Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した!   作:何処にでもある

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 今の人々は遥か未来に制作される寓話のキャラクターには会えないが、その元ネタとなる人物達に会えることはあります。
 その時の関わり方次第では、キャラクターにまで影響を与えられるかも知れません。




レベルを上げる強化と上限突破による拡張は基本

 

 

「報告します! 精霊神石の使い方を発見致しました!」

「でかしたのじゃ! して、何が出来るようになった?」

「木の椅子とテーブルと本と棚を出せるようになりました!」

「今直ぐ戻って土や水を出せるようにしてから報告せい!」

 

 どかりと座り直し、ため息を吐く。

 直ぐに出来るとは思って居なかったが…かれこれ一月相当は経ってこれなのは不甲斐ないという感想が漏れ出てしまう。

 

「難航しておりますな…」

「そうじゃのう…あれからもう一月か…まだ5時間しか経ってない気分じゃのう」

「女王様と我々では流れる時間が違いますからね」

 

 残り5ヶ月。

 そう思うとちょっと焦りが出てくるが…俺もここまで難航する類いのものだとは思わなかった。

 だが、考えてみれば当然の話でもあるのだろう。

 本来なら今から1400年後の知識を使って作られた本、現実側で賢者や著名な学者といった人物達が書いた物語の主要人物が総出で築いたものだ。

 前世で例えるなら、平安の人にスマホやパソコンを作れと言っているようなもの。俺もちょくちょく視察に行っては前世の使えそうな知識や計算公式、うろ覚えのゲーム知識でアドバイスしているが……それでもこのザマだ。

 最低でも「浮遊石(箱庭を拡張するのに必要な物)」くらいは作りたいのだが……これは俺の見通しも悪かったと言わざる負えない。

 ガチャもコンテニューも全部主人公が居た時代だから出来たことばかりだと、痛感させられた。

 

「ふーむ、精霊神石はちと早かったか?……じゃが…しかし…いや、腹を括るとするかの」

(このままだと俺はこの寓話と共倒れだ…別のプランも必要か)

 

 最悪の場合、のんびりスローライフ生活は諦める。

 最低限1人生きられる小屋と畑が欲しかったが、住む場所は「セレスティア・ミラージュ」で再現される、別の寓話にでも紛れれば生きていける。

 元々そこから色々買う予定だったし、住む場所もそうすればいい。

 これで寓話がホラーや戦記だったりすると地獄になるが…本当に最低限の、虚空に漂い続けて漂流を祈る手段がある。

 

「ユダ、着いてくるのじゃ!」

「女王様…! 一体どこへ…?」

「倉庫なのじゃ。今も続けさせておる精霊神石の採掘、その際に現れる魔物共を倒した時に出た粉を取りに行くぞ」

 

 全てのソシャゲで共通していることだが、ガチャで引いたキャラはレベルと段階を解放する手段がある。

 それに伴い、経験値とお金と素材が必要なのも共通だろう。

 このゲームもその例に漏れず、レベル上げの「執筆」と、段階上げの「寓話再編」と、ダブったキャラを重ねる「異聞習合」が存在する。

 また、ソシャゲが長く続いた分装備やスフィア盤や固有武器やらローグライク限定強化やら何やらあるが、それは今の俺たちには関係ないので放っておく。

 そもそも俺はNランク、ユダは…確かR?…だ。幾つかの強化は有っても関係ない。低レアは考える事が少ないのだけが利点だな。

 

「…とまあ、そういう訳なのじゃ。妾達にはこれらを使って今より強くなる手法があり、今からやるのはそれじゃ。共に出来る事に感謝するのじゃぞ?」

「ははぁ…この粉がですか…」

「名を何とかかんとか……まあ妾達が最初にやれば、どう名付けようとそれが正式な名前じゃな。ユダ、適当に名付けておけ」

「え、そんな適当な…いや、結構名誉なことでもあるのか…?」

 

 ぶっちゃけこれらの素材の名前なんて誰も気にしないだろ。俺はサ終して一年の間に忘れたぞ。

 

「では「ユダのキマる粉」で…!」

「其方に任せたのが間違いじゃったな。妾が「精霊の粉」と名付けよう。異論は認めないのじゃ」

「そんなあ…」

 

 だがその名前は論外だ。麻薬みたいなイメージが付いて俺が使いたくなくなる。

 ゲームの強化ボイスでは食べたり吸ったり自分に振りかけたりしてキメてたから余計に……あれ? もしかしてゲームの時からやばい粉なのか? 

 

「……まあよい、競技じゃないのじゃ。強くなれるなら薬だろうとキメてみせよう。ユダ、お前が先陣を切れ」

「えぇー!?……ええい、ままよ!」

 

 所で強化が虚無から逃れるのに何と関係するのか説明していなかったな。

 まあ一言で言うなら、「寓話再編」を最大まですれば虚空の落ちた先の、何もかも消える場所……「虚無領域(デッドゾーン)」で消えにくくなるからだ。

 強化された存在が云々で、高レア限定の三段階まで育てた奴なら300年は持つらしいが……そこはうろ覚えだ。

 ゲームだと確かそこで燻っている奴が居た気がするってだけの話だな。まあ俺たちは低レアなので、強化した所で……そもそもNランクは「寓話再編」がないからな。要素なんてレベル上げと凸だけだ。

 

「何も起きないではないですか!」

「……ふむ、あやつが居るからこそ使えた手段であったか……ニガっ!」

 

 なので強化したユダに土台として頑張って貰う方向で凌ぎたかったのだが…そもそも主人公が居ないと出来ない手段だと判明した。

 少なくとも、ただ被ったり食べるだけでは使えなさそうだ。この粉苦いし俺嫌いになった。

 

「ふーむ、猿真似でやっても上手くいかんのじゃなあ」

(適当やってもだめかあ…どうしよ)

 

 そうして云々と悩もうとした所で……。

 

「…しかし執筆か」

 

 身体が更に言葉を紡ぐ。

 この身体、言いたいことの変換以外に思考のダダ漏れとか、言う気のないことの発言とかが多いんだよな。

 そのせいで独り言爆増だし…多分[黄金の愚王]がそういう作品だったのだろう。

 主要となる人物の内面を、これから処刑する人物への同情を消すために、独白が多いのだと思う。

 知らんけど、学のない民衆向けならこのくらいはやりそうだ。

 

「妾達が寓話であるのを考えれば、察するに妾達の活躍が増えるということ…つまり粉はインクの役割に近いのじゃろうか…?」

 

 おお、なんかいい感じの考察が出てきた。

 そういやソシャゲの固有名詞なんてそんな物で流してたけど、其処からやり方を見つけないといけないなら、執筆って単語は重要になる! 

 もしやルシファーって俺より賢い奴なのでは? 中々侮れないな、伊達に普段から黄金垂れ流してないぜ!

 

「……今微妙にイラッと来たのじゃが…しかし、そうなると筆も必要じゃろうな。そして書き手も……妾達は寓話側、筆で書かれる文字の化身じゃ。現実側が書き足さねば、粉を食べても意味がない…いい線とは思わんか?」

「私に聞かれても‭─‬‭─‬私に分かるのは政治と法です。多少剣を振るう心得もありますが…世の理や真実を探究する学者ではありません。見つけたそれを俗世に有効活用する側なのです。お戯れはおやめ下さい、女王様」

「なんじゃお主急に賢気な喋りは? 普段はもう少しアホっぽい喋りなのに…なんじゃその作者の言葉を代弁したような言葉は」

「‭─‬‭─‬…さあ? ですがそういうことなのですよ、女王様。私に出来ることはそう多くない。それは間違いないかと」

「生意気じゃからこれから毎食「精霊の粉」の刑なのじゃ。食前でも食後でも良いから必ず一袋は服用するのじゃぞ?」

「う わ あ あ あ !!!」

「うむ、物語の補正のないユダは今よかアホになりそうじゃな…」

 

 なんか急に知性を得たユダをおちょくりつつ、それなら俺は食べても食べなくても良いだろうという事になった。

 取り敢えずユダにはこれからも粉を食べてさせて経過を観察する事にして、今回の試みはおしまいである。

 何も出来た気はしないが、焦りを誤魔化せたのでヨシとしよう。何事も挑戦しないと始まらないって言うしな!

 

 ……ああいや、まだ言う事あったわ。

 

「おいユダ」

「……ぐおお」

「落ち込んでないで起きるのじゃ。蹴るぞ。…蹴ったぞ起きよ」

「…どうされましたか、外道」

「女王に向かって生意気な口め…なに、ここにある素材を兵士や魔法使いのお守りにしろというだけの話なのじゃ」

「それはまた何故…?」

 

 いい感じに偶然思い付いたから…と言っても仕方ないだろう。

 ここは賢そうに、初めからこれも目的だった感じで言おう。

 だってその方が俺の尊厳が保たれる。

 

「妾達以外が執筆や再編によって強くなる道はある筈もないが、それでも装備は持てる。アクセサリーは有った方が良いからのう。妾達の実力なら+10程度でも大きい筈じゃ」

「はぁ‭…? ─‬‭─‬では精霊神石に関わる者の象徴として配布しておきます。増した力は王の加護として公布しておきましょう」

「もうそれ持ち芸にしておけ。ユダより作者の奴の方が賢そうなのじゃ」

「なんか…心外です…!」

 

 そんな訳で今度こそ今日はおしまいである。

 

「では明日にするぞ。準備はよいな?」

「いつでもどうぞ!」

 

 そうこう考えながら玉座で3秒も寝ればあら不思議、明日になっているという寸法だ。

 ……寓話に登場しないシーンは例え夜でもスキップされる。

 どうもその間にモブ達はそれ相応に活動してはいるみたいだが…やはり登場人物ってだけで制約があるのだろう。あー早く安定した土地が欲しい! 

 最初に一月って言ったけど、体感はまだ5時間も経ってないの脳がバグるからやめろ! 

 

「報告します! 精霊神石の使い方を発見致しました!」

「2日連続とは殊勝じゃな。今日はなんなのじゃ?」

「光る石とただの石が作れました!」

「つまり土の前段階…うむ、ちょっと偉いのじゃ! その調子で火と水と風と闇も創り出すのじゃよ!」

 

 アクセサリー効果があったのかは不明だが、どんなものでも取っ掛かりがあるのと無いのでは全然違うものだ。

 太古の価値観を持つモブにしては、いい仕事をしたので特別に金貨モドキを3枚渡してやった。

 黄金なら幾らでも出せるからね…それで喜ぶんだからホント楽な子達だよ。

 

「……あ、そうだ女王様、もう一つ報告が有りました!」

「む? なんじゃ?」

「精霊神石の回収作業をしている船乗り達からの贈り物です! 是非お納めください!」

 

 そう言って伝令が出したのは……黄色い一種類の花で造られた冠だった。

 うーん…俺、あいつらには仕事の命令しかしてないんだが…? 

 それにこれ、子供とかが渡すような物だし…仮にも仕事している大人…いや、生誕から数えればまだ赤子だし幼い……うーん、判別出来ん! 

 

「……妾、なんかしたかのう?」

「なんでも、素晴らしい王に贈り物をと! その為、忠誠の花言葉を持つナスタチウムで編んだそうです!」

「ほう…そう言われると悪い気はしないのじゃ。……悪い物でもなさそうじゃし、枯れるまでは被るとしようかの」

 

 受け取った花冠は、頭の上にある冠の外周にピタリとハマった。何だか強化装備でも付けた気分になるな。

 うん、身に覚えは無いけど嬉しいな。顔のないモブ共だが、余裕が有ったら寓話が崩壊した時に助けてやるとしよう。

 

 そうして、俺は機嫌を良くして更に時間を経過させた。

 それによってか、花冠の表面に付着した黄金が固まり、普通の冠の方と一体化するという事件も有ったが……見てくれは悪く無いし、そのままにすることにした。

 黄金にすれば、枯れることはないという寸法である。

 

「ククク…悪くないのじゃ♪」

 

 


 

 

 エラトリア パシェード王国ルーシー期

 精霊歴503年「黄金の時代」

 

 

「アクセサリー…ですかい?」

「はい。この船に足りないのは士気と団結だと思いましたので、私なりに一計考えてました」

「へぇ…あっしは結構長めの船乗りですんで、そういうのは分かる口ですが‭─‬‭─‬これはよく出来ている。王家の印の所が黄金だ。それもかなり高純度! これを売るような奴なんてたかがしれてやすし、この船に乗せない理由に丁度良い。女王様、感謝します」

「お役に立てたなら私も作った甲斐が有ったという物です!」

 

 ユダ様が誘致した船長に、今日に至るまでに作り置きしたアクセサリーと三枚の金貨を渡す。

 手渡した時こそ鋭い目線だったが、今は温和な顔な辺り、上手く行ったも思う。

 こっそり表層から採掘しておいた金と共に、夜鍋して細工師と共に作った甲斐が有ったというものだ。

 

「…しかし、漸く出航ですか。随分と長引きましたね」

「そちらのお貴族様が引っ張りに引っ張りやしたからね。なにかコソコソしているのは勘付きましたが、どうも何かバレるのを恐れているのか手の者が消えちまう」

「それは…私に言っても良い物で?」

「王女様は今回の客さんですんでね。信頼を得るにゃ襟元開くんが早いってもんでさあ! おっと、女王様の前で開いたら死刑かもですか! こりゃ失敬!」

「あはは…」

 

 酒を飲みながらそう宣う男を見て、私は引き攣る顔を必死に堪えて笑う。

 それもその筈‭─‬‭─‬相手は元海賊だ。少しでも油断したらどうなるか、当然、死である。

 勿論私は王族なので本当に殺されるということはないだろうが、死んだも同然なことをされてもおかしくはない。

 そのくらい気構えておくべきだろう。正直産まれて初めての野蛮なお人なのですごく怖いし。

 

「まあ‭─‬‭─‬ガチに言うとですね、今回は女王様の船旅くらいにあっしも考えてやした。ですが、貴女はこの印で本気なのだと示した。これをあっしらに()()ってえ事は、今後のあっしらの行動全てが王の名の下に許されるってぇ事です。特に、この金貨…いや、メダルか? 絵柄が普通の物じゃねぇ。‭─‬‭─‬これ、相当な物でしょう?」

「え? あ、はい」

 

 挙句に肯定する。実際は私が余った金を使って作った、硬貨としては使えない金貨…メダルだが…普通の物じゃないのは確かなので首を横に振った(この国の肯定のジェスチャー)

 

「やっぱり! これは貴族が貰うような物だと、あっしが睨んだ通りでさあ!」

「…あまりそれに頼り過ぎないで下さいね? 伯爵程の御威光はありませんから…」

「そりゃそうですが、それでもあっしらならず者や平民にとっては望外の品物じゃあねぇですかい! こんなのあっしでもやる気が出る物でさあ!」

 

 何だか大層なものと勘違いされているが、嬉しそうなので良しとする。

 私の手作りにそんな大袈裟なと思わなくもないが…私の機嫌が良くなったのでスルーする事にした。えっへん。

 

 そんな事を話していると、酒場の入り口からお連れの兵士が見えた。

 どうやらもう帰る時間らしい。私は船乗りの彼に一礼し、お連れの方に行った。

 

「では3日後から、遠征の方をお願いしますね? 頼りにしてますよ!」

「勿論! 女王様の御意向通りに!」

 

 それから3日後。

 苦節と言うにはあっという間に過ぎた1ヶ月。

 金の大鉱脈を見つけてからそれだけ遅れた遠征が、遂に始まった。

 

「テメェら! このモスキー船には黄金の加護がある! この証と共に在れば、あらゆる苦難は忽ち逃げ出し、あらゆる幸福が俺達に降り注ぐだろう! 我らに女王様のご加護ぞあり! 黄金の加護ぞあり!」

「「「ウオ‭ォォ─‬‭─‬‭─‬‭─‬!!!」」」

 

 私達を見送るユダ様を尻目に、甲板の上では船乗りの彼…いえ、船長が行う演説と共に、船員の兵士や魔法使い、船員が雄叫びを上げていました。

 流石はこの国一番の海賊です。普段から海の上で統率を取っているだけはあり、あっという間にこの船で誰が一番かを決めてしまいました。

 

「‭─‬‭─‬そして! この船には小さな勝利の女神が、女王様がおいでなさっている! 俺達にご加護を与える女神が! この船に本当に居るんだ! とんでもねぇ話だろ! 信じられないだろう! だから、この場で、特別にお前らがその姿と言葉を聞く権利をやる!」

 

 船長はそう言うと、私に目線とウィンクで合図を送りました。

 事前に話していた、私を演説に組み込むもの。船長は私がどんな想いでこの船に乗ったか話すだけで良いと言っていたが……それだけでも、私の心臓は空の果てまで飛んでしまいそうになる。

 それでも‭─‬‭─‬意を決して、私は船長の後ろから出て、隣に並びました。

 

「‭─‬‭─‬特別に、顔を上げるのを赦す。()が、パシェード王国を治める女王にして、其方達を栄光と富を得る旅に連れ出した女神()()()()

 

 やべ、挙句に変な一人称でちゃった。語尾も変なの出てきちゃった。

 大丈夫ですかこれ、めっちゃ傲慢な言い方になってませんか?

 私はこの中で誰よりも下の9歳ですが、こんな言い方でいいんですか私!?

 我が事ながら失敗を悟っちゃいますね、もうやり直せませんし……ええい、ままよ!

 

「‭─‬‭─不遜にも、妾の威光を疑う者がおるな……だが赦そう。今の其方らには、妾は無理やり安寧から連れ出した者にも、蛮勇と愚昧な旅をした者にも見えるじゃろうな」

 

 兎に角適当に言っちゃってますね私。私、混乱して自分の言葉ながら半分も理解出来てませんよ私。こうなったらもう、内心でわたわたしちゃいますよ、それだけ、涙が出そうな程の辛さです。

 

「じゃが…敢えて、妾はこの場では言及しないのじゃ。何故なら‭─‬‭─‬妾の眼にはこの旅の成功は確約されていて、不安な事など何一つとして無い。故に、結果こそを言葉とするのじゃ‭─‬‭─‬これでも納得せぬ者がおるな。ならば、この言葉を締めくくりに授けよう」

 

 何が不安な事は一切ないだ。前日なんて不安で一睡も出来てない癖によくもまぁこの口はほざけますね。

 あ、私が言っているんでした。もう混乱が一周して冷静なまでありますね。過言でした、普通に五里霧中です。

 

「‭─‬‭─‬雄弁は銀、沈黙は金である」

 

 ??????

 ……自分で自分の言葉が分からない。ですが、分かる事もあります。

 

 こうなったら、これ以上語るのは傷口を広げるだけだと。

 彼らに背を向けて、おめおめと敗走をするしか無いと言う事です。

 

 私は踵を返し、そのまま船長室のすぐ隣の部屋に逃げました。

 もう私は終わりです。今後この船で一番ダメな奴の扱いをされるんです。

 

 "女王様〜ちょっくらここの物全部倉庫に運んどいてくださいよ(笑)"

 "あれぇ女王様〜結局沈黙が何とかってどういう意味っすか(笑)"

 "塵みてぇな演説ですね(笑)"

 

 あ"〜"〜"〜"〜"私"は"終"わ"り"でずぅぅーー!!

 穴が有ったら入れて下さいぃ!!

 こんな愚かな王は存在する価値なんてありません! あ"あ"ぁ"ぁ"…!!

 

 

 その日から数日間、私が部屋から出る事は有りませんでした。

 

 






R「[海賊記]モスキー号」
 精霊歴1388年、英雄の時代のガパラ王国で書かれた作品で紹介された海賊船。
 これまで存在した海賊についての伝記に有った船の一つであり、実物から美化された海賊像が多分に含まれている。
 実在した海賊船を執筆時点まで纏めた分の、資料としての価値の高さで多くの人に読まれた結果、水の寓話世界「アクア・リリカ」で再現される事となった。
 この船自体に特別な要素はないものの、人魚化と物語の強度から、海に潜ったり宙を航海する事が可能。彼らは寓話世界を股にかける「幽霊船団」として大立ち回りを行い、寓話世界のモスキー号はその一員として水の寓話世界の独立のキッカケの一つとなった。
 性能としては船員の召喚と船内に他キャラを避難させて攻撃を肩代わりする脆いタンク。初期実装故の独自性、他キャラのダメージ判定を1ターンの間引き受けるデスチェンジ性能は、最後まで活躍の機会を得る要素となった。

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