Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した! 作:何処にでもある
特に「エラッタ」は何度も巻き戻してストーリーを追うので、ボスに関してはイツメン、よく会う友達くらいの感覚になります。
ミソフィア? 箱庭「黄金の愚王」
精霊歴───年「████████」
「──確保ぉ!!」
「「「オオォォォォ!!!」」」
「こうなったら…「
即位式の行われるめでたい日にも関わらず、とある一角では喧騒が辺りに響いていた。
ヤマトと騎士団による
「総員追撃! よし逃げるぞ、サクラと……」
「お兄ちゃんについて行きます!」
「ニャルです!なに忘れてるんですか!」
「あぁそうだったなすまない! 寄り道が長くなってな!」
このままでは埒が明かない。
ヤマトがそう考えて一鞘当てると、何処からともなく無数の人影が現れ、騎士団に雪崩れ込む。
忽ち騎士団は1人を追いかけて捕まえるだけの仕事から、命懸けの集団戦闘を始める事となった。
とんだ詐欺案件であるが、ヤマトからすればしめたもの。この隙にとニャルと妹の手を引いて狭い路地に、そのまま空き家の2階まで一気に避難してみせた。
「………よし、暫くは大丈夫だろう」
窓から下を眺め、追撃軍団を撃退させてから来た騎士団が通り過ぎたのを見送ると、ヤマトはほっと一息ついた。
ヤマトの巻き戻しの使用は"特定の時刻を区切りに周回の統合が行われる仕様"だ。あのお陰で戦力自体はあるものの……今どうなっているか、薄れた記憶の補完をしてくれる類いのものではなかった。
「なんなんだ一体……俺は犯罪をした覚えは無いんだが」
「ヤマトさん、ルーシーさんの家財を強盗したのを忘れていませんか?」
「なんの話だ…?」
「嘘でしょ? さっきの今ですよ?」
「待て……よし、一回振り返ろう。お互いの事情を全て話すんだ」
ヤマトにとっては16年前の事でも、ニャルにとっては2、3時間前の話だ。
こうなって来ると一度最初から話し合うべきだろう。ヤマトとニャルはお互いに何をしていたかの情報を共有した。
「なるほど……そういえばそうだったな。Nルシが居たからか、すっかり手紙の友人の事は忘れていた」
「自然の化身……神に等しい存在……事情は分かりましたけど、その方って今はもう復活してませんか? ヤマトさんからしたら時間が戻ったんですよね?」
「いや、その辺りは大丈夫だ。俺が巻き戻しに使った魔道具は、俺の記憶が統合された時点でその成果も反映される。自然者も今頃転生も叶わずに消滅した筈だ」
要は姿の見えない影分身みたいなものだと、ヤマトは付け加えた。
過去に戻る度に分身が増えて、同時に行動する。だから
「これで経緯の整理は終わったな。次は何をするか、だ」
「ヤマトさんの妹は一応見つかりまし…た…よ?」
「いや……その前に一つ問わねばならない事がある。其処に居る──」
「あ、ですよね? やっぱり──」
2人は相手が自分と同じ事を言うと信じて、どちらも言葉を止める事はなかった。
「サクラさんが2人居たのは可笑しかったですもんね!」
「何故センの代わりにサクラがここに行ったんだ?」
「「……ん?」」
「あーらま…」
お互いに相手の言葉を聞いて、その言葉を咀嚼して、自分の情報と照らし合わせて──同じ結論に至るのは、そう難しい話では無かった。
2人同じ人物が居たとして、怪しいのは誰かの立場を取って代わった者だろう。
「「お前/貴女、何者なんだ?/ですか?」」
「"潮時"『鐘鳴らし』」
「Quick Code 2:0キル」
赤い鐘が現れて鳴る──その直後→直前。
《"タイムラプス"》《カウントゼロ》《オラァ!》《八の型…
「ちょっ!?」
「──"確保"」
ヤマトとサクラの行動順が入れ替わり、サクラは動き出す前に打倒される。
時間のほつれ、スキルの強制発動、過去の差し込み、即死する攻撃の反射。
戦闘が始まるまでもない。ヤマトが雑魚や汎用性、速攻を目的として組み上げた開幕10割コンボの編成は、実力を計りかねていた彼女を無力化するのには十分な練度まで練り上がっていた。
「"解除" "封印" さて、化けの皮が剥がれた訳だが……」
「あー……」
ヤマトが拘束用と強化解除、魔法封印を行えるガチャ産の魔道具を使い、サクラの……否、
「私は屈しな──」
「言い訳は聞きたくない。見つかると手間だからな。脳に直接問いかける。"記憶観測"」
LR「
ヤマトがガチャで手に入れた、使う意志と事前に登録した言葉を合図に自分に出来る事を代行させる魔道具。簡潔に言ってしまえば自動化と編成の呼び出しである。
オフラインの「エラッタ」はガチャでシステムを拡張させるゲームだった。
「さて、見せて貰──」
ヤマトの脳に
「奴らを食い止めろ!」「革命だ! 旗を掲げろ!」「我々の勝利だ!」「これが大霊図書…」「すごく…古い本だ」「今度は私達がこの国を…」「知識が必要だろ?…」「水…禁忌…深淵?」「原始文字…それを3文字も模ったなにか…?」「足が…この本、防衛機能がある!」「ダメ…この知恵は私達には耐えられない」「でも、きっといいものだ」「鐘を使おう。私達の、赤い、象徴の鐘を」「コレは福音である! 民達よ、勝利の鐘の音と共に、喝采を!」「い や あ あ あ !!」「怪物ぁ! 怪物がいるぁ!」「月が…蒼い…」「待ってよ…私達は何を解き放ったの?」「ある筈だ…この本に、封印する方法が!」「うわあ! ██の身体が泡になっていく!」「なんだこの円盤!」「私って…誰だっけ?」「なんの成果も挙げられませんでした!」「私は怪物でも██でもない…この世界を滅ぼし旅立つ者だ」「来たれ、精霊よ! 王国の守護者よ!」「
「ぐっ…! なんなんだこの記憶は…!」
ヤマトは急いで記憶を読み取るのをやめ、頭を押さえる。
何故そうしたか? 膨大な記憶量で撤退したのもそうだが、余りにも記憶に残っていた光景が奇妙なものだったのが1番の理由だった。
見てて可笑しくなる。ヤマトは狂気を這い寄らせる魔導書の1つや2つ読んだ事はあるが……ただ話の流れの一点で此処まで頭が痛くなり気が遠くなるのは初めての経験だった。
「コイツはダメだ…コイツが転生者なのもそうだが、最初の人生経験が終わり散らかしている。生きている事が恥だ」
「其処まで言われる筋合いはない」
「そこまで言われる事をしているだろう。何が赤い鐘だ、赤っ恥でしかないじゃないか」
革命と称して王族に強盗殺人をして、その結果として手出し厳禁なものに手を出して全滅した。
ヤマトから言わせれば本当にくだらないとしか言いようがない。
この程度の相手に騙された事自体が恥ずかしいとすら思えて来る相手は初めてだと、ヤマトは憤りすら感じ始めていた。
「もういい、首を出せ」
「…あの、ヤマトさん? その凄く死の気配のするものは…?」
「
「にしては触れるもの全て殺すって雰囲気ですが!?」
そう言って騒ぎ立てるニャルだったが、それ以上に玉結を見て焦っている者がいた。
転生者として長い時間を過ごしていた彼女の本能には、それに触れれば本当に終わりだという警告が頭に鳴り響いていた。
それもその筈、「玉結」とはヤマトがあちこちを巡った末に辿り着いた転生者殺しの刀。
魂の輪廻から強制的に解脱させることにより、その者を永遠に世界から排除させる魔剣である。
輪廻断ち、
とある箱庭でこの刀を創り上げた刀匠は、その言葉を鞘に彫って自らにその刃を突き立てたという。
その伝承が事実かは定かではないが、ヤマトがこの刀を見つけた時は謎の老人が鞘に文字を彫ってから自殺する所だったのでほぼ間違いないだろう。
ヤマトはこの伝承を事実として広める気が無かったが故に、謎の老人の死の一説として噂に留まるばかりだった。ヤマトは第一発見者にはなりたく無かったのだ。
「待て、本当に待って。それはやめて、本当にやめて」
「此処までご苦労だったな。清く首を出すならば痛みなく終わらせよう」
「目的はなんだ? 協力する。他の連中の手出しもやめさせるから」
「一瞬だ。この刀なら死後に国家も仲間も全て殺した大罪を雪ぐ必要もない。安心して死ね」
ダメだ、私を殺す眼になってる。
ベルは本気で死ぬ覚悟は一切無かった。
転生できるならいざ知らず、此処で終わるとなると直ぐに心の折れるへなちょこ転生者。
リフターに革命ごっこと煽られるだけはあるだけの、心の小さき者だった。
「えーと、えーと…! そうだ、か……身体を捧げる! 私はどんな姿にもなれるから……女としても男としても極上! 望むなら何人でも産むから…! 貴方が何度生まれ変わっても妻や旦那になって尽くすから…! 都合の良い奴隷でもひっ……!」
ヤマトは首を刃を当て、痛みなく殺せるよう骨の位置の確認を済ませた。
関節の隙間も見つけ、準備万端である。
「待って…! 死にたくない…しにたくない…! こんな所で…私、しにたくないよう…!」
「や……ヤマトさん。ちょっとくらい話を聞いてあげても…」
「記憶の量からして数億年生きた老人だ。もう人生の享楽は全て堪能しただろう」
「そんなことない…! 私、処女も童貞もまだ持ってるもん…! 清い身体でずっと頑張ってたもん…!」
「ほら、本人もこう言って……そんなおぼこっぷりでよく性関係アピールしましたね、貴女」
「最後まで味方になってよぉ…! わたしをまも"っでよ"ぉ…!」
「………はぁ。3分やる。その間に俺が殺さないでいようと思わせろ」
ベル、渾身にして本心からの泣き落としである。
こうなるともう見た目と相まってただの少女にしか見えない。
初手で殺しに来たのを考えても、話を聞くだけで聞こうと、ヤマトは刀を構えたまま猶予を与えた。
「ぐす…今回ヤマト様の妹様に化けてたのはリフターの要望です…これで彼の関係者洗い出せって時間が戻る途中で此処に送り込まれました…」
時間が巻き戻る間にセンとベルの位置を交換し、変身に必要な容姿を教えられたのだとベルは付け加えた。どうやらこの件に関しては彼女にとっても急な話だったらしい。
「妹の見た目を知ったのは?」
「センが未来から送られた遺伝情報から、ヤマト様の妹がいる場合の容姿と振る舞いを算出しました……」
「心做しか記憶より胸が大きくて甘ったるい声だったのはそういう訳か」
「ヤマトさん、其処まで違和感が有ったなら偽物だって断定しましょうよ…」
「俺からすると16年前だったからな」
原作「エラッタ」の方のサクラの容姿と振る舞い。
ベルが変身したのはそういうもので、センが割り出したのはそういうものだった。
「なので敵対は不本意と言いますか……実は「ディストリカ」の内部では歴史改変する派としない派で分かれてて……センとトラはする派だけど私はしない派だから殺さない方がいいと思います!」
「嘘だな。残り1分」
「ひぃ……」
ベル、渾身の派閥転向である。
バリバリのする派からしない派の先鋒として考えを改め、それが無駄だとヤマトに突きつけられた。
記憶を見たヤマトにとってこんな嘘を見抜けない訳がない。今更裏切ってももう遅いのだ。
「後は後はー…そうだ! 転生者の特典と精神の継続性、同族の認知方法について!」
「それが俺の気になることだとでも? 59…」
「あわわ、でも大事な事なんです! 転生者はこれまで経験した人生を3つまで特典として引き継げるんですけど、これには落とし穴があって……」
「54…53…」
「あーもう! 生き物は時間と共に記憶を摩耗しますが
「30…29…」
「だから実質的な枠は二つだけで、その一枠は共通だからそれに反応する魔道具などを使えば転生者の発見は容易で、私達はそれを使って仲間を増やしてて、使ってないスターとナイアと死んだトラの分は反応しなくても4人の場所が分かるのは間違いなくて……!」
「20…19…」
「これは魔法じゃないので実演してみます! ほら、円盤に数字が書かれ…て…
背後に浮かんだ円盤を見て、ベルの意識に空白が出来た。
ベル、リフター、ローズ、セン……その反応で4になる数字は間違いなく5を指し示していた。
これの何が問題か?
「5」
この機に及んでヤマトに嘘を付いた。
以後、ベルの言葉に信憑性はない。
助かる道が消えた。
「……嘘、うそうそうそ!? なんで!? だれ!? だれなの!? こんな時に? どうして!」
ベルの算段では、残りの生存者数のカウンターとして付き従い、その間に身体の関係でもなんでも作って殺す気をなくそうと、仲を深めて生き残ろうと考えていた。
「4」
「やだ…やだやだやだ! 死にたくない! しにたくない! 待って、殺さないで! ヤマト様、いっぱい喋った私にお情けをください!」
「1 "拘束" "封印" "睡眠" "暗殺"」
「あ───」
こうして彼女の結末は定まった。
ヤマトの練り上げられた一撃は、縋り付くベルの首を切った上で血を服に一滴も付けず、眠るような死を与えた。
「……死後は泡か。トラの時は意思のないただの概念になっていたし、やはり転生者は現実の者ではないな」
「うーん……生かしてもよかったと思いますけどねー…」
「性格と精神の連続性があると本人も言っただろう。言い換えれば何年経とうと心が成長せず、飽きもせず、転生する肉体となった誰かが死ぬ……不変の怪物の犠牲者を増やす程、俺は甘くはない」
「存在自体が罪みたい言い方ですね。私としては原罪は無いものとして計算すべきなんですけど…」
「死後ならそうだろうが、生前ならその限りではない。計算する者次第だろう」
「……まぁ、解脱したなら私の前職の範疇ではないですね。輪廻を巡らない者は
死体が泡となって消える。
怪物に触れて変質した肉体は、長い年月を経て怪物の元へと還っていった。
とうの昔の結末が漸く追い付いたのだろう。
ヤマトは少しばかり祈ってから窓から空き家の屋根に登る。偽物は始末した。つまり、ニャルの見たもう1人こそが本物だ。
「ニャル、もう1人の所在は?」
「連れて行った者は姫と言ってました。つまりは……」
屋根の上は見晴らしが良いものだ。空を飛んで移動する天使が点々と居なければ見惚れていたかもしれない程に。
「王城…だな。どんな仕組みか存ぜぬが…友人の手紙然り、結局入る事になるんだな」
「今日は即位式です。人、沢山いるのであまり大技は避けてくださいね?」
「ああ、そうだな……」
そういえば、俺とセンが会ったのは即位式の2日前だった気がするな……。
ヤマトは頭の片隅でそう考えて、直ぐに振り払って屋根を飛び進む。
細かいことは後だ。実際に見聞きして理解した方が早い。
そうして王城前の広々とした……今は人が沢山居て狭っ苦しそうな……場所に出た。
ヤマトは広場の横、人通りが少ない道を辿って王城に近付いていく。
どうあれ、今のヤマトにとってNルシお姫様に興味はない。さっさと侵入しようとして──。
「──諸君、こうべを垂れよ」
「え、サクラ?」
その妹そっくりな声を聞いて、思わず広場の方へ振り向いた。
隠れながらで見えづらくは有ったが……確かにサクラを、或いはNルシを思わせる天使が其処にいた。
「此度集まった事、実に大義なのじゃ」
「はわわ…女王様…尊い…」
「今妾のことを女王と思った者、不敬である。これからは姫と呼べ」
「「「はっ!!! 申し訳ありません!!!」」」
「はっ──」
「ニャル黙れ。居場所がバレる」
「……あ、ヤマトの奴あんな所に居るじゃない。んー…スターなら殺せるかしら?」
他に追従しようとするニャルを口止めしつつ、ヤマトは城内に侵入した。
一見して似てると思ったが、やはり違うだろう。俺の妹は金髪じゃない。
「…ん? その姿……ねえ君、もしかしてヤマトだったりする?」
「Quick Code 2:0キル」
「「「「判断早いね、増えてなきゃ僕生まれ変わってたよ?」」」」
「……その物言いと異様さ。転生者か」
そのまま兵士から隠れながら王城を進んでいると、この場に相応しくない存在に見つかった。
ぷかぷかと浮かび、星の飾りを繋いだ紐を全身に巻きつけたドワーフの少年……
画一的に揃った姿、空気に乗って浮かんでいるサマ、徐々に個々が白く変色している様相。
既に攻撃は始まってると判断し、召喚を殲滅用に切り替える。対軍戦力は既に整えていた。
「Quick Code 3:範囲火力」
《全てを平等に!》《後衛部隊──
「あーあ不運だな」「リフターに連れて来られた結果がこれだなんて」「別に良いけどさ」「慣れる時間くらい与えろよ」「完封してて楽しい?」「せめて話し合おうぜ」「時間なんて気にしなくていいだろ?」
「──もうその攻撃は効かないんだしさ?」
最後の一体が白炎のマントと騎士鎧を纏い、両手剣を片手で持ってヤマトに近づく。
その背後に佇む円盤には雷雲の中を映しており、絶えず雷が迸っている。
胸の中心に逆さまのハートが彫られた白炎の騎士は剣を胸元に掲げ、決闘の構えを取った。
「ならば1…いや、2つ聞かせて貰おう。有るならば俺と戦う理由と名前、墓場に刻む為のものだ」
「ヒュー、本当に僕らを殺し切れる奴が言うと威圧感が違うね。いいよ、教えてあげる。リフターの戦うお誘いに乗ったのは、お前が俺達を皆殺そうとしてるから。名前は
「1回、両親が試しに買ったっきり。この世界では肉か野菜、パンも米も食べる余裕は無かったな」
リフターに殺された時よりも鋭利で尖った殺意を未だ保っているからこそ、返答は容易だった。
「そりゃいいや。僕と余計な考えなく対峙出来そうだ──だって僕が死んだら、世界からふわふわで美味しいパンは消えるからね。僕って酵菌……その化身だし」
「ああ、その手の脅しは
「その刀が現世と魂の繋がりだけを斬ったからさ。……脅し、その通り。僕も勝ちたいと思ってるよ」
ヤマトが"玉結"を取り出し、中段の構えで初速を溜める。
それを見たスターもまた、一撃で終わる事を悟ると剣を構えた。
「「──────」」
遠くから女王改め姫の演説が聴こえる中、途中から少し離れた物陰で見ていたニャルが瞬きしたその瞬間───お互いの位置は換わり、剣は振り抜いた痕跡を残してどちらも仕舞われた。
「……うん、流石。剣と鎧をすり抜けて僕を……転生者としての僕だけを斬った。最後に教えて欲しいな、どうやった?」
「刀自体は脆い鈍だからな。解脱させる以外の能はない以上、折らない為にその剣と鎧は"回避"した」
白い鎧から血が溢れ滴る。
ヤマトが斬った。
ニャルはそう確信して……ヤマトから白炎が昇り、血が滴るの見てその考えを改めた。
「だけど君も斬られたよね。僕の
「問題ない。エリクサーを始めにあらゆる回復手段を使う。それでも無理なら……死ぬ気で慣れるだけだ」
「おっ……良い考えだと思うよ? 僕が持つ
ヤマトが召喚物から様々な回復に使える道具を使い、傷を…白炎を消そうと最善を尽くす。
しかし……彼の言った通り、白炎はどんな伝説の復活を齎らす薬でも治す事は出来ないでいた。
「銃と火薬の嵐に適応する適応力が菌ではなく、人間由来…? なんの冗談だ」
「僕からしたら君たち現実世界の人類の方が冗談だよ。可能性が文字通り無限大にあって、魂が記憶した物を謎の力で再現してくんだよ? 普通記憶しただけでそんなの出来ないよ」
「つまり……諦めなければ、この炎も克服出来るか」
敵相手に其処まで助言するか? とヤマトが更に問えば、本当に終わりとなると色々遺したくなるもんさ。と答えられた。
そういうものかと、ヤマトは素直に受け取る事にした。
ベルよりかは先を生きた相手として敬うべきだと思ったからだ。
「気合いさえあれば克服出来るだろうね。ま、頑張りなよ。君は随分と物騒な奴だけど、根本にあるのは家族愛だ。それなら守りきってみせろよ──僕みたいにさ」
垂れた血から白炎が昇り、スター諸共燃え盛る。
程なくしては炎の勢いは燃やすべきものは燃やしたとばかりに弱くなり……小さな種火となって宙を漂うだけとなった。
ヤマトはそれを少しばかり祈ってから摘み取って見つめ……一息に飲み干すと、その身の炎をより猛々しくさせながら先へと進もうとする。
「ヤ…ヤマトさん! 流石にその身体で先に進むのは無茶ですよ! もどって休みましょう!」
「たった今あいつの爪を飲んだ。神の炎すら燃やせない爪だ。ならば、それを取り込んだ俺も問題ない」
「んな理論通ってたまりますかってんだ! 良いから帰りアッつうい!! ふーっふーっ…近くに寄っただけでこれ!? ヤマトさん今めっちゃ痛くないですか!?」
「近付くのはやめておけ。太陽に近付くのと同義だ」
「死んじゃいますよ!」
「ニャル、よく見ろ。先ほどから俺はエリクサーを使ってない」
そう言われてニャルはヤマトを観察すると……確かに、爪を飲み込む前はアレほど薬をがぶ飲みしていたヤマトが、何もせずに突っ立ってるだけ。確かに平気そうだ。
「痛くないんですか?」
「痛いに決まってるだろう。燃えてるんだぞ?」
「ならダメじゃないですか」
「気合いを入れると体内に仕舞われる感覚がある。その内制御も出来るだろう」
「もー! 今のヤマトさんを止められない自分が歯痒い…!」
コレだから男子は…! ニャルはそう思いつつも、離れた距離を維持しつつヤマトに着いていく。
こうなったからにはもう誰にも止められない。ヤマトは堂々と押し入り、立ち塞がる者全て炎の熱で追い払っていった。
幸いと言うべきか、可燃物に触れても近くの物に燃え広がらないお陰で調べ物に困ることはないだろう。どうやら生き物だけを的確に燃やしていく炎らしい。
「ここは王室か。どれ資料は…"女王日記"?」
そうしている内に炎を身体の内側に仕舞うのに成功した頃、ヤマトはとある一室で日記帳を手に入れた。
遠くに耳を澄ませば演説は未だ盛り上がっているようで……暫く余裕はあるとして、ヤマトはページを開いた。
「なんだと?」
程なくして、ヤマトは新たな事実に眼を見開く事になった。
「"サクラが…転生者"?」
EX「[
3、
両親や学友など、彼と彼女は2人の世界で過ごしていた訳ではない。
寧ろどちらも友人は多い方であり、両親に関しても毎日共に食卓を囲む普通の仲だ。
それでも妹/兄を優先するのは本人達の気質としか言いようがなく、そのブラコンシスコンっぷりは救いようがない。
少しでも相方の人生を台無しにし得るならば殺す。転生者に対する敵意の根本はそれだけである。
両者の違いは性別だけ。同じ場面ならば必ず同じ選択をする。その選択の内容自体はプレイヤー次第ではあるが……これを言い換えれば、"ヤマトが転生者を殺す選択をした場合、サクラも転生者を殺している"。
ストーリーで「ディストリカ」と全員合わないのはこのギミックが作動している為。
そして誰が死ぬのかはその時の進行次第であり──これは物語の約束のように、逃れられるものではない。