「あの戦局をひっくり返したっていうの!?」
セリカが叫ぶ。
「そうだよ。16両?だっけかの戦車を砕いたよ。」
先生に案内されて入った部室には特徴的なピンクの髪の子…小鳥遊ホシノは居なかった。
「ピンクの髪の子は?」
「ん、ホシノ先輩なら隣で寝てる。」
「起こしてきてあげよっか?」
「いいや?君達も疲れただろうし、私らはここら辺でお暇させてもらうよ。」
部室を出る前に一礼してそのまま立ち去る。
廊下を歩いている最中先生とすれ違い、先生の胸を軽く握り拳で叩いて耳元で囁く
「まだ期待してるよ?"シャーレの先生"」
"はは…手厳しいね"
「今回は私がいなければどうなってたか分からないだろ。だから、まだ見させてもらう。先生としての覚悟があるのかどうか。」
アビドス校舎から出ると、仲間と先程拉致ってきたPMC兵が暴れていた
「離せ!なんだよこれ!?」
「いいから落ち着け!隊長が来るまで待つんだ!って隊長ー!こっちこっち!」
ヨナタが大きく手を振りチハルを呼ぶ。
「起きたか?」
「いいからこの拘束を離せクソ野郎!」
じたばたと暴れる複数人に対して全員を鎮圧するように仲間に命令する。
「いいか?これから教育の時間だ。」
その昼から夜にかけて、とある街の一角では悲鳴が鳴り止まなかったという………
「お前ら理解したか?」
「は…はい……」
裏路地の壁に磔られた"元"カイザーPMCの戦車兵達はもう抵抗する気力も失せていた。更に言うと、少しづつだが、第七戦車小隊に入りたくなった者も少なくなかった。それに加えて「従えば楽にしてやる。」という甘美な言葉に踊らされて段々と仲間になるか?という問いに首を縦に振るものが増えていった。
「全員、私に従うことをここに誓え。」
「ち…誓います!」
そう言わせると、部下に飯の用意をさせる。コンビニ弁当だが、無いよりはマシだ。
彼女達も涙を流しながら(やっとご飯を食べれて緊張感が緩くなったから)食べていたし、私の教育は大成功と言ってもいいだろう。
「君達は優秀すぎる戦車兵達だ。今は用意出来る戦車が1両しかないが、必ずクルセイダー戦車を揃えることを誓わせてくれ。」
部下になったばかりの仲間に膝をつく。
「隊長、大丈夫ですよ。いつまでも待ちます」
1人がそう言ってくれる。その言葉に奮起した私は1番車の仲間を引き連れて凄まじくカスで下衆を極める地獄のような作戦を立案した。
その名も「カイザーハント」
カイザーPMCの拠点を割り出し強襲し、物資を奪って逃亡。何日が経てばもう一度繰り返し、物資を肥えさせようとする作戦だ。
この作戦には1番長い付き合いのレト トウカ ヨナタ ヨネハを連れていくことにした
「皆、期待して待っていてくれ」
そうして私達は「カイザーハント」を行いにいった。カイザーには(物資を提供してもらい)申し訳ないなと毛頭思わず、カイザーを罵りながらハント場へ向かう
「それじゃあやるか!」
轟音を轟かせると共に進軍を始める。
まずは弾薬庫を吹き飛ばし、敵を混乱させつつ機銃と砲で敵を蹂躙。戦車を鹵獲しつつ、優秀な戦車兵が居れば拉致る。
こんな単純なことだが、練度が皆キヴォトス最高峰なだけあってしっかりと作戦は完遂して帰還することが出来る。総統の元でもこのようなことが出来たら良かったが、生憎向こうは1度失敗したら取り返しは付かない。だから次だ。
カイザーハント開始から1週間後。
合計で戦車はクルセイダー巡航戦車を24両鹵獲。小銃は200を超えるほど鹵獲し、装甲車両や対戦車砲を強奪した。どれも英国製やドイツ製 フランス製のものが多く、一部よく分からないものもあるが、ワルサーPPK等慣れ親しんだ武器も多くあり、少し懐かしい気持ちに浸る。
そんな気持ちとは裏腹にカイザーPMC側は突如として行われたどこから来るか分からない精鋭戦車に襲われる恐怖でろくに眠りにもつけず、判断力が落ちるという悪のスパイラルに陥っていた。
「報告!正体不明の戦車1両が殴り込んできました!応戦に出たクルセイダー戦車は殲滅され、一部の停めていた車両は鹵獲されました!!」
「またか…対戦車砲で攻撃するんだ!」
「そ…それがもう……」
「クソォ…クソ!!」
カイザー理事は机に凹みができることも気にせずに机を殴る。カイザー側の被害は増すばかりだ。それどころか、一部の戦車兵が失踪するという不可解な自体にも巻き込まれ、PMCは大混乱に陥った。
カイザーハントの被害を受けてPMCは更なる軍拡を決定し、カイザーハントに備えようとした……が、今度はチハル達の1両だけでなく教育した元カイザーPMC戦車兵の操るクルセイダー戦車含めて計6両程出てきて、蹂躙される。軍拡をすればする程被害は増える。カイザー理事はこれらの事態に業を煮やしてブラックマーケットにて第七戦車小隊の首領の首に懸賞金を掛けた。
その額20億円。狩れば一瞬にしてアビドスの全借金を支払い終えて少しばかりお釣りも返ってくる程だ。
「不味いことになったな……」
前にアビドスに訪れた時に聞いたが、ホシノやシロコは賞金首狩りをして金を稼いでいるようだ。あいつらに仁義があるならば殺しには来ないだろうが、警戒したに越したことはない。
「ハントは控えるか……」
そんな時、もう一度先生から連絡が来た。
『ホシノが消えた!!』
「そう…」