死んだ装甲兵は忘れし神々の夢を見るか   作:てきだんへー

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ビビビビビ!

やかましい呼出音が響く。

「この音変えれないのかな…はい、こちら精鋭無比 最強の第七戦車小隊です。要件は?」

『"こちら先生、今からカイザーグループの基地を襲撃するんだけど、できれば来てくれないかな?"』

「えぇ…まあ、行けたら行きますね。座標だけお願いします。」

『決行は今から2時間後になると思う。お願いできる?』

「あの…行けたら行きます。行く確率は4割程度だと思って欲しいです。」

『えぇ…ま、まぁ頼りにしてるね!』

「先生…」

ブツっと通話を切る。
送られてきた座標はまさかのアビドス砂漠。

「カイザーとはあまりやりたく無いんだよねぇ……ブラックマーケットから偶に砲弾仕入れることあるし…」

今度はこちらから電話を掛ける。
とある"許可"が欲しいからだ。

「もしもし〜?先生だよね?」

『"うん。どうかしたの?"』

「どうしても一つだけお願いしたいことがあってね」

『"何でも聞かせて"』

「連邦生徒会から、戦車の修理と燃料の提供の他に砲弾の提供も追加して欲しい。」

『"理由を聞いてもいいかな?"』

電話越しでも分かる、先生の穏やかな心情が手に取るように分かる。

「私は普段正規品の他にブラックマーケットからも買ってる。でも、もしカイザーと敵対するとなるとブラックマーケットで動きにくくなる。そうなると砲弾を買って運ぶなんて至難の技だからだよ。」

『"分かった。リンちゃんに伝えてみるね。"』

「いいや、そこまでは及ばない。」

『?』

明らかに先生が戸惑うような声を上げる。気持ちはわからんでもない。そりゃ、「砲弾がありません」なら差し上げます「いや要らないよ」なんて言われたら混乱する他ないからだ。

とはいえ、ブラックマーケットに偶に流れる質の良い兵器を二度と手に入らなくなるなんてそれは部隊弱化への推進剤となるからだ

「なぜなら、それを踏まえた上で、私は今回は御免とさせて頂く。」

『え!?連邦生徒会に一応所属なんだよね!?』

先生の驚愕する声がデバイス越しに響く。

「はて?私は"フリーランス"の人間だ。連邦生徒会だろうと、カイザーグループだろうと、利益と道理があるなら協力する。それだけですよ」

『そっか……』

先生は残念そうに引き下がろうとする。座標から判断したところ砂漠 そしてカイザー。
まあ推定するにアビドス。アビドスなら優秀な人材は多いので大丈夫だとは思う。

「まあ?私はあくまで"フリーランス"の人間なので。"フリーランス"は"フリーランス"でも仁義とかを重んじたりする特殊な"フリーランス"だけど。まあ、助言としては"フリーランス"の人間は少しでも雇っておくべきだよ。」

私はフリーランスを強調する。
「連邦生徒会に呼び出されたから連邦生徒会所属としてカイザーをボコした」となればブラックマーケットには出入りしにくくなるが、雇われたからという理由なら特に問題は無いはずだ。

『なら、そんなフリーランスな第七戦車小隊にお願いがある。困ってる生徒を思う私のことを思ってカイザーPMCの攻撃に参加して欲しい』

先生は見事私が求める解答をしてくれる。

「了解した。敵対組織名は"よく聞こえなかった"が、未成年を金儲けの為に酷使する社会のお荷物で潰しても特に問題は無い組織という認識でいいか?」

『うん。』

1時間後、用意を終えたレト達を引き連れてアビドス砂漠へと向かう。

「ただ戦車は遅いなぁ…」

20km/hで走行する。座標まではこの調子だとあと1~1時間半はかかる。

「ま、みんなで雑談でもしながら向かうか!」

私達は談笑に花を咲かせながら砂煙を巻き上げながら反吐が出るほど気色の悪いカス組織を殲滅せんと腹を括る



シャーレ所属第七戦車小隊

先生side

 

「キリが無いなぁ、これは……」

 

珍しくホシノが弱音を吐く。

本物の軍隊が無限に湧いてくるような状況下で、数で劣り練度でも劣るか同等レベルの私達は徐々に追い詰められていった

 

その時だった。

近くに装甲車が停まり、中から何者かが出てくる

 

「な…何よこいつ…」

 

かなりの巨体にセリカが驚き、ホシノはなにか知っているような表情を浮かべていた

 

「勝手に人の私有地に入り、暴れたことによる被害額。」

「君達の学校の借金に加えても良いのだが…まあ、大して額は変わらないな。」

 

「あんたは…あの時の…」

 

ホシノが憎そうにその影を睨む。

 

「確か…ゲマトリアが狙っていた生徒会長……いや、副会長だったか?」

 

どうやらホシノと彼は何か関わりがあるようで間に緊迫した空気が流れる

 

「……ふむ。面白いアイデアが浮かんだ。便利屋やヘルメット団を雇うよりも良さそうだ」

 

彼はまた何か言い出す。

 

「便利屋…?な、何を言ってるの?」

 

セリカは困惑したようにそれに反応し、ノノミはどこか険しい表情をしながら彼に所属を訊ねる

 

「……まさか私のことを知らないとは。アビドス。君たちならよく知っている相手だと思うがね」

「私はカイザーコーポレーションの理事を務めている者だ。そして君達、アビドス高等学校が借金をしている相手でもある」

 

「嘘っ!?」

 

「!!」

 

シロコとセリカが同時に動揺する。

 

「では…古くから続くこの借金について話し合いでもするとしようか」

 

「それはどうでもいいけど、要はあなたがアビドス高校を騙して、搾取した張本人ってことで良い?」

 

「...ほう。」

 

「そうよ!ヘルメット団と便利屋を仕向けて、ここまで私たちをずっと苦しませてきた犯人があんたってことなんでしょ!?」

 

シロコは静かな怒りを、セリカは激しい怒りを露わにする。

 

「ふむ?」

 

それに対してカイザー理事は、はてといった表情で私達が行ったことを列挙する

 

「勝手に私有地へと侵入し、善良なる我がPMC職員を攻撃し、施設を散々破壊しておいて…」

 

それを言われるとぐうの音も出ない

その後もカイザー理事は第三者が見ればまともと思えるような理由をつらつらと並べる。

 

「君達程度、いつでも、どうとでもできるのだよ……例えばそう、こんな風にな」

『私だ…そうだ。進めろ』

 

「な、何……?急に電話……それに『進行』って、何のこと?」

 

その時、アビドスの電話に呼び出しが掛かる。

 

「……?」

 

「こちらカイザーローンです。現時点を持ちまして、アビドスの信用評価を最低ランクに下げさせていただきます。」

 

「!?」

 

アヤネの驚愕したような表情がホログラム越しに映る。

 

『変動金利を3000%上昇させる形で調整。それらを諸々適用した上で、来月以降の利子は9130万円でございます』

 

『それでは引き続き、期限までにお支払いをお願いします』

 

「はい!?ちょ、ちょっとそんな急にどうして……!?」

 

「きゅ、9000万円!?」

 

「………くっくっく。」

 

「これで分かったかな。君達の首にかけられた縄が今、誰の手にあるのか」

 

カイザー理事はまるで…いや、事実私達を嘲笑うように話す。皆が相当な怒りや理不尽さを覚える中、更に援軍と思われるエンジン音があたりに響く

 

「ああ、本気だとも。しかしこれだけでは面白みに欠けるか………そうだな、9億円の借金に対する保証金でも貰っておくとしよう。一週間以内に、我がカイザーローンに3億円を預託してもらおうか。」

 

「そんな…!!」

 

アヤネの悲痛な声が耳に刺さる。

そんな時の事だった。拡声器に通されたような声がカイザーの後ろから聞こえてくる。

 

「それは代わりに支払うことは可能か?」

 

「ん?」

 

カイザー理事が声のする後ろを振り返りながら話す。

 

「誰かは知らんが、まあ構わん。しかしこんな砂漠の学校を救ったところで…」

 

「あんたの望むものを全て完璧に遂行してやると言えば?」

 

「だから、構わんと言っているだろう?」

 

「そうか。ならばこれはほんの気持ちだ。受け取れ」

 

刹那、余りに大きな砲音がPMCの基地と砂漠に響き渡る。

 

「な…何者だ!?まだアビドスに与する者がいるとは…!!」

 

2つの爆炎がカイザーの乗ってきた装甲車と近くのPMC兵を消し飛ばす。

 

そしてその5秒後、もう一度2つの砲声が響き渡る。

 

今度は弾薬庫に2つとも命中し、大爆発 炎上した。

 

「位置を特定し攻撃せよ!戦車を前に出せ!」

 

クルセイダー戦車が4両程勇敢に偵察を開始する………が、それはただの戦力を削いだだけだった

 

 

 

 




チハルside

「2番車は継続して先生周辺の掃討を。我々は接近してくる4両のクルセイダー戦車を破壊する。できれば2番車には誰も乗っていない無稼働の戦車も見つけ次第破壊に移って欲しい」

『了解』

レトの返答を聞き、私達は昼飯の角度を取り、接近してくるクルセイダーのうち1両を徹甲弾頼りに真正面からぶち抜く。

位置がバレる前に殲滅したい。もう1両の戦車が迫る中、迅速な装填で接近する1両の車体下部を貫徹。もう一度再装填。次は私達に気づかず真横を走っていった戦車側面をぶち抜く。

最後のクルセイダー戦車とは正面からの殴り合いになり、上手く貫徹できなかったりしたが、ティーガーのエンジンを狙おうと真横を通りかかってくれたのでありがたく側面を撃ち抜かせてもらった。

「初心者相手を虐めるのはあまり良い気分じゃないな。」

「確かに…Private Military Companyですもんね……一般市民と軍が率いる精鋭部隊。どちらの方が強いかは火を見るどころか、1匹の鶏と100匹の虎を争わせるようなものですよ」

「はははっ…言えてるよ。」

オートマタの破片が空を舞い、ヘイローを持つ兵士は吹き飛ばされたり、悲鳴をあげたりして完全な統率を失う

「パンツァーフォー!先生達を載せて脱出と行こうか!」

行進間射撃をしながら前進。砲口から煙を上げながら混乱する兵士を掻き分けて行ってカイザーの真後ろまで進軍する。

「なっ……!?」

「や…カイザー理事。人の夢を奪うのは楽しかったか?人の苦しむ姿を見るのはさぞ快感だっただろう?」

ハッチが開いて、アルディーティ兵装をしたチハルがカイザーの元まで歩いていく。

「人の苦しむ姿を見るのはどうだった?どんな気分だった?」

「っ……貴様……」

「答えろよ。機械野郎」

「生憎ながら、私に人を苦しむ姿を見て快感を覚えるような趣味は無い。」

「そうか…ならなぜ笑っていたのだ?分かるさ。私もさ、カイザー野郎。自分達が負けた原因の人種を叩いて、殴って、ストレスの吐け口にするのは快感がグッと押し寄せる。まあ、君はまだ負けていないかもしれないがな…」

「言わせておけば…!」

カイザー理事が腰に手を当てる。恐らくハンドガンか何かを取り出そうとしているのだろう。だから先に牽制しておく

「やめておけ、カイザー野郎。真後ろを見てみろ。」

後ろを振り返ったカイザー理事には誰でも分かるように焦っていた。なぜならその後頭部に戦車の砲口が突きつけられていたからである。

「ここでトントンにしないか?事実、君は他組織を雇ってアビドスを潰そうとしていたな?私達のところにも声を掛けていたな?だから、それら件と今回の1件。アビドスの連中が認めるなら、それでチャラにしないか?」

刹那、2番車が被弾する

「クソ!増援だ!大急ぎで迎撃するぞ!」

音的に恐らく16両。中隊規模のようだ

「昼飯の角度を意識しながら戦え!先生の退避する時間を稼ぐんだ!おい、アビドス!早く先生を安全なところに送り届けろ。」

「はぁ!?そ、そもそもあんたいきなり出てきて何勝手にカイザーと話つけてるのよ!」

「これは私たちの問題。介入しないで」

セリカとシロコに猛烈に責められるがそんなこと話している暇は無い

「黙れ。先生を安全な場所に送り届けろ。」

「セリカちゃん。確かにここはあの子の言う通りにした方がいいよ。先生は爆発に巻き込まれただけでも死ぬ可能性があるんだし」

"その…チハルは大丈夫なの?"

先生が堪らなくなったようで聞いてくる。無理もない。中隊vs2両。外の世界から来ているなら戦車戦において数の有利不利はある程度把握しているだろう。しかし……

「大丈夫、私は軍人だ。民間人如きに負けるほど弱くは無い。そして先生、色々終われば話そうか」

先生は退却し、我々は地獄とも呼べる戦いを始めた。幸い敵の練度は高くなく、独ソ戦の地獄を生き抜いたドイツの誇る精鋭達ならば余裕で撃破が可能であろう。

しかし残念ながら独ソ戦を戦ったのはここの中で私だけ。一応、優秀な戦車兵も実戦経験を積ませており、様にはなってきているが、一抹の不安は残るばかりだった。



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一抹の不安なんて風で吹き飛ばされた。

クルセイダー戦車の側面やエンジンを的確に撃ち抜き、昼飯の角度で上手い具合に跳弾しつつ側面に回って仕留める。

さて、見事華麗に美しく敵のクルセイダー戦車中隊の8割を壊滅させると連中は撤退して行った。優先的に強そうな戦車を撃破したので指揮できる人間が居なくなり、新兵だけになり撤退していったのだろう。

「さて…と」

強かった戦車の搭乗員を(仲間にするために)拘束し、戦車のエンジンに縛り付けてアビドスまで帰還する。

「圧倒的甘美なる勝利の美酒に酔いしれてしまいそうだ」

「チハルさんの指揮は本当に的確ですね。」

トウカが感心したように話す。

「だろ?」

そういえば2番車もかなりの戦果を挙げており、歩兵の接近を防いだりしていてくれていた。2番車のレト ヨナタには後で感謝だけでも言っておかないと
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