死んだ装甲兵は忘れし神々の夢を見るか   作:てきだんへー

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事態の収束

 

 

「チハルさーん…目を覚ましてよ……」

 

歩兵達は皆起きた。どうやら直撃弾はそこまで無かったらしく、装甲がいくらか弾いてくれたお陰で皆軽症で済んでいる。そしてそれは至近弾にて壊滅させられた戦車兵達にも言えることだった

 

しかし、直撃弾で1番近くで炸裂したチハルの意識は未だに戻らなかった。

 

「チハル中隊長……」

 

チハルが眠る布団の周りを仲間が取り囲んで目覚めるのを待つ。

何日もこの体勢なのかもしれないが、誰も弱音を吐かない。

そんな時に、トウカが絶望的な声を上げる。その声の裏には自分の操縦技術が足りなかったからだと責めているようにも受け取れた。

その時だった。ピンポーンと格納庫のインターホンが鳴る

 

「誰だ?ここは第七戦車中隊の格納庫だが…」

 

"レト、ごめんね私だよ"

 

「……帰れ」

 

「レト…!先生になんてことを!」

 

ヨナタがレトを静止する。

 

「……いやいい。入れ。」

 

レトは何かを思いついたような表情をすると、拳銃を抜いて扉横で構える。

 

"失礼します……っ!?"

 

「黙れ。私に従え。この腹黒クソ野郎が」

 

レトは先生を地面に抑えつけて先生の後頭部に銃を突きつける

 

「レト!!」

 

ヨナタがレトの頭部に銃を突きつける。

 

「おい、質問だ。あのクソみたいな砲撃を行ったのは誰だ?」

 

"…と…トリニティ……"

 

先生がいきなりのことに驚愕したように驚きながらも答える。

 

刹那、格納庫のコンクリート製の床に銃痕が残る

 

"っ…"

 

「クソみたいな連中だな」

 

"でも__"

 

「_言い訳は聞いていない。黙れ」

 

レトは確かな怒りをその言葉に乗せる。

 

「中隊長を奪っておいて、よくそんな呑気なことが言えるな。」

 

「レト。落ち着け。いくらなんでも先生相手に尋問はキヴォトスが許さないぞ」

 

トウカが怒り狂う暴れ馬と化したレトを静止しようと試みる。

 

「キヴォトスが許さなかったとしても!事実中隊長の意識は未だに戻っていない!あれから2日経つが、皆は数時間で意識を取り戻し、遅くても1日以内に取り戻したでも中隊長はかれこれ2日寝込んでるんだぞ!?」

 

しかし、そんなものは逆効果でしか無かったようだ。

 

「レト!落ち着け!!」

 

「ヨナタ……あんたも裏切り者側か?」

 

「中隊長がこんなことを望む訳が無いだろう?考えたらわかることだろうが!!」

 

トウカとレトの口論は凄まじいことになる。

どちらもチハルを知っていて、友人であるからこそ、尊敬する人であるからこそ、互いの主張をどうしても認められなかった。

 

平和的に行くか、武力的反省を促すか。

彼女達は悩んでいた。

 

 

 

 

 

 





先生side
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"ふふっ。チハルにも可愛いところあるんだね"

「いやっ…!私は誇り高き親衛隊だから!……だから……先生の身の安全はこの命で保証するよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー







"……っごめん…"

1人誰にも聞こえない声で、今も眠る友人に謝る

「ヨナタ……!この権威に従う犬畜生め!!」

「なんだと!?思ってもいないはずの中隊長の言葉を真実にするクソ野郎が何を言う!?」

「ヨナタ!レトの言ってることは正しいだろ!」

謝罪を繰り返す先生の隣は暴言 罵声が飛び替えている。

「我々は今すぐにトリニティと戦争するべきだ!」

「我々の練度なら勝てる!」

「そんな確証どこにある!?そもそも、ここまで強いのは全て中隊長の指揮のおかげだろう!?」

「そうだそうだ!中隊長の意志も聞かないで戦争を始めるのは愚か者のする所業だぞ!!」

格納庫内は罵りあいの場と化し、遂に発砲音が響く

「撃ったなー!?」

刹那、大量の銃弾が飛び交う。先生は何とか扉の外に出て近くの裏路地に入って空崎ヒナに連絡を取る

「ヒナ…はぁ…聞こえる?」

「えぇ、先生。一体何か?」

"第七戦車中隊が暴走しかけているの…止めて!"

「っ…分かったわ。すぐに向かう」

音声通話が途切れる音ともにとうとう連射銃の音まで聞こえてくる

"お願い……早く目覚めて……"

先生がそう口にした瞬間、銃声がピタリと止む

「………あの…どういう状況?これ」

「ちゅ、中隊長…!!」

レトの歓喜の声が聞こえる。いや、レトだけじゃない。ヨナタやトウカ、みんなの声だ。

「………全員外に座れ。トリニティにも説教にいくが、まずはてめぇらからだ。」



~~~~30分後

「誤射は誰にでもあるという訳だ。いいか分かったな?次やったら死刑な」

そういうと足音の1つがこちらに近づいてくる

「先生……」

"ごめん…ごめんねチハル"

「なんでここにいるんですか?」

"え?"

そこにあったのは少し前のような笑みではなく、憎悪と不信感にまみれた和解する前のチハルの表情だった。

「……見させてもらうと前に言いましたよね。これがその結果ですか?諦めて、汚い涙を流すのがあなたの役目なんですか?」

"っ…ごめんね…"

「早く帰ってください。」

その時だった。

「チハル…あなた先生がどんな気持ちでここに来たか知らないでしょう?」

近くで私に万一ことがあればと待機していたヒナが表れる。

「空崎ヒナか。早く帰れ。全員な。今は……大人しく私達に関わるな。誰かのせいで荒れてズタズタになった第七を立て直さないといけないからな」

"う…うん。ごめんね。もう帰るよ"

「それが賢明だな」

ヒナと共に私は1度ゲヘナに立ち寄ってからシャーレに帰ることにした。

曲がり角を、2つほど曲がった後、チハルから電話が掛かってきた

『もしもし?先生だね?』

"うん……その……"

『もう謝らなくていい。でも、怒ってないといえば嘘になる。レトから聞いた話だが、どうやらトリニティの誤射が原因らしいじゃないか』

"そうだよ"

『……おかげでハントで集めたAPCも戦車も殆ど無くなった。敗北による喪失なら割り切れるが、今回ばかりは割り切れない。仲間からの誤射のせいで80を超える人員が負傷し、戦車の9割7分を失い、これはAPCにも言える。』

"……失った分の戦車はシャーレから出すね"

『要らない。……いや、先日、砲弾供与の件でブラックマーケットには立ち入らないと言ったが、一時的にそれを解除してくれ。もう一度カイザーハントを始める。クルセイダーを奪取し、ティーガーを強奪し、人員も誘拐する。』

"っ……"

思わず息を呑む。カイザーハント…カイザーからしたら溜まったものではないだろうし、彼女が言うのは犯罪行為を認めろということでもある。

『まあ先生。私達に転生の機会を与えてくれたことを感謝するよ。いつか、この事件の責任は取ってもらうけど』

"もちろんだよ。"

『じゃ、今からハントに出掛けるから。それと、後でレトの連絡先を教えるから電話で謝罪した方がいいよ。』

"うん"

ツーツーと機械音がなる。

「先生、一体何があったの?」

ヒナに事の経緯を全て話す。
誰も悪くない……訳では無いが、第七戦車中隊としてはトリニティを強く恨むだろう。

しかし、そこはチハルが何とかしてくれるはずだ。
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