死んだ装甲兵は忘れし神々の夢を見るか   作:てきだんへー

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電撃戦と壊滅

 

 

アビドス砂漠 カイザーPMCの拠点近辺

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「各戦車個別に各個撃破を狙え!歩兵は戦車に肉薄してくる歩兵を蹴散らし、APCは迅速な移動による歩兵支援を、心がけよ!」

 

先生から受けた辱めはこいつらで晴らす。

 

「了解、角度134°構えて撃て!」

 

レトの戦車が火を噴く。後ろの鹵獲したクルセイダー巡航戦車もその快速を活かして敵を翻弄しながら立ち回り、4両のティーガーと8両のクルセイダーで構成された戦車隊はカイザーの戦車隊をまるで掃除機で誇りを吸い込むように蹴散らして行った。

 

「奴らの進軍が止まりません!」

 

「こちら第3戦車中隊!損耗多数により撤退します!」

 

「こちら第17歩兵小隊!もう持ちません!損耗8割!」

 

「小癪な……!!対戦車砲は!?」

 

「撃ちましたがティーガーの装甲に弾かれた挙句カウンターをクルセイダーとティーガーの両方より喰らって沈黙しています!」

 

「クソ!!」

 

戦闘時間僅か5分で敵の独立混成連隊を壊滅させ、敵の援軍である第9機甲中隊を殲滅した。歩兵は歩兵戦闘車両(APC)に乗り、砂漠での戦いを迅速かつ効果的に有利に進めていった。

 

「敵目視!」

 

「対戦車砲角度120°!全門斉射!!」

 

しかしカイザーPMCも黙ってはおらず、柔軟に対応を変えつつ敵を殲滅しようとした。………が、

 

「エンジンを晒すな!互いの装甲でエンジンをカバーしろ!ティーガー戦車で最後の車両のエンジンを保護し、カウンターを喰らわせてやれ!」

 

8門の対戦車砲から放たれた砲弾は見事第七戦車中隊に突き刺さった。

しかし、損害は軽微で、クルセイダー戦車が対戦車砲の位置を割り出し突撃。見事殲滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜ今になってもう一度……!!」

 

カイザー理事ははらわたが煮えくり返らん勢いだった。確かにカイザーPMCは軍隊だ。しかし、本物ではない。民間軍事会社である以上、国防軍ではなく、武装親衛隊としてだが最前線に赴き、独ソ戦という地獄を戦い抜いた精鋭の指揮し、練度も十分な最高の人員が揃うこの第七戦車中隊に勝てる組織など限られすぎている。

 

「カイザー理事、報告です!敵の攻撃を南部防衛線で食い止めることに成功致しました!!」

 

「本当か!?」

 

カイザー理事は諸手を上げて喜ばん勢いだった。まあ喜ぶ気持ちもわからんでもないが、彼らにはここから更に地獄が舞い降りる

 

「とりあえずズタズタにされた前線へ兵士を送れ!恐らくアビドスの連中は小鳥遊ホシノを取り返しに来る。急げ!」

 

カイザーは基地の部隊に指示を出して前線に展開させようとする。

 

「カイザー理事報告です!奴らです!アビドスが現れました!!」

 

「タイミングは最悪か……ここの防衛を固めるかそれとも…」

 

「本部からの援軍を要請しましょう!」

 

「北部の対デカグラマトン大隊と東部からも呼び寄せておけ!」

 

「東部は戦力の4分の1が削られています。大丈夫ですか?」

 

「敗北するよりかはマシだ!!」

 

「了解しました!」

 

カイザー理事に報告に来た兵士は敬礼をすると急いで通信室へと走る。

 

「理事報告です!北部にて謎の反応が!!」

 

「クソなんでもいいからこちらに戦力を回せ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「銃声だ……どうやらアビドスの面々も来たらしいな。」

「中隊長前方に敵多数!」

「お前ら!叩き潰してやれ!!」

クルセイダー戦車を筆頭にティーガーやAPCも後に続く。

「敵接近!」

「第七戦車中隊だ!」

「あのクルセイダー戦車は我々のものでは!?」

混乱の声もありながらも敵との交戦を開始。ただ、一方的なワンサイドゲームで終わった。

このまま先生と合流し、カイザーの牙城を根元から完全に切り崩す予定だ。




そんな矢先のことだった

「中隊長!遠方より砲声!各員衝撃に備えろ!!」

刹那目の前に爆炎が巻き起こる。

「なっ…!?榴弾砲!?ぜ、前進しろ!!回避行動を取れ!!」

そういい終えるや否や、チハルの搭乗するティーガーの天板に砲弾が突き刺さる。

「頭を守れ!」

轟音と共に辺りが爆破に包まれる。

「砲撃!!」

「外に出て伏せろー!」

「中隊長は無事か!?」

混乱の声が広がる中、歩兵は秒で倒れ、チハルのティーガーは運悪く直撃弾で爆発沈黙。クルセイダーはその薄い装甲が災いし一瞬にして殲滅。レトの操るティーガーも装甲に風穴が空き、搭乗員が気絶する事態が発生。

山本チハルが率いる第七戦車中隊は壊滅的被害を受け、レトのティーガー1両と66名いるはずの歩兵がたった5名しか動けないなど、史上類を見ないほどの損害を被った

「カイザー共め……!!」

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先生side

目の前で大きな爆発が巻き起こる。
シロコやセリカ アヤネにノノミが一体なんだと困惑していると突如ホログラムに見覚えのある影が浮かぶ

「あ…あぅ…わ、私です…」

「あ!ヒフ__」

「ち、違います!私はヒフミではなくファウストです!」

久々の再会に皆が和気あいあいと話す中、一気に仕留めるためにチハルを呼び出そうと通話ボタンを押す。

"チハル…ホシノを取り戻すよ"

……………出ない。おかしい。いつもならすぐに出るのに。更に言うと深夜帯というより全然昼で、なんなら彼女が絶賛ハントをしている最中のはず。

"チハルは…?"

「先生、チハルって?」

"前に助けてくれた戦車の子だよ。"

もしかしたら今絶賛戦闘中の可能性もある。少し経てばもう一度連絡しようと思い、トリニティが制圧してくれた敵を踏み越えホシノのいる建物に足を進めていた。

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レトside

「チハルさん!みんな!」

レト達は戦車を降りてチハル車両から全員を引っ張り出す。歩兵達と協力しながら全力で皆を外に出して更なる爆破や燃えて死なないように必死に引きずり出す。

クルセイダー戦車8両は計24名しか乗っていないので楽だが、問題はAPCだ。とりあえず何人も救い出して、何人も横にするが、そもそも運搬車両が無い上に辺りは砂漠。
レトは人間の限界を優に超えた怒りを心に秘めた

「カイザー………」

その時だった

"大丈夫!?"

先生とアビドスの面々が走ってきた

「やられた!!カイザーに!!」

レトが悲痛な叫びを先生に投げかける。
残った歩兵達は混乱の渦中にいた。

「どこからこんな量の大砲を……」

「中隊長指揮の元あれだけ基地を粉砕したのにまだ残っていたのか……」

「そもそも!砲撃の位置的にカイザーじゃないのでは?」

皆が口々に話し出す。
そんな中レトの中には1つの思惑が浮かんで、顔面蒼白の先生に訊ねる

「先生、私達に知らせずにどこかに攻撃依頼をしたでしょ」

"っ……"

先生は何も言わずに下を向く。

「ごめん。先生と少し席を外すね」

レトが先生の襟首を掴もうとした瞬間だった。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよあんた!!今から私達はホシノ先輩を助けに行くの!邪魔しないで!」

セリカが銃を構えてレトを静止する。

「はぁ?私らは今指揮官を失ってその他にも大量の戦車と歩兵を失って動けないの!そして……そしてこいつは何かを知ってる!!お前らもだ!!」

先生の胸倉を掴んでブンブンと振る。

「レト、落ち着きなよ」

ヨナタが宥めるがそれがさらに火に油を注ぐ。

「黙れ!!こいつが…こいつが!!被弾痕から見て大体分かるんだよ!どうせトリニティだろう!?前に中隊長と見に行ったから察しは着くんだ!」

"ご…ごめん…でも今は…"

「でも!?私達が従うべきリーダーを奪っておいて"でも"!?ふざけないで!」

あまりの怒りに片手を上げて思い切り振り下ろそうとした時、振り上げた片手に鋭い痛みが走る

「そんなことは中隊長は望んでない」

そこにはワルサーPPKの銃口から煙を上げたヨナタの姿があった。

「あんたに…あんたに中隊長の何がわかるって言うのさ!!」

「落ち着け。レト」

先生の胸倉を掴む腕にも痛みが走る。

「先生、行って。このことは後で必ずケジメをつけてもらう。でも今は……中隊長が惚れ込んだあなたの目的を完遂して」

"でも……"

「行って。撃つよ」

"ごめん…本当に…"

シロコ達は走り去っていく。後はヨナタとレト。2人の話だ

「今私たちが争っても意味は無い。一刻も早く助けないと。」

「けど…けど…!中隊長が起きてたらなにか機転を出してくれるのに……」

涙目になりながらレトは己の非力さに打ちのめされる。自分は確かに2番車の戦車長を任された。つまり部隊のナンバーツーということ。大変喜ばしいことこの上ないが、どれだけ努力してもチハルには追いつけなかった

「私は……チハル中隊長じゃない……」

「そうだよ。違うんだよ。君はチハルさんじゃない。君はレトだ。レトにはレトにしかできない最善の策だってあるはずだ。今の指揮官は君だ。レト」

「……熱くない鉄板を持ってきて簡易的な運搬用ソリを作って、残ったティーガーで運ぼう。善は急げ。総員行動開始!!」

「「「「了解!」」」」

レトは何とか命令を下す。この中では、一番かは分からないが、マシな選択肢だ。
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