Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した!   作:何処にでもある

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 ソシャゲにもオープンワールドな作品は多数有りますが、その中で一度も迷子にならなかった人は居ないと思います。
 少なくとも、私はオープンワールドでノーヒントで特定のプレイヤーを見つけ出せる自信はありません。




オープンワールド最大の欠点は迷子になること

 

 

 ミソフィア? 箱庭「地獄跡地3丁目」

 精霊歴‭─‬‭─‬‭─‬‬年「████████」

 

 

「済まない、暫く留守にしてしまったな」

「誰ですか貴女は」

「クリハマだ」

「生死から性別を経由して年齢まで何もかも違うのに何言ってるんですか貴女」

「おっと失礼……それならローズと呼んでくれ。本日は入社させて貰いたく参上した」

「別に求人広告とか出してないんですけどね」

「だが知名度はある。2ヶ月前まで居た初代探偵クリハマの時の何十倍も…そうだろう?」

 

 本日も淡々と業務をこなしていたある日、突如として現れた()()はそんな事をほざいた。

 そろそろ日暮れだってのに何でコイツは此処まで足を向かわせたのだろう。ボロ布を纏った見た目からして宿にも困っている様子みたいだが、夜廻りは危険だって分からないのだろうか。

 

「気分は私が初代ですが……まあ、来る依頼全部解決してたらこうなりましたね」

「そこだ。僅か2ヶ月で今や探偵事務所「紫明亭」は闇と風の寓話世界発祥の箱庭なら知らぬ者は居ない領域までのし上がった……しかも、その社長は現実世界の同郷だというじゃないか!」

 

 この死んだ魚の目の幼女、リストカットとかしてて病んでそうな癖に動きが元気だな。

 中身がすげ替わりでもしたか? この闇の世界ならそういう悪魔が居ても不思議じゃないんだけど。

 

「つまり駆け込み寺にしたい…と。その為の能力はありますか? こっちもあくまで探偵。慈善活動ではないのですが」

「話が早いな、流石探偵だ……しかし、私の能力はもう見せただろう? クリハマの情報を見つけ、演じる能力は中々だと考えているのだが」

「まあ…そうですねえ」

 

 一考してみる。俺、クリハマのアレコレなんて知らないんだが……よくもまぁ、()()()調べて来るよな。

 

「76点。ギリギリ合格って事で」

「おっと……私が76点? コレでもかなり自信が有ったのだが…」

「いや、だってねえ?」

 

 ……そろそろ頃合いだろう。

 俺は両手を叩いて鳴らし、()()()を呼び出した。

 

「へい、カモン」

 

「どうも、クリハマです」

「ドーモ、クリハマ=サン。クリハマです」

「クリハマでーす! 君新人さん? 宜しくね!」

「クリハマです…宜しくお願いします…」

「あ、どうもクリハマです」

「どもどもー、毎度お世話になっておりますクリハマですー」

 

「「「「「「全員揃って探偵戦隊クリハマーです!」」」」」」

 

「今は待機組の6人だけですけど、全体はローズちゃんを合わせて100人…本当に増えましたねえ」

 

 奥の扉が開くと、全国のクリハマ達が集まってるんじゃないかという勢いでクリハマが集まった。

 当然全員ローズ同様に偽クリハマだが……案外、噂を聞いて捨て身で駆け込む人が多いんだよな。

 そして何故か全員がクリハマのモノマネをする。何でだろう、やっぱりキャラ作りして宣伝してたのが広がってたのかなあ。

 俺には不明瞭な話だが、どうあれ金なら依頼を解決してたら無限に湧いて来るので問題はない。何故か毎日50件以上集まって来るんだよな。広告も出してないのに不思議なもんだぜ!

 

「…………」

「ご覧の通り、デイリーでクリハマ君とクリハマちゃんが来てる訳です。ご納得頂けましたか?」

「………えぇ」

「ならよかった。最初の任務はビーフシチューを座って待つこと。その間に仲良くなってて下さいね」

 

「……どうしてこうなったんだ?」

 

 最後にローズちゃんがぼそりと何か言っていたが、俺には聞こえなかった。

 まあ困惑してるんだろ。その内慣れる。

 

「ふっふっふーん♪」

 

 そんな訳で駆け込み雇いも終わったので台所で食事作りである。最初に自分とクリハマとの契約を使いまわしたせいで、此処にいる子達の分は食事の面倒を見る事になった。契約はちゃんと見ような!

 そうなったからにはやらねばならない。それがこの業務の辛い所だな。

 俺は日々と旅費分のお金を稼げればそれでいいのに…どうしてこうも広まるのだろうか。

 

[正しく評価されない代償ってなあ怖いなぁ? 知名度を広めるという一点に掛けては凄まじい影響力だ]

「広まらないと評価の影響も弱くなる。だから対価分間違わせる為に広まる……上に立つと毎回こうだから、本当に困っちゃうよね」

[その分ドンドン人が入って来たからいいじゃないか。寓話の世界の落ちた人、全員集まる勢いだぜ?]

「というか、もう全員集まったんじゃない? 大抵は虚空の魔物に殺されて、落ちても大半は底まで落ちて……箱庭、夜空を見てると忘れそうになるけど、アレってお互いの距離が凄い離れてるからなあ…」

 

 宇宙を漂って何かの星に辿り着く確率と言えば、どれだけ難しい話か分かるだろう。

 左右の空間端は繋がってるから見た目よりも狭いが……それでも太陽系程度の大きさを持っているのが寓話世界「ミソフィア」だ。

 正直100人も生存者が居ればすごく運が良いと思ってんだ。今日入社したキリ番のローズでマジで全員来た感があるしな。

 

「はい、サクラお手製のビーフシチューの出来上がり。みんなー! ご飯出来たよー!」

 

「納得出来ない……何故私が居なくなってからそんなに依頼が来てるんだ」

「所長が凄いから」「社長の人徳」「リーダーのカリスマ!」「ボスの運命力?」「持ってる側の人間だからとちゃいます?」「…さあ? サクラさんがバズったからじゃない?」

「依頼を集める為に広告出してた私が馬鹿みたいじゃないか…何が起きたんだよもぅ…」

 

「仲良くなれてるようで何より。私としては全部電話で解決してたからじゃないかなーと睨んでたり」

 

 そんな訳で本日もご飯を食べて風呂に入り、一日を終えた訳だ。

 いやー、悪魔の事は悪魔だな! 電話で状況を聞くだけでどんな依頼も丸っと分かるんだから、俺は答えを教えるだけでいいもん。難易度とか関係ないんだわ。

 

[スキルの引き継ぎってのは便利だな。これを使えば簡単に答えが分かるんだし]

「あー…今どんな感じでしたっけ。其処らへん適当にやってたから分からないんだよねえ」

[感覚の譲渡。契約の感覚共有と合わせたら糸の流れを過去の分まで追える様になったんだよ]

「…どの人生のものでしたっけ?」

[最初の方とか使い方を理解する為に適当やってて覚えてないが……角が生えた時だったか?]

「うーん…目隠しでゲームしてるのと変わらないんだから、其処は不便ですよねえ」

 

 このスキルの引き継ぎ、システム自体は便利其の物ではあるんだが、致命的な問題として選択中の画面が見えないのだ。

 多分最初に見掛けた桜山を写した円盤にあれそれ表示されてると思うんだが……厄介な事に、"俺が使っても手元に現れたりしないんだよな"。

 ゲームだと「ディストリカ」の連中は使用中出て来てた気がするんだが……まあ、不良品なんだろう。

 

 そんな訳で今、俺は何を引き継いでるか完全不透明なのだ。

 分かってるのは悪魔が電話だけで答えに辿り着いてる奴だけである。俺じゃなくて悪魔に影響を与えるのか……。

 

[だが良いじゃないか。分からないパターンの方が多い分、今世は運が良い方だ]

「何で私じゃなくて悪魔ちゃんなのかは不明瞭のままだけどねー…ま、それっぽいのを認定していけばそれでいいでしょ」

 

 毎回ランダムに変わるのだから然もあらん。

 なんか壊れてる奴を押しつけられた自分の不運を恨め。

 

「ふあ…今日も書類処理頑張ったなあ…でもいい加減ヤマト兄ちゃんを探したい…そろそろ立場を誰かに押し付けるべきか…」

[やってもいいんじゃないか? 俺を置いて行けば誰がやっても変わらないだろ]

「……あっ」

 

 ………そうじゃん。

 犯人見つかるのは悪魔がやってるんだから後はそれをお客さんに伝える人が居れば良いじゃん。

 やっべ、なんで気付かなかったんだろ。やっぱり普段の仕事で疲れてたのかな。

 

「あ、でも魂が融合してるから…?」

[最近オープンした100円ショップのオモチャの指輪でいいんじゃないか?]

「えーそんな適当な事で上手くいく訳出来ちゃったねえ?」

 

 試してみたら出来た。いやー、世の中やろうと思えば出来るもんだな。

 

[流石だな俺達。魂の適当っぷりが最高だ]

[そうだな、俺が2人に増えたがコレで解決だ]

「流石Nランクの悪魔ちゃん…道具として増えてるからクローン問題も大丈夫……不安だから片方消えてくれたりは…」

[なら待て…よし、サクラの中に居る方はもう消えたぞ]

「自我の連続を気にしないとこういう時強いよね、私はごめんだけど」

 

 確認したら俺の中にある魂の席は2つになっていた。応答もない。

 すげえ気軽に消えていくなあ…こうなったらもうこの計画止められないじゃん。

 実質悪魔が死んだんだし、何としても出て行かないと…。

 

「……サイコロ」

[ほい100面ダイス。いつか言うと思ってネット通販で買った奴な]

「……100だ」

[今日入ったローズだな。まあ…電話係として問題ないんじゃないか?]

「一日15分は顕現可能だから…その間に書類に纏めたものから選ぶ方式で…完璧な手札だ!」

[言っとくと、顕現しても俺を認識出来るのはお前だけだからな? 物は持てるからやり方はその辺考えておけよ]

「おぉお覚えていましたがぁ!? 当然抜かりはありませんよ! ええ!」

 

 あっぶねそれ忘れてた。

 普段から会話出来るとこれ本当に忘れるんだよな。

 だが悪魔が指摘したから問題はない。

 

「では! 私はお暇させて頂きます! 悪魔ちゃんはお仕事頑張ってくださいね!」

[おう、夜は危険だから朝に出ろ]

 

 こうしちゃいられない。俺は早速書き置きと指輪を残して夜の街に繰り出そう!

 笹食ってる場合じゃねえ! もう誰も俺のことを止められない!

 

『カチカチカチ……』

『ねえ……私わわたわたししし綺きれきれいきいれキレイ?』

[[か〜ごめかごめ。籠の中の通りは〜…]]

『蜿悶j蜈・繧後∪縺吶°縲? 蛻?j縺セ縺帙s縺¿』

 

「………」

 

 俺はそっとドアノブに付けた手を退け、トイレでちょっぴり漏れた分を拭いた。

 うん、やっぱり夜にさ、黒羊のパジャマした奴が地獄を歩いちゃダメだって俺思うんだ。

 誰だよ今すぐ行こうとした奴。頭おかしいんじゃないか? やっぱ世の中は安全第一ってハッキリ分かるわ。どう考えたってアレは危険だもん。

 

 がたん。

 

「おや……なんだ、探偵さんではないですか。こんな夜更けに体操ですか?」

「……なんだ、ローズちゃんですか。ビックリさせないでくださいよもう、驚きの余り片手ブリッジしちゃったじゃないですか」

「良かったですね。私が悪魔だったらそのまま食べてましたよ」

「だったら教えてあげましょうか? この姿勢でも結構動けるという事を」

「いい加減元に戻ってください。探偵がそんな醜態を晒してる事実だけで私が泣きそうになりますから」

 

 物音一つにビビってる奴いる? へっそんな事聞く奴には逆に質問してやるぜ。

 

 こんなんビビるに決まってるだろうが。

 

「それで、ローズちゃんは夜遅くに何をしに? 此処には外の悪魔にビビってる探偵しか居ませんよ」

「……いえ、大したことではありません。探偵に上り詰めるならどうすれば良いか考えていただけです」

「探偵事務所に入った時点で探偵では?」

「甘いですね……探偵はこの世にただ1人だけ。その部下に与えられる称号は良くて助手、そうでないならカナリアですよ」

「わお、エレガントに使い捨てと言い切りましたね」

「事実です。探偵が謎を解くには、死者が遺す物が必要ですから」

 

 貴族的で傲慢な言い方をする子だなあ。自分の事を使い捨てだと言い切っちゃってるよ。

 ウチはそんな事する事務所じゃないよ! もう直ぐ捨てるつもりだけどな!

 

「つまり……ローズちゃんは探偵に…この事務所の責任者になりたいってこと?」

「単刀直入に言うとそうなりますね。まあ、そう簡単にいかないでしょうし、向こう10年は此処で‭─‬‭─‬」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 幸運にも本人の確認が取れたので、俺はブリッジをしたままカサカサと自室に戻って行った。

 いやー、直ぐに出発するのは出来なかったけど、憂いなく出て行けるのは嬉しいな。

 そういう事なら今夜中に待機組にも書き置きを残しといて……納得出来るようにいい感じの言葉も書いておこう。

 あ、そうだ! それから……

 

 

 ↙︎視点変更:EX → TD

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

「「「「「「おはようございます。探偵様」」」」」」

 

「……これは、どういう冗談ですか?」

 

 人という存在は唐突に夢が叶った時一体どういう反応をするのだろう。

 少なくとも私は、目の前の事をドッキリか何かだと認識した。

 

「ささっ此方に腰をお掛けください。依頼を解決する時間です」

「事件は今も溜まっています。探偵様に必要なのはそれらの犯人を当てること」

「えっと…名前が書かれてるから、その中から犯人を選んでね! 大丈夫、直ぐに分かるよ!」

 

「まて、そのまま進めるな。そうだ、探偵は…サクラは何処に行った? 探偵と言えばそっちなんじゃないか?」

 

「「「さぁ…犯人を選ぶ時間です」」」

 

 昔から、探偵という物に憧れていた。

 

 紫煙漂う煙草、アンティックな安楽椅子、目が醒めるような鋭い指摘、誰よりも早く真相に辿り着く特権……どんな危機でも脱出して、犯人に罪を認めさせる喜劇は、私の心全てを形作ったと言っても過言ではない。

 

 それこそ‭─‬‭─‬()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 なのに。

 

 

 犯人

 ・[四丁目の夕焼け]アガメ

 ・[怪ツ橋事件簿]ムラクモ

 ・[百八怪談]皿幽霊

 …………………

 …………

 ……

 

 

「誰でも、幾らでも丸を付けてください」

「付けないなら……それでも構いません」

「貴女が見た。その自体に意味が有りますからねー。何なら寝てても構いませんわ」

 

 これを例えるなら……そうだな。

 苺のショートケーキの、苺の部分だけを集めた皿だろう。

 たった一つの答えが、数多に集まっているせいで陳腐なものに成り下がってしまっている。

 本来あるべき物を、苺を彩る全てが廃されて、消えてしまっている。

 そんなの、ケーキ(探偵)である筈がない。食べる(推理する)気も、そもそも起きない。

 

 そもそも……苺だけでは、それがケーキに載ったものかも分からない。

 その名前の羅列に、意味を見出せない。

 

「……いい加減教えてくれ。コレは何の真似なんだ?」

 

「探偵の仕事です」

「犯人が誰か、依頼人に教えるんです!」

「ボスは毎日やってましたよ」

「貴女は選ばれたから、やるべきなんです」

「…安寧が約束されるんですよ」

「まーワシらも生活がありますから。拒否権は御座いませんなぁ」

 

「一度に喋るな……お前達が知っているなら、態々推理する必要もない状況だろ? 順序よく説明してくれ……」

 

 そう言うと、このカナリア共はお互いに顔を見合って、少し戸惑った顔になる。

 なんだ…? なんで、私が悪いみたいな空気を出しているんだ…?

 

「…なら、私が代表として……単に、世代を交代する時期だったんですよ」

 

「どういう意味だ……業腹だが、サクラの実力は探偵として本物だ。それは此処最近の解決数を見れば分かる。それを、なんで交代する必要があるんだ」

 

「消えたからです」

 

「……は?」

 

 本当に不本意な話だが……あの日雇った新人は、私以上に探偵に向いていた。ともすれば名探偵、安楽椅子探偵、其の物だ。

 だから私は、向こう10年は彼女の助手として働こうと…なんなら、この事務所を譲る気でいたんだ。

 まあ…多少変な様子は有ったが……そんなの、名探偵の一癖だと思えば寧ろプラスだ。私から見れば好感すら思えるし、此処しばらくは彼女のブロマイドやサインを手に入れる気ですらいた。

 それなのに……消えた?……なぜ?

 

「簡潔に説明しましょう。彼女は探偵をするに従って仮称「悪魔の指輪」という魔道具を扱っていました。その効果は使用から15分間、特定条件下の指輪に提示した問題の解答が配られるというもの。この事務所は、この魔道具のお陰で回っていたんです」

 

「‭─‬‭─‬有り得ない! 寓話世界は知名度のある作品の演目しか始まらない! それの意味することは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということ! そんな……そんな推理を陳腐な物にする魔道具は産まれ得ない!」

 

 反論する。頑固たる、転生者として蓄えた知識と経験によってその存在を否定する。

 だが‭─‬‭─‬彼らは、その反論に実物を取り出してみせた。

 

「……しかし、それは此処にある。こんな魔道具は創られない……ええ、その通り。これは演目によって創られてません。()()()()()()()()()()()()()()()んです。他作品の交流、その成果物なんですよ」

 

「あ……」

 

 それは……その理論に反する言葉は、私は持ち合わせていない。

 実際、言われてみれば確かに有り得る話だ。

 その線を直ぐに思い付かなかった私が悪い程に、探偵として思い至るべきことだった。

 

「説明、続けますね。そんな指輪ですが、サクラさんはコレをある経由で手に入れたそうです。其処は君たちの為だと、守秘義務だと教えてくれませんでした」

 

「どうやって…私の人脈では到底そんなの…」

 

「1日15分。使い手を選ぶ一級品の魔道具です。使う手順こそちょっと複雑ですけど…サクラさんは、コレを残して消えました。全ては私達を守り続けるためにです……そんな中て、ローズちゃんは、サクラさんが使い手に相応しいとして、探偵に指名したんです。全く以って……光栄ですよね?」

 

 説明は其処で終わった。

 話を聞く限りだと摩訶不思議な道具であり、名探偵サクラは虚構の存在だという話だが……ダメだな。穴抜けの情報が多過ぎて、何処から突っ込めば良いか迷ってしまう。

 話の通りならここに書かれた犯人表は本当に全員犯人らしい事も、私が見る意味が全くないのもそうなんだが……。

 

 名探偵が遺した課題にしては、余りにも杜撰だ。

 

「……デメリット。そんな便利な魔道具が、例え交流の産物だとしても存在しないのは有り得ない。サクラが消えた事と、何か関係がある筈だ。先ずはそれを答えて貰おうか」

 

 兎に角、最初に気を向けるならコレだ。

 迂回した物言いだが、明らかにこの魔道具とサクラが消えた事に関係性はある。

 先ずは其処から解くべきだ。

 

 そう考えて私が問い出すと、相手は顰蹙を売られたような顔をした。

 

「そのくらい自分で調べて考えろ……ひよっこ探偵。これ以上は此方から言うつもりはない」

 

「……なるほど、それは…確かにそうだな」

 

「はぁ……だが安心は欲しいだろうから、一つは確約する。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……サクラさんの、貴女向けの遺言の一つです。精々頑張って下さい」

 

 言われてみれば確かにそうだ。

 不気味な状況ではあるが、それでも私は探偵の立場になった。

 それにどうも……これはお膳立てされた問題のようだ。この程度、解けなければ探偵の名折れという事だろう。

 

「ふむ……」

 

 いいな、面白い。

 何年か大人しくしようと考えていたが……この調子なら、毎日楽しく過ごせそうだ。

 それに、3代目探偵として今の状況は中々()()()んじゃないか? 先代の遺した謎を解き明かす、絶対的な答えが分かる遺品持ち……最初に目指していたものではないが!コレはコレでアリだ。

 

「ははっ退屈はしなさそうだな?」

 

 

 ↙︎視点変更:TD → EX

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「今頃楽しんでるかなあ、ぱっと見で測ったあの子の実力に合わせてみたんだけど……賢かったら一瞬で解ける謎だからなあ…」

 

 早朝、箱庭間を定期遊回する飛行船の中で、俺は心配を口にした。

 これでも100人の探偵志望を見て来たからな。それで鍛えられた人選眼によると、ローズちゃんはちょっと頭の回りが弱い子だと思うんだ。

 凝り固まってるというか……長生きした頑固爺みたいな感じ? 知識のある頭出っかちっぽかったんだよな。

 だからまあ、サプライズ代わりの謎は自分で調べれば簡単に分かるものを中心にしてみた。

 

「一応待機組と仲良く成れるレクリエーションのつもりで組んだけど……そろそろ謎の二重底まで気付いてて欲しいな。その為に夜の内から頑張ったんだし」

 

 残したことは単純だ。

 待機組に渡した書き置きのカバーストーリーと、指輪の儀式手順に遺した矛盾、調べていく内に俺が長期旅行に行っただけで、ローズは探偵代理みたいな物だと分かる……我ながら良い感じに作れたと思ってんだ。

 

「ま、私には誤解させるアレがあるから、変な方向に拗れる可能性が無きにしもあらず?」

 

 飛行船の客室で寝転びながら、()()でバタバタしながら久々の1人を満喫する。

 普段はヤマトや悪魔が居て中々1人にはなれないんよな。だからこういう時間って希少なの。

 まあ…だからって旅行中ずっと1人なのはごめんだけどさ。

 

「……巡回航路によると先ずは天。それから火水土風か…途中寄る場所も多いし、長旅になりそうだなあ」

 

 (おもむろ)にパンフレットを開き、巡る箱庭を確認する。

 俺の乗っている飛行船は立ち位置としては定期バスに近い。決まったルートを各駅停車するタイプだ。なので降りてはヤマトを探し、別の飛行船に乗るのを繰り返す事になるだろう。

 この機会に無くしていた右手も治したし、暫くは魔物に加えて悪魔と戦闘する場面も少なくない筈だ。

 

「少なく見積もっても一年……舞台は帰りの手段を探すのが手間過ぎるから飛ばすにしても、箱庭だけでコレだけ掛かる……うーん、ヤマト兄ちゃんが私を迎えに来るのが先になりそう…」

 

 自分の不甲斐なさに冷や汗みたいなものが流れる。

 うーん…「エラッタ」だと「ディストリカ」の人達に人質代わりに助けられつつ半年でヤマトと出会ってた気がするんだけど、一向に現れないんだよな…どこで間違えたのかなあ。

 

 ま、その内出会うだろ。風は特に何処からでも会えるタイプの奴だった気もするしな!

 わっはっはっは!!

 

 

「……と、思ってたんだけどなあ?」

 

 

 そう思って旅立ったのが、1()()()

 俺はヤマトにも「ディストリカ」にも出会う事なく、様々な箱庭で騒動に巻き込まれつつも「黄金の愚王」の箱庭に辿り着いていた。これで2回目だけどね。見つからなさ過ぎて現在2周目です。

 ただいま、我が故郷(ふるす)よ(2回目)。会いたく無かったぜ。

 俺はこの15ヶ月で更に成長して、身長も胸も大っきくなっちまったよ。

 ジャンプしたらダプンってなるぜ? くそ重いぜ。

 

「うーん…何処でフラグを折ったんだろう。全然わからないなあ?」

 

 ヤマトの手がかり…無し。

 「ディストリカ」との繋がり…無し。

 最後までついてくれた仲間……無し。

 

 悲しいかな、俺には物語のお約束が存在しなかった。

 誰かあ…俺が3周目に向かう前にヒントを寄越してくれえ…。

 

 






DT「[怪物世界(モンスノンフィ)楽夜叉(スローズ)
 紀元前-2███████3年、怪物の世界で産まれた楽を求める夜叉にして転生者。
 悪魔に変質しているが元は単なる怪物であり、固有の種族に囚われない唯在る者だった。
 探偵に憧れているが、本質的に思考停止しがちで怠惰なタイプ。その為、憧れの探偵には永遠に辿り着けない性質を持つ。なのでサクラの残した謎は永遠に解かれない。
 性能はS1「仙骨(食、眠、性の不要化)」、S2「怠惰の罪(無痛/細胞分裂停止)」、「咎なるかな(転生先の人格の自動排除)」、転生した肉体次第のS4とS5を持つ…筈が、S3のせいで毎回人格と共に消えている。どうやら転生先のスキルを得るには、転生先の人格に相当するものを屈服させる必要があるらしい。「ディストリカ」の中では6番目の実力者。

DT「[天命世界(フェイフ)自然者(ニュートラル)
 紀元前-14220446351年、天命の世界で自我を持った自然にして、一応転生者。
 天使に変質しないままずっと昔から生きている、自然が意志を持った概念/世界そのもの。
 ある意味では神そのもの、天の寓話世界そのものでもあるが、ずっと昔から死んでないが故に転生者としては特典を持てないままでいる。最近の悩みは老化で耳も眼もボヤケてきたことと、リフターから大きな赤子扱いされたこと。
 性能はS1「自然(ニュートラル)」、S2「超自我」。自然が自分の意思で動いた場合出来る事ならなんても出来る。「ディストリカ」の中では2番目の実力者。

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