Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した! 作:何処にでもある
「エラッタ」は「リゼロ」のように分岐のあるタイプですが、そういうのはとても珍しいです。
ですが、キャラの過去から考えると自然と取れる選択は決まって来るので、その点では言い方しか変化がないのも納得感があります。
ルシファーが「選択させる」ことに固執するのとか、そんな感じに。
エラトリア ワトシト皇國
精霊歴2000年 冬 「不可逆の時代」
目を閉じて暗い視界の中、頬にツンとした冷たさが走る。
直ぐに人肌によって溶けたそれに、ヤマトは目を閉じたまま上を向いた。
この季節にその正体まで辿り着くのは容易な事だったからだ。
「……雪か」
ルシファーが自分の子供を認知するよりも前のこと。
ヤマトがツマヨイを助け、ワトシト皇國が異能持ちを殺す為の組織を持っているのを認知してから2ヶ月が経った頃だった。
「はぁー…寒い寒い……ヤマト、早く帰ろう。この分だと随分と冷え込みそうだ」
「そうだな。この分だと長く降るだろう」
「ほら、手」
すぐ横で随分と喋り慣れたフィアが、そう言ってヤマトの手を引く。
ここ最近の普段の光景だ。ヤマトは盲目でも無いから必要ないと言っているのに、フィアは恋人のふりだからと、よく手を繋ぐように迫るようになった。
いつからそうなったかといえば、助けたツマヨイが家に居座るようになってからだろう。
仮初めだとしても続けていれば人は本気にするものだ。狂人のふりをすれば狂人になるように、ヤマトの恋人として振る舞えば本当にそうだったように思い込む。
「……ヤマトの手は温かいね。繋いでると安心しちゃうな」
「寓話世界で戦っている内に身に付いた体質だ。いつでも最高速で刀を振れて便利だぞ」
「もう、これからは戦う事もないのにいつまでそんな心配をしてるんだい? 最近は将軍様の刀狩りで徴収されたじゃないか」
「………そうだな」
そんなもの、魔道具を使って隠し持っているに決まってるだろう?
そういう事はない。フィアはこの生活に満足して、いつの間にかサクラとルシファーをもう死んでいるものとして扱うようになってきた。
「ここも随分と静かな街並みに変わったな」
「そうだね。昼間なのに全く騒がしくない。将軍様が置いた消音の何とかって奴だっけ、騒音対策として設置されたとか」
「本人にとって必要な音だけを……だったか。本当、どんどんこの国は変わっていくな」
「僕は五月蝿いくらいが好きだったけどね。静かなのは昔を思い出してしまう」
「俺としても、ツマヨイのように襲われている者に気付けなくなるから厄介な話だ」
「…もう、またその話かい?」
仕方ないといえば、そうなのだろう。
あの時ツマヨイと共に捕えた者達はヤマトがあらかたの情報を引き出した後、ヤマトが寝ている隙を突いて自殺してしまった。
おかげで何処にルシファー達が居るのかは分かったものの、そこに行く為の条件を満たす事が困難になってしまったのだ。
「"転生者か転生者が許可した者でなければ入れない空間"に本拠地がある。サクラとルシファーはそこに居る。だけど、僕たちに仲間となる転生者は居ない。見つけるのだって、砂漠で縫い針を見つけるようなもの。とてもじゃ無いけど行けるとは思えないよ?」
「分かっている」
「本当に? 異能者やその関係者は拐われても直ぐに殺されると言ってたのも分かってるのかい?」
「……ああ」
問題は2つ。
乗り込むには転生者が本拠地の近くで許可を出す必要があること。
異能持ちであるルシファーと、その魂の一部を前世に持つサクラの生存は絶望的なこと。
どれだけ長くても一月以内には相手の異能を理解して殺すのが我々だと聞かされれば、フィアが諦めるのは無理のない話だろう。
フィアにとってサクラは話で聞いただけの相手で、ルシファーは友人でも……今では沢山いる友人の1人でしかない。
フィアにとってここの生活は余りにも新鮮で楽しいものだったのだ。それこそ過去の執着を捨てるには十分過ぎるほど、娯楽も人も沢山居た。
そして、それはヤマトにとっても同じこと。
寧ろ情報を得て転生者の協力者が必要と分かってから、ヤマトは一旦学校生活に戻る程度には腑抜け始めていた。
「ヤマトもそろそろ先に進んだらどうだい? 幸いヤマトは任意発動型、使わない限り探査機に反応はしないし、特にここ最近は異能の発見が困難らしいじゃないか。僕と一生を添い遂げるくらい出来ると思うけど?」
「……それは、賢明な考えだろうな……探すのを諦める…か」
そうしたら何が残るか。
先ず、改変前に貯めた資産がある。一生を遊んでも末代まで持て余し続ける資産だ。
召喚出来る者達もそうだが、特に召喚で呼べる方のNルシから黄金を定期的に貰えば一生困る事はない。
そうすると召喚の技術さえ継承していけば末代まで困る事はないという訳だ。
他にもフィアという器量良しの嫁に両親、繁栄した社会に立場……ルシファーが居なくても、妹が居なくてもヤマトは幸福になれる。
そう断言出来るくらいには、今のヤマトの手には沢山のものがあった。
ただ2つ、最も大事な宝はないのだが。
その宝が有ったという記憶が色褪せてしまえば、次第に気にならなくなる。
「……来い、ルーシー」
《ほいよっと……妾を呼ぶのは随分と久しい……なんじゃ、久々に召喚されてみれば若返って現実世界に戻ったか? 良かったの、ヤマトよ》
「あ、久しぶり明星のルシファー君。元気にしてた?」
《その言い草……フィアよ、妾は本人ではないと……あ、喋られるようになったのか? こちらもおめでたいのじゃ。ヘイローが何故かあるがの》
「うん、前に喋ってゲームの感想を教えろって言われたから。それ以来頑張ったんだよ」
《そうかそうか、是非本人の前で言う事じゃな。きっと喜ぶぞ?》
気まぐれに呼び出し、懐かしい声を聞く。
本人を見つけるまで絶対に呼ばないと決めていたが、そんな決心も何度も手が虚空を切れば揺らいでくる。
それこそこうして影法師に意見を求める程度には、ヤマトもフィアの提案に揺らいでいた。
幸せな日々とは、鉄の心も腐らせてへし折ってみせるのだから。
「ルーシー……一つ、問いたい」
《申せ、妾なりに答えてやる》
「妹とお前を諦めて幸福な日々に浸り続けるか、それでもと暗闇の世界を進むか。どちらが良いと思う」
目を閉じていても、今のヤマトの前には2つの道があった。
妥協するか、しないかだ。
《助ける気はあるか?》
「ある。しかし、余りに空回りが多く人生を無為にし続けている感覚が拭えないんだ。このまま老人になっても変わらないならどうしようと、今になって考えてしまう」
《ふむ……寓話世界の非日常から、多少前から変化したが日常に戻り、将来を考える余裕から心労が溜まったか》
「身も蓋もない言い草だとそうなる」
「ヤマトのそういう素直な所、僕は好きだよ」
日が沈み始め、雲の向こうから夕焼けがヤマト達を照らす。
雪は静かさを伴ったものから次第に強さも増そうとしていた。
フィアがヤマトの近くにより、傘を差した。Nルシのみが雪の中に取り残される。
《確かに悩む2択じゃろうな。雪の中、声を張り上げて探すより、傘を差して人混みの一部となる方が温かい。雪の中に放り出され彷徨うしか無かった妾としては羨ましい限りじゃ》
「……ああ、一度世界も妹達も手元に置いて完璧な終わりになった。しかし、今はこうして片方を失っている……どうすればいい」
Nルシが頭に積もる雪も気にせず、静かに眼を閉じる。
それから多少の熟考を経て、Nルシはその眼を開けた。
《──少し、昔話をしようかの。妾の事は何処まで聞いた?》
「別世界の者で、召喚を扱い、俺と同じ立場だとは」
《そうか、ではこれは戯言と思って聞き流してよい。……短くて、聞いてて気持ちのいい話でもないからのぅ》
Nルシはそういうと、ヤマトから召喚時間の延長に使う月桂冠の魔道具を受け取って頭に載せる。
冬に似つかわしくない、夏の天使のような見た目となった。
《それはそれは、今日のような寒い寒い、昔の事じゃった………》
とても遠い世界
西暦2000年 冬 「現代」
「ねぇ…お兄ちゃんでしょ? ███を生かすか殺すか、選んでよ………」
例えばそうじゃの…自分の母親にそう聞かれたとして、お主ならどう答える。
「お母さんね、選べないの……不治の病って言われて、お医者様に生きてても今後ずっと苦しいままって言われてね? お母さんだもん、生きてて欲しい。でもね? 苦しいなら殺してやるのがいいんじゃないかって……もう、選べないの。お父さんはお酒ばかりで、最近はもう出ちゃったじゃない? もう、家族で選べるのはお兄ちゃんだけなのよ」
世界は無数にある。その中には当然数百万の確率で発病する遺伝の病を持った自分が居る。
それだけなら運が悪かったとしか言えないが、家族がそうなると地獄じゃよ。
どれだけ幸福で順風満帆な家庭でも、医療費と介護、喋る事も動く事も出来ぬ肉人形を前に揉めるしか無くなるのじゃ。
苦難の前に一致団結? そんなの、不治の病を持った家族が喋れて、助けを求めた時くらいじゃよ。本当の本当に地獄なのは………。
「ねえ、お兄ちゃんでしょ? "1歳の███を殺すか生かすか選んでよ"!」
まだ言葉も完全に覚えておらぬ内に病気が本格化し、今後学ぶ機会も得られぬまま殺す選択を差し出された時じゃ。
地獄じゃよ、本当に。
生かしたい、殺すのが慈悲、選びたくない、こんなのは夢だ、医者の誤診だ、お前の血のせいだ、いーやあなたの血のせいだ、俺は知らん、私は疲れた、こいつは大丈夫だっただろうが、運が良かったのよ、だったら/だったら…。
「「代わりに選ばせよう」」
「「そんな事をさせるなんてお前/あなたは最低な奴だ」」
妾からすればどっちもどっちだと思うがの。しかし責めるのはダメじゃよ? 子供だからと、親に任せようと、最初に選択から逃げ出したのは妾じゃったからな。おんなじ選択からの逃亡者で、後ろから追い抜かれたから妾が選ぶことになった。それだけの話じゃ。
「────が……いいと……思う」
あれは七夕の日じゃったな。
まぁ、そうやって家族の仲が引き裂かれた末にじゃ。
9歳の子供…妾に自分の妹の生死を決める選択肢が渡された。
ああ、殺したよ。
だって、自分で息も出来ず…いまだ「にーに」しか喋れず、今後どうやってもゆっくりと死ぬしかない奴なぞ、殺してやるべきじゃろう。
本の中にあるこの手の話は美談が多いが、妾の家じゃとこうじゃった。
つまらぬじゃろう? 物語の下に山ほどある
そして親が離婚した。
母に着いて行って、家は静かになって、母は気まぐれに家を空けるようになった。
ふと夜に起きると、口紅を濃くした母がごろりと寝ておったのは覚えておる。
まぁ、破産なぞはせんかったな。幸い高校まで行く金は残してくれてたから、それで専門校に入って手に職を持ち、日銭を稼いで生きていこうとした。
「あなたは解雇です。最近の不良行為は目に余る。ぶっちゃけ産業スパイでしょう、あなた」
問題は妾が賢く無くなった事じゃな。
……ああ、高校の時に落下はしたのじゃ。
しかし妾は其方のように召喚の引き継ぎなぞ無く、妹を自分で殺したが故に探す事もない。
ただ力を求め、世界を救うだけ。ただ殺し合うだけじゃった。救うのだって、自分の蓄えた全てを手放してのことじゃ。
で、ちょっと話を飛ばしてた事を思い出したのじゃ。
力を手放して世界を救って、解雇されるまで。その時に医者に言われたこと。
「脳卒中ですね。最近気絶や手足が痺れることは?」
これじゃ。高校の間、エラッタのサービス終……落下から戻ってきた時の話じゃ。
残念なことに治療する金は親が払わなくてのぅ、国民保険? とか何とか有ったらしいが、金が無いからやっとらんかった。親が切っておったんじゃ。
で、まぁそんな感じで余命が確定しつつも人生の余暇を過ごす事になった。
じゃから解雇も道理なのじゃよ。妾はそれだけ"頭が悪く"なっていた。
それで終わる話なのじゃ。
せめて80…いや50年は生きたかった。その頃七夕に書く願いはいつもこれじゃった。
気付けば家の端にはそんな願いが大量に綴られた短冊があったが……多分その頃の妾は毎日を七月七日と思っておったのやも知れぬ。
とてもじゃないが、正気は失っておった。自分が誰かわからなくなるほどにの。
さて、ここからどう話が着地するかじゃが……まぁ、頭の悪い話じゃよ。
「………あれ、しんごう? あかるいね?」
キキィーー!!!
あートラックあるなーって思っていたら撥ねられたのじゃ。
どう妾が動いて轢かれたかわからぬが、それで終わり。
頭が悪いから死んだ。なにも残せずに死んだ。
やった事、妹を殺しただけ。
妾の人生、くっだらねー。
《はい、終わり。どうじゃ? 今の其方は"妹の生殺与奪を選ばされた末に因果応報の死を受けた奴"に、人生を委ねようとしとるが───これを聞いて尚、自分で選ばぬつもりか?》
大雪の中、ルシファーが……否、別世界の自分が問いかける。
お前はどれだけ傲慢で愚かな事をしているのかと、そう叱咤するような冷たい眼でヤマトを……自分を見つめていた。
「……頼んでおいて悪いが、自分で選ぶ事にする。嫌な事を話させて──」
《それ以上言うな愚か者が。嫌だと決めつけるな。妾の好きで語った事じゃ。それを自分が悪かったと言うでない殺意が湧く》
「…………はい」
《いーか? こういう時はただ感謝して仕舞いにせい。謝罪とは失敗した時と自分がやるべき事を他人にさせた時だけにせよ。他人の自発的な行いまで謝罪する事はその者に泥をかける覚悟を持て》
「分かった。──ありがとう、ルーシー」
《──うむ。精々励めよ、若人》
Nルシはヤマトの胸ぐらを掴んだ手を離してそう言うと、自ら召喚を中断させて消える。
ヤマトは冷え切った手を…己の心をぶるりと震わせ、自分の情けなさと不甲斐なさ、そして傲慢な事を考えていた自分を恥じて──何よりも、"感動した"。
「……ヤマト」
「俺は…恥ずかしい。何もかも上手く行くのが当然だと、心の何処かで考えていた」
「あれは特殊な例だよ、きっと……」
「それでも俺のあり得た可能性だ。俺以上に妹を思い続けた俺だ」
心に決める。もう揺らがない。自ら妹の選択肢を奪ってしまった者の力を借りてここに立っていると思えば、安易な道を進む気は失せた。
「──探すぞ。徹底的に、この眼を開いて世界を削るのも、もう厭わない」
「えっ!? 妹と世界を天秤に載せて妹を取るのかい!?」
「いや、2人だ。サクラとルシファー、両方を助ける」
「ルーシーで良いじゃないか!」
「それじゃあダメだ。本人の言う通り、彼女は本物じゃない」
世界の重みを考えろ。フィアの言う通りだ。
今までは世界の寿命を、自分以外の全員が生きる時間を思って使わなかったが……もう、そんな事を気にしてやる気はない。
「ここで見殺しにするのは先達と同じ道を選ぶということ。俺は目が覚めた。そんな道はクソ喰らえだと気付いたんだ」
「──2人が居なくても、僕と2人なら……どうだい?」
「………そんなの」
フィアとしては、恋人と"死んでるかも知れない"家族との天秤。
ヤマトからすれば、恩を返した友人と"助かるかも知れない"家族との天秤。
認識の違いとは、近いほど擦り合わせが困難だ。
事実の受け取り方となると尚更に。
「家族に決まってる。"全員"助けて一緒に居てみせるさ」
ニヒルにヤマトが笑い、フィアが悲しげに眉をひそめる。
こうなったらもう止まる事はないと、フィアも共に見つけ出す決意をした。
"恋人のヤマト"を見捨てるには、フィアは善良だったから。
「……だったら僕も今以上に手伝うよ。絶対見つけて、一緒に食卓を囲んでみせよう」
「ああ、勿論だ」
お互いの手を硬く握り締め、大雪の中を2人一緒に走る。
腹を括れば直ぐに行動出来るのは、既に2人で共有している事実だった。
「荷物は僕が持つよ!」
「助かる。では手始めだ──開眼」
上手くいかないのはもうやめだ。
ヤマトは眼を開けて、殺到する糸を掻い潜って分別する。
そして──見つけた。荒野に咲く紫の花の糸、風と影と共に生きる見知った転生者の糸が。
「──掴んだ。もう離さない」
掴んで、無理やり引き寄せる。本来の流れを無視して、自分達の前に持って来る。
見るだけでならば改変前で幾らでもやった事。今だとこうして世界と引き換えに強制に動かせる奥の手。
そうして機会を得るには絶好の能力は、その力を遺憾無く発揮し──。
「…はぁ、無理に連れて来たのは何処の誰かさんー? 私、今から夜の警邏の時間なんだけど?」
「──なに、大した事じゃない。改変前との因縁から頼ろうとしているだけだ」
カチャリと銃に弾を込める音が鳴るが、態々そんな事をせずとも撃てるのは知っている。
向こうは自分がどんな相手か知らないと、この時点でヤマトは理解した。
「歴史改変、無地の演目、失敗者の打倒……ここまで聞けば分かるか? リフター」
「……最後の1つは。あの子をいじけさせた相手なのは理解したわ。前半二つはもっと喋りなさい。私から見れば初対面の異能持ちよ。支配されてなきゃ真っ先に殺してたわ」
銃をホルダーに入れて、リフターは腕を組む。
……正確には"組ませた"だろう。今のヤマトには糸を経由して支配する力があるのだから。
既に糸は薬指に結んでいる。自分から手放す事はないだろうと、ヤマトは確信した。
「無地の演目を使うに従い、神の刑罰が面倒でな。それでお前達から…センから異能の覚醒を教わった。こちらとしてはセンが異能を消せると聞いたのでそれを頼りにしている」
「セン……あぁ、あれね。失敗者が出て来て世界崩壊、寸前で食い止めてあれこれしたってことね。アイツも中々やるじゃない。だけど……」
嫌な所でリフターが口を止める。
まるで不都合があるようで──実際、次の言葉はヤマト達にとって最悪なものだった。
「"アイツとっくの昔に死んだわよ"。劣化した異能を使ってたせいでこの国の将軍に誤射されたわ」
「転生者は生き返るだろう」
「"将軍が転生者の殺し方を知っていたのよ"。あ、骨なら頼まれて拾ってるからあるわよ」
影から壊れた「
間違いなく、完全無欠の死体だった。
「…と、いう訳でアンタ達の頼みの綱は千切れてた訳だけど……此処から巻き返せる案は持ってるのかしら?」
リフターが皮肉気に笑う。
ぶてぶてしく、操られてなお余裕の笑顔で、
「[現代]─口─一」
西暦2015年死亡 享年24歳 死因 トラック。
名称に関しては本人の顔や戸籍の欠落により不詳。顔はタイヤで再現不能な程に削られ、後に反社の物にそれらしき戸籍を確認されている。
死体に大きな血栓が有った事から、脳卒中の末期まで進行していたと記録された。死後に撤去された自室には竹に大量の短冊が狭い部屋を埋め尽くす程吊られており、そこには文字らしき線が書かれていた。どうやら途中から文字を認識出来ていなかったようだ。
辛うじて読める文には「ながいき」「たくさん」「いきてほしい」「[解読不可だが3文字の固有名詞として書かれている]」「ごめん」の文字が書かれていた。
性能としては「エラッタ」の「[黄金の愚王]ルシファー」に転生する因果と、ヤマトの身体ならソシャゲのデータを引き出せる能力持ち。それ以外の本人由来の能力は大体ロストしている。