Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した!   作:何処にでもある

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 →脳内で相棒や助けたりするキャラに叱られながら本編を進める。

 リアル1年使って育成やイベントを終わらせて、それから本編を進めるタイプに発病する症例です。類似する例としてスマホをポシャってDATA LOSTによる新アカ再走パターンが挙げられます。




息抜きにイベントをする→本編を忘れる

 

 

 ██フィア? ██「██の時織姫」

 ██歴‭─‬‭─‬‭─‬‬年「████████」

 

 

 パンパパン!

「やっほー、遊びに来たわ」

[誕生日おめでとー!]

「ヤマトお兄様、おめでとうございます」

「みんな……ああ、随分と長いこと掛かってしまったが、「ディストリカ」と敵対して尚今日まで生きてこれたことを俺は誇りに思う」

 

─‬‭─‬‭─‬センが拷問の末にヤマトに惚れてから一年後、其処では誕生日を祝うヤマト達の姿があった。

 クラッカーの音、舞い散る小さな色紙、蝋燭が年齢分立てられたケーキ…。

 サクラはどうしたと思うだろうが、其処は安心して欲しい。

 

[本当にそれね! 過去に侵入する魔道具を乱用して漸く今日まで生きて来れたんだから! ヤマト君もとんでもない選択をしたよ!]

「ああ、流石に天の寓話世界その物が転生者だと思わなかったが……この箱庭から一歩でも出ると殺されるのは想定外だったな」

「自然の概念そのものだからね、腰は重くても本腰入れて広がればすぐに見つかって殺される。寧ろこの箱庭が避難所になるのが異常だよ」

「─‬‭─‬その分俺は強くなった。過去の俺が敵対を宣言する3ヶ月目までを繰り返し、出来る限りの戦力を集めきった」

[そして、遂に今回の周回で殺しきった……感慨深いよね、本当に]

「本当にそうね。概念殺しと転生者殺しを同時にだなんて、私も普通に賞賛しちゃうわ」

‭─‬‭─‬‭─色々あってド忘れしているだけである。

 だが、彼の弁明をするなら…無理もない話なのだ。

 センから様々な情報を書き出して箱庭に降り立ったその日‭─‬‭─ヤマトは全身を潰されて死んだ。

 其処から助かったのは単にフィアが事前に持たせた「目覚めの砂時計」のおかげであり、今日に至るまでやり直せたのも、センが所有していた「複製された逆順時計」という"過去に今までの情報を得た自分を創り出す"魔道具で過去に降り立ったからに過ぎない。

 

 「多次元同時存在」

 ヤマトは、そういう存在となって3ヶ月間を繰り返し、そして遂に今日、その3ヶ月を越えてから一年を迎えることが出来ていた。

 

 サクラを探す為には先ず概念を殺す必要があり、その為に様々な箱庭と舞台から人と魔道具を集め、無限かと錯覚する程の執筆強化を乗り越え、手を付けるつもりの無かった強化手段にも手を出し、召喚に次ぐ召喚、強化に次ぐ強化を今日まで続けて来たのだ。

 その為に繰り返した回数‭─‬‭─‬67回。

 毎回3ヶ月経つまで続けていたのも考えれば、16年と9ヶ月も「ディストリカ」No.2の討伐の為に費やした事になる。

 最初の目的を見失うには、余りにも順当な時間を彼らは過ごしていた。

「さてと…セン、そろそろ目覚めの時間よ。肩を叩いてあげたんだから、義理の兄が死ぬ覚悟をなさい……一応言っとくと、あんたとナイアが頼んだ事よ? 私は暗殺の用意を済ませておくわ」

「……ああ、時間か」

[それで、次は何をするんだい、ヤマト君]

「そうだな…貴重な家具も集めたしな…そろそろ外征の完全踏破をしたい」

「落下した末に辿り着くダンジョン、虚空の消し損ね。遂に本格的に手を出す日が来たんだね」

「取り敢えず1ヶ月。踏破出来なくてもその辺りで切り上げよう。それくらいならフィアが新しい演目を復刻させているだろうからな」

[ふふっ楽しみにしてておくれよ? なにせ今回は水着回だからね!]

「おおっ!」

 

 ……そういう訳である。

 目的と手段の入れ替わりとはよく言ったもので、ヤマトはすっかり今の生活に馴染みきっていた。

 それこそ、センに着けていた眼帯と耳栓が無くても気にしない程度には油断もしていて‭─‬‭─だからこそ、長命の者の……転生者の目線から言えばあっという間に隙を晒していた。

「はい、準備完了。トラ殺しをした手向よ、正体を明かしてから殺してあげる」

 センがメガネを掛け直す。眼帯を外してから、始めてメガネを装着した。

 

「うんうん、お兄様が()()()()元気なままで本当に良かったよね」

「……? どうしたんだ、セン。なにか‭─‬‭─‬」

 

 101─‬‭─‬‭─()()()()()7()3()7()9()()

 

「ばーん」

 

 1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬」

[ヤマト!]

「はぁーい、さっき(大体1年)ぶりね? 私と会ってない間に随分と男前になったんじゃない?」

 

 唐突だった。

 ありとあらゆる影から、死角から、虚空から……亜音速で飛来した弾丸が全てを台無しにした。

 円盤を背中に浮かべる紫髪のカウガールが緩く言った一言で……ヤマトは、戦う事も叶わずに死んだ。

 

「よくもまあ肉体の原型を留められたわねぇ? 流石はトラ殺しって所かしら?」

[ヤマト…やまと…! お願いだ、返事をしてくれ…!]

「もうそいつは死んだわ。そんな茶番をやってないで、そろそろ時間を巻き戻したらどう?」

[何を言ってるんだ…ヤマトが死んだんだよ!?]

「……? ええ、だから巻き戻された後にもう一度殺す……セン、説明」

 

 すれ違っている。

 リフターはそう感じ取ると、コレまでずっと側に居たセンに齟齬の解決を任せた。

 時間関係はややこしい。だからこそ、分かってる奴に要約させるものだ。

 リフターは人生で悩まない秘訣を幾つも覚えていた。

 

「説明しよう。ヤマトの巻き戻しは魔道具を利用したものだ。特に制限こそないが、事前に用意しないといけない。だから、此処で死ぬとそのまま死ぬ事になる」

「なんだ、武器は装備しないと意味がないって話ね。彼、本当にここが安全だと油断してたのねぇ」

 

[なんで…なんで此処にお前達が居るんだ…! 此処は(寓話世界)からは入れない場所だぞ!]

 

 のんびりと話している2人を見ている内に理性を取り戻したのだろう。

 フィアはヤマトの死体から離れ、じりじりと後退りながらそう吠えた。

 いつでも逃げ出せるように、そういう算段で立ち上がって‭─‬‭─‬銃弾一つ、脚に当てられて崩れ落ちた。

 

「……ッ!」

「なら話は早いわね。その魔道具を誰にも使わせなければいい。私、シンプルな話は大好きよ?」

「説明はしないの? こういうのは獲物を前に舌舐めずりするものだよ」

「私、RPGは寄り道しない派だから。オマケとかやり込みとか、野暮ったくて嫌いなのよね」

 

 声にならない悲鳴をあげて、フィアは何千年ぶりの痛みに悶える。

 あつい、いたい、力が入らない、異物が煩わしい。思考にモヤがかかってまともに考えられない。

 ずっと機織りをして、ずっと冒険を見聞きするだけの小娘には到底耐えられるものではなかった。

 

「ばーん」

 

 そして‭─‬‭─‬それを待つ程、今日のリフターは気長でもない。

 機嫌が良ければ或いは教えていたかも知れないが……悲しいかな、ここ最近はタクシー代わりにさせられて機嫌が悪いのだ。

 フィアもまた、こうして銃の悲劇の歴史、その数字の一つとして藻屑と消えた。

 

 がこん。

 

「…変ね、2人を殺したのに時間が巻き戻ろうとしているわよ。セン?」

「ああ、フィアもヤマトも確かに死んだ。だから……コレは何処までも単純な話だ」

 

 ……だが、それはそれとして"巻き戻しの時計は回るのだ"。

 

「"それを望まない誰かが時計の針を戻した"……つまり、また最初からやり直し」

「えぇ…2人を見つける前にソイツを見つけないといけないって訳? 面倒ねぇ」

 

 リフターは巻き戻り、巻き戻しにより消えていく記憶を少しでも残そうと、影に向かって銃弾を放った。

 1発、68発、7発、12発、20発。影の中に時間は存在しないが故に、こうして暗号による情報の引き継ぎを可能としていた。

 ……彼女がフィアの箱庭まで辿り着いた絡繰、その物である。

 

「さっきのRPGで例えるなら、"何処かで大事なフラグを見逃した"感じ。だから寄り道推奨だよ、リフター」

「……はぁ、なるほど」

 

 リフターは頭を上げて、最後にいい事を思い付いた顔でこう言った。

 

「確か…ヤマトの奴は妹を探してたみたいだし、一回ベルとアンタが組んで騙して来なさい。いつ戻るかにもよるけど、もし()()()()()()()()()()()()()()()()()()なら……これ、とんでもない好機よ?」

 

「…意図は理解したけど……本当に、寄り道せずに強引に突破しようとするね」

 

 

‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬

 END27:「銃弾の塵」

 条件:「ディストリカ」を1人以上殺す。

 条件:「リフター」に合計30回以上遭遇した上で

    1年が経過する。

 

 リフターのコメント

 「巻き戻しの対策をしない訳ないでしょ? ここ

  では巻き戻しは良くある方なんだから」

‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬

 

 

 ミソフィア? 箱庭「黄金の愚王」

 精霊歴‭─‬‭─‬‭─‬‬年「████████」

 

 

「一つ問います─‬‭─‬どうして時間が一年くらい巻き戻ったんです?」

「そりゃお客様が時計を逆回転させたからですよ。お代は手持ち全て、キッカリ払って貰いますからね」

「ズレた時計を正しい時間に戻しただけなのに…な、納得出来ない…」

 

 そんな訳で無一文になった俺だ。

 興味本位で覗いた怪しげなお店の商品をイジったら、".血の繋がりがある親族が居る時間まで精神を過去に云々って感じの時計を回してしまったらしい。

 どうにも歴史小説のタイムスリップの舞台装置として使われた魔道具だとか何とか。「親子パラドックス」って言うらしい。

 

「……ん? つまり、今、此処にはヤマト兄ちゃんが居る?」

「あ?……まあ、この地に()()()()()がソイツならね。これはそういう、親の歩みを1()()()()()()()()()()経験する魔道具さ」

「ありがとう怪しげなおばあちゃん! 全財産相応の商品だったよ!」

「逆だ逆。あんたがそう思うから、お前は無一文になったのさ。あんたは聞いちゃいないだろうが…ま、元気にやりな。お値段はお客様次第ってね」

「うん! ばいばい! お世話になりました!」

 

「全く……"兄が親だなんて、不思議な家系を持った奴が居たもんだ"」

 

 これに気付いた俺は天才だな。現実世界からの落下、兄妹しかいない俺ら。

 この条件なら、先祖…家族に当たるのは逆説的に兄1人だ。 一年しか巻き戻ってないし、これ絶対来訪した日だろ。

 要は血の繋がってる人と確定で出会える出会いアプリだろ? やったな! 目的達成だ!

 

「どこだー? 探ぐへ!」

「ヤぶへっ!」

「大丈…結構吹き飛んでる!」

 

 そんな感じに走ってると人にぶつかった。

 しかも相手は結構小さかったのか、かなりの勢いで吹き飛んでしまった。

 慌てて追いかけて拾い上げれば、なんか見たことある気がする顔と等身の低さ。

 具体的には「エラッタ」の話の一つで見た気がする。ちょっと話してみるか。

 

「ああ…こんなになっちゃって…ごめんなさい」

「いえ…私ももう少し上の方を飛ぶべきでした…そちらこそお怪我は?」

「私は平気です。見ての通りピンピンですよ!……宜しければ脚になりましょうか? 随分とフラフラですし」

「あ、普通に嬉しい提案…ならご厚意に甘えまして…私はニャルです。暫くお願いしますね?」

「もっちろん!」

 

 ぶつかってフラフラになったのが逆に功を奏したのだろう。

 このミニキャラ……ニャルと名乗った人物は、どうやらヤマトを探しているらしい。

 ヤマトが走ってると途中で振り落とされたんだとか。

 ……うん、早速ドンピシャだわ。ニャルの脚になってれば絶対辿り着けるわ。運が良いってレベルじゃねーぞ! 今までの旅が何だったのかってくらいスピーディーだ!

 

「ヤマトさーん、ヤマトさーん?」

「ヤマトー! 出てこーい! 其処に居るのは調べが付いてる! 大人しくお縄に付け!」

「……えーと、その言い方だと多分出ないと思います。ちょっと……色々有りましたから」

「家族条例第三条に則り!……って、そうなんですか? なら言い方を変えて……ヤマト兄ちゃん! お前の妹は此処にいるぞー!」

「……ん? 妹?」

 

 こうなると変な眼で見られるのはコラテラルダメージだ。

 兎に角目立ってヤマトを見つける事を最優先にする。

 俺はその辺り躊躇なくやるぞ、笹食ってる場合じゃないからな。

 そうしていると、曲がり角の向こうにくそ程目立つ赤メッシュ野郎が居た。

 あれは間違いない、我が兄ヤマトだ。

 

「お兄ちゃ‭─‬‭─‬」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 肩を誰かに掴まれた。

 振り返る。其処には、露出度の高い服を持った6翼の天使が居た。

 

「眼を離した隙に逃げ出して……今日は即位式だって、まさか忘れてた訳じゃないでしょう?」

「えっと……人違いです」

「そんな訳ありません、()()()()。お付きのわたしが見間違える訳がありません」

 

 "親の歩みを一年だけ成り代わって経験する魔道具"

 俺はその意味を深く考えずにヤマトを探していたが……転生者の俺の親って、()()()()

 

「ちょ…離してください!」

「ほら、行きますよ。みんなの(アイドル)になるんですから、本番前のリハーサルまでしっかりやらないと」

「待って…お兄ちゃん! 助けてお兄ちゃ‭─‬‭─‬」

 

 その時、ヤマトと対峙していた人物が顕になった。

 

「やっと会えたね、()()()()()!」

「‭─‬‭─‬ああ、漸く…だな」

 

 其処には、()が居た。

 

「‭─‬‭─‬え?」

 

 ヒュンと鳴る風切り音と共に、景色が、色彩が線となって流れていく。

 気が付けば何処か懐かしくも感じる王の間で、私はあられも無い格好で茫然と立ち尽くしていた。

 この一瞬でこのサイズの小さい服に着替えさせられたのだと、気づくのにそう時間は掛からなかった。一眼見てサイズが合わないと気付かなかったのだろうか。

 

「今回のテーマは和服バニーです。前回は清純派路線だったので、今回は少し淫靡な感じで行きますよ。服は……見てない間におっきくなりましたか? 別の衣装を持ってきますね」

「私が2人居て…なんで?」

 

 色々言われているが、そんな事を気にする余裕なんてない。

 転生者として取り繕う暇すらない。だって、私が最も求めていたものが、誰かに取られたのだ。

 

 それも、自分自身に。熱った顔で、潤んだ眼で、発情した兎のようにヤマト兄ちゃんに胸を押し付けて。

 

「‭─‬‭─‬せない」

「…姫様?」

 

赦せない!! 誰だか知らないがあの淫売が! 私の姿でインモラルな関係を築こうとしやがって!! 誰の赦しを得てそんな不埒な事をしようとしてるんだ!!!………いや、いや! それ以上に‭─‬‭─‬」

 

 立場を取られた?‭─‬‭─‬どうでもいい。

 兄を奪われた?‭─‬‭─‬どうでもいい。

 私の姿で兄を誘惑した?‭─‬‭‭─‬どうでもいい。

 

 私が誰かに成り代わった?‭─‬‭─心底‬どうでもいい。

 

 全て、兄が嫁を迎えれば似たようなことが起きる事だ。

 確かに腹が立つが、まだ赦せる範疇のものだ。

 だが…だが、コレだけは、本当に赦せないのはただ一点。

 

私と兄の絆を軽んじた。それが何よりも赦せない

 

 そう、コレだ。私は何よりも、コレが赦せない。

 例えヤマト兄ちゃんが私を忘れる程誰かに夢中になるだけでもギリギリのラインなのに、それを他人がやる? はっ? 土足で私達の関係に脚を踏み入れるな。不遜だぞテメェ。

 

「……ひ、姫様?」

 

 ギロリと睨んで、それからコイツは悪く無いと思考を改めた。

 ああそうだ。コイツはあくまでも成り変わり元の扱いをしているだけだ。

 ……だったら利用しない手はない。ヤマト兄ちゃんからあの阿婆擦れを引き剥がすのに使える筈だ。姫という呼び方から推察するに最も扱い易くするには……。

 

「すまんのう。ちと不敬過ぎるもんが見えたからキレちゃった()()()

「…!? その振る舞いは…!」

「妾の姿で美人局の詐欺をしようとしとる輩じゃ。思考が止まる程驚いたぞ、あれは」

「‭─‬‭─‬っは! 即座に捕えてみせます!」

 

 後は……時間を戻す前に訪れた時、ルシファーの幻影を未だに追いかけていたな。

 なら、それに合わせてやればいいか。私は一回女王をやってたからな。ノリは良く分かっている。

 

「それから‭─‬‭─‬新しい衣装に若返りと…天使になる薬か。あるなら寄越すのじゃ」

「直ちに!……何をぼぅっとしている! 初めて姫様が乗り気になっているのだ、直ぐに持って来い!」

 

 付き人が側に居た部下を走らせて、私の指示通りに衣装と2つの薬を持ってくる。

 迷う必要なんてない。どんな姿でもヤマト兄ちゃんなら受け入れるだろうから。

 何よりこの世界だ。元に戻す手段なんて幾らでも存在するだろう。

 

 私は躊躇なく薬を飲み干した。

 

「ごく、ごく…はあ……翼やヘイローがあるのは久々じゃな。何というか、昔の服を着た気分なのじゃ」

(はぁ……この感覚、久しいですね。ルシファーの時に戻った気分です)

 

 世界が大きくなり、鍛えてきた肉体が幼くなる。何処か懐かしい翼が生えて、髪色が黒から金へ、一房の赤を残して変質した。髪色の変化は天使になる薬の影響だろうか。

 

「ん?……ああ、魂が覚えておるのか。まあよい、妾なのに代わりはなかろう」

(口調が……前世の影響って奴ですかね)

 

 やはり幾ら転生しても、この魂はルシファーが最も根源に近いのだろうか。見た目がやったからか、この特性も復活し始めた。

 想定外だったが、この口調の強制は寧ろ便利なものとして受け止めておく。

 

「ご……ご本人だ……間違いない、女王様だ……」

「昨日までも確か女王様でしたが……今日の姫様と比べたらカスだ……」

「ありがたや……ありがたや……三賢者やってよかった……」

 

「ふう……(さて)と」

 

 ……多少怒りが治ってきたので、状況をまとめよう。

 服のサイズが違っていた事から、あくまでもこの成り変わりは記憶の改変だけに過ぎない。

 その矛盾がある以上、彼らを疑わせずに従えるには仕方ないことだが……この分だと過剰だったかも知れないな。

 なにせ本人だ。成り変わり元が誰だか知らないが、代償による過剰評価は俺にしか無し得ない。

 それが王の風格として機能するならとことん利用しよう。あの女狐を一切鏖殺するには、大国の力でも無いと気が済まない。

 

 全力を尽くして破滅させてやる。

 

妾に相応しき装いと舞台を用立てよ。これは王命である

 

「「「はっ!!」」」

 

 万華鏡のようなステンドグラス、廊下を的確に照らす日差し、玉座を飾る黄金の意匠、臣下の返事で飛び立つ岩鳩の群れ……正に絢爛豪華、磐石国家。何もかもあの日、輪郭がぼんやりとした城の中から始まった、あの日とは異なる景色だ。

 

 それでも……俺は不思議と、似ていると感じた。

 

「後は精々女王の……ふむ」

 

 何故かと自問自答すれば、この回帰は最初の転生に似ている。

 「自動記録(ダイアリー)」の生まれ変わりとは違う、俺が記憶する限り最も形容し難いあの感覚に似ているのだと気付いた。

 だったら……女王の称号を使い回すのは違うだろう。同じ人生はないからこそ、死にたいと思う心は慰められるのだ。

 

 なにより縁起が悪過ぎるしな。あの結末をなぞる気はさらさら無いし、ここは変えて心機一転しておこう。

 

「‬"姫"の役に立ってみせよ。妾の不興を買った痴れ者の収容も、成し遂げてみせるのじゃ」

 

 のじゃロリ天使の女王改め姫ってな。

 今回は「エラッタ」序盤のボスとして好き勝手させて貰おうか。

 まあ、多少アレコレやって規模が大きくなった気はするけど……その分ヤマト兄ちゃんも強くなってるだろうし、大丈夫でしょ? だって私を探すのをやめたもんね? 見つけるのをやめたからには‭─‬‭─‬「エラッタ」本編を終えたくらいの実力もあるってこと。

 

「‭─‬‭─兄妹喧嘩じゃ。精々妾に負けぬよう励め」

 

 1番イラついたのは阿婆擦れだけどさ、どうでもいいって考えたけど、やっぱヤマトが見抜けてないのも普通に腹立ってるんだわ。

 という訳で遠慮なく行くから、其処んところ宜しくな。

 

 お・兄・ち・ゃ・ん?

 

 






EX「[現実世界(エラトリア)失敗者(レナイア)
 このせかいが はじまるまえからそんざいした にんげん。
 べつせかいからひょうりゅうしたとも おりからだっしゅつしたともされるが さだかではない。
 「でぃすとりか」のりーだーであり ふだんはあいまいにすごしている。
 『歴代継承』のいのうをもつ。『堕是』、『救敗』ももっていたが、こわされてばらばらになってしまったようだ。

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