Nランク[のじゃロリ天使姫]に転生した! 作:何処にでもある
リセマラや様子見を含んだ場合、プロローグのスキップ割合は必ず9割を超えます。
ソシャゲのプロローグとはそういう物ですが、「エラッタ」は男女選択の仕様で特に高いです。
エラトリア ワトシト皇國
精霊歴2000年?「不可逆の時代」
「なあ、最近変じゃないか?」
「変って…どうしたのヤマト兄ちゃん?」
木造ビルの合間を幾つもの魔列車が走り、人々を職場や学校、行きたい先々に送る駅のホームで 赤いメッシュの入ったざっくばらんとした髪の男と、男とは反対側に赤の一房があるたおやかな女の兄妹が、そんな話をし始めた。
「なんつーかさあ、現実味がないっていうか…俺達の今ってこんな感じだったのかなって思ってさ」
「なにそれ、中2なら三年前に通り過ぎてるよ?」
「サクラぁそんな事言うなって…俺だってこんな事好きで言ってる訳じゃねぇよ」
やって来た魔列車に乗り、二人は鮨詰めの中ヤマトがサクラの場所を余裕を持たせて確保した。
それをサクラから感謝をされ…ほら、いつも通りの日常だ。
「よっと…だって変だろ? 使い方の分からない武器を持っててさ、桜も咲いてねえのに花びらが何処でも舞っている。ほら、変じゃねぇか」
「んー…かもね。私もこの薙刀邪魔だなって思った事はあるし。桜は…同じ名前の私が居るからとかどう?」
「そんな普段不便さを違和感として言った訳じゃねえし、その理論だと俺は山が都がそこら中に生えてくる事になるぞ」
「あっちゃー、ヤマト兄ちゃんは山伏にして建設作業員だったかあ…これは過労死確定だぞお?」
「ならねえよ、ヤマト男子高校生を舐めんなって話だ」
大正風の軍服の要素のある学生服に学帽。そこ迄はまだあり得そうだが…腰に掲げた魔導刀。
ヤマトが言っている違和感とはこれだ。戦いもないのに持っているのが、妙に引っかかってしまう。
そして…サクラには言っていないが、違和感はそれだけじゃない。
………──────────ン。
(──ッまただ)
不意に襲ってくる頭痛と、現実の光景が剥がれたような
全ての物質がのっぺりとして、単調な六色の光と無数の切れた糸が漂う
これが幻覚だと分かっていても、見る度に心が縛られる気持ちになる。
「…ッ…どうしたの? ヤマト兄ちゃん」
「ッいや、何でもない。ちょっと立ち眩みになっただけだ」
「またそれ? ここ最近ずっとだよ? 手遅れになる前に病院に行ったらどう?」
「大丈夫だって。それを言ったらサクラもそうだろ?」
「うっ!」
痛い所を突かれたと、サクラの肩が跳ねる。それを見て、ヤマトはしまった、と思った。
そう、これはヤマトだけのものでは無い。妹のサクラも、必ず同じタイミングで見ていた。
こうなってからはずっとそうだ。同じ光景、同じ痛み。唯一違うのは頭を抑える手が右か左か。
ただの病と断定するには不自然な……ある種、現象と感じるのがこの幻覚だった。
「……私達どうしたんだろうね。お父さんとお母さんはいつも通りだし、私達ってどうなっちゃったんだろう?」
サクラが手を胸に寄せ、不安そうに握る。
これで本当に病気だったら、これはすごく深刻なものかも知れない。
なにせ幻覚だ。頭の病気はどんなものでも致命傷だと聞いたから、本当にそうなのか確かめる勇気がない。
知ってしまったら、後戻り出来ない気がしてしまう。だからサクラは、このことから出来るだけ目を逸らそうとしていた。自分は大丈夫だと、そう思い込んで…。
「──大丈夫だって! 俺が側に居るし、何があっても守ってみせるからさ!」
にかっと笑い、不安がる妹を安心させる為の言葉を紡ぐ。
ヤマトは兄だ。いつだって自分よりも妹に多くを譲って、絶対の味方だと宣言する。
それが当然だから、多少の不満を飲み込んでそう言う。最善を尽くす。
「……なら、安心だね!」
「ああ、だから心配するなって。どんな怪物が相手でも、俺がこの刀で切り伏せてやるからさ!」
この幻覚だって…もう励ますしかやれることがないからそうしている。
妹には隠しているが……既に病院で診察は受けたのだ。
その結果は健康。3人の医者にそう断言されたから、間違いなくそうなのだろう。
だが……この事実は妹の不安を取り除けない。
だったらこれは何だと、余計に不安にさせるだけだ。
………──────────ン。
(にしても…今日はいつにも増して長いような──)
(なんだろう、いつもより頭痛が強い気がする──)
そうやって二人が何気なく、強いて理由を挙げるなら遠くを見て楽になろうとして──幻覚の中に、自分達の魔列車に向けて急速に近づく、赤い
「「ッ!?」」
同時に息を呑んで、挙句にお互いが相手の肩を抑えて共に屈む。
──…GaaAa!!!
窓が割れて、違和感が魔列車に入るのと同時に大量の死者が出たのは、その直後だった。
頭上を過ぎる風圧、理解できない光景、思考に挟まる迷いの根本。
「──ッ! ヤマト兄ちゃんは下がってて!」
「あ、おい!」
一瞬の迷い。
行動が僅かに遅れたせいか、ヤマトよりもサクラの方が家族を守る心構えが出来ていたか。
ヤマトより先にサクラが薙刀を手に取り、果敢にも怪物に突撃する。
GAAaaAaAAaaa──!!
そして、サクラの闘志を怪物も感じ取ったのだろう。
毛むくじゃらで人のように二足歩行で動く怪物が、手に持った死体を放り投げて叫び声をあげた。
編成(1/20)
・EX「[
└S1「三斜線」×3 S2[代筆]×2 M1[*未解放*]×1
「──ハアッ!」
攻撃されることを恐れず、サクラが薙刀に魔力を纏わせて三度振るい、怪物に斬りつける。
ピンクの血飛沫が舞うが──浅い。
「硬──」
怪物の毛に阻まれた攻撃は深手にならず、攻撃後の隙を怪物の前に晒す事となった。
GaA!!
「ギッ!……痛…い!」
怪物の爪が振るわれると共に、サクラの片腕が吹き飛び、床を跳ねる。
怪物はしたり顔でサクラにトドメを刺そうとして……それでもサクラは残った腕で薙刀を構えて反撃を──。
「──サクラ! 後ろに下がれ!」
「お兄ちゃん!」
──与える直前に聞こえた兄の言葉に従ってサクラは後ろへと退避し、その上を兄が飛び越えた。
gAa!?
「これは、サクラの右腕の分だ!」
遅れた分を取り戻さんとする勢いは凄まじく、何より怪物の意識外から攻撃したのが良かったのだろう。獲物を前に舌なめずりをして、不意打ちから身を守れなかった。
(幻覚…ほつれて漂う糸が見える…何となく分かる。これを辿れば──コイツは殺せる)
怪物の頭上から叩き落とされた斬撃は見事怪物を一刀両断し、殺してみせた。
「──…死んだか」
その死体が青い粉と獣の毛に変わり、自分達が倒せたのを確認して刀をしまった。
「うっ…」
「サクラ! 今すぐ止血を! それから病院に…!」
「……待って、ヤマトお兄ちゃん」
「なんだ! それはお前の腕より大事なのか!?」
「あっち……見て」
それで気を緩める間もなくヤマトは妹の方に向かおうとして、その本人に静止されて立ち止まる。
片腕が取られた以上急を要する事態なのに……サクラは自分の腕の喪失を気にも止めず、怪物がやって来た方を見ていた。
直ぐに済ませようとヤマトも怪物が入る時に出来た大穴を見て──。
「──なんだ、あれ」
そこには、魔列車が走っているのにも関わらず、先ほどの怪物と同じ者達が何処までも存在していた。
こちらに向かってくる様子はない。だが……人を踊り食い、家を壊し、暴れる様が一瞬で通り過ぎるという光景が……どれだけ魔列車が走っても、無くならないのだ。
「どれだけ……いるんだ?」
きっと絶望と言うのだろう。
この感情に名付けるなら、この言葉こそが相応しい。
「分からない……でも、一つ分かる事もあるよ」
怪物達から逃げる場所など無い、この様子だと病院も既に
一体倒しても、今を生きても次に希望を持てない。
「私達の日常は──もう何処にもない」
例えばそう……
「あ……あ、あ! サクラ!」
二人の立ち位置では見えなかったこと。
それは、二人の乗る魔列車の前から虚空が広がっていたこと。
「ヤマト兄ちゃん!」
サクラにとって不幸だったこと。
それは、何かが迫る感覚から兄を静止させたこと。
「手を──! 間に合わ……!」
ヤマトにとって不幸だったこと。
それは、無数に居る怪物に意識を囚われ、妹の近くに入れなかったこと。
「……っごめんサクラ! 絶対助けに行く!」
「私も探す! ヤマト兄ちゃんを探すから……!」
「「だから、絶対生きて会おう!!」」
二人にとっても、他の生き残った人にとっても不幸だったこと。
親しい人と離れ離れになり、
本来なら成功する筈の「ディストリカ」の歴史改変が、
精霊歴2000年
この日、二つの世界が混ざり合い、あらゆる積み重ねが掻き消えた。
ミソフィア? 箱庭「幻話の時織姫」
精霊歴───年「████████」
ゆさゆさ
「んー…」
ゆさゆさ
「誰だ……っサクラ!?」
バッと気絶していたヤマトが起き上がり、身体に付いた糸くずや木片も気にせずに周囲を見渡す。
天の川のような半透明な足場、見渡す限りの星空、周囲には神殿の物らしき柱あるが、今は老朽化して見る影もない。唯一目立つものがあるとすれば、先ほどまで自分が身体を突っ込んでた、壊れた機織り機か。
そうやって見渡して分かった。サクラは、ここには居ない。
「サクラ……ごめん、こんな兄で…」
「………」
「ん? うわあ! 誰だ!?」
悲しみに顔を下げて、ヤマトは隣に誰か座って居る事に漸く気付いた。
青みがかった白い髪と目を持ち、真っ白で上品な和服を重ねて……確か、十二単衣と言ったか……を、着ている。
ぼーっとしたような顔付きで、今にも消えてしまいそうな少女に、儚げな印象をヤマトは覚えた。
「あ、えっと…済まない。俺はヤマト、ワトシト皇国国営一貫魔導学校二年のヤマトと言う。君は誰だろうか?出来れば、ここが何処かも教えて欲しい」
「………」
「……喋れないのか?」
「………!」
誰かを尋ねると、少女は困ったような顔をして考え中のポーズを取る。
それから何か思いついた様に顔を明るくして、手をポンと叩いた。
存外顔に出る人なのだな。ヤマトは少しだけ相手の事を理解した。
………──────────ン。
「ぐっ…こんな時に…」
[──聞こえますか?]
「聞こえ……誰……まさか、君か?」
タイミングの悪い事に頭痛に眉間に皺を作っていると、頭に鈴を転がす様に響く声が聞こえる。
反響が混ざって聴き取り辛い物だったが……この場でこんなことがあって都合が良いのはこの少女うじだろう。
一瞬こんな事をした元凶の誰かとも思ったが、自分に語りかける必要が微塵もない。だったら、何かしたのは彼女だと結論付けた。
[うん。僕がヤマト君に念話でね]
「ぼ、僕…? あ、いや何でもない。これは…一体どうやって?」
[再編項目をちょっとね]
「再編……どうやら今の俺には早い知識みたいだな……だが、君がここに詳しそうなのは分かった。よければだが……名前を教えて貰えないだろうか?」
膝をつき、座っている彼女と顔を合わせる。
今は兎に角情報が欲しい。そんな時にここに詳しそうな先住民が居たのだ。
ヤマトは礼儀を尽くし、真摯に向き合って先ずは仲良くなる事にした。
[僕の名前はフィア。[幻話の時織姫]のフィアだよ。普段は時間で布織りをして、時間と運命が正しく進む様にしているんだ]
「フィアか……それはまた不思議な仕事で……もしかして俺がさっきまで寝ていた場所は、その機織りか?」
時間と運命を織るという神話で聞きそうな胡乱な話も、この非日常の連続の前では大した異常ではなかった。何より、信じまいとするにしてもこれから色々聞き出す相手を不機嫌にさせる訳にはいかない。
その点で言えば、最初に気絶していた場所は最悪だった。落下軌道が仕事道具? に直撃はどう考えてもマズい。
[うん。でも別に大丈夫だよ、ヤマト君がトドメを刺す前に盛大に壊れたから。2千年働いてたし、よく持ったと僕は思うよ?]
「なら良かった……因みに、コレが壊れたらどうなるんだ?」
[ミソフィアとエラトリアの世界が混ざって時間と話の流れが崩壊する。混ざったらどうなるかは……今、君が体験した事がそうだと思うよ?]
「大変申し訳ございませんでした!!」
[大丈夫大丈夫、直せば元通りだろうし……多分]
「誠に申し訳ございませんでした!!!!」
土下座しながら訂正しよう。
彼女どころではなく、盛大に自分達も巻き込むやらかしだった。
先に壊れたからといって、それを直す手間を増やした以上、自分にも罪がある。
そのせいで妹を日常に帰すのが遅れたと思うと……自分で自分を許せない。
[ヤマト君は素直だねー。僕達寓話とは大違いだ。……よし、ここは一肌脱いで、色々説明してあげようじゃないか]
フィアがそう言うと、重ね着した服を一つ脱ぎ、そこに座ってポンポンと叩き始めた。
[布団みたいなものだし遠慮しないでねー]
どうやら此処に座って聞けということらしい。どう見ても上物の上に座るのは怖いが……ご厚意に遠慮するのも気が引けるし、何より今はチャンスだ。
ヤマトは慎重に、皺にならないように刀を前に置いて正座した。
[こほん……どうにもその様子だとヤマト君は「エラトリア」から来たらしいし、先ずはここ、「ミソフィア」の方から説明しよう。先ずは二つの世界があり、ヤマト君はその片方、「エラトリア」から来た……というのを前提にして欲しい]
「ありがとうございます」
[では……ミソフィアとは君達で言う所の神話、詩、物語、歴史書、学術本……あらゆる創作物が実物として形を成す世界だ]
「創作物……つまり、空想の世界だと?」
[いや、本当にある世界だよ。現に物質が存在の全てであるヤマト君が此処に居ても無事でしょ? あくまでも実物、再現だと考えて欲しいな]
「……なるほど、先ずはそういうものだと受け入れます」
創作の世界だが、本当にある世界。
ヤマトは一旦、その様に受け取った。
[そして、形を成す創作物には条件がある。終わりを迎え、知られていることだ。その媒体は何でも良い。絵、音楽、本、口談、演劇……どんなものでも、この世界では再現されるんだ]
僕なら神々の間で有名なお伽話だね、人には知られてないと思うよ。
フィアはそう付け加え、口に指を添えて片目を閉じる。
静かに、転じて知られていないのポーズだった。
[そして再現は──そうだな、6つのとても大きな舞台があり、そこで僕達は再現され、元となった噺に従って動かされるんだ。それこそ一つの世界だと錯覚する程大きな…ね。その舞台を、僕達は其々の特徴に合わせてこう呼んでいる]
口に当てた一本指を離し、フィアは6つの舞台を1から説明し始めた。
火の寓話世界「フレア・クロニカ」
主要演目:技術、英雄譚、心の噺
演者種族:人間
[あの赤い光が見えるかい? あそこがフレア・クロニカ。ヤマト君と見た目が同じ人々がいる。仮に永住するならきっとここが合うと…わ、なんだ! 急に立ち上がるなってぇ…え、妹を探して…?……ごめんね、それを先に聞くべきだったかも]
水の寓話世界「アクア・リリカ」
主要演目:海洋、胡蝶譚、幻の噺
演者種族:人魚
[そういう事なら全ての世界を回るくらいはしないとだし……それならアクア・リリカはいい場所だよ。なにせ、幾らでも空を飛ぶ船を買えるんだから]
土の寓話世界「テラ・ファブラ」
主要演目:土地、自然譚、魔の噺
演者種族:ドワーフ
[探すのが長引きそうなら、テラ・ファブラなんていいだろうね。値は張るけど、個人の「箱庭」を持つなら打ってつけだ。拠点として絶対に役に立つよ]
風の寓話世界「エアリス・サーガ」
主要演目:文学、賛美譚、旅の噺
演者種族:エルフ
[そうそう、広く探すならエアリス・サーガを忘れちゃいけないよね。あそこは旅人が多いから、協力してくれる仲間を探すならここだって相場は決まってる。だって、旅人が集まる酒場が多いからね]
闇の寓話世界「ノクターン・ヴェール」
主要演目:怪物、怪奇譚、性の噺
演者種族:悪魔
[あーでも…ノクターン・ヴェールで探すなら気を付けて。あそこを知ったら直ぐに助けに行きたくなるだろうけど……対策も無しに行ったら、君なんてとっても苦しんだ後に死んでしまうよ。あそこは、自らの意思で来た者に容赦がないんだ]
天の寓話世界「セレスティア・ミラージュ」
主要演目:幻想、愛憎譚、国の噺
演者種族:天使
[セレスティア・ミラージュに落ちてたら安心なんだけどね…6分の1は外れるから。でも良い所だし、強い人も多いから一回行ってみても良いと思う。……どの舞台よりも最も早く「独立」したから、ちょっと暗い面はあると思うけど…]
そこまで話して、フィアはふぅと一息付き、少し休む事を提案した。
念話で話しているだけあり…ヤマトも頭に響く声に限界が近いのだろう。少し迷ってから、頷いて承諾した。
今は聞いた情報を整理したかったのだ。
(……聞いている限りだと、どうもこの世界は現実よりも相当広そうだな。途中から謎の引力に引かれて此処に落ちたが…この夜空の一際輝いている六色の光が其々の舞台。それ以外は「箱庭」の独立した世界……探すなら、この夜空全て回らないとダメなのか?)
「箱庭」…それは舞台から降りた人々が暮らしている、一つ一つが元になった寓話が違う世界らしい。光が強い程広く豊かな証拠だと、フィアは言っていた。
(虚空…舞台と箱庭以外の空間の総称。落下…虚空の下側にある落ちて死ぬこと。ミソフィアの落下はこの事の隠語でよく使われる。寓話…自分達の元となった出典、創作物のこと。どんな話でも、ここでは寓話として扱われる…)
話の途中途中で出てくる言葉もヤマトは随時聞いた。
舞台が終わった後は箱庭に行かない限り虚空に落ちて死ぬ。
そして、舞台で創作通りに動くことから脱却し、箱庭まで辿り着くのは、箱庭が増えに増えた今でも難しい事であること。
其々の箱庭は、元となった舞台をグループとして生活と交流圏を構築していること。
(……少し特殊だが、要は星間文明みたいなものか? 其々独立した箱庭という小さな集団と、舞台からの繋がりがある大きな集団。その間にある相互扶助の為の「クラン」……兎に角移動が重要で、足の速さも重要になりそうだな)
この途方もない世界を闇雲に探す。
流石にそれは徒労が過ぎる。
この世界に詳しい人や素晴らしい船、何よりも目的地を見つける手段も必要だろう。
不幸中の幸いとして、ここはあらゆる完結した話の同窓会みたいなものだ。
過程を飛ばして目的地を見つける人や物なぞ、サクラよりも多い筈だ。
「……考えが纏まった。俺はこれからやるべき事も分かった。だが、此処から出る方法とあの怪物を倒せるくらいの力がない。それを解決する手段はないか?」
[出る方法はちょっと手伝いが欲しいけど……怪物って、エラトリアに出て来たっていう怪物かい? あれは現実と寓話の齟齬から産まれる物で……融合した今だと、もっと沢山の種類が何処にでも居ると思うよ]
「何処にでも……やはり、先ずは鍛えるべきだな。フィア、どうか案内してくれないだろうか?」
[いいよ、君は悪い人では無さそうだし──僕も丁度此処から出たい所だったんだ。その護衛が強いなら、僕にも損はないしね]
そう言ってフィアはコロコロと念話で笑い、それから次は強化と再編だとヤマトの手を引いた。
それを聞いてヤマトもニッコリと笑い、手を引くフィアと共にこの箱庭の端に向かった。
(フィアがいい人で良かったけど……まだ安心は出来ないな。この箱庭は誰も居ないのに、此処まで色々な事を知っている。周りと交流があるならそれまでだが……)
果たして、フィアの真意は何なのか。自分が現実で感じていた違和感の正体と関係があるのか。
──っと、大袈裟に言ってみたが……この程度の利用し利用される関係なら裏切りなどはないだろう。……理性では分かっている。
だが、ついさっき怪物が虐殺している光景を眼にして、それを起こした敵が居ないのか? と疑心暗鬼になっているのだ。
何より未だ一日も経っていない関係だ。……もう少しだけ、心を許すのは時間が必要そうだった。
EX「[
1、
精霊歴1985年、不可逆の時代に産まれた最近頭痛が酷い一般ワトシト男児。
現実世界の人物の題名は現実世界、ランクはEXで固定されており、凸による強化がない。
最近は妹共々幻覚と頭痛に悩まされていたが、それどころではない出来事で離れ離れになった。
性能としては
2、
精霊歴1985年、不可逆の時代に産まれた最近頭痛が酷い一般ワトシト撫子。
最近兄の「武器があるのが不自然」だという発言から調べてみたら本物の歴史書が二つ出て来た事がある。勿論見なかった事にした。
武器も試しに夜中に練習したら普通に扱えて困惑したりと、兄の前で無ければ活発な面も。
操作出来るキャラを選べるタイミングは一度だけな上に選択に制限時間がある為、大半のPLはサクラを操作キャラにするタイミングを逃す。しかし、5周年記念で選ばなかった片方をガチャで高性能版で引けるようになった。
性能はヤマトと同じだが、ストーリー面ではキャラによって対応が違う場面がそこそこあり、その肉付きの良い身体と相まって初期選択率が70.8%と、使用率がかなり高い。