を言う。
ヤマトはその事に奇妙な感覚を覚えつつも、自国ながら変な作品を書く者が居るものだと変な感心も抱いた。
「聞いただけで参加者に反逆されて死んでそうだな」
「実際、演目に気付かなければされてましたよ? まあニャルってば後書き四コマで作者と話す場面があるタイプだったので、作者の化身キャラの人形化で直ぐ現状に気付きましたけど」
話し相手が急に人形になった時の衝撃は凄かったと、ニャルはしみじみと語る。
恐らく少年漫画で連載されていた物だとヤマトは睨んでいるが、事実はニャルも知らないので確かめようが無かった。
あくまでも彼女は後書きの再現演目で又聞きしただけなのだから仕方ない。
メタネタのある作品の出身は視点の高さがごっちゃになって忙しいと、ヤマトは一旦思考を整理した。深呼吸する。
「…確か、作者の化身は役目を終えると人形になるんだったか?」
「そうですね! 台本を言い終える、舞台の外に出る、死から脈略なく生き返る! その3つのラインのどれかに引っ掛かれば直ぐ人形です」
「ギャグですらなく蘇れば…か。改めて聞いても変な法則だな。まるで其処から演目に気付かせる為にあるみたいだ」
創作において、死者が黄泉から戻るのは珍しい事ではない。
困難さは話次第だしギャグとして死亡ネタをヤマトも何回か見かけた程だ。
しかし、それが作者の化身の役割となると話が変わるようで……モブとも顔付きとも違う、別種の法則が働いているように、ヤマトは感じられた。
「…ニャルはあれ嫌いです。目の前でそうなるのを見たのもそうですけど、なんだかすごく冒涜的でグロテスクなんですよね。私は……演目で見た目ならそれ以上のものを見たし、作りましたけど……あれ程本能に訴える嫌悪感は忘れられません」
ニャルが語った登場人物の死に様の方が鳥肌が立ったヤマトには分からない感覚だが、ニャル達にとっては人形化の方が受け付けないらしい。
飛行船に乗っている間に、
元からそうあれと産まれたのと、魂の尊厳を穢される云々……だとか。ヤマトには違いがわからなかった。
「…あ、そこ、其処の宿です。私のオススメですよ!」
「ここか。ではお邪魔する」
今回のヤマトの目的は妹の捜索とフィアの友人の所在の確認だ。
妹に関しては天の舞台の方の確認は終えているので問題はないが、箱庭の方は地道に足で探すしかない。
ヤマトは落下現象の都合で舞台を優先して探すつもりではあるが、それはそれとしてここまで大きな舞台はそれだけ其処にいる確率が高く、捜索する価値がある。
舞台を先に探すにしても、いつでも捜索に踏み切れる用意は整えたいのだ。
其処でヤマトが考えたのは、一先ずはフィアの友人だけ調べて、全部の舞台を見て回った後にこの箱庭から巡る方針だ。
演目の開演時間次第で行けない舞台があるだろうが……其処はフィアが秘策があると言っていたので心配はしていない。きっと時間を巻き戻す道具でもあるのだろうと、ヤマトはサプライズの内容を予想していた。
「しかし女王の即位式…確かこの箱庭を創り上げた者だったか。子供なんていたのか?」
宿のベッドにどかりと座り、ヤマトは話を続ける。
舞台にいる最中はこの箱庭に訪れる為に忙しなく動いていた為、色々質問したい事が山積みだったのだ。
魔物を倒し、移民の試験に挑戦し、失格になりかけた所でニャルに気に入られ……此処に来れたのは本当に運が良かったと、しみじみに思う。
「はい! 最初こそ箱庭を創り上げる代償でお隠れになってたそうなんですけど、何十年かしてお顔を出すようになり、その内子孫の方々が象徴として女王様になっているんです! みんなの尊敬の的ですよ」
「……あの背丈で子供か」
フィアの手紙の友人はNルシファー……略してNルシだ。
箱庭を創れる可能性のあるLRではない為、フィア曰く女王とやらではないらしいが……ヤマトからすれば、大陸と呼べる大きさの箱庭を創る様な傑物がランクの壁を越えられない方が信じられない事だ。
なにより……ヤマトはNランクが簡単に最大まで強く出来る事もあり、事情を聞く為に飛行船で移動している最中に執筆と再編は最大までやって確かめている。
その結果、召喚した方の彼女は《え? うーん…朱鷺というメル友はおったが…ふぃあって誰じゃ?》《じゃが箱庭創りはした気がするのじゃ。なんだかうろ覚えじゃが……悪魔の力は借りたかのう?》…と、非常にそれっぽい事を言っていた。
記憶が曖昧な点は初めての最大強化なので、これが召喚のせいなのか本人の気質かは判断が付かなかったが……。
ヤマトの中では既にフィアの友人=Nルシ=女王は確定事項だった。
だからこそ、あの小さな娘が子供を持つのは意外だと思ったのだ。
あれで経産婦なのか?…と。
本人は独身だと言ってたんだが?…と。
「男は居ないのか? 子孫なら1人くらい居るだろう?」
「どうにも先祖代々女腹みたいでして…ですが容姿も生写しなほどそっくりなので、顔を間違える事はありませんよ!」
「ふむ…例えば…こんな顔か?」
そういえばNルシをニャルに見せてなかったと思い出したヤマトがNルシを呼び出す。
せめてこういう時に役立てて貰いたいとヤマトはNルシを召喚した。
《妾、登・場! なのじゃ!…して
「女王様ぁ!!」
《う ぼ あ》
「おっと、危ないぞ。ニャル、コイツは弱いんだから余り乱暴してやるな」
Nルシがニャルの突撃によってくの字となって吹き飛び、ヤマトがキャッチする。
幾ら倒れても問題ないとはいえ、乱暴にしたら召喚出来る時間は短くなってしまう。
特にNルシはか弱い生き物だ。幾ら強化したとは言え、取り扱いは慎重にして欲しかった。
《な…なんじゃあ…》
「女王様女王様女王様ぁ! 大好きですお慕いしてます私をペットにしてくださーい!」
《な…なんじゃあ…?》
「ニャルやめろ。お前のじゃれつき痛いんだからやめろ。ほらはな…れ…ろ!!」
「にゃー!」
《妾、其方に何かしたか?…あれか、ニャルとやらを倒せばよいのか?》
「違う…これでも味方なんだコイツは…!」
本気で引っ付いているニャルを引き剥がし、拘束して暴れるのを阻止する。
震える声で不恰好な構えを取るNルシを宥め、取り敢えず話し合いの席に2人を座らせた。
「ニャル、なんでそんな暴れるんだ!」
「これが落ち着いていられますか! 女王様はこの箱庭最大の
《愚か者があ…》
「キャー!
「今は子孫がやっているんだろう!? コイツは別だろう!」
「えぇ? 今更そんな建前信じてるんですかぁ? 天使の寿命的に全員本人に決まってるでしょう!」
「じゃあさっきの説明と即位式はなんなんだよ!」
「
《ガチ浅ぇ…》
ヤマトは悟った。これ同じ言葉で中身が違う物だと。
そして意識が遠くなった。これ一つずつ丁寧に聞き出さなければならない奴だと。
「ええい! 兎に角顔が同じなのは確かな様だな!
「先に建前を解説したのは失敗でしたか! ヤマトさん、子孫は建前で全員本人です! ですから解放を!」
「ならん!」
《子孫? 産んどらんし、妾はとっくの昔に死んでおる筈じゃ。寿命もとうに尽きておる筈じゃし、よしんば今日まで生きてたとしても
「うえぇ!? そんな筈…!」
《……ま、所詮妾は精霊神石が模倣した歴史の一部に過ぎん。こうして触れて話せても所詮は過去の映像。発言は事実だとしても欠けがある。其処まで真に受ける必要もあるまいよ。ではな》
その辺りで召喚の限界となり、Nルシは光となってヤマトの方に戻る。
途中でニャルが捕まえようとしたが、光に触れる事も叶わず地面に落ちるだけとなった。
飛んでる虫を捕まえるのに失敗した猫。ヤマトは心の内に言葉を留める為、押し黙った。
「にゃー…せめてサインだけでも貰いたかった…けどヤマトさん、この魔法って本人を出す訳じゃないんですね」
「ああ。元は過去の記録の再現で、再編する度に言葉が通じるようになる。ルーシー曰く、1段階で俺を身近な誰かと認識して会話出来る様になり、2段階で俺を認識する。3段階で俺以外とも会話可能に……という具合だそうだ。俺の手持ちだと全員1段階といった所だな」
「へー、女王様は何段階なんです?」
「全員と言っただろう。
低レアは成長の上限も低いからな。そこが最大だ。
ヤマトはそう続けたが、ニャルは先ほど体験した事を思い出し、疑問を口に漏らした。
「……ヤマトも私も普通に話せてましたよね?」
「本人曰く謎だそうだ。生前から俺達の事を知っていたからそれかも知れないらしい」
「流石女王様……全知の眼をお持ちでしたか」
「俺からすると普通に生きているだけに見えるがな。時の糸の流れが生物のそれだ」
「どっちでも女王様が素晴らしいのは変わりありませんね!」
特に否定する様な事でもないので、ヤマトは黙って頷く。
実際、入手した時に初めから完凸だったのが彼女だ。
致命的な程弱くはあるが、独自の特徴は山ほどある。
そう考えれば、Nルシが特別な存在なのは事実でしかなかった。
「しかし…矛盾しているな。子孫だろうと無かろうと、ルーシーの話と現状がチグハグだ……何か、根深い問題がありそうだな」
「うーん…其処まで気に掛かるならやります?──潜入調査」
謎を提示されたヤマトが唸って悩んでいると、ニャルが下から覗き込んでニヤリと笑う。
んふんふと鼻息を荒くさせて、これからワクワクする事が待っているといった様子だった。
「いや……いかんだろ。お国に逆らうと本当に大変なんだぞ?」
「元よりヤマトさんの知ろうとすることは国家機密ですよ? なに良い子ぶってんですか」
「ぐっ…それは確かにそうだが…いや、仕方ない…か?」
遵法意識の高いヤマトからすると抵抗感のある提案だが、出来る事なら早めに妹の捜索に戻りたいヤマトからすれば完全に否定するには利益のある話だ。
ヤマトは一旦目的から振り返ってやる事を決めることにした。
「…俺の目的は、フィアの友人の現状の把握と必要なら救助しに行く事だ」
「その点で見ればある意味もう達成されてますよね? 女王…紛らわしいのでルーシー様と言いますが、本人がもう終わった事だと主張しています」
「確かにこの情報を持ち帰って終わらせても良いが……それだけじゃ引っ掛かる事が余りに多い」
何故かアイドルをしている女王と、手紙で助けを求めた理由。
その二つに関してはNルシに尋ねても答えは得られなかった。
どうにも最後の記憶は畑を耕し手紙を交換して生きる日々。
それ以降の記憶はないそうだ。
「むむ…私が思いますに、これは得られた情報量で終わりが定まるものですね! 私もこういうタイプの
「勘の出所が碌でもないのは後で話し合うとして、実際そういう形になるだろうな」
ヤマトは考える。
自分は何処まで調べ上げ、フィアに報いるべきかと。
そして取った選択は──。
「──やはり、全てを調べ上げるべきだろう。決行は3日後、警備が薄くなるだろう即位式とする」
「そう来なくっちゃ! ヤマトさんは
「命と住処の恩人に報いてるだけだ。親切には親切で返すべきだろう」
「くぅ〜! この鳥肌が泡立つ程の精神の善と行動の悪っぷり…ヤマトさんらしいです!」
だからこの人に着いていってるんだよなあと、ニャルが感傷に浸っている間にも、ヤマトは早速行動に移す為に宿を出た。
この3日間の内に調べ上げる以上、潜入経路や巡回の時間など、事前に調べる物は沢山あるのだ。
「ではどれからやりますか? 酒場や裏路地、金に目がない衛兵に泥棒達の連合会、案内なら幾らでも出来ますよ!」
「何故知っているかはさて置き、最初に行くべき所は決めている」
2階の窓からヤマトの肩に飛び降りたニャルの言葉に、ヤマトは最初の動きを
「──森の半ば。ルーシーが住んでいたという離れの小屋だ」
「わーお…初めからフルスロットルですねぇ!」
其処は今では不可侵の聖域として守られている地。
その地を元のままにするという役割だけで一つの村が森の中に作られた程の神聖視された場所。
仮に入れば、確実に得られる物がある空間。
ある意味、王城以上に立ち入ることの難しい領域──。
《で、妾で顔パス狙いという訳か。よいぞ? 実質帰省みたいなものじゃ》
「ああ、女王と女王が許可した者以外入れない結界と聞いたからな…よし、上手く行った。行くぞ」
「…裏技攻略…うっ頭が…」
──だったが、顔パスによりスッパリと中に侵入…Nルシの家にお邪魔する事に成功した。
育成状況でサクサククリア。「エラッタ」はストーリー特効キャラの概念が存在していた。
こうして、ヤマト達は長年放置された結果廃屋となったNルシの自宅を捜索し──ヤマト達は数多の宝物を得ることになる。
エラトリア ワトシト皇國
精霊歴1145年「英雄の時代」
「──寓話世界?」
「然り。世界全てを思考によって見上げる時、陰陽の如く、善悪の如く最初に人は二つに切り分ける。その線を、境界を創作と現実の間に引けば、自ずとその
それは、旅をして642年目。
300年掛けて大陸を横断し、200年掛けて清武国を踏破し、100年掛けて極北のロビシアを乗り越え、東の果てにあるという和と死を統べる天皇が居る國に辿り着き、各地を巡っている42年目の事でした。
様の鳴く山の奥、その日の夜を越そうとしている時に灯りが見えたので訪ねてみれば、1人くらいは肩を狭くして暮らせそうな、小さな小屋がぽつねんとある。
妖の一匹でも出てきそうな雰囲気でしたが、これまでの旅でその様な
ですので出てきても人1人だろうと、厚かましくトントンと泊めてもらえるように撫で声で話せば、1人の老人が出て来て快く受け入れてくれました。
「面白い考えですね、それ。何処で知ったんですか?」
「なに、1人で居ると色々と考える時間が出来ましてな。遠い昔に誰かが夜空の星々を結んで、その境目を創り出したのでしょう。とある星々を脳で繋げると、六色六星の別の夜空が見えるのです」
「へえ! だったら一度私にやらせてみてはくれませんか?」
1人寂しく暮らしている老人かと思い、適当におべっかを並び立てていると、どうにも魔法とは違う不思議な力…術を持っていると言います。
一見眉唾な物だとは思ってしまいますが、何分と私自身が最もその様な、嘘のような本当の事を背負っておりますから、一笑に笑い飛ばす事は出来ません。
「いえね? 私は見ての通りとある者に4つの翼を預けられ、そのまま忘れ去られてしまったものですから、返す為にその人を探している最中なんですよ。それで大陸を丸々探しても見つからない物ですから、そういう異界に行って探してみたいと思っていた所だったんです」
「成程。であればこの
こうして山の開けた場所に出て、邪魔な木枝を四翼で切り裂いて始めてみれば、なんと驚き本当に異界の夜空が見えるではないですか。
白、紫、赤、青、茶、緑。丁度正六角形になる様に配置されたその星々は、みている私の心をざわつかせて仕方がありません。
「どうです。吸い込まれるような素晴らしくも恐しい夜空でしょう。この美しさに囚われたが最後、吸い込まれて星の一つとなってしまうんですよ」
「ええ…本当に美しい…これが、寓話世界」
「はい。見た者の感情を掻き立て、恐れさせ、過去から語りかけるサマは正に空想の物。あの6つの星が、我々が作った噺によって輝いてると思うと、心が浮き立つものになりますな」
イナバラはそう言って、長い顎鬚を撫で整えながら言う。
かの星々を毎晩見上げていたと言う彼は、なるほど確かに寓話世界の事をよくよく知っている。
しかし……曝け出した知識がどれも犠牲を必要とする物なのが、残念でならないと、ルーシーは思った。
「──それで、どうやってあの星空がどうして創作の世界だと、寓話だと理解出来たのですか?」
「……なに、気にすることはありますまい。ただ、あるがままに知っただけ。見てそういうものだと理解しただけです」
「おやまあ、おかしな噺ですね…私には如何にも、貴方を
長いこと天使をやっていると、知識を得る内に色々と見えて来るのだ。
力の流れ、魂の波動、生命の感情、あらゆる運命を織りなす糸……そして今、新たに
イナバラから得た知識で目覚めた新しい視界には、ハッキリと
「…ははは! 何を言うかと思えば…私に悪霊なんぞ1人とも着いておりますまい! きっと旅でお疲れなのでしょう。ささっ今夜はごゆっくりと…」
「私は悪霊と一言も言ってませんよ」
「不思議な眼で見える恨みなぞ、霊以外ありましょうや? では先に寝床の準備でも…」
「"稲葉波妖怪絵巻"──貴方、本当は星を見て寓話世界を知った訳ではありませんね?」
可笑しな噺だ。案内された開けた場所は、私が枝葉を切らなければならない程放って置かれたと言うのに、彼は毎日夜空を眺めていると言う。
不可思議な噺だ。私の手元にある[黄金の愚王]には、恐らく私の魂の波動しかないのに、相手には明確に4人分も本人ではない魂の姿が見えている。
いやよく見たら私の魂ではないですね。貴殿は誰ですか?
身体が散り散りでとても苦しそうに見えますけど…彼はまた後で調べましょう。
「骨を筆にしたのでしょう? 締めて4人分。明確に貴方を恨んでいる点と魂の様子から──皮で絵巻を、髪で紐を、血で文字を書きましたね?」
故に一言、私は彼をこう形容しました。
「"貴方、まるで妖怪か何かじゃありませんか"?」
彼の隠し事を解体した瞬間は、そう形容するしかない変化でした。
身体が溶けて、木々が溶けて、土が溶けて、内から"黒い泥"としか言いようのない存在に化ける。
「空に…⁉︎」
油絵のように歪み、ぞろぞろとその後ろから黒い泥が這い出て来る。
「逃げ場は──ッ!」
月すらも溶けて、しかしその後ろには"蒼い月を映す鏡"が現れた。
唯一泥になっていない場所。あそこなら、泥の盾に出来る。
迷う暇もなく、私は火に引き寄せられる虫の様に鏡の元へ飛んで行ったのです。
「ころりころころ こぼしのたいこ やまのむこうに こんころり」
其処には──小さな子供が、
蒼い、海の輝きを放つ眼を持った……深淵を覗き込んでいる気分になる、真っ白な不思議な童女。
異常な存在。見ているだけで、心はぞぞろのままに砕け散る。
「"さむたがりは ゆめのおく あばきたがりは うつろのこうろ"」
しゃらりと鈴の音が聞こえる。
凍えるような、荒地の風が肌を裂く。
六色の夜空に、落ちている。
「いなばなみうち どろのふなたび」
背後から、泥の手が私を押す。
蒼い月を映す鏡に押し付ける様に、私を運ぶ。
抵抗も出来ず、夜空の彼方に運ばれる。
「"ほしのゆりかご うみがわりにはこべ"」
私は星屑の一つとして消えていき──[黄金の愚王]に憑いた男性の繋がりに導かれるように心が引き寄せられて、私の意思のままに動く泥の手が、私をその元へ崩れながら運んで行きました。
そして意識がプツリと途切れて──。
ミソフィア 箱庭「黄金の愚王」
精霊歴1145年「英雄の時代」
「お目覚めになったのですね
気が付いた時には、私は豪華絢爛な一室の中に居て──天使に頭を下げられてました。
「ええと…どういう…状況ですか?」
未だ理解し切れてない事は多いですが……確かな事が一つだけあります。
私は、遂にこの翼の持ち主である、悪魔の影を踏めたのだと。
DT「[
紀元前-9████████7年、深淵の世界で産まれた叛乱者にして転生者。
今でこそ人魚に変質しているが、本来なら精霊としての側面が強く、凸強化や演技中の運命力のブーストがある。
今回は寓話で戦力を増やしている最中に
性能はS1の「
DT「[
紀元前-7████████1年、風説の世界で産まれた漂流者にして転生者。
今でこそエルフに変質しているが、本来なら魔人の性質が強く、レベルを永遠と上げて強くなれる。
ヤマトと会った時は目的がまあまあいい感じに行って機嫌が良かった為、円盤内の倉庫で埃を被っている物を譲渡した。
性能はS1の「