片や、シンプルなヒロインの魅力で人気を獲得したラブコメ。
片や、激重設定と救いのない展開でコアなファンを獲得したバトル物。
交わらないように見えて、この二つの世界は同一の世界であったことが、二作目の『パーフェクト・ギア』の完結後、作者の口から語られた。
あのキャラが『ひま恋』の何話、何コマ目に出たキャラだ……というように。
さて、まず初めに。
彼は初の連載作品としてラブコメ作品を描き、その名を馳せた。
主人公、
そして、次に描かれたのが『パーフェクト・ギア』というバトル漫画。
これがなかなかどうしてエグい話だった。
……どこから仕掛けられていたのか。
この『パーフェクト・ギア』という漫画には前作のキャラが登場する。前作、『ひまわりの恋』連載時には名前すら与えられていないようなキャラが。
「…………ああ」
たった一コマ。
風景に紛れるようなキャラ。
日常の演出。それらが失われても気にも止められない。
だから、だ。
平穏な日常のための歯車として“ギア”は戦う。秘密裏に、異世界のエイリアンと。
そんな平和な恋愛ラブコメと激重設定のバトル漫画が同居してる世界に転生してしまったのだ、俺は。
「…………どっちにしろ地獄じゃねぇかな、これって」
まあ、モブキャラは絶対に無理だ。もしモブキャラなんかになると『パーフェクト・ギア』の死亡キャラ筆頭になってしまう。
正直、絶対に死にたくない。
「クソ……小清水サヤカぁ。趣味悪すぎんだろ」
中学三年の春、前世の記憶を取り戻した俺は最悪な異世界に転生したことを悟った。悟ったのもこの身体の志望校が『ひまわりの恋』の主人公たちの通う学校と同じだったからだが。
「“ギア”が戦うのは自分を犠牲にしてでも守りたい何かがある……から、ね」
本当に最悪だ。
「俺が前世の記憶を手に入れた時から……いや、取り戻した時から? まあ、そこはいいや。とにかく、もう失いたくないもんがあるんだよな」
俺は選ばなければならないとしたらギアになる道を選ぶのだろうか。
「この世界で生きてきた
大事な人を喪いたくない。
そんなありきたりな願いを持ってる。
「────どの道、俺は俺だ」
けれど。
その願いを目の当たりにして、一度の死を経験した俺は迷わずに選択できるだろうか。
「…………なるようになるし、ギアになるとかどうかも決まったわけじゃないし」
俺は重要な悩みのはずだというのに、明後日の方向に放り投げた。
前世の記憶が蘇って既にそれなりに経過してるけど、世界は平和に回ってるし。取り急ぎ、考えなきゃいけない話じゃないと思う。
「うん」
でも、この裏で誰かが犠牲になってるって考えるとなぁ……いや、やめよやめよ。考えたってどうにもなんないし。
続かないと思います。